新卒入社、留学、産休、育休を経て、マネジング・ディレクターに
現職に至るまでのご経歴を教えてください。
就職活動でコンサルティング業界を選んだのは、もっと社会を知りたい、社会人として学びたいと思ったことが大きな理由です。その中でアクセンチュアを選んだのは、自由でオープンなカルチャーを自然に受け入れることができたから。面接やケーススタディで、先輩たちが自分たちに向けてフラットに語りかけてくれて、この会社なら居心地よく働けそうだと感じたのです。2001年にアクセンチュアに入社して、それ以来20年近く働いています。
入社から2005年までは、コンサルタントとして、自動車メーカーなどのERP(基幹系情報システム)プロジェクトにいくつも参画しました。要件定義から設計・開発・試験・納品・稼働までの業務を何度か繰り返して、ERPコンサルタントとしての経験を積んでいきました。私にとっては、そのすべてが面白い経験でした。特にERPに携わると、会計・サプライチェーン・販売・マーケティング・人事など、企業活動の端から端まで全体を見渡すことができ、会社がどうやって動いているかを知ることができます。このことが私の好奇心を刺激し、満たされた日々を過ごしました。また、コンサルタント時代は厳しいながらも若手の仲間たちとサークルの延長線上のように和気あいあいと働くことができ、それも私には幸せなことでしたね。当時は社員2000名程度の会社でしたが、今や約12000名規模。しかし、そのカルチャーは、基本的には今も変わっていないと思います。
2006年にチームリードとなったんですが、そこで私は心身の調子を崩しました。チーム内や周囲との調整、部下のメンタリングといった負荷が高まっただけでなく、プロジェクトもなかなかうまくいかず、壁に当たってしまったのです。バーンアウトした私は、プロジェクト終了後に3カ月休職し、心機一転、自費で海外留学に向かいました。2カ月はアメリカで英語を学び、最後の1カ月はイギリスでマーケティングを学びました。これは本当に良い経験となりましたね。いま私は、若手メンバーたちに「疲れたら少し休んで、留学でもボランティアでもしたらいいよ」と話しています。
帰国後、早速学んできた英語を活かして、グローバル消費財メーカーを担当したいと希望を出したところ、それが通り、グローバルプロジェクトにアサインされることに。ここから3年ほど、私はアクセンチュアのイタリアやフランスのプロジェクトに唯一の日本人として参加しました。特に、フランスのメンバーと働いたときにはカルチャーギャップを感じましたね。プロジェクトの開始が夏だったのですが、多くのメンバーがサマーバケーションに入っていて、序盤はプロジェクトがほとんど進みませんでした。日本ではまず考えられないことですが、こちらのやり方を押し付けても意味がありません。こうした場合でも、相手の話を傾聴した上で、こちらの考えをきちんと説明していけば、必ず物事は前に進んでいきます。私はこれらのグローバルプロジェクトで、そのことを学びました。
また、あるグローバル消費財企業のグローバルレベルの業務標準化・組織改革プロジェクトにも参画しました。単にERPをグローバルレベルで統一するだけでなく、アジア&パシフィックの拠点強化なども一緒に進めていったんです。アクセンチュアもグローバル全体で対応する巨大プロジェクトで、しかもすべてを同時並行で変えていったため、よりどころがなく、なかなか大変でした。しかし私たちは、コンセプト・フレームワーク・メソドロジーなど、あらゆる側面から粘り強く作り上げていき、最終的には無事にミッションを達成。クライアントに喜んでいただくことができました。
その後、2011年にシニア・マネジャーとなり、2014年に出産を経験し、産休・育休を取り、復帰後は1年間の時短勤務の最中に、2015年にマネジング・ディレクターとなりました。時短勤務のときは、自分が急に休むことになっても問題が起きないような大きなプロジェクトにアサインしてもらいました。こうしたアサインが可能なのは、多くの選択肢があるアクセンチュアならではだと思います。
マネジング・ディレクターの仕事について教えてください。
役割として最も大きく変わったのは、自分が前面に立って、クライアントを開拓していけるようになったことです。自分がパートナーシップを持ちたいと思うクライアントと向き合って、信頼の種をまき、大きく育てていくイメージで働いています。実際、これまでにいくつかの日本企業のクライアントと信頼関係を育んできました。
また、意識面では、これはシニア・マネジャーの頃から変わってきたことですが、アクセンチュアや製造・流通本部の組織全体を意識するようになりました。それから、当然のことですが、自分自身の貢献が問われるようになりましたね。
日本のクライアントと一緒に先進的イノベーションを生み出す
アクセンチュア、中でも担当の製造・流通本部について教えてください。
製造・流通本部は、文字通り、製造業・流通業のクライアントに対して、業務コンサルティングやテクノロジーコンサルティングなどのサービスを提供する部門です。ここ数年、製造・流通本部は20~30%の成長を続けており、いまではアクセンチュアの中で最も大きな組織となっています。日本の製造業クライアントのコンサルティングニーズが高まるなかで、そこにサービスの質・人材の質で応えてきたことが成果として現れているのだと思います。
アクセンチュアの強みはどこにあるのですか?
