まず、担当されている製品について教えてください。
キャドバリー社は世界最大の菓子メーカーとして、チョコレート、チューインガム、キャンディなどを開発・製造・販売しています。
現在、私が責任者を務めるキャドバリー・ジャパンのマーケティング部門では、チューインガムとキャンディの6ブランド、具体的にはガムの「クロレッツ」「リカルデント」「バブリシャス」「ホワイティーン」、キャンディの「ホールズ」「メントス」を担当しています。
そうした多様な製品について、どのようなマーケティング戦略をとっていらっしゃるのですか。
基本的に、6つのブランドそれぞれに異なる戦略を立てています。
たとえば、最大のブランド「クロレッツ」は「息も気分もずーっとスッキリ!」をキーワードとして強く打ち出しています。1980年代半ばの導入以来、粒ガムのパイオニアとしてミントガムの市場をリードしてきました。2002年に「スッキリミント3倍長持ち」のXP配合による全面的なリニューアル以降好調な伸びを続けており、この伸びは今後も続くものと見ています。
2000年に日本に導入し、当社にとって第2のガム・ブランドが「リカルデント」です。この製品は多くのフレーバーを備えつつ、歯を丈夫で健康にするとして、ガムとしては日本で初めて特定保健用食品(トクホ)の認定を受けました。現在のところ売り上げ好調で、このブランドもまだまだ伸びると思っています。
「ホールズ」も25年以上前から発売されている日本で最初のスティック状のキャンディです。フルーツフレーバー、ミントフレーバーがあります。今後は、もっと若い世代に身近に感じてもらえるような施策を展開していきたいと考えています。
そして「メントス」は、Perfetti Van Melle社とパートナーシップを組んで販売しているキャンディです。日本発売から年数が経ちますが、噛み応えがあって味、形状も多様である点が特徴です。マーケティング戦略としては、Mr.メントスが大活躍するテレビCMを見ていただければわかるように、楽しさを前面に打ち出しています。今後、味のバラエティを増やし、もっともっとワクワク感が伝わる製品にしていきたいと思っています。
そうした各ブランドの違いを踏まえつつ、全体としてはどのようなマーケティング戦略をお持ちですか
ガムにしろ、キャンディにしろ、人によって食べる目的や好みのタイプは違います。かといって、10も20もターゲットを細分化してマーケティングを行うことは非効率です。そこで、キャドバリー・ジャパンでは市場においてある程度の規模と優位性を持つ主要な顧客セグメントをいくつかの有力ブランドでカバーする方針をとっています。
その際、当社の一番の強みは、世界最大の菓子メーカーとしてグローバルなネットワークを擁していることだと思います。世界の様々な国でキャドバリーシュウエップス・グループが行っているイノベーションやテクノロジーを日本でもすぐに導入できることです。
逆に、日本で生まれた新しいものを世界の他のマーケットと共有していくことも可能です。グループ内で、キャドバリー・ジャパンは規模こそ小さいのですが、その分、迅速に戦略を構築し展開していける強みがあり、グループの中でも常にキャドバリーシュウエップス・グループ全体のイノベーションを引っ張るリーダー的な地位にあります。現在もその伝統は受け継がれており、新しい包装や商品デザインなどで日本が先行するケースもあります。
デイビッドさんご自身はいま、どんなお仕事をしていらっしゃいますか。
1年前に日本に赴任し、マーケティングチームのリーダーとして、ブランドポートフォリオ戦略の構築とマーケティングチームの強化に取り組んでいます。また、ブランドポートフォリオ戦略に関連して日本市場におけるブランドイメージのリサーチを行ったり、最近では、イノベーションチームという新たな組織を立ち上げ、市場のトレンドや自社の技術優位性などをふまえた長期的な製品開発の準備を進めたりもしています。
デイビッドさんのバックグラウンドについても、少し教えてください。
マーケティングのキャリアは10年ほどで、以前はアメリカの大手製薬会社や食品会社に勤務していたことがあります。キャドバリーシュウエップス社には6年前に入り、アメリカにおいて「ホールズ」のプロダクトマネージャーを務め、その後、国際部門に3年いました。
