INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
ビー・エム・ダブリュー株式会社 フランソワ・ロカ

成長する企業のビジネス戦略 Vol.46

ビー・エム・ダブリュー株式会社

MINI本部長

フランソワ・ロカ

フランス・カンヌ生まれ。6歳から11年間日本に住んだ後、パリ第6大学とISC Parisビジネススクールで学ぶ。コダックを経て、1998年にルノー入社。2000年から日本に駐在し、アジア&パシフィックのマーケティングマネジャーや日本法人のマーケティングディレクターを経験。2008年にクオニイジャパンの代表取締役社長を務める。その後起業、会社経営を経て、2013年にビー・エム・ダブリューに入社して現職。

公開日:2018年9月10日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

大好きな日本でMINIの仕事ができるのが嬉しい

ビー・エム・ダブリューに入社するまでの経緯を教えてください。

biz45_02フランス・カンヌで生まれ、父の仕事の都合で6歳から11年間、日本で暮らしました。その11年間の経験が、私を「日本大好き人間」に変えるきっかけとなりました。パリの大学でファイナンスとビジネスについて学んだ後、コダックに入社しました。その頃から、国際的な仕事がしたい、ゆくゆくは日本に戻って働きたいと考えており、そのためにアメリカの会社を選びました。

その後、1998年にルノーに移りました。転職したのは、ルノーと日産の提携が発表された直後です。これで日本に行けるととても喜びました。実際、私は2000年から2006年までの6年半ほど、希望通りに日本に駐在して、アジア&パシフィックのマーケティングマネジャーや日本法人のマーケティングディレクターを経験しました。情報を集めて分析することすべてがマーケティングの範疇です。ですから、商品の価格を決めるのもマーケティングですし、会社の方向性や戦略を決めるのもマーケティングであり、大学時代から経営者を目指していた私に、マーケティングディレクターは非常に良いステップとなりました。マーケティング部門に配属されたのは偶然でしたが、顧客のプロファイルを分析するのは性に合っていました。振り返ると、このときにマーケティングを経験できて本当に良かったと思います。ビジネスに直結した仕事経験を積む事ができました。

ルノー時代には、日産の皆さんとの関わり合いが素晴らしい経験となりました。例えば、自動車のマーケティングで最も大変なのはディーラー開発ですが、日産の皆さんのご協力のおかげで系列ディーラーに声をかけることができ、一気に50社と提携することができました。ルノーが日本で右肩上がりにビジネスを伸ばせた要因の一つは、ディーラー開発がスムーズにいったからです。

その後、ヨーロッパに戻ったのですが、やはり日本で働きたいという想いが強く、ルノーを辞めて、クオニイトラベルの日本法人・クオニイジャパンの代表取締役社長となりました。クオニイトラベルは一般的な知名度こそありませんが、ヨーロッパ全般にわたって旅行手配を行うランド・オペレーターとして業界では極めて重要な存在です。日本の旅行代理店が扱う高級旅行商品の多くには、裏側でクオニイトラベルが関わっています。そこで初めて社長を経験した後、フランスのノンアルコールスパークリングワインを輸入する会社とコンサルティング会社を自分で立ち上げました。それを経て、2013年にBMWに入社し、MINI本部長となりました。

なぜビー・エム・ダブリューに入社されたのでしょうか?

2つの理由があります。1つはやはり自動車ビジネスに興味があったからです。特にBMWは世界の自動車メーカーで最も収益性の高い会社、最も成功している会社というイメージが強く、そこで一度働いてみたかったのです。もう1つは、私が以前からMINIの大ファンで、自分自身もMINIオーナーだったことです。MINIに関われるならぜひとも、という気持ちがありました。大好きな日本でMINIを扱ったビジネスに関れているのは本当に嬉しいことです。

A Brighter Urban Lifeのために

MINIはどのような存在なのでしょうか?

biz45_03ブリティッシュ・モーター・コーポレーションは、1956年に中東でスエズ動乱が勃発し、国際的に石油価格が高騰したことを受けて、1959年に自動車の必要最小限を形にした革命的なコンパクトカー・MINIを発表し、大人気となりました。その後は2001年にBMWがオーナーとなるまで、何回かオーナーが変わったのですが、「小さくて小回りの利く都市向けの優れた自動車をつくる」というMINIの根本的な思想やDNAは、一切変わることがありませんでした。だからこそ、MINIはラリー・モンテカルロ(モナコ公国を中心に行われる世界ラリー選手権大会)で3回も勝つことができたのです。日本市場においては、2002年にBMWのMINIが初めて発売されて以来、自動車市場に「プレミアム・コンパクト」という新たなセグメントを確立し、ブランドとして大きな成長を遂げてきました。その結果、2009年から2017年までに販売台数は131パーセントの伸びを示し、2017年にはついに販売台数2万5000台を突破しました。2002年は約1万台からのスタートなので2.5倍以上の成長となったわけです。

