INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
アクセンチュア株式会社 武井 章敏

人事×経営 〜人事戦略を語る

アクセンチュア株式会社

執行役員・人事部長

武井 章敏

大学卒業後、日本の大手自動車メーカーにて、営業、人材開発、海外での生産工場の立ち上げ、そして20年振りの人事制度の改革に従事。その後、アップルジャパンおよびファーストリテイリングにて人事部長を歴任し、2012年より現職。会社組織はその最少単位となる上司と部下の集合体。近年、多くの企業で上司部下の世代間ギャップが叫ばれる中、アクセンチュアではグローバル共通の制度やシステムを基盤に、人材のグローバル化、社員のキャリア開発、組織の活性化に取り組んでいる。

公開日:2014年2月24日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

“意味のある意志”を持って仕事をしないと人生の無駄である

アクセンチュアに入社されるまでのキャリアをお聞かせください。

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大学時代に留学生との交流を通じてアジアの若者たちの勢いに触れ、将来はアジアでビジネスをしたいと考え、アジアでの商用車生産に力を入れていたマツダに就職しました。最初は名古屋の営業店に配属され、その後、新人研修などに携わっていましたが、「自己申告書制度」にアジアのビジネスに興味がある、と書き続けていたところ、入社5年目にタイ赴任を打診されました。実はその直前に新婚旅行でタイに行っていたので縁を感じましたね。タイには95-98年まで駐在して、フォードとのジョイントベンチャーの工場建設に携わっていました。用地選定の段階から工場の建設や稼働計画、コストから労務問題に至るまで、全てに携わりました。

タイでは世界中から集まったメンバーが訛りの強い英語を話していたので最初は苦労しました。また、フォードから来ていた上司に対しては「思考の違い」に戸惑いました。日本人は何事も用意周到だし、緻密ですが、フォード側は直線的な考え方で起こりそうもない事態は考えない。問題は起こってから考えればよい、というスタンスでしたから。必要人員数も日本人が見積もるとすごい人数になってしまうし、組合対策でも感覚が違いました。タイには7-8か国の人が来ていましたし、多様な種類の人々とのコミュニケーションが必要でした。みんな価値観が違うので、力をかけなければいけないところ、抜いてもいいところ、とプライオリティをしっかりつけて調整していく力はタイで身につけました。

その後、マツダはフォード資本に移行されていますがいかがでしたか。

98年に広島本社に戻ってきた時点で、マツダの33%の株式はフォードが保有しており、社長も役員も人事もフォードから派遣されていました。フォード側から見ると、広島では通用してもグローバルでは通用しない、という慣習や慣例があり、当時の日本法人社長から、改善したほうが良い点を列挙した指示が全社に展開されていました。たとえば、新任幹部研修に同年次の男性社員ばかりが集まることなどにも言及されていましたね。日本の企業文化ではクリエイティブよりオペレーションが重視されますが、それではグローバルでは今後通用しない、と、単に給与体系をいじるというような小手先ではなく、もっと本質的なキャリア・システムの見直しを行い、女性の適正な活用、学歴に左右されない採用枠、そして組織の硬直化を解消して、部門間の異動の可能性を広げるなどの検討を重ねて実行していきました。

当時、制度改革のために過去、マツダでヒット商品を開発した人などからヒントをもらい、そこからマツダらしさを取り戻し、マツダの将来を描いていこう、とインタビューを行ったんですよ。その中である有名な開発者にお会いし、「車は人が作るものだ。だから作る人のレベル以上の車は決してできない。いい車を作るには人を育てなければだめだ。一人ひとりがもっと自分を磨かなければだめだ。」と言われたことが強く印象に残っています。全員がそう思えればマツダは変わる、と。マツダではギアシフトだけを15年間開発している人などもいるのです。こういう人々の車への情熱がマツダの本質です。それがマツダのブランドなのです。何のためにそこにいて、何をしているのか、“意味のある意志”を持って仕事をしないと人生の無駄である、と学びましたね。

それまでは企業内で『何をやりたいのか』などと考えづらい風潮がありました。業務命令に従って仕事をするのが当たり前でしたから。しかし社員へのインタビューを通じて、受け身では本人の力の7割くらいしか発揮できないのではないか。むしろ自分からやりたい仕事を考えるようになるべきで、人事は社員が本質的に持つモチベーションの源泉をどうサポートしていくかが重要だと考えるようになりました。

