一人ひとりを輝かせることがマネジャーとしての喜び
PwCコンサルティングに入社するまでのご経歴を教えてください。
中高6年間は、全国大会に出場する強豪サッカー部に所属し、練習に勉学に励み、日々分刻みの生活を送りました。カリスマ性のある監督のリーダーシップのもと、仲間と共に努力を重ねた日々でした。
その後、大学に進学し、サッカー以外の新しい世界を開拓していきました。その中でできた仲間と「社会を良くしたい」「日本経済を盛り上げたい」など想いを語り合ったのですが、彼らの多くが当時の情熱を保ちつづけながら、いま社会の各所で活躍しています。が、振り返ってみると、誰もが各々の目指していた方向にしっかりと進んでいるんですね。彼らの姿を見ていると嬉しくなります。
新卒で就職したのは、日本アイ・ビー・エムでした。若手でも意見が言いやすく、仕事をロジカルに進められる環境を求め入社し、その後約20年在籍しました。
最初の数年はSEとして経験を積みました。少し状況が変化したのは、プログラミング「Object思考」(何をObjectにしてプログラミングするのか)の重要性が問われるようになり、Objectを明確にした上でソフトウェアをデザインする力が求められるようになった時です。「デザインする」ことを得意とする自分に気がつきました。その後IBM東京基礎研究所に異動となり、ソフトウェア開発に携わり、ITエンジニアとして自信をつけました。
ただ一方で、研究所には優れたエンジニアがたくさん在籍し、また、世界に目を向けると、インドや中国の研究所が急速に力を伸ばしていました。この世界ではトップクラスになれないと悟りました。その頃、社内異動の話をいただき、リーダーシップトレーニングの一環として、6カ月間、ソフトウェア事業部長の補佐に就くことになりました。事業部長が出席するほぼすべてのミーティングに入り、マネジメントのやり方とあり方を間近で学ぶのが、そのミッションでした。意思決定の難しさとスピード感を肌で感じ勉強することができ、私の大きな転機となりました。その後、私はソフトウェア事業部のマネジャーとなり、それ以来15年以上、マネジメントキャリアを積んできました。
私のモットーは「強みを活かす」です。ただ頑張っていては、長く続けることはできません。頑張らなくても続けられることに自分の強みがある。それを探し、仕事にするのが、誰にとってもよいことなのではないかと思います。私にとっては、それがマネジメントでした。マネジャーは、物事がうまくいっていないときに登場して、お客様に謝りに行ったり、社内で頭を下げたりする「面倒くさい仕事だ」と感じる人がきっと多いでしょう。でも、私はマネジャーに就いたときから、そう感じたことがほとんどありません。なぜなら、チームとプレイヤーをプロデュースして、一人ひとりを輝かせることに大きな喜びを感じてきたからです。そのために多少面倒なことをするのは、たいして苦にはならいのです。
プレイヤーをプロデュースするコツは、その人が頑張らなくても成果を上げられる仕事を見つけ、それに集中できる環境を作ってあげること。それさえ実現できれば、あとは自然と良い方向に転がっていくんです。そうしたマネジメントスタイルを貫いてきたら、おかげさまで、私とまた一緒に働きたいと思っていただける方が増えてきた。その縁が、私のいまを形作っています。
約20年IBMで働いた後、私はシマンテックに移りました。IBMでは十分に経験を積むことができた。そろそろ自分が外で通用するかどうかを試してみよう。そう思ったからです。シマンテックでCOOまで務めた後、今度は2017年に、PwCコンサルティングに入りました。
なぜPwCを選んだのですか?
PwCを選んだのは、以前からコンサルティングに携わってみたかったからです。コンサルタントは、いわば「営業」と「技術」の両方を自ら一手に担う仕事。技術畑の私からすると、その権限と責任の大きさが何よりも魅力的でした。コンサルタントは未経験でしたが、私にはマネジメントスキルがある。このポータブルなスキルを活かせば、未知の業界でも十分にやっていけるという自信もありました。PwCコンサルティングは2000~3000名規模となり、ちょうどマネジメントスタイルや組織のあり方を変革する時期に入っていました。私のように、社外の視点を持ちながら、組織の状況をフラットに指摘できる人材が必要とされていたんです。ここには、私の役割がある。そう感じて入社を決めました。
経験値・ナレッジの蓄積と人材の多様性には自信がある
PwCコンサルティングはどのような会社ですか?
