真のグローバル企業で、自分の可能性を試したい
ユニリーバ・ジャパン(旧:日本リーバ)に入社したきっかけは何ですか。
元々、実力主義やワークライフバランスの取り組みが進んでいる印象だった外資系企業を志望していました。その中でもユニリーバに興味を持ったきっかけは、大学のゼミを機にマーケティングの仕事がしたいと思ったことです。ユニリーバ・ジャパンは当時、「ティモテ」などのシャンプーをヒットさせ、インパクトのあるCMを流していました。今思えば単純な発想ですが、これだけ宣伝広告費を使っている企業なら、マーケティングで面白い仕事ができるだろうと(笑)。
それに、企業理念にも共感できるものがありましたね。ユニリーバの歴史は、1880年代に創始者であるウィリアム・ヘスケス・リーバ卿が発売した石鹸「サンライト」からはじまりました。この石鹸は、不衛生による病気の絶えなかった英国に衛生的な習慣を広めたと伝えられています。「ビジネスを通して人々の暮らしをより良いものにしたい」という創始者の思いは、現在の企業ビジョンにも受け継がれています。常に未来に向けて、ビジネスの社会的意義を考え続けている企業であるということに魅力を感じました。
今までのキャリアについて教えて下さい。
ユニリーバをひと言でいうと「Everything is possible.」です。やりたいと思えば、何にでもチャレンジできる機会があります。世界有数の消費財メーカーですので、グローバルな視野を持ち、生産の上流から下流まで関わるようなスケールの大きな仕事もできます。
私の場合、入社して5年ほど経理・財務を担当した後、リーダー育成プログラムに立候補して英国本社に出向し、グローバルな雰囲気に浸かることができました。国家間のシナジーを探るダイナミックな数字の動き、戦略的な会話のやりとり、「普通1年かけて学ぶことを3カ月で学ぶ」のが当たり前のスピード感はとても刺激になりました。当時よく質問されたのが「5年後、10年後に何をやりたいのか」。そこで私がファイナンスダイレクターと答えると、「小さい、小さい。現地法人の社長になるぐらいのことは言いなさい」などとダメ出しされました(笑)。
こうした言葉にはチャレンジする意欲をもらいましたね。だからこそ、経理・財務の領域を超え、サプライチェーンや営業で経験を積む機会に恵まれ、学生時代に関心を抱いていたマーケティングにも関われて、自分の可能性を広げられたと思っています。エキサイティングなキャリアを積ませてもらっていると言えるのではないでしょうか。
大きな達成感を味わった経験はどのようなことでしょうか。
1つ目は、英国から帰国後、傘下にあったディバーシーリーバ・ジャパンにコマーシャルダイレクターとして出向した時のことです。グローバル・チームと組んで、S&OP(セールス・アンド・オペレーションプランニング)を導入しました。当初はシステムが機能しておらず数々の困難がありましたが、管理会計から整理した数字をもとに課題を抽出し、筋道立ててクリアしていくプランニングを行いました。いろいろな部門からのデータをまとめて需要予測から供給計画に落とし込み、在庫計画を立てる流れを作ることができたと思っています。比較的小規模なビジネスではありましたが、ファイナンス、サプライチェーン、ITの責任を持つ部署を統括したことが大きな経験になりました。
2つ目は、南アフリカにプランニングダイレクターとして出向した時のことです。結果的には4年間で現地のサービスレベルを40%から95%に引き上げることができたのですが、最初の1年間は暗中模索状態でしたね。文化の壁が高く、越えるのが大変でした。南アフリカの社員にとって、仕事は家族のため、自分のためのものであって、会社のためのものではなかったのです。だから、私が朝早くから夜遅くまで必死に仕事に取り組むことを不思議に思い、「何のために仕事をしているの?」と首を傾げていました。このときの経験は自身を見つめ直すよい機会になりましたね。
それでも、2年目から少しずつ結果が出てくると、周りが徐々に関心を向けてくれるようになりました。なんと「ノー残業デー」ならぬ「残業デー」をやろうという声があがってきたのです。皆で手分けして、インベントリープランニングモデルをつくり上げた時の満足感に満ちた笑顔は今でも記憶に残っています。毎週関連部署を集め、全部門ミーティングで情報を共有し、それを深堀りして課題を見つけプランニングを行う。いつも「どうして(why)、どうして(why)」と聞いていたので、ついにあだ名が「why」になってしまいました(笑)。グローバル・チームと構築したS&OPのノウハウがあったからこそ、ここで結果を出せたと思っています。そして現地の取引先に「ユニリーバは最高ランクのサプライヤーだ」と喜んで受け入れてもらえたことは、とても深く印象に残っています。
トップシェアを誇るブランド力を基盤に新たなフェーズへ
現在のミッションを教えてください。
南アフリカから帰国後、2年ほど日本のサプライチェーン部門を統括していました。そこで生まれた目標が、日本のサプライチェーンのリーダーシップを構築することでした。従来のサプライチェーンは、主に最適化・効率化にプライオリティを置いていました。しかし、サプライチェーンにカスタマーサービスをリンクさせれば、ビジネスに付加価値をもたらすことができます。そこでカスタマーサービスを強化すべく、営業部門に異動し、ダイレクターを経て現職に就きました。