その後アップルに移られたのですね。

当時アップルの日本のシェアは高くなかったですが、初めてアップルの方にお目にかかった際、いきなりMacBookを開いてプレゼンされて、その勢いにのまれましたね。これは今後伸びる会社だぞ、と。

実際入社してから、マツダのタイ工場に行った時の倍のショックと言うか、直線思考にびっくりしました。何しろ決断が速い、限られた時間で物事を決めるのです。年1回の評価や昇進の時期など、日本では考えられないほど短期間で決まります。その年の昇給や賞与の予算決定がアナウンスされると僅か数日でスタッフの評価、昇給などを全て決めなければいけない。つまりこういう社内のオペレーションよりもっと大切なことに時間を使え、というアップルの哲学を徹底して学びました。

その後、アクセンチュアに転職されていますが、アクセンチュアの戦略や方向性についてお聞かせください。

2014年にデジタルコンサルティング本部を立ち上げます。従来のアクセンチュアはテクノロジー、コンサルティング、アウトソーシングの3本柱体制だったのですが、そこにデジタルコンサルティング本部が加わり、デジタルにかかわる事業が集約されるかたちです。

現在のキーワードは ’Go Digital’ ‘Go Global’です。アクセンチュアの強みは日本の約5,000人を含めた、世界300,000人近い社員からなるナレッジの存在です。それらのアセットを効果的に活用し、これまでのAnalytics、Mobility、Digital Marketingといった領域をデジタル事業という形で集約、強化することが狙いです。これまでそれぞれの事業部ベースではやっていましたが、デジタルに特化した事業部を立ち上げることによって、それらのノウハウやデータを全て集約し凝縮して全体的、集中的にビジネスを育てていきたいと考えています。

デジタルコンサルティング本部で活躍できる人というのはどのような人なのでしょうか。

デジタルのサービスにはこれまで提供してきたサービスとは違う発想が求められますから、定義をするのはなかなか難しいと感じています。今後はアナリティクスの分野など、プログラミングやデータ解析だけでなく、分析から導き出された結果をいかにしてビジネスの現場に最適化させ定着させるかといった視点が必要です。つまりは、単なる統計の知識やITの知識だけにとどまらず、ビジネスの課題も視野に入れて考えることができるセンスが重要なのです。その為、そういうセンスのある人をどうやって発掘するか、ということも課題です。うちにもSAP, OracleなどでSIをやっている人が何千人もいます。そのデータ・マイニングの中からプログラミングのプロになるのか、データ分析の専門家になるのかというのもキャリアの選択肢のひとつになります。こういう既存のリソースをフルに活用することが至近の課題ですね。

確かにデジタル化とは何か、何をもってデジタルとするか、というのはまだ漠然としています。しかしやがてこの思考がアクセンチュアの柱になっていくだろうと考えています。

アクセンチュアは自分自身をプロデュースするステージ

今後4つの事業部体制となりますが、人事戦略としてはいかがでしょうか。

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個人のスキルや経験値も大切ですが、2012年からアクセンチュアとのカルチャーフィットに重点を置いて採用するようにしています。アクセンチュアの過去の歴史を紐解くと、どんなキャリアでもウェルカムで個を活かせるか、というと必ずしもそうでもなく、活躍してもらうためにはアクセンチュアの文化や考え方を理解してもらうことが大事だと思っています。要するに、個人のスキルや経験が豊かでも仕事の進め方や価値観が共有できないと活躍することは難しい。アクセンチュアでは受け身では仕事の声がかかりません。つまり自分には何ができるか、を売り込んでくれないと使ってもらえないのです。

それと「なんでもできます」「なんでもやります」よりも、ある1つのことなら徹底的にできます、といったほうが有利です。もちろん汎用性の高い人でも関係者を巻き込む、取り込む力が必要ですね。自分の『売り』を追求して欲しいと考えています。アクセンチュアでは一人ひとりがビジネスを立ち上げるつもりで仕事をしてもらいます。1000人いれば1000の仕事が存在することになります。そして将来への自分なりのビジョンがないと挫折します。アクセンチュアは自分自身をプロデュースするステージだと考えて欲しいですね。会社が何かを与えてくれるわけではないということです。自分で道を切り拓いて「これができる」とモノにすること。そして、一度でうまくいかなくても、何度でもくじけずに挑戦し続けること、これが大事です。