入社以来一貫して感じているのは、メンバーの皆さんのモチベーションと能力の高さです。ビジネスがうまくいっているから、人材のモチベーションと能力が高まる。すると、ビジネスがもっとうまくいく。その好循環が続いています。また、現在のPwCは、ビジネスも組織も変革の真っ只中です。その最終的なゴールはまだ誰にも見えていないと思いますが、変革のトンネルに入ったのが早かったので、トンネルを抜けるのも早いはずです。近いうちに、新たなPwCをお見せできるはずです。
外村さんがパートナーを務める「デジタルトラスト」チームについて教えてください。
2019年3月までは、「サイバーセキュリティ&プライバシー」という名前でした。そのほうが、具体的な仕事をイメージしていただきやすいかもしれませんね。文字通り、サイバーセキュリティとサイバー上のプライバシーに関わるコンサルティングを行うチームです。
ただ、「デジタルトラスト」と改名したことには、大きな意味があります。多くの方がご存知だと思いますが、いま世界はデジタルに大きく移行しており、私たちPwCも含めて、多くのコンサルティングファームが「デジタルトランスフォーメーション」に力を入れています。それには、前提として「デジタルトラスト」が欠かせません。なぜなら、安心安全な環境が用意されていなければ、ユーザーが気持ちよくデジタルに移行できないからです。もうすでに、デジタルトラストが破綻すると、企業の信頼性が破綻する、私たちの日々の生活が破綻するような社会になりつつあります。今後はその傾向がさらに強まるでしょう。信頼できるデジタル空間を広げていくことは、私たちの重要な使命だと考えています。
デジタルトラストは、決して「守り」のためだけにあるのではありません。これからは「攻めのデジタルトラスト」、つまり新ビジネスを立ち上げる際のデジタルトラストが一層重要になります。たとえば最近、個人情報を十分に保護できていないAIサービスが、社会問題として問題視されるケースが出てきました。データ活用ビジネスは今後必ず伸びる領域で、注目する会社も増えています。実際、私が知る限りでは、CDOやデータ活用推進部などを設置する会社がどんどん出てきているんですね。ただ、データ活用を進める際には、必ずサイバーセキュリティとプライバシーの問題をクリアしなければなりません。そうしなければ、企業は社会的責任を担えず、信頼性を失います。これは当然の流れです。
素晴らしいことに、最近、攻めのデジタルトラストの重要性を理解していただけるお客様が多くなってきました。それと同時に、私たちに声がかかる案件も急速に増えています。
「デジタルトラスト」におけるPwCの優位性はどこにあるのですか?
PwCコンサルティングには、サイバーセキュリティ&プライバシー関連の案件を圧倒的に多く扱ってきた実績があります。実は、PwCはこの分野では以前から世界的に高く評価されています。その証拠に、ALM Intelligence社より、2018年サイバーセキュリティコンサルティング分野のリーダーに選ばれています。グローバルでも日本でも、その経験値と事例の蓄積には一日の長がある。それは間違いないことです。ナレッジの質と量に関しては、どこにも劣らない自信があります。
また、その結果として、人材の多様性が増してきたことも重要です。というのは、デジタルトラストチームの第一の使命は、「どのようなことが起こっても対応できるケーパビリティを用意すること」だからです。こうしたインタビューなどで、「今後はどのようにビジネスを伸ばしていきたいとお考えですか?」とよく質問されるんですが、デジタルトラストに限って言えば、その質問は筋違いです。なぜなら、「どのようなことが起こっても対応できること」「どのような問題も解決できること」に最大の価値があるからです。私たちデジタルトラストチームには、ニーズを捉えにいくのではなく、あらゆる方向から飛んでくるニーズをキャッチする力が問われているんです。だからこそ、人材の多様性が大きな力となります。この点でも、私たちは優れている。自信を持って言うことができます。
自分が楽しめるコンサルティングスタイルを築きたい方に来ていただけたら
どのような方を求めていますか?
頑張らずに楽しく成果を上げられること、無理せずに楽しめる仕事をぶれずに探しつづけて、その結果、自分なりのコンサルティングスタイルを築きたい、と思っている方に来ていただけたら嬉しいです。
コンサルタントにとって最も大切なのは、お客様から高く評価され、信頼を得て、ビジネスを継続的に発注いただくことです。そのためには、お客様の立場に立って考え尽くし、最も必要とする成果物を的確に提供することが求められます。ですから、お客様の立場に立って考え尽くす力は、優れたコンサルタントなら全員が備えています。これは必ず磨いていただきたいスキルです。
ただ、どうやって考えるかというのは、一人ひとり違ってよいんですね。むしろ、そこには独自のコンサルティングスタイルがあったほうがいい。自分が好きなこと、得意なこと、自分の特徴を前面に押し出していくと、相性の良いお客様と出会うことができ、結果的にお客様のビジネスと自らの能力の両方を高める好循環に入っていける可能性が広がるからです。その際、私はマネジャーとして、あなたが自分なりのコンサルティングスタイルを見つけられるよう、そしてあなたがキラキラと輝けるよう、全力でサポートします。