私たちは、MINIをブランドと位置づけています。このMINIブランドを通して実現したいのは、「A Brighter Urban Life(より明るい都市生活)」です。そのためにいま私たちはグローバル規模で、自動車に加えて、「リビング」「ファッション」「A/D/O」「URBAN X」の4つの柱に投資を進めています。

リビング領域では、私たちはいま、世界中で「THE MINI LIVING URBAN CABIN」を展開しています。これは、さまざまなクリエイターとともに、狭いキャビン空間に都市型の素晴らしい暮らしのかたちを実現するプロジェクトで、近いうちに日本にもやってきます。コンパクトカーを作り続けてきたMINIの技術者たちは、狭いスペースにどのように部品を組み入れ、素敵な空間をつくればよいかを熟知しています。このノウハウは、リビングやインテリアの世界でもきっと活きると考えているのです。ファッション領域では、例えば私たちは最近、ザ・ウールマーク・カンパニーとの共同プロジェクト「MINI FASHION FIELD NOTES Capsule Collection」を始めました。国際的に活躍するファッションデザイナーたちに、それぞれの旅を通して得た気づきや変化をインスピレーションの源にして、ウール・コレクションを作り出してもらったのです。ザ・ウールマーク・カンパニーは、皆さんもよくご存知の「ウールマーク」の会社ですが、実はウールの良さを広めるためにさまざまな活動を行っており、地球環境保護・改善のための活動を活発にされている素晴らしい企業です。彼らとは今後もさまざまなコラボレーションを行いたいと考えています。

biz45_04若手クリエイター支援として、「A/D/O」や「URBAN X」のプロジェクトも実施しています。「A/D/O」とは、米ニューヨーク州ブルックリン・グリーンポイントにある創造的な複合施設のことです。名前は、アレック・イシゴニスが初代ミニを設計したアマルガメイテッド・ドローイング・オフィスにちなんだもので、主に若手デザイナーに自由な発想で作品をつくってもらうためのスペースです。最後の「URBAN X」は、ベンチャー企業のスタートアップ支援ビジネスで、現在アメリカを中心に30社ほどをサポートしています。将来的には関連する何かしらの活動を日本でも行いたいと考えています。

私たちがなぜ自動車を含めたこの5つに力を入れているかと言えば、1つ目の理由は、お客様が「本物感」「繊細さ」「大人っぽさ」を求める方向に変わってきたからです。だからこそ、私たちも本物感、繊細さ、大人っぽさのあるビジネスを多面的に提供したいと考えているのです。そうしたお客様の志向の変化に合わせて、私たちはマーケティング戦略も大きく変えました。例えば、いま私たちは広告写真のフォトショップ加工を極力減らしています。なぜなら、写真を加工すればするほど、本物感や繊細さが失われてしまうからです。

2つ目に、私たちがブランドのメインターゲットを、イノベーションを起こす力を持つ「クリエイター」の方々と据えているからです。現代では、クリエイターの皆さんが世の中のトレンドをつくっています。彼らの心をつかむことで、1959年のように再び大きなMINIブームを起こし、大成功を収めたいと考えています。A/D/Oでクリエイターを支援したり、URBAN Xで起業家を支援したりしているのは、そうした考え方に則っていますし、リビングやファッションの取り組みも同様です。これらはすべて、「marketing without marketing(広告しないマーケティング)」なのです。

「家族のような関係性」を何より大事にしている

組織面、人材面の戦略を教えてください。

biz45_05私たちはブランド、プロダクト、人の「三角戦略」を重視しています。ここまでお話ししてきたブランドだけでなく、当然プロダクトの優位性も欠かせませんし、ディーラーも含めたチームも決して疎かにはしていません。この三角形のすべてを成長させた先に、販売台数や売上・利益の上昇があるというのが、私たちの考え方です。実際、そうした戦略のもとで、販売台数を8年連続で増やしてきたのです。当たり前のことですが、チームや人材についても極めて重視しています。

特に、私は「家族のような関係性」を何より大事にしています。例えば、私は採用面接で、趣味や生活に関する質問を数多く投げかけます。そうしたことが十分にわからなければ、チームで一緒に仕事ができないと考えているからです。私と同じように、新たに仲間になる方には、仕事以外の部分でもチームメンバーを理解し、リスペクトしていただきたいと思います。