アクセンチュアには2つ大きな企業理念があります。まず”Best People”。これはまず自分がそうなる、と言うことと同時に人にもそうなるように求めるということです。互いに研鑽し合うカルチャーなのです。上司にも同僚にもそれを求めます。もう1つは”Can Do Attitude”です。これはどのようなリクエストに対しても、どうしたらできるか、それができるための提案をする、ということです。コンサルティング会社はクライアント企業ができないことを引き受けてこその商売ですので、どのようなことでも常にどうしたらできるのかを考えることこそが仕事そのものになります。また、この考えは引き受けたら最後までちゃんと責任を持って成し遂げる、ということでもあります。新人を対象に”New Joiner Orientation” をやっていますが、ここでもこの点は強調していますね。

社員教育という点ではどのような方法を取っているのでしょうか。

新卒入社した社員は数か月間に渡る研修の後、プロジェクトに配属して実務を通じてアクセンチュアの仕事の進め方を学びます。中途入社した社員は専門性を活かせるプロジェクトに即戦力として配属しますが、自ら主体的に動いて仕事を学べるように社内ネットワーキング作りのサポートをあらゆる面で行います。以前はプロジェクトマネージャーが新人を育成するのは当たり前でしたが、現在はプロジェクトが多く、掛け持ちが多いなどなかなか難しい為、こういうスタイルをとっています。

アクセンチュアの中におけるグローバル化という部分ではどうですか

先ほども申し上げたように、アクセンチュアの資産は世界300,000人近いナレッジの存在です。プロジェクトを成功させるために世界中から事例を探し、うまくいったのか、キーパーソンは誰か、どういう体制で仕事を成功させたか、などを探し協力を得ることになります。またもう1つの側面として顧客自体がグローバル化してきています。つまり考え方をグローバルにする必要に迫られています。

英語のスキルアップももちろんですが、様々なスキルをどう具体的に活かすかが重要です。どういう人とコミュニケーションを取るべきか、ミーティングなどを仕切れるか、事前に適切なプロポーザルや議事録を作っておくこと、対立点が生じたときの対応、などの点を学ぶ機会を増やすようにしています。

採用という点からもグローバル化は進んでいます。日本のアクセンチュアにおいても近年では毎年10%以上は非日本人を採用しています。社外、社内双方において日本で働きたい人を海外から受け入れています。コンサルよりSIや同業他社からの転職者が多いですね。またインドなどから講師を招いたり、逆にFacultyと呼んでいますがマネージャークラスを海外にトレーニングの講師として派遣したりもしています。また短期から中・長期におよぶ海外とのプログラムもあります。

Exchange Programでは新卒の人が毎年インド、クアラルンプールなどで訓練を受ける機会があります。またGlobal Deskというプランでは次のステップの人々に現地でのビジネスを実際に体験してもらいます。これはインド、シンガポール、上海で行います。またGlobal Projectは日本で行いますが、実際に海外の仕事を実地体験してもらいます。場作りということですね。

また 2013年9月からキャリアサポートの仕組みを見直しました。自分が所属する事業部の中で公開されているプロジェクトばかりでなく、これまで非公開だったプロジェクト、さらに別の事業部のプロジェクトも見えるようになりました。個人的にどのプロジェクトに適応性があるかどうか判断して申し出ることもできるようになりました。グローバルなプロジェクトには手を挙げる人をそうでない人が二極化する傾向にありますが、どちらが良い、というわけではなく個々人の様々なケースが考えられますから働き方の多様性は今後も広がっていくと考えています。

最後に、アクセンチュアに転職を考えている方にメッセージをお願いします。

日本のアクセンチュアにではなく、グローバル30万人の会社に入るつもりで来てもらいたいですね。日本だけではなくグローバルで活躍できる人材を育てていきたいと考えていますし、その環境が整っています。アクセンチュアというステージで自分自身をプロデュースし、活躍してもらいたいと考えています。

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