INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
株式会社フィリップス・ジャパン 川嶋 孝宣

テクノロジーで進化するビジネス Vol.4

株式会社フィリップス・ジャパン

ソリューション事業推進部長

川嶋 孝宣

帝人、新日本監査法人、日本IBMにて、化学・ヘルスケア分野を中心に研究・臨床開発・営業・マーケティング・新規事業・コンサルティングを経験したのち、2017年11月より現職。現在、ヘルステック新規事業開発や自治体との健康まちづくりプロジェクトをリード。

公開日:2019年9月20日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

積み上げた経験やつながりが、いまに直接活きている

フィリップス・ジャパンに入社するまでのご経歴を教えてください。

tech06_02もともと理系で、大学・大学院では、ゼロから新しいモノ・機能を創る化学の分野での研究者を目指してプラズマを用いた高分子材料(繊維やフィルムなど)の表面改質の研究をしていました。

研究室にこもって研究や実験に没頭する毎日ではありましたが、一方で、店頭販売のアルバイトや、塾講師、学会発表など、自分の考えを発信することや、人とのコミュニケーションを通じて共感してもらえることを楽しいと感じている自分にも気づきました。

大学院修了後、1994年に帝人に入社し、2015年まで約20年在籍しました。最初の所属はフィルム研究所。フィルム改質の研究に携わりました。当時の私は、大学院の研究分野を活かした仕事に就くことができ、満足していました。しかし、当たり前ですが、企業では一人で好きなこと、こんなものを作りたい!と思うものだけをやっていいわけではありません。自信過剰であった私がプロの世界の厳しさとチームとして働くということを学んだ2年間でした。

その次の異動先でMR(医薬情報担当者)になりました。ちょうど帝人が医療用医薬品の販売を全国展開するタイミングで、全国にMRを配置することになり、私はその一人として札幌支店に配属となり、ゼロから医薬品営業をすることになりました。

医学・医薬品の世界は初めてでしたが、先生方と先輩方に恵まれ、厳しい業界ながらも、温かい指導のもと、自身の発信力を味方に場数を踏むことにひたすら専念しました。常に人命に関わっているということを強く意識した日々でした。

MR時代に特に意識していたのは、‘伝え方’の技術を磨くこと。先生方とお会いできるか・できないかもわかりません。お会いできても、短時間でいかに自分を受け入れていただくか、重要な情報を的確に他社と差別化し伝えるかを極めようと、待ち時間も1分たりとも無駄にしないよう、いろいろなシミュレーションを考え、コミュニケーションのパターンを用意していました。鍛えられましたね。

医薬品の場合、先生への情報の伝え方を間違えると、患者さんの健康を損ねてしまう恐れがあります。情報を伝える技術は、ここで相当磨くことができたと感じています。

次に、やはり理系への想いは強く、社内公募に手を挙げ、在宅医療の臨床開発に携わりました。ここでは、在宅酸素療法の新しい疾患領域における医療保険適用化を目指した、臨床試験プロジェクトを担当しました。在宅医療分野ですから、プライバシーや安全性の面から細かい対応が必要となり、5年かけて保険適用までこぎつけ、目指していた世の中への更なる啓発のプラットホームができあがりました。

2005年には再び社内公募に手を上げ、全社のマーケティング戦略に携わりました。事業戦略立案においてはすべての事業グループを横断で、中期経営計画と社会・技術の進化予測をベースに、自分たちが今後何に取り組めばよいか、日本と世界の未来にどう貢献できるのかを深く考える仕事でした。未来志向で新しいビジネスを考える、これは本当に勉強になりました。

その後、2011年の東日本大震災をきっかけに、「何かしなくては」という想いが強まり、当時の社長、役員に直訴し、震災復興プロジェクトを立ち上げました。私の役割は、被災現地に足を運び、様々な未充足ニーズを聞き取り、ボランティア的な役割だけでなく、現地に継続的に貢献できるビジネス創出をリードすること。そのために社内のさまざまな部署からメンバーを募りバーチャルチームを立ち上げ、水処理や仮設住宅の音・暑さ・寒さ対策の実証実験などを自治体と協力して進めていました。ここでは、机上でない現地のニーズと会社の財産である人財と専門知識を結び付け、持続可能なビジネスにつなげるのが私の役割であり、これが自身の強みであることを認識しました。そして、「健康なまちづくり」にもっと取り組んでいきたいと思うようになり、帝人を飛び出し、新日本監査法人で国の事業を支援した後、日本IBMで健康・医療データの二次活用を推進する役割に就きました。製薬企業・病院とIBMのITエンジニアの間に立って、両者のメッセージを通訳し、人工知能(AI)を含むデータ分析、データベース統合などを進めていく仕事です。たとえば、国立循環器病研究センターと連携して、循環器疾患の発症リスクの予測や重篤化を防止する健康改善、治療モデルの構築に向け、膨大な様々な形式のデータをデータベース化し、AIを用いて解析、予測するプロジェクトの立ち上げにも深く関わりました。

