RBのオープンマインドな文化とスピードに感銘を受けた
RBジャパンの代表取締役社長に就任されるまでのご経歴を教えてください。
インド・デリーの大学でコンピュータ・エンジニアリングを学んだ後、すぐにMBAを取得し、最初の就職先として選んだのが、レキットベンキーザー(RB)です。1993年に入社して以来、私はずっとこの会社で働いています。
RBを選ぶ決め手になったのは、MBA在学中のサマーインターンで感銘を受けたことです。私はそのサマーインターンで、フロアポリッシュ(床磨き剤)のマーケット分析をし、新たな販売方法を考え、プレゼンテーションをする機会をもらいました。その際、RBのシニアリーダーが、まだサマーインターンである私の話に真摯に耳を傾け、アイデアを高く評価してくれました。また、単に評価しただけでなく、そのうちのいくつかのアイデアが実際に採用され、実現したのです。私はそれを見て、RBのたとえ、まだサマーインターンである私の意見であろうと真摯に耳を傾けるという、本当にオープンマインドな文化、そしてアクションを起こすまでのスピードに驚きました。この会社なら、私は若いときから主体的に動き、変化を起こし、ビジネスに貢献できるのではと感じました。
入社後、私はまずインドで、セールス担当に就き、トレードマーケティングのロールを経て、マーケティングチームで、モルテイン(Mortein)という殺虫剤ブランドの立ち上げのマーケティングを担当しました。その後、中国、インドネシア、短期間ですがスリランカで働く機会を得ました。それから2003年にはイギリス本社(ヘッドクオーター)に異動となり、グローバルマーケティングマネジャーという役割を担いました。RBは、その頃から一貫してグローバルに活躍できるマネジャーを育てることに力を入れています。グローバルに活躍できるマネジャーになりたいと手を挙げた若手社員は、世界のさまざまなところで働くチャンスを得られます。私には、願ったり叶ったりの環境で、チャンスがあるたびに、喜んで赴任しています。
イギリスにあるRBのヘッドクオーターでは、グローバルマーケティングマネジャーとして、世界中のクライアントや世界各国のRBのサポートをしました。具体的には、マーティングメンバーの機会創造のサポート、ブランド戦略とブランド価値を統一するために各国の市場分析、世界の中長期トレンドを読みながらの新製品開発、各国からベストプラクティスを収集して広めることなどをしてきました。各国のR&Dと工場、それにグローバルファイナンスなど、たくさんのステークホルダーの間に立って調整を進める必要があり、決して楽ではありませんでした。しかし、大変な分、学ぶことも多く、RBで働く多くの仲間と繋がることができた3年間でした。
その後2006年、私はイギリスのヘッドクオーターを離れ、ニュージーランドに赴任しました。その前年、RBは英・ブーツ(Boots)社から、鎮痛剤のニューロフェン(Nurofen)、のど飴のストレプシルズ(Strepsils)、ニキビ治療薬のクレアラシル(Clearasil)等の事業買収をし、私は、その3ブランドを専任で見るマーケティングディレクターとして赴任しました。私のミッションは、ニュージーランドでその3ブランドのチームをRBの中でどうインテグレーションするかを考え、ポートフォリオを再構築することでした。新チームのインテグレーションには非常に骨を折りましたが、財務面・ブランド面・人材面のゴールをそれぞれ明確にして、そのゴールをどう達成するかを皆で決め、全員が同じ方向を向きやすくするなど、一貫性を持って、忍耐強く取り組むことで成果を出すことができました。
2009年からは、カナダにてマーケティング&トレードマーケティング部門長を務めました。このときの私のミッションは、ビジネスモデルの改善でした。どのようなブランドポートフォリオ、カスタマーポートフォリオが最適か、今後どういったイノベーションが必要となるかを考え、ゴールを設定しました。このとき特に重視したのは、「何をしないか」を明確にすることです。しないことを決めることが、戦略を際だたせます。ゴールを決めたら、あとは実行するだけですが、これもやはり簡単ではありません。なぜなら、ビジネス環境は毎年ダイナミックに変わっていくからです。そのなかで、全員がブレることなくゴールを見据え、同じ方向に向かって進むことは極めて重要でした。
