クライアントからの多種多様な相談に乗ることで、知識・知見・人脈を形成してきた
現在に至るまでのご経歴を教えてください。
大学に入った時、たまたま公認会計士のパンフレットを見付けて、面白そうだと思いました。試しに簿記検定を独学で受けたのですが、感触も良かったので公認会計士を目指して専門学校にダブルスクールで通い始めました。大学3年の時に公認会計士資格を取得し、大学4年から当時の中央新光監査法人で学生パートとして働き始めて、そのまま入社しました。
最初の8年ほどは監査担当として国際部門に所属し、アメリカで株式を発行している日本企業の監査を担当しました。その頃は業界ごとで分かれていなかったので、さまざまな業界の業法やビジネス慣行、業務プロセスなどを学びました。大変でしたが、良い学びになりましたね。
2000年に社名が中央青山監査法人に変わったタイミングで、私は金融部に移りました。それ以来一貫して金融機関、中でも銀行や保険会社の監査を行ってきました。2006年、あらた監査法人が立ち上がり合流した後も、引き続き金融機関の監査を担当してきました。アメリカやイギリスへ長期出張に行き、海外勤務の経験もできました。何よりもクライアントと同じ方向を向き、一体となってゴールを目指す時間が楽しかったですね。プロジェクトが終わった後、クライアントから「ありがとう」と感謝の言葉をいただけたのも嬉しかったです。
その後、2014年に執行役となり、2020年にPwC Japan合同会社の執行役副代表に就任して今に至ります。執行役副代表の就任と同時に、PwC Japanグループのオペレーション部門のマネージングパートナーも務めています。
コーポレート部門は、PwCのビジネスに直接貢献する組織
コーポレート部門のリーダーとしての出澤さんのミッションを教えてください。
PwC Japanグループには、監査及びアシュアランス、コンサルティング、ディールアドバイザリー、税務、法務など事業別に独立した法人が複数あり、各法人のコーポレート部分、人事、総務、経理、マーケティング、ITなどの業務はPwC Japan合同会社に集約して行っています。
PwC Japan合同会社 執行役副代表としての私のミッションは、コーポレート部門のメンバー全員をプロフェッショナルに育成することだと考えています。PwC Japan グループの各法人のように専門家が集まっている企業では、コーポレート部門はサポート役のように感じられてしまうかもしれません。しかし、全員が対等な仲間であり、コーポレート部門は組織に欠かせない業務をいくつも行っています。私には、コーポレート部門をなくてはならない存在として確立すべく、プロフェッショナルな人材を育成していきたい、という想いがあります。
コーポレート部門のメンバーには、「いろんな人から相談される人になってください」とよく伝えています。なぜなら、そうやってさまざまな相談を受け、周囲の期待に応えながら知識・知見・人脈・信頼を広げていくことが、プロフェッショナルへの道であり、人材としての価値を高めていくことになると思うからです。
また、組織づくりという意味では、私がマネージングパートナーに就任してからの2~3年は、コーポレート部門の人材を積極的に採用し、組織強化に努めてきました。現在は一定の採用を続けながらも、既存の組織を筋肉質な体制に移行するフェーズに入っています。筋肉質というのは、不測の事態があったときでも耐えうることが出来る能力をそれぞれが兼ね備えている組織を意味しています。こうした筋肉質な組織での業務を経験することで、PwCを卒業後も社会に貢献できる人材に育て上げるべく、各メンバーには更なるプロフェッショナル人材になっていってもらいたいと思います。
コーポレート部門の具体的な取り組みを教えてください。
私たちコーポレート部門は、DX・コンプライアンス・人事評価・オンボーディング・サクセッションプランなどの重要な組織課題に対して、常に最新のテクノロジーを導入し、一歩先を行くソリューションを実行して成果を上げています。
なぜかというと、コーポレート部門の課題解決こそ、PwCのコンサルタントがクライアントに提示する第一のケースになるからです。コンサルタントが、クライアントに組織課題の解決策を提示する時、自社でそのソリューションを使って課題解決をしていなければ、クライアントの十分な信頼は得られません。自社でいち早くDXを推進して成果を上げていれば、コンサルタントはその事例を提示して、クライアントの信頼を獲得できます。だからこそ、コーポレート部門は「先進事例の塊」である必要があり、新しいことに果敢に挑戦しています。
こうした取り組みはPwCのパーパス「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」に直結しており、コーポレート部門はまさにPwCのビジネスへ貢献している組織なのです。
声を上げるカルチャーや積極的にチャレンジするカルチャーが根付いている
コーポレート部門の求める人材を教えてください。
以上で説明してきた「前例のない課題解決」に、私たちと一緒になって取り組んでもらえる方を求めています。最新課題・テクノロジー・ソリューションは数えきれないほどあり、どんどん増えていきます。たとえば今なら、生成AIのような最新技術を活用した課題解決にもぜひ取り組みたいと思っています。
前例のない課題は多岐に渡りますが、絶対的な共通点が一つあります。それは「一人では解決できない」ということです。私たちはそのためにPwC Japan グループの各法人が力を合わせるという意味で「One PwC」を掲げているわけですが、実際にはそれでも解決できないこともあるかもしれません。そういった場面に直面したとき、PwCネットワーク外の企業や組織とアライアンスを組んで課題解決に取り組む必要性もあると考えています。私たちは、前例のない課題解決のために、社内外を大きく巻き込む必要があります。どのポジションであっても、その巻き込みができる人、周囲をポジティブに動かしていける人、インクルーシブに考えて行動できる人を求めています。「周りを引き寄せるマグネットになれる人」と言ってもいいかもしれません。これはコーポレート部門に限らず、PwC Japan グループ全体の「カルチャー」にするべく、これからジョインいただく方にも是非期待したいです。
コーポレート部門で働く醍醐味を教えてください。
私たちは、経営においてカルチャーをとても大切にしています。カルチャーと一言で言ってもすぐに真似出来るものではありません。現在の社員の約半数が3年以内の入社という、会社全体が急激な成長を遂げる中で、これまでのメンバーが苦労して作り上げたカルチャーを維持、浸透させるのではなく、再構築が必要かもしれません。私たちリーダー陣は皆、そうしたチャレンジを日々意識して議論を繰り返しています。
その中でも、PwCには、失敗を失敗にとどめず、前向きに改善点を探り、チャレンジしたいと声を上げれば何度でも取り組めるカルチャーが根付いています。前例のない課題解決は、失敗なしにはありえないものです。失敗を許容するカルチャーがあるからこそ、果敢にチャレンジできるのですね。 一人の力では出来ないことを「One PwC」として力を結集して実現することが出来ることが、まさにPwCの強みだと考えています。
以上のようなカルチャーこそが、PwCで社員が働きやすい環境を創り出しているのだと考えています。私たちは今後もカルチャーを大事にして、愚直にチャレンジし続ける組織をつくっていきます。言うなれば、私たちは今プロフェッショナルという木を何人も育てて、コーポレート部門という森を拡大し、より素晴らしいものにしようとしているわけです。そのために最も大切なのは、カルチャーという土壌なのだと考えています。
Photo by ikuko
Text by 米川青馬
Edit by ISSコンサルティング