多様な環境で専門性を活かした仕事を求めていた
サーモフィッシャーに入社するまでのご経歴を教えてください。
幼い頃から飛行機が好きで航空系エンジニアを目指し、早稲田大学の基幹理工学部に入学、2年次の学科選択以降は機械科学・航空学科(当時)に在籍しました。4年次にはジェットエンジン系の研究室で熱交換器の表面処理に関する研究をしたのですが、研究するうちに材料工学に興味が移り、大学院ではそちらの分野を探究しようと考えました。また、2年次に仲間と一緒になって知恵を絞って「Airbus Fly Your Ideas 2013」というエアバス社主催のアイデアコンテストに参加し、世界中の学生の想像力や実力を目にしました。この時の経験がきっかけとなり、海外で多様な仲間たちと勉強がしたいと思うようになりました。留学生数が多い大学院を受験し、幸運なことに 米国パデュー大学大学院の材料工学専攻へ進学することができました。
大学院では、チタン系材料の表面処理を研究し、このとき電子顕微鏡を用いた測定を日常的にしていたことが、今の仕事につながっています。所属していた研究室は過半数が留学生で構成されていて、さまざまなバックグラウンドを持つ人が在籍していました。私は彼らと接することで、それぞれ考え方や論理が異なることを理解しました。例えば、日本では「Work Hard」が好まれる印象を持っていましたが、私が一緒に研究をしたインドからの博士研究員の方は「Work Smart」を求めました。もっと上手な方法を考え出して、簡単に効率的にやろうというのです。いろいろな努力の仕方があってよいのだと、彼らの姿勢から学ぶことが多くありました。
実験や測定の時間が好きだったため、そのような時間をより多く持てる職種への就職を希望しました。博士課程修了後、日本への帰国、就職活動を経て、2021年10月にサーモフィッシャーに入社しました。
なぜサーモフィッシャーを選んだのですか?
いくつかの理由があります。まず、大学院でサーモフィッシャーの電子顕微鏡を頻繁に使っており、自分の知見や経験をすぐに役立てられそうだと感じたからです。次に、私は電子顕微鏡で測定するのが好きで、この仕事なら長く続けられるのではないか、と感じたことも大きかったです。また、選考過程でお話しした方々の雰囲気が良く、一緒に働きたいと思いました。
サーモフィッシャーは大学院時代から知っていましたが、当時はもっとライフサイエンス寄りの会社だと思っていました。半導体分野で大きな事業をしていることは、就職活動中に初めて知りました。自分にピッタリの会社と仕事に出会えたことに感謝しています。
お客さまのご要望を吸い上げ、グローバルチームと連携して改善を続けている
アプリケーションエンジニアとはどのような仕事ですか?
私たちのチームは、アプリケーションエンジニアとして、サーモフィッシャーの電子顕微鏡を導入されたお客さまに、製品の使い方のトレーニングや課題解決のサポートを行っています。私たちが顕微鏡に直接触れ、弊社の装置が出来ることをアピールすることもあれば、顕微鏡の操作方法をお客さまにトレーニングすることもあります。用途によっては測定の自動化も可能で、自動化に関する支援を行うこともよくあります。私はこれまで数社のお客さまを担当させていただいており、ほとんどの時間はいずれかのお客さま企業に常駐しています。
私の仕事はお客さまによって大きく変わります。なぜなら、お客さまのご要望やスタンスが各社で全く違うからです。例えば、ご自身で顕微鏡を積極的に操作したいという方もいらっしゃれば、できるだけ自動処理の測定を実施したいという方もいらっしゃいます。また、スピード重視で早く顕微鏡を活用したいと望まれる方がいらっしゃる一方で、自動化を完璧に実現してから現場に導入したいとご希望される方もいらっしゃいます。私たちは、個々のお客さまのご要望に合わせた対応を実施しています。
お客さまのリクエストの中には、私たちの電子顕微鏡ではまだ実現が困難なこともあります。そうしたご要望は、私たちにとってチャンスだと考えるようにしています。次のサービスを生み出す種になり得るからです。そこで私たちは、お客さまからいただいた困難な課題を他国のエンジニアやアメリカのビジネスチームにフィードバックして、皆で何とか解決しようと試みています。半導体業界の進歩はものすごく速く、だからこそ、私たちが現場のニーズをグローバル本社や世界各国のエンジニアと共有し、連携してハードウェア・ソフトウェアの改善を続けることが重要です。
