INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
A.T. カーニー株式会社 小林 暢子

成長する企業のビジネス戦略 Vol.11

A.T. カーニー株式会社

パートナー

小林 暢子

東京大学大学院相関基礎科学修士課程(物理学専攻)修了。1998年、A.T. カーニー入社。2年間働いたのち、ハーバード大学経営大学院に留学しMBAを取得。その後、大手総合商社米国支社にて事業投資を担当。日本に帰国後、米系投資ファンドのアナリストを経て、2009年にA.T. カーニーに再入社。以降、消費財メーカー、総合商社、外資系企業を中心にコンサルティングに従事。2015年1月より現職。

公開日:2015年4月20日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

コアとなる考えをしっかり持っているからこそ議論ができる

これまでのキャリアについてお聞かせください。

cf_033_02学生時代、私は理学部から修士課程に進み、理論物理の研究を行っていました。研究生活は非常に充実していたのですが、修士課程修了に際して自身のこれからのキャリアを考えたとき、物理の研究を突き詰めるより、ビジネスの世界に飛び込んでみたいと思ったのです。そこでいくつかの企業のインターンシップに参加し、A.T. カーニーに出会いました。

インターンを体験して感じたのは、コンサルティングビジネスは、研究と似ているということです。物理の研究では、理論と実験が両輪となって進んでいきます。こういう事象がある、という事実に対して仮説・理論を立て、それを実験にて検証して、正しいのか、誤りなのかの結果を導きます。逆に実験で面白い結果が出れば、理論的に解明しようとします。それぞれが縄のようにより合わさっていて、理論と実験は「追いつ追われつ」の関係で進歩していくのです。実は、この手法はコンサルティング業界でよく言われる「仮説・検証」の過程とよく似ていて、自分はコンサルティングビジネスとは相性がいいのではないかと感じました。

1998年にA.T. カーニーに入社し、2年程働いたのちにハーバード大学経営大学院に留学しました。理系出身だったため、コンサルタントの必須知識である会計やマーケティングをきちんと学んでこなかったという不全感があったからです。実務の中で補ってきた部分もありましたが、やはりMBAで体系立った確かな知識を取り入れたいと思いました。ハーバードの留学経験者はみなさんおっしゃることですが、やはりハーバードで学んだ仲間たちは優秀でした。学問的に優れているだけではなくて、多方面の才能に秀でた人たちが多く、非常に刺激的でしたね。ただ、その刺激を自分にとっての糧とするには、「自分はこういう人間だ」というコアになるアイデンティティを持っていなければいけないと感じました。授業では発言することが必須です。そのためには、文献を読み込んで理解するだけでなく、もう一歩踏み込んで、経験に照らし合わせた見解や意見を持っていなければなりません。自分の価値観やコアとなる考えをしっかり持っているからこそ議論もできますし、他者と共鳴することもできます。自分が留学したときの反省も込めて申し上げますが、刺激的な環境、優秀な同級生たちに惑わされず、ビジネススクール留学で圧倒的な成長を得るには、留学前に自分のコアな価値観を知り、健全な自信を持って授業に臨むことが必要だと思いますね。

MBAを取得後は、アメリカでハイテク産業のプロダクトマネージャー、日系の大手総合商社での事業投資に携わりました。その後2008年に帰国、アメリカ系投資ファンドのアナリスト職に就きました。投資ファンドでの顧客は株主の方々でしたから、このときに培った投資家の目線は、現在のコンサルタントの仕事にも大いに活きています。

多彩なキャリアを経て、コンサルティング業界に戻られたのはなぜでしょう。

さまざまな職場や立場を経験してきましたが、自らのキャリアを振り返って、自分が一番楽しかったこと、そして周囲からも評価してもらえたことはすべて、最初に経験したコンサルティングビジネスにあったと気づいたからです。この気づきが、私にとってのターニングポイントでした。自分にとってコンサルティングの原点は、お客さまに寄り添って、「こんなふうに考えてみてはどうですか?」「こんなやり方もありますよ」と一緒になって問題を解決していくという部分です。私の仕事への基本的な姿勢やアプローチの仕方は、何もわからず飛び込んだコンサルティング業界で学んだ2年間に凝縮されていたように思います。

