INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
メットライフアリコ生命保険株式会社 瀬戸 まゆ子

人事×経営 〜人事戦略を語る

メットライフアリコ生命保険株式会社

執行役員 人事ビジネスパートナー 営業・マーケティング担当

瀬戸 まゆ子

大学卒業後、米国マサチューセッツ州レズリー大学にて臨床心理学修士号取得。マサチューセッツ州のクライシス・カウンセラー勤務を経て、2000年日本イーライリリー株式会社に入社。人事に携わった後、ゼネラルエレクトリックHRリーダーシッププログラム(HRLP)にて入社。2005年に卒業後、半年間韓国のGEコンシューマー・ファイナンスにて人事部長として勤務、帰国後2008年に新生銀行に売却されるまで、日本のGEコンシューマー・ファイナンスにて、組織開発担当及びHRビジネスパートナーとして勤務。ソシエテジェネラル証券会社人事部長を経て2012年からメットライフアリコに勤務。

※2014年7月1日よりメットライフアリコ生命保険株式会社は「メットライフ生命保険会社」に社名変更されました。

公開日:2014年10月6日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

部外者として感じる素朴な疑問や違和感を大切にしてきたことが大きなプラスになった

最初に、大学卒業後からのキャリアをお聞かせいただけますか。

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大学卒業後、進路に迷って自分探しをしようとアメリカに渡り、臨床心理学を学びました。修士取得し、その後マサチューセッツ州の救急病院等でクライシス・カウンセラーや薬物治療のカウンセラーとして勤務していました。その当時は博士号を取って日本に帰って働くのが夢でしたが、ある日あまりにハードな毎日に燃え尽きてしまいました。そこでふと思ったのが、普通の人がしているような会社勤めをするOLになることでした。あまりに特殊な状況に数年いたので、社会のメインストリームに出たいという単純な希望です。それで29歳の時にボストンのキャリアフォーラムに行き、紹介された製薬会社のイーライリリーに就職しました。配属されたのが日本法人の人事で、以来ずっと、「人事」に関わっています。会社員になるまでかなり回り道をしたわけですが、今になって振り返ると、レイトスターターで良かったんだなと思います。

なぜよかったと思われるのですか?

それまで会社というものを何も知らずに来て、新卒者と同じようにイチから仕事を始めたわけです。30歳にもなって新卒同様の仕事だと、イヤになってしまう人もいらっしゃると思いますが、私は全然苦にならなくて、「お給料のほかにボーナスがあって、福利厚生もある。OLってなんて素晴らしいんだ」(笑)、という気持ちで勤めることができました。会社にも仕事にも先入観がないから、わからないことは何でも人に聞きましたし、素直に全てを受け入れられた。裏を返せば「世間知らず」ってことなんですけれど(笑)。でも、アメリカでは本当にいろんな人が周りにいたので、年下の先輩に対しても別になんとも思いませんでした。むしろ、それまで全く違う分野にいた部外者として感じる素朴な疑問や違和感を大切にしてきたことが、自分のスタイルを作る上で大きなプラスになったと思います。とりわけ人事は人を扱う仕事ですから、偏見や思い込みは少ない方がいい。だから、その感覚を今でも大事にしています。

それにカウンセラー時代は特殊な環境だった分だけ密度の濃いものでしたので、あまり怖いものがなくなったし、未知の環境の中で新しい人間関係をつくるとか、新しい分野でも自分なりにアプローチを組み立てて勉強することの訓練を積めた。そのすべてが今の自分を作っていると思うので、レイトスターターで良かったと思っています。

メットライフアリコは確実に成長している会社

その後、メットライフ アリコに入るまでのキャリアパスを教えてください。

metlifealico_022年半ほどイーライリリーで人事を経験すると、たまたま人事でキャリアを始めただけでしたので、一度は営業職を経験してみたいと思うようになりました。専門知識が必要なMRは難しいだろうと考え、外での機会を探していた時に、GEのHRLP(Human Resource Leadership Program)を勧められて入社しました。GEのリーダーシッププログラムでは人事以外のローテーションも必要で、「じゃあそれを営業にしよう」と思いました。しかし結局、お金の話がわからなくては、人事の話も会社の話もできないと考えて、人事外のローテーションでは営業を選ばず、ファイナンスで8ヶ月働きました。そして2年間のプログラムを終えて、韓国のGEコンシューマー・ファイナンスで人事部長をやり、その後日本のGEコンシューマー・ファイナンスで組織開発担当、HRビジネスパートナーを経験しました。

GE時代は、とにかくいろいろなことにチャレンジさせてもらえたし、がむしゃらに働きました。半年間、毎月360時間以上働いたこともあります。レイトスターターで、いかに自分に中身がないか、ものを知らないかということを痛感していたので、とにかく「質より量」だと、がむしゃらに突っ走りました。空回りも沢山しましたが、必死でした。

その頃上司に言われて強く印象に残ったのが、「仕事を選ぶときは一番難しいもの、人がやりたがらないもの、チャレンジングなもの、をやれ」ということです。それが一番自分のためになるし、見ている人は必ずいるからと。これはGE時代の私の価値基準でしたし、今も何か仕事上で決断するときに思い出します。

