INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
スマートニュース株式会社 成田 均

人事×経営 〜人事戦略を語る Vol.47

スマートニュース株式会社

人事部長

成田 均

東洋大学卒業後、日本の電機メーカーで人事キャリアをスタート。アドビシステムズ(現:アドビ)を経て、2000年にトレンドマイクロ入社。日本イーライリリーを経て、2009年にトレンドマイクロに再入社し、2011年より人事部門トップを務める。2019年にスマートニュースに入社して現職。

公開日:2020年10月19日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

社員の心に寄り添うことも人事の大切な仕事

スマートニュースに入るまでのご経歴を教えてください。

hr46_02新卒で⽇本の電機メーカーに入社、⼈事部⾨に配属され、私のキャリアはスタートしました。フルタイム勤務をしながら、会社のサッカーチームに所属し社会人リーグの選手をしていました。高校は強いチームに所属もあまり出場機会に恵まれなかった為、大学、社会人は戦力として自分を必要としてくれるチームに所属しました。サッカーを通して多くの経験をする事ができ、今の人事の仕事にも活きています。チームスポーツは、一人ひとりの個性を活かしながら、なおかつチームがよくまとまると、自分たちよりレベルの高い相手にも勝つことができます。ここが、サッカーと人事の仕事の共通性だと感じます。

その後、アドビシステムズ(現・アドビ)を経て、2000年にトレンドマイクロに入社しました。

トレンドマイクロは当時すでに、自律分散的な多国籍企業でした。本社は日本にありましたが、日本本社がすべてを決めるのではなく、各国が対等な立場で話し合って決める体制を取っていました。たとえば、人事制度を設計は、各国の担当者が合宿のような形で数日かけて話し合い、コンセプト決定から基本設計を行ったのち、各国でローカライズが行われました。誰しもが一国の代表でしかありませんでした。ローカルのオフィスがヘッドクオーターの指示に従う事が多かった私にとっては新鮮なものでした。こうしたやり方は、当時は極めて珍しかったように思います。「これこそ本当のグローバルだ」「これが自分のやりたかったことだ」と強く感じた事を覚えています。

充実して働いていましたが、家族の介護で大阪への転居が必要となり、2007年に神戸に本社のある日本イーライリリーに移りました。前職とは対照的な仕事の進め方に最初は戸惑いもしましたが、一人の変革リーダーとの出会いが私を変えました。私は彼のもとでHRビジネスパートナーを務め、臨床開発部門の変革プロジェクトに参画しました。

そこでわかったのは、「人は論理だけで動いているわけではない」「人事は右脳を使うことも大切だ」ということです。たとえば、変革を進めようとすると、必ず抵抗勢力が現れます。彼らと論理的に議論するだけでは、いつまでも平行線を辿るだけ。そうしたときに大事なのは、一緒に顧客を訪問したり、日常会話をする時間を持ったりして、相手の考えの裏側にどんな想いや感情があるのかを知ることです。想いや感情が見えれば、「そういう見方もあるよな」と分かりあえる部分が出てきて、やがて着地点が見えてきます。また、変革を進めていくと、変化になかなか対応できずに悩むメンバーも必ず出てきます。彼らのメンタルケアも、私の重要なミッションの1つでした。社員の心に寄り添うことは、人事の大切な仕事なんだ、エンゲージメントを高めるためにも重要だと身に染みて感じた経験でした。

2009年に東京に戻ることになり、トレンドマイクロに再入社。2011年から人事部門のトップを務めました。着任直後、3.11東日本大震災が起こりました。私はいきなり、誰も経験したことのない状況下でさまざまな判断を迫られました。そんなとき頼りになったのは、ミッション・ビジョン・バリューでした。特に、ミッション・ビジョン・バリューが作られた経緯を辿ると、判断の基準が見えてくる、そんな経験を幾度もしました。たとえば、トレンドマイクロのコアバリューの1つ「Trustworthy 信頼性」。その言葉の下で、CEOはある決断をしました。社員が国内、海外に避難する上で必要な費用を、家族の分も含めてすべて会社が払うというものでした。会社と社員が信頼性を維持する上で必要なことだと思った私は、CEOの決断を全面的に支持し、社員の避難サポートに全力を尽くしました。企業も、人も、大変な時にこそ本当の姿が現れる。トレンドマイクロは本当に信頼できる組織でした。

その後、人事部門のトップとして色々な経験をさせてもらい、10年近く経ち、次世代にポジションを譲る必要性を感じ初めていました。それで2019年にスマートニュースにやってきた、というわけです。現在は、人事部長としてとして日本の人事部門全体を見ています。

なぜスマートニュースを選んだのですか?