コンサルティングの仕事は、やればやっただけすぐに反応がありますし、お客さまにも喜んでいただける。手ごたえが直に感じられるところが合っているのかもしれません。

新卒当時は、無我夢中で目の前の案件にあたっていましたが、キャリアも積みましたし、また違った心持ちでクライアントと会社に貢献できるのではないかと思い、A.T. カーニーに戻ることを決めました。

A.T. カーニーはマラソンにおける伴走者

他社と比較しての御社の特長はどんなところですか?

cf_033_03A.T. カーニーは、世界中に61の拠点を持つグローバルなコンサルティングファームです。日本法人はすでに40年以上の歴史を持ち、幅広い分野で高品質のサービスを提供してきました。特に、現場でお客さまに伴走するコンサルティングスタイルは、A.T. カーニーの特長です。

私はよくオープンキッチンに例えていますが、レストランでもあえて厨房がお客さまから見えるようにして料理をつくっているお店がありますよね。ビジネス戦略もそれと同じで、どんな材料を使って、こんなやり方で作っていくというのを、お客さまにしっかり見ていただきます。あえてその過程を見ていただくことで、料理人である我々コンサルタントにも緊張感が生まれますし、お客さまにはすべてがオープンになっているという安心感を持ってもらうことができます。コンサルタントの仕事ぶりを実際に見ていただくことで、我々の仕事に対する安心感と納得感を持っていただくことにもつながります。

同時に、オープンキッチン形式にすることでもうひとつ意図しているのは、せっかくつくった戦略を「絵に描いた餅」にしないことです。どんなに優れた戦略を立てても、現場でその戦略を実行する人にまで浸透しなければ成果は得られません。我々コンサルタントと、マネジメント層だけで戦略をつくり、最終的な成果物のみを手渡すのでは、人は動かないのです。

一つの例になりますが、お客さまを巻き込みつつ一緒に成果を出すために、お客さまの会社の社員の方にも我々コンサルタントのチームメンバーになっていただくことがあります。この取り組みは、コンサルタントが持つ問題解決の手法や、課題達成の戦略づくりをチーム内で働くうちに身につけてもらい、コンサルタントが去った後にも、その経験を活かして成果を持続・発展させていくことが目標です。コンサルタントがいなくなった後に元どおりになるのでは、我々が介入する意味がありません。

弊社のコンサルタントは、常にお客さまの半歩先を走りながら適切なアドバイスを伝え、問題解決への道を先導する、いわばマラソンにおける伴走者のような存在なのです。

海外拠点とのコラボレーションで新たなニーズに応える

今後は、どのような成長戦略を実行していきますか?

A.T. カーニーは世界中にオフィスを持ち、グローバルにコンサルティング業務を展開しています。その強みを生かし、現在は日本国内と海外の拠点とのコラボレーションをより増やしていこうとしています。

海外の企業にとって、日本は消費財の大きな市場ですが、独特な難しさがあり、どの外資系企業も攻め切れていないという状況がありました。ですが、最近は規制緩和が進んでいることや、政策の影響もあり、再び日本市場に外資系企業の目が向いています。外資系企業がもう一度本気で日本市場に注力しようとしたとき、どんなコンサルティング的支援が必要になってくるのか。A.T. カーニーとしては、グローバルに展開している利点を活かし、日本法人だけでなく、海外拠点で得られた事例や知見も掛け合わせてコンサルティングをしていきたいと考えています。