私自身を他のマーケターと比べると、CRM、新製品開発、グローバル戦略の構築などいろいろ異なるタイプのマーケティング活動に携わってきたのが強みではないかと思います。
日本に赴任したのも、実は自分から希望してのことでした。日本においてキャドバリーシュウエップス社のビジネスを大きく伸ばすために、自分の強みを役立てられるのではないかと考えたからです。また、日本の菓子市場は欧米とはいろいろな点で異なっているので、新しいことを学べるのではないか、新しいチャンスが開けるのではないか、という期待もありました。今のところ、その期待が裏切られるようなことはありません。
具体的に、日本の菓子市場は欧米とどのように違うとお考えですか。
まず、何といっても一番の違いはスピードです。ガムやキャンディの市場では様々な新製品が次から次へと登場していますし、競合他社も常に活発な動きをしています。そのため消費者を深く理解する必要があると同時に、いかに効果的なPRをタイムリーに打ち出していくかが非常に重要です。広告も、北米より洗練されていると思います。さらに、日本ではインターネットや携帯電話が急速に普及し、新しいメディアとして機能しているところも興味深いですね。
例として、マーケティング部門のブランドマネージャーのポジションでは、どんな人材が求められますか。
当社のブランドマネージャーは、まさに担当ブランドについては、製品開発からマーケティング戦略の立案、さらにはテレビCMの制作まで、文字通りあらゆる場面で最終的な判断と責任を負います。しかも、今回採用する方には当社の一番大きなブランドを任せようと思っています。求める人材像としては、上からの指示を待って動くのではなく、将来を見据えながら自らアイデアを出し、それをダイナミックに実行に移していける人ということにつきます。
たとえば、先ほどイノベーションチームのことを申し上げましたが、チームマネージャーは年2回行われるイノベーションミーティングのために、社内のあらゆる部門と交渉しながら今後の製品開発の課題やそれを解決していくためのプログラム、さらには予算案までまとめ上げなくてはなりません。当社が必要としているのは、指示を待つのではなく、自ら提案していけるようなタイプの人材なのです。
経歴については、もちろん菓子業界のマーケティング経験があればそれに越したことはありませんし、少なくともFMCG(一般消費財)におけるブランドの管理や戦略構築、広告やPR経験があれば大丈夫です。それに加えて、例えば小さな組織であっても人材管理、プロジェクトリーダーなどで実績のある方がいいですね。いずれにしろ、既存の枠組みとらわれず、我々のビジネスに新しい息吹を吹き込めるような人に、是非来ていただきたいと思っています。
最後に、ご自身の経験などを踏まえて、キャドバリー・ジャパンの魅力をご紹介ください。
第一に、グローバルレベルで意思決定や承認が非常に迅速です。大企業では、ともするとリスクを恐れ、何事もずるずる先延ばしにしたり、既存のブランドを守ることに汲々としたりして、ビジネスの成長を犠牲にする傾向がみられます。しかし、キャドバリーシュウエップス・グループでは、全く逆であると思って頂いて構いません。
第二に、キャドバリー・ジャパンが現在、大きく成長期にある企業だということがあげられます。ビジネスプロセスを見直し、今後のビジネスを成長させていこうという新たな機運が高まっています。そのような企業でマーケティングの仕事に携わっていくというのは、考えるだけでも、ワクワク出来る要素なのではないかと思います。
第三に、当社ほど社員を積極的にサポートする会社は、珍しいのではないかと思います。個人レベルでももちろんそうですし、マーケティング部門を例にとってみても部門をまたいだクロスファンクショナルなサポートがあり、非常に気持ちよく働くことが出来ます。 最後に、キャドバリー・ジャパンはグローバルな企業です。私がそうですがキャドバリーシュウエップス・グループの一員として様々な国で働くチャンスも開けてきます。
是非、キャドバリー・ジャパンで自分の力を試してみたい、新しいチャレンジをしてみたいという意欲的な方をお待ちしています。