GEコンシューマー・ファイナンスが売却されることになったのを機にGEを辞めることにしました。正直なところ、売却されたのがショックでもあり、売却にあたっての人員削減等が大変で燃え尽きたこともあり、それまでの「より大きな会社でより高いポジションに就くことがキャリアだ」という思いに疑問を抱くようになりました。ちょうどその頃、知人を介してフランスのソシエテジェネラル(SG)から話がありました。証券・銀行の人事、ましてやフランスの会社というのは全く考えていない選択肢でしたが、自分にとって思いっきり意外な選択をしてみようということで入社しました。この転職は、予期しなかったことに、私の人事のキャリアにおいて大きな意味を持ちました。ひとつは、コンプライアンスや人事上の判断において、何が正しくて何がダメか、グレーのどこで線を引くのかについて、自分の信念と意思が常に問われる状況になったことがあります。GE時代は非常に明確なルールがあり、その意味で守られた環境でしたが、SGではルールのないところで人事の判断が非常に頻繁に求められました。専門家に相談はするけれど、最後は人事のプロとして自分の信じるところで線を引く。その経験を積むなかで、物事を大局的に見ること、責任をとること、最悪の事態を想定しながらも楽観的な見方を保つことの大切さを学びました。

もうひとつは、いかに自分が鼻持ちならない人間だったかということを学んだことです。GEで頑張ったことがいつしか変な自負になっていたんですが、変なプライドはいらないと気がつきました。特に震災の経験は、仕事はチームワークだということが骨身にしみました。震災も落ち着いたころ、「買収後いろんな変化を起こそうとしている会社」ということで、メットライフ アリコの話がありました。人事として担当する人数はいきなり数千人になりましたが、今の私ならできるかもしれないと思って移りました。

メットライフ アリコはどんな会社でしたか?

入社して感じたのは、確実に成長している会社だということですね。従業員は営業職員であるコンサルタント社員も含めると約1万人以上で、会社としての規模も外資としてはかなり大きく、商品も貯蓄型年金から死亡保障、医療保障と揃っているし、販売チャネルも銀行窓販はじめ4つある。しかもそれぞれにバランスよく売上げが立っていて、一般消費者の認知度も高い。40年前に初の外資系生命保険会社としてスタートしてここまで大きくなった会社で、社員の成功体験もある。これだけアセットがそろっている会社はそうないのではないかと思いました。それに保険会社の社会的ミッションを感じている社員が多く、人事的にもやりがいがある。入ってみて「思ったよりずっといい会社だな」と感じています。

ただ、これまでは販売の拡大が優先され、急速に成長して人が増えたことにより、組織づくりが追い付いていないんですね。需要の拡大に合わせて建て増しを繰り返してきた旅館みたいに、大きいけれど統一感がないというか、よく見ると問題がたくさんある。動線が悪いとか、設備の配置がおかしいとか。なかでも問題なのは、顧客フォーカスが担保される仕組みや組織編制になっていなかったこと。これまでは成長戦略が重視され、会社の規模の拡大が優先事項でしたが、これからはお客様の大切な保障をいかに守っていくか、お客様にさらに高い付加価値を提供するために何をすべきかなど、お客様の視点に立って業務を見直し、その視点から新たな施策に取り組んでいかなければなりません。

それから、4つの販売チャネルがあるのに、それをうまく連携させて強みに転換できていない。それぞれが縦割りになっていて、プロセスやリソースを抱え込んでいるからです。ここにうまく横串を通して、クロスセルやシナジーをうまく引き出していかなければいけません。これらはまさに今、全社を挙げて取り組んでいるところです。

そのために人事面で戦略的に取り組んでおられることは何でしょうか。

組織については箱、つまり組織図の描き直しです。たとえばお客様中心主義を徹底するといっても、以前は顧客中心主義を主導する部署もありませんでした。お客様中心主義に必要な要素は何か、そのための組織デザインはどうあるべきか、というところから議論をしました。一気にスクラップ・アンド・ビルドはできないので、手を着けられるところから最適化するという形で進めています。

あと、販売チャネル別に縦割りでサイロになっている所のプロセスを見直し、機能の集約とリソースの適切な配分も順に行っています。特に人については、過剰なところと足りないところで再調整が必要になります。これまでは一定の軸で人材の棚卸しをしてこなかったので、まずは現在のタレントポートフォリオを把握しようと、昨年から新しい評価軸を用いてレビューを行っています。

同時並行で、管理職を対象に「ビジネスアキュメン」という3日間のトレーニングを実施しています。そこではまず、会社の戦略や外部マーケットの分析、財務指標上の重要なKPIなどについてのセッションを受けます。そのうえで、自らがチェンジマネジメントの推進者になり、学んだことを自分の言葉で部下に伝えるためのコンテンツとスキルを身につける。自社の課題を題材にしたケーススタディやロールプレイを通して、「自分の立場で明日から何を変えていくのか」を考えてもらっています。