すでに実例も出てきています。インド拠点には英語が堪能で、ITの分野で非常に優秀なコンサルタントが多くいます。そこで、彼らを日本に連れてきて、共にお客さまの課題解決にあたったのです。英語でのコミュニケーションが懸念材料でしたが、IT業界では問題なく受け入れられ、この起用は成功しました。

このケースのように、まずは日本を含むアジア太平洋の地域内で知識や経験を共有し、相互に連携してお客さまの問題を解決しています。日本国内のお客さまだけでなく、日本市場を開拓しようとする外資系企業のお客さまのニーズにも応えていくことで、A.T. カーニーとしてもさらに成長していく可能性を見出しています。

個人の強みを掛け合わせチームパフォーマンスを最大化

御社で活躍する人はどんな人ですか?

cf_033_04弊社の場合、活躍の仕方は無数にあると思います。成功パターンが一つではなく、それぞれの社員が自分の強みをいくつも掛け合わせて活躍しているからです。例えば私の場合、特に3つの能力を強みにして仕事をしています。一つは、まったく違う分野のもの同士をつなげて考えるという発想のユニークさ。これはコンサルティングの醍醐味でもあるのですが、さまざまな分野にアンテナを張っていると、他の業界での事例がお客さまの業界で革新的な戦略につながることがあります。これまではなかった切り口を提示することができるのは非常に面白いですね。二つめは、コミュニケーション力。お客さまのおっしゃっていることを傾聴し、その行間を読むことを心がけること。そしてコミュニケーションスタイルを各人のスタイルに合わせることが重要です。言葉だけでなく立ち居振る舞いにしても、すべて切り替えるつもりでやっています。最後は実務能力です。優先順位をつけて、大量の仕事を捌いていく力ですね。これができないと、生産性が低くて夜中まで仕事をしても終わらない、なんてことになってしまいますから、複数の案件を抱えているときには特に必要な能力ですね。

これは、あくまでも一例です。社内には、徹底的に分析する人や、お客さまとの信頼関係を築くのが得意な人、ある分野を極めて専門家として名が知れている人など、様々なタイプがいます。また、弊社はメンバー間の仲間意識が強く、損得は抜きにして、仲間が困っていたら手助けする、力になるという風土があります。一人の優秀な人を中心にして周囲が支えるというより、各人が得意分野を生かしながらチームとしてプロジェクトを成功させるスタイルです。さまざまな個性が合わさることでチームとしての集合的な強さは増しますから、チームに貢献する意志があれば、一芸に秀でた人や変わった人も活躍する場がA.T. カーニーには沢山あります。

最後にコンサルティング業界へ興味を持つ方へメッセージをお願いします。

コンサルティング業界は激務のイメージがあって、応募に二の足を踏んでいる方がいらっしゃるかもしれませんが、やり方次第で仕事の仕方は柔軟に変えていくことができます。自分の強みを磨き、得意なことでバリューを出すことができるようになれば、仕事がやりやすくなりますし、自分に自信もついてきます。成果主義の会社ですから、結果が出せるようになれば、昇進して仕事の自由度はさらに上がります。自分の強みが把握できない初めのうちは、上司や同僚がフィードバックをするなどしてサポートします。

また、これは私見ですが、女性の中にはコンサルタントとしてのポテンシャルが高い人が多いのではないかと思います。コミュニケーションや人間関係を作る力は、女性に得意な方が多いですし、お客さまと深い関係をつくっていくことにやりがいを感じられる人であれば、向いていると思います。女性コンサルタントは少数派なので、いい意味で目立ちます。繰り返しになりますが、コンサルタントとしての成功パターンは固定ではなく無数にありますので、やる気のある方にはぜひチャレンジしてほしいですね。

A.T. カーニー株式会社

コアとなる考えをしっかり持っているからこそ議論ができる これまでのキャリアについてお聞かせください。 学生時代、私は理学部から修士課程に進み、理論物理の研究を行っていました。研究生活は非常に充実していたのですが、修士課程...

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