この仕事はチームワークが大事です。ビジネスチームとはもちろん、電子顕微鏡の導入・保守・修理などを担当するサービスエンジニアの方々と、私たちアプリケーションエンジニアが一致団結してお客さまに貢献する必要があります。ですから、私も周囲と密にコミュニケーションを取り、頻繁に情報を共有し合っています。誰かが困ったときには皆で助け合う体制の改善も続けています。
サーモフィッシャーの電子顕微鏡の強みを教えてください。
サーモフィッシャーが特に得意としているのは、「デュアルビーム装置」です。高精度の収束イオンビーム(FIB)と高分解能の電子ビーム(SEM)を両立し、単にSEMで試料を測定するだけでなく、FIBで試料を微細加工することもできる電子顕微鏡です。観察機だけでなく加工機でもあるという点が特徴で、非常に多くのアプリケーションに対応できることがサーモフィッシャーの電子顕微鏡の 強みだと思います。また、デュアルビーム装置を中心に世界最先端の電子顕微鏡を取りそろえており、エンジニアとして日々触れるだけでワクワクしています。
やりがいや、大切にしていることを教えてください。
特にやりがいを感じるのは、難航したアプリケーションの調整に成功して、お客さまのご期待に応えることができたときです。「ありがとう」とおっしゃっていただけると、とても励みになります。
また、私が最も大切にしていることの一つは、お客さまを不安にしないことです。例えば、私たちがまだ実現できないことを依頼されたときは、できるだけ詳しく情報を伺って、現時点で実現可能なことを提示するようにし、次につながるコミュニケーションを常に心がけています。もう一つ重視しているのは、入社してまだ2年で経験が浅いからこそ、自分を大きく見せようとせず、素直に謙虚に取り組むことです。
将来の目標を教えてください。
直近の目標は、新規のお客さまを任せてもらえるようなエンジニアになることです。今はそのためにさまざまな現場の事例を経験して対応力を磨いています。その先は、入社から5年程度の経験を積んだところで次の道に進みたいと考えています。このままエンジニアを続ける道もあれば、ビジネス側に回る道も、R&Dチームの一員となってハード・ソフトの改善を行う道もあります。将来の方向性は多くの選択肢から考えたいと思います。
チームワークとコミュニケーションを大切にする会社
サーモフィッシャーのカルチャーを教えてください。
社員の「内面」や「意識」を重視する会社だと感じます。その象徴が人事評価で、インテグリティ(高潔さ)・インテンシティ(熱心さ)・イノベーション(革新)・インボルブメント(参画意識)と、人材の内面や意識を評価する項目が多いのです。内面・意識が変われば、結果はついてくると考える組織と文化です。
個人的に反省が多いのは、イノベーションです。毎日の取り組みがイノベーションの成果につながるので、振り返って「もっとできたのではないか」と感じることが多々あります。
「チームワーク」と「コミュニケーション」をとても大切にする会社でもあります。全員がチームプレイヤーで、いざというときに頼りになる人たちばかりです。入社1年目から、誰もが私の話に驚くほど真摯に耳を傾けてくれました。だからこそ私は、自分なりに考えて意見する姿勢を大事にしてきました。
新人のトレーニングにもチーム内外の皆様が協力的でした。入社当時はコロナ禍だったためにアメリカへのトレーニング目的の渡航が制限されていました。ですが、私は半年ほどの間に装置の操作方法、測定自動化ソフトの使い方、顧客サイトでの振る舞いなどを、品川のラボでのトレーニングや現場でのOJTを通じて学ぶことができました。半年ほどで独り立ちできたのは、限られた環境でのトレーニング体制を整備してくださったマネージャー・先輩方のサポートのおかげです。
どんな方と一緒に働きたいですか?
電子顕微鏡が好きで、装置で測定することにワクワクできる人が向いている仕事です。アプリケーションエンジニアであっても、お客さまやチームと頻繁にコミュニケーションを取りますから、皆で対話しながら協力して目標を達成したい人も向いています。個人的には、お客さまのご期待に応え、成果を出すことにやりがいを感じられる人と一緒に働けると嬉しいです。
Photo by ikuko
Text by 米川青馬
Edit by ISSコンサルティング