そして2017年、フィリップスに入社しました。東北大学や国立循環器病研究センターなどとのつながり、新規事業・戦略立案、震災復興支援で関わったまちづくり・・・面白いことに、いまの仕事には、これまでの経験やつながりの多くが直接活きています。不思議な縁を感じますね。

プロとプロをつなげ、多様な人と一緒にプロジェクトを推進する

フィリップスはどのような会社ですか?

tech06_03フィリップスは、創業以来125年以上もの間、意義のあるイノベーションを通じて人々の生活の向上を実現するため、様々なビジネスを展開してきました。現在では、100以上の国と地域で7万7千人を超える社員を有しています。

そして今、私たちは新しいステージを迎え、超高齢化による医療費拡大、少子化による人口減少に伴う医療従事者の減少、都市部への人口集中による医療格差など、健康・医療の分野での社会課題解決に向けて、ヘルステックによる価値創造に挑戦しています。

我々の大きな強みは2つあります。1つは「グローバル企業」であること。実は最近、日本でも大学を中心にして、この強みに大きな興味を持っていただけることが増えています。なぜなら、国も大学も研究者も、グローバルでの評価を極めて重視するようになったからです。いま我々の領域でも大学発のベンチャー企業が元気なのですが、彼らもやはりグローバルの知見を必要としており、密に連携する機会が増えています。

2つ目は、皆さんもご存知の電動歯ブラシ「ソニッケアー」やシェーバーだけでなく、ノンフライヤーやマルチチョッパーなどのヘルシー調理家電、MRI・CTなどの医療機関向け医療機器、在宅医療機器など、私たちが生きていく上で誰もが経験する一連のヘルスケアプロセスにおいて全領域でグローバルな知見があること。このような会社は、おそらく他にほとんどないでしょう。(*一連のヘルスケアプロセスとは、健康な生活、予防、診断、治療、ホームケアのことを指します。)

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フィリップスの戦略は、この全領域でビッグデータを創出し、データを活用したソリューションやサービスを次々に展開していくことです。たとえば、2018年には、ユーザーの皆さんが「ソニッケアー」の歯磨きデータを確認し、毎回の歯磨きでどれだけ磨けているかを把握・管理できるスマホアプリを開発しました。また、在宅医療ビジネスでは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療で使用するCPAPという機器と連動したスマホアプリを開発することで、治療効果を測定、記録し、データをもとに、より的確な治療ができるようにしました。

さらに、私たちは国立循環器病研究センターと戦略的提携協定を締結し、循環器病・脳卒中などの発症や重篤化のリスクを予測し、適切なタイミングで予防・治療することを目標とした医療AIを共同開発するチャレンジなどを始めています。また、東北大学とは、デジタルを活用し、生活習慣を改善し疾病予防につながる「人々の行動変容」にフォーカスしたヘルスケア共同研究についての包括的提携を締結しています。このように、すべてのヘルスケアプロセスにおいて、データ活用を推し進め、ヘルステック企業として皆さんの健康に寄与しようと取り組んでいます。

なお、ヘルステックの技術開発においては、世界のフィリップス拠点と連携しています。フィリップスには世界4か所に大規模なイノベーションセンターのほか、世界中にイノベーション拠点があります。これらを持つことで、世界中の市場の情報や知見の深さが加わり、市場にマッチしたスピーディーな新製品開発が実現できます。実際、現在、私のチームにもインドのメンバーが駐在し、連携しています。また今年5月には、フィリップス日本初のイノベーション拠点「Philips Co-Creation Center」を仙台に開設しました。産学官の横断的なコラボレーションのハブとして機能させることによって、社内外の多様なパートナーとのco-creation(共創)を通じてイノベーションの創出を目指していきます。幅広い新たなプレーヤーとの協創による革新的なヘルスケアイノベーションの加速につなげていきます。

川嶋さんはどんな役割を担っているのですか?