そうした経験を積んだ後、2018年2月、私はRBジャパンの代表取締役に就任しました。
これまで、私がRBで働くなかで最も楽しんできたのは、世界中の消費者の家庭を訪問して、現場で直接ニーズを理解し、将来どのようなものが必要かを考えることです。ブラジル、中国、南アフリカ、アメリカなど、私はさまざまな国の家庭を訪問してきました。どこに行っても、RBの製品がどう使われているかを見るのがただただ好きで、楽しかったのです。もちろん日本でも、その点はまったく変わっていません。
RBジャパンは、ビジネスを2倍、3倍にするチャンス、世界の「イノベーションセンター」になれる可能性が十分にある
日本の印象について教えてください。
ここまででお話したように、私は非常に多くの国で働いてきました。そんな私が日本で働き始めて特に驚いたのは、サービスの良さと品質の高さ、それから良い仕事をしようと日々努力する方が極めて多いことです。その結果として、日本のお店には傷や欠陥のある商品が一切並んでいません。これは素晴らしいことです。RBジャパンの皆さんも、何も言わなくても皆が日々全力を尽くしています。そうした意欲が内面から出てくる方が多いことを、本当に素晴らしいと感じています。また、私が最も驚いたのは、通勤時に毎日ゴミを拾いながら駅に向かう人を見かけることです。このような人を見たのは、これまで様々な国で生活してきましたが初めてのことです。こうした点に、日本のサービスや品質の高さの秘密があると思いますし、毎日様々な点で驚かされるばかりです。
日本でのミッションを教えてください。
私の日本でのミッションはシンプルです。RBは、グローバルでは200年近い歴史のあるビッグカンパニーですが、RBジャパンは設立20年弱の若い会社です。日本では、私たちにはまだまだ伸び代がある。ビジネスを2倍、3倍にするチャンス、世界の「イノベーションセンター」になれる可能性が十分にあると考えています。RBジャパンは現在もとても好調ですが、よりチャンスを掴むために手を尽くすのが、私の役割です。
そのため具体的には、3つの大方針を立てています。
1つ目は、中でもまだ伸び代のある「キーメガブランド」にフォーカスし、ビジネスを拡大していきます。
2つ目に、グローバル視点での取組みです。将来的には、日本のビジネスの50%をeコマースにしたいと考えていますが、これは十分に実現できる可能性があります。また、着圧ソックスのメディキュット(MediQttO)は日本で開発されたブランドですが、すでにアジア圏での注目度も高く、日本で開発した商品を海外に展開をしていく「クロスボーダービジネス」も伸び代があります。そして、先日完売となった、ミューズ ノータッチ泡ハンドソープ キャラクターデザインのように、「プロダクトイノベーション」も引き続き欠かせません。「eコマース」「クロスボーダービジネス」「プロダクトイノベーション」を積極的に進めていきます。
3つ目に、RBグローバルでの販売実績はあるけれど、まだ日本市場に持ち込んでいない、あるいは本格的にマーケティングしていない「パワーブランド」を、適切な順番、適切なタイミングで日本市場に導入したいと考えています。RBグローバルでは合わせて20以上のパワーブランドを持っており、そのなかには、先ほど少し触れた鎮痛剤のニューロフェン(Nurofen)、のど飴のストレプシルズ(Strepsils)のほかにも、咳止めのミューシネクス(mucinex)、胃薬のガビスコン(Gaviscon)、ホームケアブランドのライソール(Lysol)、幼児用粉ミルクのエンファミル(Enfamil)など、日本で展開していないブランドが多数あります。これらのブランドも、適切なマーケティング戦略とタイミングで導入すれば、きっと日本市場でも成功することでしょうし、認知されるでしょう。
RBはどのような特徴のある会社ですか?