その上で、私が重要だと考えるのは、BMWグループの5つのコアバリュー「責任、感謝、透明性、信頼、オープン・マインド」です。そして、「責任」は情熱から生まれると思います。仕事への情熱がある方は、主体的に行動を起こし、責任感を持って最後までやりきることができます。笑顔を忘れずに周囲をリードして、新たなことにチャレンジすることができます。しかし、本当に情熱を持っている方は決して多くありません。厳しい要求をしているのかもしれませんが、やはり情熱を持っている方と楽しく働きたいのです。次に、新しいアイデアや新しい働き方へ「オープン・マインド」で取り組める方を求めています。会社や組織はどんどん変化しますから、それに積極的に付いてきていただきたいのです。「透明性」というのは、問題があったら、すぐに周囲に相談する姿勢です。チーム全員で考え、行動すれば、必ず解決できますから、問題を隠してはいけません。「信頼」は、多くの日本人が持っている素晴らしい特性ですから、何の心配もしていません。そして、最も大切な「感謝」ですが、日本には「ありがとう」を言うことが苦手な方が少し多い印象を受けています。感謝の気持ちを前面に出していただけたら嬉しいです。

それから、私たちは組織や仕組みをどんどん変えていかなくてはならないと考えています。例えば、私たちの組織はまだ、メンバー一人ひとりが自分で新たな仕事を生み出し、実行する仕組みにはなっていません。また、若手に大きなチャンスを与える体制づくりも急務です。若手社員は型にはまらないアイデアをいくつも抱えています。彼らの興味やフレッシュな発想が、組織を変える上で欠かせないのです。彼らのアイデアを活かして、次々にブレークスルーを起こしたいというのが私をはじめとした経営陣の想いです。そこで最近、「change 2 success」というチームを新設しました。このチームには様々な部門から10数名の若手社員が属しており、「社員がリフレッシュできるクリエイティブルームを作ろう」「会議室の空予約を減らす新しいシステムを作ろう」といったさまざまなアイデアをボトムアップで出してくれています。私はこのチームのスポンサーの一人として、彼らのアイデア創出と実現のサポートに徹しています。彼らの力がBMWグループの未来を作っていくはずです。

加えて、ディーラー教育にも力を入れています。MINIはプレミアム・ブランドですから、プレミアム・ブランドの扱い方を知らなければ、優れた営業はできません。そこで、特にディーラーの若手営業の方を対象に、プレミアム商品の購入体験をしてもらったり、高級レストランで食事を味わってもらったりする「プレミアム・ブランド体験講座」を作りました。大変好評で、「本物のプレミアム営業がどういうものかよくわかった」「目が覚めた」「これで商談がうまくできると思う」という声を多数いただいています。

どのような方を求めていますか?

すでにお話ししてきたように、BMWグループの5つのコアバリュー「責任、感謝、透明性、信頼、オープン・マインド」と「家族のような関係性」を大事にしていただける方を求めています。加えて言えば、グローバルな考え方や英語力も求めたいと思います。MINIはグローバル・ブランドですから、日本だけでなく、広くそして多くのマーケットと関わる積極的な姿勢が必要です。最後にもう1つ、できたら面接前に、自身のキャリアプランを考えてきていただけたらと思います。ここでは、入社後数年で異動し、他の仕事にチャレンジしていただくことも日常茶飯事です。1つの仕事に固執するのは難しいかもしれません。だからこそ、自分が何をやりたいのか、どういったことにチャレンジして、どうなりたいのかを主体的に意識していただけたらと思うのです。

ビー・エム・ダブリュー株式会社

ビー・エム・ダブリュー株式会社は、ドイツ・バイエルン州ミュンヘン市に本社を置く、プレミアム・ブランドに特化した、グローバルな自動車メーカーである、 BMW AG (Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft) の100%出資子会社で、欧州自動車メーカー初の全額出資子会社として、1981年に日本に設立されました。以来ビー・エム・ダブリュー株式会社は、当時は珍しかった専売店網の構築に始まり、低金利ローンや認定中古車制度など、さまざまな業界標準を築き、製品、サービス、顧客満足の分野において常に輸入車業界をリードしてきました。ビー・エム・ダブリュー株式会社は全国の正規ディーラー・ショールームを通じてBMWとMINI製品の販売とアフターセールスを提供しています。また、BMW Motorrad (オートバイ) の製品・サービスは、自動車同様、専売店ネットワークを通して提供しています。 関連子会社に金融サービスを提供するビー・エム・ダブリュー・ジャパン・ファイナンス株式会社と、直営販社であるビー・エム・ダブリュー東京株式会社を有しています。

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