何と言っても、「世界中の良質な情報を必要な⼈に送り届ける」というミッションに共感した事です。後述しますが、非常に重厚なテーマに取り組んでいる会社で、少しでもそこに貢献することが出来たら、と思えたのです。

もうひとつは、自分自身のキャリアにおけるチャレンジです。私が入社した2000年頃のトレンドマイクロのようなフェーズの会社、まだ小さいけれど、これから飛躍的に伸びる可能性を秘めた会社に行きたかったんです。そしてそこで、若い頃にうまくできなかったことにもう一度チャレンジしたいという想いがありました。

たとえば人事の専門領域について。若い頃は「制度づくり」が一番重要だと考えていました。しかし、経験を重ねるにつれて、「制度運用にこそ、本当の価値がある」と思うようになってきました。人事というのは社員の皆さんの壮大な人間ドラマに関わる仕事であり、人事制度はその彼らに使われて、はじめて価値が生まれるものだとわかってきたんです。制度は作って終わりではない。しっかりと運用して、改善を継続し続けなければ、意味がないものになってしまう。だからこそ、次の会社では制度運用に力を入れたい。そうすることで、社員の働きがいが高まり、ミッションの達成に近づける。そんな事を考えていた時に、スマートニュースに出会う事ができました。

「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」ことに本気で取り組む会社

スマートニュースはどんな会社ですか?

hr46_04スマートニュースは、前述した通り「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というミッションに本気で取り組んでいる会社です。私は入社後、日本の社員全員と30分ずつ話す機会を持ったのですが、心の底からこの重厚なミッションに共鳴し、ミッションのために働いている社員が多くいる事が理解出来ました。エンゲージメントの源泉が、「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」の一文にある。そういう会社なんですね。また、また単一事業、唯一のプロダクトであるニュースアプリが、ミッションと密接に結びついているのも大きな特徴です。

象徴的なエピソードがあります。今年はアメリカ大統領選の年でもあり、⽶国内の政治的な社会の分断問題にも関心が集まっています。「2つの⽶国」と⾔われる保守とリベラルの深い思想的な分断。既存のSNSは個⼈の興味関⼼に合うコンテンツを表⽰し、フィルターバブル(※)という現象を⽣みました。これがこの政治的な分断を助⻑してしまったと⾔われています。(※「インターネットの検索サイトが提供するアルゴリズムが、各ユーザーが見たくないような情報を遮断する機能」(フィルター)のせいで、まるで「泡」(バブル)の中に包まれたように、自分が見たい情報しか見えなくなること。)

⽶国版のスマートニュースには、社会的分断という課題への処⽅箋のひとつとして、「News From All Sides」という機能を提供しています。ユーザーは保守寄りからニュートラル、リベラル寄りまで、異なる論調の記事を閲覧できます。別の⽴場にたったニュースや意見に接し、⾃分の⾒⽅、偏りを知ることが出来るのです。こういったサービスが⽶国で評価され、着実にユーザー数を増やしています。まさに「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というミッションに最も即したやり方と言って良いでしょう。

そうした特徴はどこから来るのでしょうか?

やはり、創業者であり、代表取締役会長兼社長 CEOの鈴木健の存在が大きいと思います。

鈴木は経営者であるとともに、研究者・思想家でもあります。彼は、自著『なめらかな社会とその敵』(勁草書房)でも述べていますが、彼が理想とする「なめらかな社会」を自ら実現し、世界を変えるためにスマートニュースを創業しました。なめらかな社会とは、ごく簡単に言うと、資源の囲い込み(膜)や中央集権的な組織(核)の力を弱めて、さまざまなものがスムーズかつシームレスに循環する社会のことです。鈴木は、なめらかな社会のために必要となる新たな貨幣、新たな選挙制度なども考えています。その信念は一貫しており、先ほど触れた米国版スマートニュースの「News From All Sides」も、アメリカの膜や核の力(=分断)を弱めるという意味で、なめらかな社会を目指す行動の1つです。

またそれは、「One Product, One Team」の体制にも表れています。国によって別々のプロダクトをつくるのではなく、日米中の3拠点のメンバーが協働し、1つのプロダクトを洗練させる。国境を越えた、なめらかなチーム運営をしています。