私のミッションは主に2つです。1つ目は、日本発のソリューションを創出すること。上述した国立循環器病研究センターや東北大学、名古屋大学との取り組みをはじめとした新規ソリューションを企画し、市場にしっかりと出していくことです。

2つ目は、各地域の健康課題に寄り添い、地域課題解決に寄与するソリューションを創出する仕組みをつくり、実際に新しいソリューションを創っていくことです。日本の中でも、地域によって健康課題は大きく異なります。一例を挙げると、山梨県は健康寿命が全国1位で、いわば“健康優良県”ですが、現場では「健康診断の受診率が低い」「飲酒率が高い」「食塩摂取量が多い」「運動しない」といった課題があります。こうしたことは、各地域の現場に入り込まないとわかりません。現在私たちは、いくつかの地域で自治体と連携し、地域内外の企業とタッグを組んで、ヘルステックコンソーシアムを立ち上げ、地域の健康課題の解決に取り組んでいます。

例えば、私たちは2019年2月に、青森市と健康まちづくり連携協定を締結しました。青森市浪岡地区をモデル地区とした「ヘルステックを核とした健康まちづくりプロジェクト」を進めるためです。浪岡地区の高齢化率や人口密度は、全国のほぼ中央値であることがわかり、ここで成功したソリューションは、数多くの地域に展開できる可能性が高い。現在は、改築される地元の病院と連携し、地域内外から協力企業を募ってコンソーシアムを形成しながら、「ヘルステック×ホーム」「ヘルステック×モビリティ」「ヘルステック×コミュニティ」の3領域で、最新のICTを活用したプロジェクト展開を推進している最中です。

特に「ヘルステック×モビリティ」においては、地域課題解決に寄与するソリューションとして力を入れています。近い将来の無人走行の未来を見据えつつ、都市部や中山間地に向けて「いまできることは何か」の視点で、人を運ぶだけでなく、モノ・サービスをご自宅の近くに運ぶヘルスケアMaaSの視点で新しいモビリティサービスの構想・開発を進めています。現在、いくつものソリューション開発が並行で進んでいます。日本ならではのソリューションやサービスを日本からグローバルにも積極的に発信し、展開していきたいと考えています。

私は、今まで一貫して、ビジネス全体を横断的に見ながら、プロとプロをつなげる仕事に従事してきました。様々な分野のスペシャリストたちとコミュニケーションを交わし、彼らと一緒に今までなかったものを企画し、どんどん立ち上げていく。そのプロ達を発掘し、つなげることが私の役割であり、そこにやりがいを感じています。新しいことをやる時のスピード感、周りからの期待、各ステークホルダーを巻き込みドライブするのはエネルギーがいることですが、私が一番この仕事をしていてワクワクするところです。

強みを発揮し、弱みをさらけ出せるチーム

どんな方を求めていますか?

tech06_04一言で言えば、「自らの強みを活かしながら、多様な方向にストレッチできる方」です。前半の「強みを活かす」ということで言えば、フィリップスには多様な強みを持った方が集まってきています。これしかやらない、ではなく、多様なメンバーが、各自の強みを活かし合いながら一丸となって向かっていく。Team up to win、それが私たちのあり方です。

たとえば、異なる業界からやってきたリーダーがいます。彼は、その独自の見方や感性を発揮して、みんなと議論しながらビジネスを変革しようとしています。業界外の見方・感性を持ち込むことで、メンバーに刺激を与え、場を活性化させようとしているんです。彼はそうやって、自分ならではの強みを発揮しています。また、同じ医療業界からやってきた若手メンバーがいます。彼はすでに素晴らしい専門性を備えているんですが、あえてそれを脇に置いて、未知の分野にチャレンジし、自身の新たな能力をストレッチしようとしています。もちろん、自発的、能動的に。フィリップスには、そうしたさまざまなメンバーが活躍し、力を伸ばせる場があります。

もう1つ、私が新たな仲間に求めたいのは、「弱みをさらけ出すこと」です。強みを活かすことと弱みをさらけ出すことは、直結しています。たとえば、私の弱みもメンバーに最初に伝えています。ここにあるのは、多様なメンバーが強みを活かし合うだけでなく、弱みをカバーし合う組織なんです。ご自身の強みを理解し、どう活用できるかを常に考え行動できる方、またそんな風に働きたいと思う方、ぜひ一度お会いしましょう。お待ちしています。

株式会社フィリップス・ジャパン

オランダを本拠地とするロイヤル フィリップスは、人々の健康の向上にテクノロジーで貢献するヘルステック分野のリーディングカンパニーです。健康な生活、予防、診断、治療、ホームケアという一連のヘルスケアプロセスを通じて、先進的なテクノロジーと、医療従事者および消費者のインサイトを基に、人々の健康を改善し良好な結果をもたらすための包括的なソリューションを提供しています。

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