そうやってこれまでのサイロ的な仕事のやり方、企業文化を打破した後は、次のステップの課題として、できるだけローテーションを仕組みとして仕掛けていきたいと考えています。その際は、戦略上のニーズに対応して新しく仕事を創り出したり、既存の役割を再定義したりして、そこにポテンシャルの高い人材を配置していくことが非常に重要になってきますね。

悩んで、苦しんで涙の種をまいていくと、いつか喜びの収穫ができる

これからどのような人材が必要になるとお考えですか。

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人材育成の観点から言えば、一部のハイパフォーマーに特化したリーダーの育成と、保険あるいはメットライフ アリコを熟知するキープレーヤーを層厚く育成していくことの2つを平行して行っていくことが重要になってきます。極端な例えかもしれませんが、10画素でも広い視野で全体像を見られる人、それから遠くまで視界を広げられる人と、仕事を1万画素の目で詳細まできちんと見られる人の両方の層をもっともっと厚くすることが必要です。

たとえばリーダーは、より大きな目で会社や仕事の全体像を見なければなりませんから、すべてのものを1万画素の目で見てはいられません。そういう、リーダーが10画素でしか見ていない部分をきちんと見てフォローするのが、1万画素の目を持つスペシャリストです。人事だったら人と組織に関しては1万画素の目で見なければならないし、ファイナンスでも、営業でも同じですね。細かい傷や問題点などを見つけ出せる1万画素の目を持つ人材に入ってきてほしいし、もっともっと多く育てていきたいと思っています。特定の分野で1万画素見れる人材は、周辺の分野についてもある程度のポイントがわかる。そんな中から、次世代のファンクションリーダーが育っていくと思います。

一方で、10画素でも全体像を広い視野で見られる人も必要です。いまは組織の再構築をしているところですから、お客様に喜ばれるクオリティを出すための戦略と組織のデザインを考えられる人や、現状の問題を会社全体の文脈で構造化して見られる人が必要です。それとどこまで遠くを見通せるかということ。もちろん、はじめから10画素だけの人は仕事では成功しないので、自分の担当分野については細かい画素で見れるようにがんばる。でも、一定の段階で、今度は意識的に視界を広く・遠くに変えていくことが必要で、そうしないとジェネラルマネジャーは育ちません。この層もまだまだ足りない。人事にとっては、大きなそしてやりがいのあるチャレンジです。

瀬戸さんご自身が人事の仕事で軸にしておられることは?

人事の仕事はある意味、半分は接客業だと考えています。お客様は社員ですが、イヤな思いをさせないというより、できればより積極的に、人事と話して気持ちが晴れた、さわやかになった、元気になったというのが理想です。難しい問題解決をしなくてはいけない場合や、社員に対して嫌なことや辛いことを言わなければならないときが人事にはとても多いのですが、それだからこそ、多少感情の軋轢があっても、結果的には相手から「あなたが担当でよかった」と言われるように自分とスタッフがなることが目標です。同時に困ったことがあったときに、「瀬戸さんに相談しよう」と思われれば、人事としても会社員としても本望です。

だからといって、誰からも好かれなきゃいけないというのとは違います。むしろ人事はいつでも中立の立場でいるべきで、みんなと友好関係を保っているが、誰にも特に近くはない状態が必要です。もし会社で不正が行われたり、ハラスメントがあったりしたときに、当事者と親しかったら客観的な判断ができませんし、経営者でもビジネスリーダーでも、いつも常に正しいわけではないですから。ビジネスをきちんとサポートするためには、プロとして一定の距離感は不可欠です。そして絶対に秘密は漏らさない。これは基本的ですが非常に難しいことでもあります。

先ほどのお話にも瀬戸さんの仕事観がよく表れていたと思いますが、若い人たちに伝えたいメッセージはありますか。

よく、質の高い仕事がしたいとか、効率的に成長したい言う人がいますが、若いうち、その分野での経験が少ないうちは、質を考えるよりまず量をこなすことを優先して欲しい。量をこなしていれば、それがいつのまにか質に変わっていきます。量をこなす力を出し惜しむと、結局質の伸び方も鈍くなります。空回りも必要だと思います。一つ一つ本当に正しいことをしているのかどうか、ものすごく悩んで考える。私は今でも、何かをやるのにすごく悩みます。メール1本出すのでも、これがベストなアプローチかと悩む。でも今の若い人はすぐに、「どうしたら効率よくできるか」と聞きたがるんですね。まずは、人に聞く前に自分の頭で考え、悩んでみる。そのことを考えてアンテナを張っていれば、街を歩いたりテレビを見たりしていても何かひっかかるものが出てくるから、それを深掘りしていく。悩むこと、考えることを続けて、それが癖になると自分の力になるんです。物事を深掘りしていくと、それが自分の引き出しにどんどん溜まって、そうしているうちに、あるときふっと「質」の芽が出る。

ちょっと気恥ずかしい言い方ですが、「悩んで、苦しんで涙の種をまいていくと、いつか喜びの収穫ができる」(笑)。効率の悪いやり方かもしれませんが、性急に効率や正解を求めないでほしい。仕事に正解はないんですから。人が相手の人事の仕事は、とくにそうだと思います。

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