自らパラダイムシフトを起こすことのできる類いまれな会社、成長力の高さを魅力に感じて入社
サーモフィッシャーに入社するまでのご経歴を教えてください。
大学卒業後、三菱商事に入社してオーストラリア産牛肉の輸入などに携わりました。11年勤め社会人最初の会社として自分の基盤となる大切なことを幅広く学びました。一方、20代の私は海外に出たいという気持ちを強く持っていました。そのため英語を必死で学び、社内留学制度を活用して、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院に留学しました。ケロッグは全米屈指のMBAでファイナンスをはじめとした各領域の優れた先生方の講義が魅力でした。実践的で非常に学びの多い2年間でしたね。また、かけがえのない友人を得ることもできました。グループワークで1時間以上激論し続けたクラスメートの一人とは今でも仲の良い友人です。
帰国後は三菱商事を退職し、ゴールドマンサックスジャパンを経て、2002年ケロッグ・スクールの先生方が創業したZSアソシエイツに入社しました。日本法人の立ち上げメンバーの1人として、オフィス選びから携わりました。振り返ると、ZSアソシエイツでヘルスケア領域の経営コンサルタントとして働いた6年間は、私が最も成長した時期といえるかもしれません。強烈な仕事量とプレッシャーのもと、何度も高いハードルを越え突破口を見出してきました。24時間365日、ずっと頭をフル回転させていましたね。大変でしたが、おかげでずいぶんタフになったと思います。
コンサルティングの経験を蓄積していく中で、いずれは事業会社で自らビジネスのexecutionに携わりたいと思うようになりました。2009年シーメンスに入社し、2012年からはグループ会社のシーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクスの代表取締役社長を務めました。私にとって初めての経営者としての経験です。楽しいこともつらいこともいろいろありましたが、ほとんどの経験が成長の糧となっていることは間違いないですね。
なぜサーモフィッシャーに入社したのですか?
きっかけは以前一緒に働いた方の紹介でした。入社の決め手は経営者のパッションですね。最終的に米国本社CEOマーク・N・キャスパーの情熱を感じて、入社を決めました。
もちろん、冷静に判断した部分もありました。サーモフィッシャーは自前でパラダイムシフトを起こせる世界的に類いまれな会社です。成長力の高い会社としてその可能性の大きさを感じ取ったことも、入社を決めた理由の1つです。
代表に就任してから7年間 継続的な事業成長を遂げてきました
サーモフィッシャーについて詳しく教えてください。
私たちサーモフィッシャーサイエンティフィックは、医薬・バイオ、半導体、飲料・食品、素材メーカーなどの企業、病院・検査センター・大学・研究機関など、さまざまなお客さまに、分析機器・試薬、生命科学ソリューション、製薬サービス、臨床診断用製品やラボ用製品などをお届けする「総合的サイエンスソリューションカンパニー」です。全世界に125,000人超の従業員を擁するグローバルリーティングカンパニーです。
たとえば、海洋・大気マイクロプラスチックの分析、食品の産地判別、アレルギーの原因特定、高性能半導体デバイスの品質管理、水質モニタリング、科学技術を活用した犯罪捜査なども手掛けています。
特に全社で注力している成長領域は「再生医療」「クリニカル(診断)」「クリーンエネルギー」です。
「再生医療」に関して、私たちは医薬品の研究開発から上市までを円滑につなぐ広範かつ革新的な製品・サービスを取り揃えて提供することで、特に産業化の支援に力を発揮したいと考えています。製造工程の改良によるコストダウンなど、私たちが継続的に取り組む必要がある課題がいくつもあると考えています。遺伝子解析によって患者さん一人ひとりの個性にかなった医療を提供する個別化医療をはじめとする「クリニカル(診断)」も、大きな柱の1つです。遺伝子解析・タンパク質分析・薬理ゲノム学・細胞遺伝学・細胞治療などのソリューション・機器に力を入れています。夢があるのは「クリーンエネルギー」ですね。私たちは、クリーンエネルギーに関連する分析装置や品質検査に注力しています。この分析装置は、高性能・高効率なリチウムイオン電池、全固体電池、半導体の研究開発に不可欠な技術として多くの製造業のお客さまから必要とされ、サスティナブルな社会の実現に貢献しています。以上3つの重点領域についてタスクフォースを組み組織横断的に協力して取り組んでいます。
経営戦略を教えてください。
サーモフィッシャーは経営計画を毎年更新しています。なぜなら、成長領域・成長市場はどんどん移り変わっていくからです。私たちは、その都度成長領域にフォーカスし続けることで、より高い成長率の達成を目指しています。今後も成長マーケット・成長企業を常に注視し働きかけていくことが重要だと考えています。
誰もがお互いをリスペクトし、一人ひとり成長していける会社を
サーモフィッシャーの魅力を教えてください。
再生医療をはじめとして、世界を見渡しても、ほぼ私たちにしか提供できない製品・サービスが多数そろっている点が大きな魅力です。また、そうした製品・サービスをもとに事業成長を実現し、自らも成長していけるポジティブなスパイラルを描ける組織環境もあります。私たちはグローバル企業ですから、日本から海外のポジションにチャレンジする社員もいますし、実際に海外で活躍する社員もいます。
どんな人材を求めていますか?
専門知識はもちろんあった方がよいですが、それ以上に「敬意を持って人と接することができる人」を求めます。部下や同僚のことを大切にできる人、丁寧なコミュニケーションを取れる人に仲間になっていただきたいです。なぜなら、私たちのビジネスは、社内外の関係構築を通じたシナジーが極めて重要だからです。一人でできることには限りがありますが、他のメンバーとチームやプロジェクトとして取り組むことで、より大きな成果につなげることができます。たとえば再生医療の現場では、政府や他企業と積極的に力を合わせる必要があります。そうした場面でも敬意を持って人と接することができることはとても重要です。
私は社内でメンバーに声を掛ける、メールにタイムリーに返信する といった当たり前のことを大事にしています。そういった日常的なコミュニケーションの積み重ねが、重大なタイミングでものを言うのでは、と思っています。社内でも社外でも一緒です。また部門間の連携を高めるために、社内イベントなども開催しています。
「自ら考えて判断・行動できること」も必要です。最近はフェイク情報が増えています。何が真実で何が嘘かを見極め、的確な判断・決断ができることが大切です。また、悪いことは悪いと自ら判断する力も欠かせません。
もう1つ、「果敢にチャレンジする姿勢」も求めたいです。分からないことがあるのは、悪いことではありません。分からないことは周囲に聞きながら学んでいけばいいです。むしろ周囲を巻き込みながら、チャレンジすることのほうがずっと大切です。
私は誰もがお互いリスペクトし合うことで社員一人ひとりが成長し、継続的な事業の成長を実現できる、そんな会社を作りたいと思っています。 その一員になってもらえる方を求めています。
Photo by ikuko
Text by 米川青馬
Edit by ISSコンサルティング