私が、世界のさまざまな国で働くなかで感じてきたのは、どの国の人々もそれほど大きな違いがないということです。もちろん、言語や文化などには違いがあるのですが、その一方で、誰もが平和や幸せ、喜びや健康を求めています。私自身の感覚では、考えの30%は国によって違いますが、70%はどの国の人々も同じです。RBは、「Healthier lives, happier homes(健やかな生活と幸せな家庭のために)」というビジョンを掲げていますが、これはまさに世界共通で、どの国の人々も求めていることです。だからこそ、RBは世界中でビジネスを展開できるのです。これはRBの大きな特徴の1つです。
ビジネス面で言えば、社会変化のスピード、販売チャネル、消費者とのコミュニケーションのスタイル、法律や規制などは各国によって異なります。また、どのカテゴリーやブランドが成長しているか、どのような利益構造が最適かといったことも、国ごとに違います。私は国を移るたびに、こうしたことを新たに学んできました。しかし、RBのビジネスの根幹は変わりません。世界中の方々が求める商品を届け、健やかな生活と幸せな家庭を実現するお手伝いをするのが、私たちの変わらないミッションです。
RBのカルチャーの面から言えば、一人ひとりビジネスへの参加、貢献を極めて重視する会社です。私たちは、年齢、在籍年数、役職関係なく、社員一人ひとりが自分自身で考えることに大きな価値を置いています。冒頭で私のサマーインターンのエピソードをお話ししましたがあのようなことはRBではごく普通のことです。マネジャーだけでなく、CEOや社長も、どのアイデアにも真剣に耳を傾け、そのアイデアが優れていれば、積極的に取り入れる会社なのです。ですから、日常的にディスカッションやディベートの機会が本当に多くあり、そこでは誰もが自分で考え、その考えを表現することが求められます。
私自身は、こうしたディスカッション、ディベートの時間をいつも楽しんでいます。同じ状況を異なる角度から見ることができる貴重な機会だからです。世の中には、私は気づいていないけれど、誰かが気づいていることがたくさんあります。たくさんのディスカッション、ディベートを通して、多くのメンバーが発言することで、私たちは事実をあらゆる側面から眺めることができる。それほど楽しいことは、そうそうないと思うのです。
RBには、実現したいことを自らドライブできる環境がある
どのような方を求めていますか?
大前提として、上に掲げたビジネス拡大のための3つの方針を実現するには、多数の優れた人材が欠かせません。私たちには、多くの方を採用する意欲があります。
その上で、私たちがどのような方を求めているかといえば、1つ目に「オーナーシップ」のある方です。先にお話ししたとおり、RBは、入社したらすぐに権限と責任を与え、実際にビジネスをドライブしていくことを求めます。ですから、自らのパッションをベースに考え、成長の道筋を探し、行動に移せる方を求めています。さらに言えば、自分が立てた成長の道筋が正しいのか、いつも考え、試行錯誤したり調整したりできる方が活躍できる場所が沢山あります。
2つ目に「パートナーシップ」、別の言葉で言うとチームワーキングに長けている方です。RBは、業務プロセスを特に細分化していません。何か問題や課題が見つかったら、その場のメンバーが即座にチームを組み、協力しながら、答えを出すことが求められます。チーム全員で、迅速かつ柔軟に物事に対処していく組織なのです。そうした動き方、働き方が得意な方、好きな方を求めています。
3つ目に、困難なときにも、責任を持って「正しい行動」を取れる方です。困難から逃げてしまったり、正しい行動から逸脱してしまったりする方では困ります。
4つ目に、「起業家精神」のある方です。新製品・新チャネル・新プロセスなどを創出し、ビジネスや組織を今よりも良くしようとする姿勢をお持ちの方に来ていただきたいと思っています。また、特にマネジャーには、現在をドライブし、未来を創出し、チームメンバーにインスパイアを与え、未来につながる人材を輩出する能力と姿勢を求めています。
そうした方々がRBに入社する魅力を教えてください。
大きく分けると、RBには4つの魅力的な点があります。
(1)RBでは、入社したらすぐに権限と責任を与えられます。ですから、自分で生み出したいもの、実現したいことを自らドライブできる環境が得られます。
(2)成果を出した方は早く昇進ができます。グローバルで働く機会もありますし、これから多くの日本の人材をグローバルに送っていきたいと考えています。
(3)グローバルに比べると小さな日本法人は、ただいま急成長中です。自分の出した成果が会社の成長に直結する環境があります。会社への貢献感、ひいては自分の仕事の社会への貢献感を強く得られる会社であることは間違いありません。
(4)先に私自身の例でお話ししたとおり、たとえ入社したての方であっても、素晴らしいアイデアを出せば、それが採用され、実行に移されることがよくあります。実際、成功を収めたRBブランドの1つは、あるジュニアメンバーが中心になって生み出したものです。他にも、若手が発案したものが社内に数多くあります。
これらの点をメリット、魅力に感じるあなたに、ぜひ来ていただきたい。そうした方と共にビジネスを成長させることができるのを楽しみにしています。私たちは門戸を開いてお待ちしています。