大きく2つの強みがあると思います。
1つは、「真のグローバルカンパニー」であること。あまり知られていないかもしれませんが、アクセンチュア日本法人のプロジェクトの約5割は、グローバルプロジェクトです。私が経験したようなアクセンチュアイタリア、アクセンチュアフランスのプロジェクトや、グローバル全体で対応する巨大プロジェクトに参画できるチャンスは、けっこう多くあります。こうした環境ですから、「ダイバーシティ」は、アクセンチュアでは普通のことです。たとえば、アクセンチュア日本法人のマネジング・ディレクターは、約40名中5名ほどが外国籍で、会議では必ず同時通訳が同席しています。そうした環境が当たり前となっています。また、日本のクライアントに対しても、グローバルのアイデアを積極的に提供しています。それが日本のクライアントに頼られる大きな秘訣の1つです。
先日私は、インド・バンガロールを訪問してきました。「インドのシリコンバレー」「第2のシリコンバレー」などと呼ばれる、グローバルIT都市。建設中のビルが立ち並ぶなか、多くのテック系の若者が集ってきており、大変なエネルギーと熱気に満ち溢れていました。おそらく今後、日本企業も、このバンガロールのエネルギー・アイデア・技術を活用していかなければ、世界に立ち遅れてしまうでしょう。アクセンチュアは、バンガロールにいち早くイノベーションセンターを設置し、彼らのエネルギー・アイデア・技術を世界に発信しようとしています。私はいま、日本のクライアントをバンガロールのようなグローバルのHotspotとつなぐことをミッションの1つと捉えています。こうしたことこそ、アクセンチュアでなければできないことだと思うからです。
もう1つは「総合的なコンサルティングファーム」だということです。私たちはあらゆるソリューションを高いレベルで用意しています。たとえば私たちは、デジタルにもいち早く本気で取り組んできました。今や、デジタルソリューションはコンサルティングに欠かせないものになっていますが、取り組みを始めた当初は、世の中の多くが半信半疑な状態でした。それでも、アクセンチュアはデジタルに取り組むと決断し、いくつものベンチャー企業を買収したりしながら、デジタルテクノロジーに対する知見を磨いてきました。現在はそれが花開き、先進的なイノベーションをいくつも生み出しています。
私は主にERPを担当していますが、ERPは、イノベーションやデジタルの花を咲かせる土壌となっています。つまり、ERPとデジタルはもはや切り離せないもので、この2つの変革を並行して進めていくのが最も効果的なのですね。この2つをしっかりと組み合わせられるのは、アクセンチュアの強みの1つだと思います。実際、私が担当するクライアントのERPプロジェクトにも、アクセンチュア・デジタルなどのメンバーが数多く参加しています。一昔前なら、ERPとデジタルに何の関係があるのかと言われたかもしれませんが、いまでは密接な関係を結んでいるのです。ですから、私のクライアントをバンガロールに招待することにも、大きな意味があるのです。
グローバルとダイバーシティの価値を活かした組織
どのような人材を求めていますか?
グローバルとダイバーシティ。この2つの価値を重視し、各国の拠点のメンバーたちと垣根なく働いていける方を求めています。ダイバーシティは、別に海外メンバーとの間にだけあるものではありません。たとえば私は以前、あるプロジェクトで、アクセンチュアが買収したばかりの小さな日系SI会社のメンバーたちと一緒に働きました。彼らがそのプロジェクトに欠かせない技術を持っていたからです。しかし、企業文化も仕事のやり方もまったく違いましたから、序盤はマネジメントに大変苦労しました。でも、多様性のあるメンバーとチームを組むからこそ、私たちの可能性は広がります。私はプロジェクトマネジャーとして、彼らの技術や考え方を理解し、リスペクトしながら、私たちの目指す方向性ややり方を伝え、少しずつ折り合いをつけながらプロジェクトを進めていきました。そうして、多くのメンバーと共に進んでいきました。このような形で、ダイバーシティの価値を大切にできる方と一緒に働けると嬉しいです。そうした方なら、きっとアクセンチュアのグローバルの知見を日本企業のために役立てることができるでしょう。期待しています。
1つつけ加えると、とはいえ、私たちは日本のクライアントと向き合うのが一番のミッションですから、日本のクライアントとのお付き合いを疎かにせず、継続的に成果を出していける方でもあってほしいと思いますね。
アクセンチュアには、完成度の高いプラットフォーム、巨大で質の高いグローバルネットワーク、ありとあらゆるソリューションが揃っています。加えて、何よりも素晴らしい仲間たちがいて、彼らとは深い信頼関係で結ばれています。信頼関係で繋がれる新しい仲間を待っています。