INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
株式会社フィリップス・ジャパン 水上 雅人

人事×経営 〜人事戦略を語る Vol.4

株式会社フィリップス・ジャパン

人事総務本部長

水上 雅人

14年間日系、米系企業において人事の各部門を担当した後、1998年日本エリクソン入社、人事制度の設計、導入、運用等に携わる。2012年12月にフィリップス エレクトロニクス ジャパンに入社、現職。

公開日:2014年5月21日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

できない理由を並べるのではなく、できる理由を見つけて実行する

フィリップス エレクトロニクス ジャパンに入社されるまでのキャリアをお聞かせください。

id_021_01大学卒業後、日系企業に入社し採用に携わったのがきっかけで、今に至るまで一貫して人事に携わっています。そこには13年間いましたが、「日本の組織における人事とは何か」ということを徹底して学びました。その後、米系企業に転職したのですが、知り合いから誘われて1998年エリクソンに入社しました。ここでは全世界統一の行動様式に基づいたグローバル・カンパニーの人事とは何か、を学びました。入社当時は人事組織がスタートアップしたばかりで、給与制度や人事制度を一から作るという経験をし、人事部長になった時期にはちょうど社長が変わり、会社の変革期でした。今までの考え方を変えて次にどうしていくべきか毎週朝から現場のキー・マネジャーたちと話し合い、お互いの考えを共有し合うことを大事にしていましたね。できない理由を並べるのではなく、できる理由を見つけて実行するという考え方でどんどん変革していきました。会社の変革に大切なのはやはりトップの強い意志です。また、「人事はビジネスを成功させるために何ができるか、スペシャリストではなく、ビジネスパートナーとしてできることを実行していく」ということも新体制で学びました。人事の制度やポリシー、法律などをよく理解し、どうすればいい方法を見つけられるか、その方法を見つけてビジネスの成功に貢献することを期待されている、ということです。この考え方は自身のキャリアの中で大切にしています。

その後、2012年末にフィリップス エレクトロニクス ジャパンに移られましたがなぜでしょうか。

「組織を変革したい」と誘われたからです。欧州を中心にフィリップス製品のネームバリューやデザイン力に対する評価は高く、技術革新を裏付ける証左として、登録特許数は5万件以上を誇っています。しかし、『良いものを作れば売れる』という固定観念が広がり、また意思決定が遅くなったこともあってリーマンショック後の業績は落ち込んでいました。2011年にこの状況を打開するために外にでていた人物が呼び戻されオランダ本社のCEOとなり変革が始まりました。フィリップスは良いテクノロジーを持ち、特許もありブランド力もある、ただそれらをフルに活かされていませんでした。利益を出せていないのはマーケット状況が要因ではなく自分たちの問題であり、現状を打開するためには企業文化の変革に取り組む必要があったのです。それが中期企業変革プラン『Accelerate!』です。

個人の行動を変えるためには個人の固定概念を変えないといけない

『Accelerate!』についてお聞かせください。

『Accelerate!』はポテンシャルはあるのにそれを活かしきれない状態を改善し、マーケット重視で社員にとっても株主にとっても望ましい状態を生み出し、ビジネスの成長を加速していくための変革で、「より顧客にフォーカス」「リソースの効果的な配分」「一貫した顧客価値チェーンの構築」「よりシンプルで標準化されたオペレーティングモデルの実行」「成長志向・成果志向の文化の浸透」という5つのストリームから構成されています。プロセスを改善し、マーケット、お客様から意見を汲み取り開発やイノベーションにフィードバックすることでバリューを提供しようという考え方です。

変革に取り組むにあたり、私たちにとってどのような企業文化が必要であるかをまず突き詰め、“Eager to win” “ Team up to excel” “Take ownership”という3つの行動指針、”Our Behaviors”を明確に打ち出しました。この行動指針をフィリップスに関わる全ての人に浸透させ、企業文化を変革するための第一ステップとして、まずはトップ層を対象にAccelerate Leadership Program (ALP)、Accelerate Team Performance(ATP)というプログラムをオランダ本社で実施しました。ALPは一人ひとりのリーダーシップについて深く掘り下げ、見直すためのプログラムで、トップ層1,500人のリーダーに対しては必須となっています。また、ATPはチームパフォーマンスにフォーカスし、チーム力を最大化するためALPの内容を凝縮したものです。それを更に抜き出して再構築したものがTeam Performance Coaching(TPC)です。これら3つのプログラムはすべて「チームの力と成果を高めるために、個人及び集団のマインドセットを行動をシフトさせること」を目的としています。組織を変えるためには個人の行動が変わらなければなりません。個人の行動を変えるためには個人の固定概念を変えなければいけないということなんです。

日本でのプログラム展開はどのようにされているのでしょうか。

日本ではTPCプログラムをスタートさせました。このプログラムのファシリテーターとなるコーチは、自らやってみたいと自発的に取り組める人でなければやりきれないと考え、ボランティアによる社内公募で参加者を募りました。応募者全員と個別に面談し、結果的に26名のメンバーを選出し、TPC向けファシリテーショントレーニングを実施しました。