一方で、ユーザーの生活や文化は多様です。鈴木はその現場を知るために、米国で「ロードトリップ」という活動を続けています。レンタカーを借りて、アメリカ中を周り、市井の人々、地元の皆さんと話し合い、実際の声を聴くことをしています。アメリカには全国紙がなく、各地方で新聞の方向性や内容がかなり違います。ステレオタイプ的なアメリカ人などいない、多様な考え方、意見がある事を知ることは非常に大切だと捉えています。実際、このロードトリップから得た情報や知見が、プロダクトに反映され、私たちの新たな強みになりつつあります。

ミッションへの共鳴と、逃げずに泥臭くやり遂げる力

どのような社風ですか?コロナ禍のエンゲージメント施策についても教えてください。

「社員がミッションを大切にしている」会社、「イントラパーソナルダイバーシティ」がある会社です。

「イントラパーソナルダイバーシティ」という言葉があります。国籍や性別など目に見える部分の多様性ではなく、様々な経験をした人材が多数いる事の方が更に重要ということです。仕事の世界で言えば、例えば本業以外にも「複数の顔」を持つことです。先ほど、全社員と30分話したと言いましたが、そこで驚いたことの1つが、自著を出版している社員が数多くいたことです。そのほかにも、副業としてワイドショーのコメンテーターをしていたり、音楽活動をしていたりする社員がいます。

イノベーションは、知恵と知恵の新たな組み合わせで生まれるもの。スマートニュースには、そういった知恵を持つ人々が多数います。その人たちが交流し、それぞれの知恵をぶつけ、アイデアを掛け合わせることで、画期的な製品やサービスが生まれるのではないか、と感じています。それぞれの個性、専門性を積極的に仕事で活かしてもらいたい、と私は思うのです。現在は、そのための方法を編み出している最中です。

それから、働く場所、オフィスに対する想いが強くあります。CEOの鈴木は、自らオフィスを設計したくらいです。普段の雑音や食事中の雑談のなかから、多くの新たなアイデアが生まれると考え、社員が同じ場にいること、社内の雑音を聞きながら働くことをとても大切にしています。全社員にランチを提供する社員食堂「SmartKitchen」も、そうした意図に沿って作られました。

 (是非、オフィスに対する想い、コンセプトをつづったこちらの記事をご参照ください。)

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しかし今は、自宅で働く事とオフィスで働く事を上手く組み合わせた新しい働き方を試行錯誤しています。

オンライン上に就業時間中は誰でも入れるビデオ会議の部屋やチャットの場を用意して、少しでも「社内の雑音が聞こえる環境」をつくる工夫をしています。実際、コロナ禍の中、Slack上でのやり取り、社員同士のアイデアから、鈴木も含めて多くのメンバーが関わり、たった2日ほどで「新型コロナウイルスチャンネル」をローンチすることができました。リモートワークでも雑談の場があれば、イノベーションをスピーディーに起こすことが可能なんだと改めて気づかされました。さらに社内でコミュニケーションが活発になり、新たな動きが生まれる、そのための何か工夫できないか、まさにいま考えている最中です。

どんな方を求めていますか?

一言で言うと、「青臭く理想の社会を語り、腹黒く事を成す人」でしょうか。

何度も触れているとおり、「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というミッションに純粋に、共感していただくこと、青臭く周囲に自分の言葉で語れる事が必須の前提条件です。

その上で、私は「逃げずに、やり遂げる力」も大切だと考えています。やはり理想を語るだけではダメで、それを実現するために力を尽くし、ときにはしたたかに行動し、事を成す、結果を出す事も必要です。そういった姿勢を持った方に来ていただきたいと思います。

スマートニュース株式会社

世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける

誰もが発信者となった現代社会において、私たちが日々読むことのできる情報の量は爆発的に増加しています。
一つだけ確かなことは、それらすべての情報を読むことは決してできない、
私たちは読むべき情報とそうでない情報を日々選び取らなければならない、ということです。

そうした環境のなかでも、より多くの人たちが、より良質な情報に出会ってほしい、
さらにそれによって良質な情報の作り手が損をしない社会を作りたい。
その思いで私たちはSmartNewsをつくり、様々な進化を重ねてきました。

世界中の膨大な情報を日夜解析し続けるアルゴリズムと、スマートデバイスに最適化された快適なインターフェースを通じて、SmartNewsは世界中から集めた良質な情報を、一人でも多くの人々に届けていきたいと考えています。

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