営業部門はエリア担当やグローバルアカウント担当など大きく4つの部署に分かれています。従来はあまり横のつながりが持てていませんでしたが、それぞれの役割を一緒に稼働させ、全体最適化をはかっています。サプライチェーン的な発想かもしれませんね。また、「Geo-Ex+(ジオ・エクスパンジョン・プラス)」という戦略を立て、地域ごとの施策を打ち出す発想に切り替えています。例えば、地方の卸店様・小売店様と協働で地域ごとのお客様の特性を考慮したビジネスプランを立てて、ともに成長できるような提案を行うようにしています。
現在までの取り組みで、変わってきたことはありますか。
営業部門では今、「GROWIN’(勝つために成長し、成長するために勝つ)」というスローガンを掲げ、一人ひとりが成長すること、市場で勝つこと、ビジネスを継続的に成長させていくことを目標に掲げています。皆でロゴをつくり、各々がオーナーシップを持って取り組むことで、「私たちはこの目標を1つのチームとして成し遂げるんだ」という意識が芽生えてきたように思います。一人ひとりが自分の頭で考え、皆で議論して行動するチームになってきているように感じますし、もっとそうしていきたいですね。
また、部門のメンバーには「Everything is possible.」だと伝え続けています。先ほど述べたサプライチェーンにおけるリーダーシップにも通じますが、カスタマーサービスこそが成功の鍵なのだという意識を共有し、やりたいことにはどんどんチャレンジしてもらって、シナジー効果を広げて行きたいと思っています。
ユニリーバ・ジャパンでの営業の面白さは、どんなところでしょうか。
ユニリーバの営業はB to Bで、マーケティングの要素を多く含みます。データ分析を通じてビジネスチャンスの機会を見出し、プランニングや提案を行い、結果を出せることが、面白さや達成感につながるでしょう。ここでいう結果は、お取引先様の売場で売上をいかに上げるか、そしてエンドユーザーである消費者の方々にいかに満足していただくか。その延長線上に自社の成長があるわけです。目の前の数字だけではなく、お取引先様や消費者の方々の顔が見えてくることもやりがいになるはずです。
さまざまな経験を積み、能力開発ができる職種でもあります。前職がデータ分析経験の方であれば、自らのアイデアやプレゼン力をもっと伸ばせるでしょうし、営業経験の方であれば、分析力や数字を見る力などマーケティング力を伸ばすことができるでしょう。リーダーシップや人を巻き込む力のある人なら、持ち前の得意分野をさらに拡大することもできると思いますよ。自分の可能性を信じて、飛び込んできてほしいですね。
リーダーシップを発揮してお客様に価値を創造する
中途採用で活躍しているメンバーはどんな方ですか。
中途採用1年目の男性社員で、成功までの道筋がクリアで、課題に対しての気づきの多い提案ができる人がいます。彼は関連部署とコミュニケーションをとりながら数字を見える形にするのが上手く、しかも既存の概念にとらわれずに、新しい角度や発想でロジカルな提案ができる。その上、楽しみながら仕事をしているので、周りのメンバーも活き活きしてくる。つまりデータ分析に強くアイデアもあり、人を巻き込む力もあるわけですね。これは、ユニリーバで求められているリーダーシップです。お取引先様からの評価も高く、入社数カ月で数百店舗以上を展開するドラッグストアの担当になりました。彼に限らず、大きな目標や理想を大切にしながら小さな成功を積み上げていける人、周りを巻き込みながらやりたいことにチャレンジしている人は、生き生きと活躍しているように思います。
求める人物像
年齢やキャリアに関係なく、先ほど申し上げたようなリーダーシップが発揮できる人。自ら考え、行動できる人ですね。特にデータ分析に強く、人を巻き込む力がある人に期待したいところです。ユニリーバの営業部門で働くためには、市場の動きを読み、人の心に響くものを考える、マーケティング的な視点が不可欠です。いろいろな部署と連携し、意見を交換しながらよりよい提案をつくって、結果を出していってほしいです。
転職活動している方にメッセージをお願いします
ユニリーバは、毎日の暮らしの中でお使いいただく製品をつくる企業です。ユニリーバ・ジャパンでの仕事には、どの部署であっても、日本の皆さまの暮らしに触れ、毎日を豊かにできる喜びがあると思います。また、海外で仕事をして感じたのが、日本は製品の品質はもちろん、仕事の質やカスタマーサービスでも間違いなく世界トップレベルだということです。私はユニリーバ・ジャパンの一員として、その誇りを持ってサプライチェーンやカスタマーサービスの強化に取り組んできました。仕事を選ぶ際、業務内容や待遇等を検討するのはもちろんですが、原点に立ち返って、自分が何を大切にしているのか、人生で何を成し遂げたいのかも考えてみられるのも良いかもしれません。皆さんが日々の小さなことから、キャリアの希望、人生の目的まで、ご自身の大小様々な「WISH」を見極め、実現していけるよう願っています。
髙橋康巳 氏プロフィール
専修大学商学部会計学科卒。在学中にマーケティング学に傾倒、経営ビジョンにも通じる「真の豊かさとは何か」という問いに出合う。卒業後、日本リーバ(株)〈現ユニリーバ・ジャパン?〉に入社。リーダー育成プログラムに選抜され、ユニリーバ本社(英国)に出向。帰国後はグループ企業における買収や立て直しをはかる中、日本法人にSCM(サプライチェーンマネジメント)とS&OP(セールス・アンド・オペレーションプランニング)の仕組みを取り込む。2008年プランニングダイレクターとして南アフリカ法人へ赴任。3年間でサービスレベルを50%以上引き上げ95%にする成果を上げた。帰国後、日本におけるサプライチェーンの最適化に取り組み、2015年1月から取締役副社長 兼 営業本部長に就任しGROWIN’のスローガンを掲げて日本ビジネスの成長戦略を推進している。