このトレーニングを受けた26人は、業務をこなしながら、2人一組でTPCプログラムのファシリテーターとして全国でセッションを行っています。彼らは非常にモチベーションも高く、周囲にもいい影響となっています。通常こういう効果は見えづらいのですが、彼ら一人ひとりにオーナーシップが生まれ、明らかに変化が見られてきていますよ。それを早く、広く浸透させていきたいですね。お客様に接する一人ひとりにオーナーシップが生まれないとだめなんです。人事でもどんなファンクションでも、自分で考えて答えを見つけていくようになれば相当にパワフルになりますよね。全員が答えのない問題に立ち向かっていけるようになるのは簡単なことではありませんが、やりがいのあるチャレンジだと思います。

日本でのTPCセッションは、2013年11月から4月までの半年間を1クールとしています。こうした取り組みは時間の経過とともにトーンダウンしてしまうので、タイミングをみて再点火するよう働きかけも行っています。今後は第2弾のTPCセッションを計画し、日本の約1,800人の従業員への浸透を加速させていこうと考えています。

人事のミッションとはビジネスの成功への貢献と社員が成長できる場づくり

リーダーシップ見直しのゴールはどこにあるのでしょうか。

id_021_03「自分の組織、自分のチームは自分で育てる」という意識を育てることです。新しいセールスの在り方や、自分たちの役割がどこにあるのか、足元からしっかり固めることが必要だと考えています。人事や上層部から言われるからやるのではなく、自分自身がコミットしてそういう組織を作っていくのだと思うようになることが重要です。

また、”Leading change” ”Inspire by example” ”Focus on customer”の実践ということがフィリップスの求めるリーダーシップの枠組みとして明示されていますので、それらを徹底して一人ひとりのリーダーシップを引き上げ、またポテンシャルを引き出していくということが人事としての目標ですね。

私たち人事のミッションは社員一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出すことでフィリップスのビジネスの成功に貢献すること、そして社員にとって “Best place to work”、すなわち成長を実感できる職場を作ることです。フィリップスのやろうとしていることにパッションを感じ、それを分かち合える人たちがベストと思える職場を作るということですね。フィリップスは企業を単に労働の場、報酬を得るための場だけのために存在するのではなく、個人の成長のための場所であると考えています。これには”Unlock full potential”という考え方が根底にあるのですが、社員の持つポテンシャルを最大限に引き出すということ、それを可能にする環境を作ることが人事の仕事だと考えています。

人事・総務の取り組みや結果については社内で見えづらいこともあると思いますがそこはいかがでしょうか。

私が就任した直後に各部門リーダーたちと話した時に、人事や総務が何をやっているのか分かりづらいと言われました。そこで、これまでやっていることがきちんと伝えられていなかったという反省から社内向けのニュースレターを作ったり、実際に各部署に行って取り組みについて説明したりし始めたのですが、その結果、人事のビジネス貢献がちゃんと見える形になってきたのではないかと考えています。

2013年の7月と12月に人事や総務がきちんとバリューが出せているかどうか社内サーベイを行い、以下3つの設問に対してそれぞれ評価してもらいました。

・人事総務本部の業務内容、取り組み、それらの結果についてどの程度知っているか
・人事総務本部のサービス内容や業務に取り組む姿勢等について
・マネジャーとして業務をするにあたり必要なサポート(ビジネスへの貢献や部門の運営に関するサポート)を人事総務本部から得られているか

7月と12月のサーベイの結果を比較すると、それぞれ数字が3倍に改善しており、人事・総務本部は大分変革されてきていると社員も実感してくれていると思います。

今後の課題としてはどのようなことがありますか。

ビジネス面ではフィリップス・ジャパンだけでみるとヘルスケアはここ数年毎年成長していますし、追い風ですが、組織としてのポテンシャルはまだ最大限に引き出せていないのでそれを実現することですね。

ただ、社員は今までお話させていただいたような取り組みを通じて確実に変わってきています。何かやらなければいけない、と感じる人が増え始め、これから本格的にビジネスが動き出すという局面にあると思います。

例えばコンシューマーライフスタイル事業部は、最近ではノンフライヤーのヒットを始め、徐々に認知度が上がってきています。これはビジネスを成功させるために海外では多様にあるポートフォリオから日本市場へは敢えて絞って確実に実行してきた結果です。今後も日本の家電事業で成功すべくビジネスを展開していきます。

ライティング事業は世界的にLED市場が拡大しており、フィリップスは近年、単に照明器具を売るのではなく、ソリューション・ビジネスを展開しています。海外では政府が公共施設に大規模な照明インフラを導入する例が増えています。例えばマレーシアのクアラルンプールで、空港までの高速道路のLED照明システムをソリューションも含めて請け負いました。 日本でも多くのビジネスチャンスがあると考えています。2014年1月に広範な販売ネットワークを持つアイリスオーヤマとの戦略的パートナーシップ契約を締結しました。スタジアムなどに設置する照明、倉庫用の照明、道路用の照明など、屋外照明や産業用照明を展開していく予定です。

変革期のフィリップスで活躍できる人はどのような人でしょうか

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私たちの行動指針を体現できる人、すなわち「勝ちにこだわり」「オーナーシップをとりながら」「チームで仕事を押し進めること」ができる人です。またヘルスケア分野は自分の関わっている仕事が人の命にダイレクトに関わっているという使命感を持っている人が多いとも感じますね。

自分でこういうことをやっていきたい、自分で何かを変えられる、何かを作っていけると信じて行動できる人に活躍の場があります。私たちフィリップスには「有意義なイノベーションを通じて人々の生活を向上させる」というミッションがあります。情熱をもってさまざまな場面、役割でイノベーションを作り出せる方には、ぜひ最高の職場を提供したいですね。

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