『外資系トップの仕事力』出版記念セミナーレポート
ビジネスパーソンを前に、外資系トップが直接語った
12人の外資系トップの体験的キャリア論をまとめ、大きな話題となっているのが、9月7日に発売された『外資系トップの仕事力―経営プロフェッショナルはいかに自分を磨いたか』。10月14日、その出版記念イベントが、著者であるISSコンサルティングの主催で、六本木ヒルズタワー アカデミーヒルズ49階「オーディトリアム」で開催された。
プログラムは、2部構成。第1部では『外資系トップから未来のビジネスリーダーたちへのメッセージ』として、『外資系トップの仕事力』にも登場している2名の経営者、日本オラクル代表取締役社長 新宅正明氏、ヤンセンファーマ代表取締役社長 関口康氏を招き、キャリア観から外資系企業の魅力、さらにはビジネスリーダーに求められる条件など、経営トップが幅広い内容で持論を展開。また、第2部では、4社の外資系企業の採用責任者を招き、『外資系企業が求めるキャリア人材像とは』というテーマでディスカッションが繰り広げられた。
会場への入場者は、『日経アソシエ』の広告やISSコンサルティングのホームページなどで事前に申し込んだ20代から30代のビジネスパーソンたち。定員の3倍を超える申込者の中から、幸運にも抽選で選ばれた約150名が参加した。第1部、第2部ともに入場者とのQ&Aが用意されていたこともあり、開始直後から参加者の表情は真剣そのもの。食い入るように壇上を見つめる目の光が印象的だった。
第一部
- [登壇者]
- 日本オラクル株式会社 代表取締役社長 新宅 正明 氏
- ヤンセンファーマ株式会社 代表取締役社長 関口 康 氏
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新宅 正明 氏
日本オラクル株式会社 代表取締役社長
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関口 康 氏
ヤンセンファーマ株式会社 代表取締役社長
2人の“世界から選ばれた経営者”の魅力を目の前で体感
セミナー第1部は、『外資系トップの仕事力』に登場する2名の経営者による『外資系トップから未来のビジネスリーダーたちへのメッセージ』。来場者から事前に経営トップ2人に聞いてみたい質問をアンケートで聞いており、その内容をファシリテーターが編集。「なぜ経営トップになれたのか」「経営トップとはどんな仕事なのか」「経営トップに求められるスキルとは」「外資系とは何か」「ビジネスリーダーを目指す人たちへのアドバイス」などを中心に、2人の経営者に語ってもらった。若いビジネスパーソンにとっては、なかなか会うことのできない憧れの“世界から選ばれた経営者”。そこに座っているだけで迫力を感じる2人の姿に、会場のムードは、緊張感に満ちあふれたものとなった。
だが、対する経営者2人は、そんな雰囲気を吹き飛ばすかのように会場を沸かせる本音トークを次々に展開。「経営幹部に抜擢したい人材は、社長のところに活躍の声が届いてくる人材。まずは事業部門を任せてPL/BSを経験させるところから始める」(関口氏)「グローバル企業の経営者は、常に“世界”が視野にある。BRICsは話題になるかなり前から注目をしていたし、最近では優秀な人材を大勢輩出している他の国にも注目をしている。」(新宅氏)など、経営トップがじかに語るリアルな話に、来場者はしきりにメモを走らせていた。インタラクティブQ&Aでは、自身で貫いてきたモットーや、採用時に見る視点などの質問が挙がった。本で読む魅力とはまた異なる、目の前で感じる経営トップの大きな人間的魅力が感じられた1時間半となった。
第二部
- [登壇者]
- P&Gジャパン アソシエイト・マーケティング・ディレクター 伊東 正明氏
- 日本コカ・コーラ 人事バイスプレジデント 芦田 恵美子氏
- GE Money 人事・総務部組織開発ディレクター 瀬戸 まゆ子氏
- マーサー・ヒューマンリソース・コンサルティング 常務取締役 西口 尚宏氏
4社の外資系採用責任者が語った、具体的な入社実例とその後のキャリア
第2部では、『外資系トップの仕事力』に経営トップが登場している4社、P&Gジャパン、日本コカ・コーラ、GE Money、マーサー・ヒューマンリソース・コンサルティングから、採用責任者が登場。『外資系企業が求めるキャリア人材像とは』というテーマで、外資系企業が求める人材像を浮かび上がらせる採用実例紹介とディスカッションが展開された。まず来場者が大きく注目したのが、各社の実際の採用実例の紹介。過去の人材募集について、ひとつの募集職種を取りあげ、具体的な詳しい仕事内容、役割と特徴、同職種他社との違い、会社がそのポジションに向ける期待、どのような経験、人材を求めていて、どのような点を採用で重視したか、など踏み込んで具体例を解説。
また、その募集で採用され入社した人材がどのような業界から来たどんな人物で、入社後にどんな活躍をしたか、どんなキャリアステップに進んだかにも解説は及んだ。即戦力として経験を必要とする企業もあれば、未経験者歓迎という企業もあり、また入社後の活躍についても具体例が聞けるとあって、来場者は熱心に耳を傾けていた。その後は、「コミュニケーション力」「ダイバーシティ」「M&A」「トレーニング」「経営トップになるには」といったキーワードでディスカッション。インタラクティブQ&Aでは、「経営理念の重要性とは」という質問が寄せられた。それぞれの企業の考え方や経験をベースに、外資系企業で求められる人材について深く掘り下げることのできた1時間半となった。
参加者の声
- 第1部 記念パネルへの感想コメント
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- 立場的に自分と離れていても、実際に経営している方の話は落としこめる部分も多く参考になりました。
- 人を動かす力、特に「良い質問」をし、応えさせ、自主性をださせるという点が参考になりました。
- 「トップとして」の話は「上司として」の話として自分でも実行できることもあると思いました。
- 目標設定を行い、いかに周囲を一つの方向にまとめていくか、ということの大切さを感じました。
- 第2部パネルディスカッションへの記念コメント
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- 人材に関する外資系としての意見が参考となった。
- 他社のビジネスの仕方、人事制度、考え方の一端を開けた事、人事コンサルタント会社の人の意見がきけた事が良かった。
- 複数社、あったことにより比較もできて参考になった。
- その他コメント
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- 自分の現状と目標とのギャップを認識する貴重な時間が持てた。今後のとるべきアクションのいくつかのポイントを学ぶことができたと思う。
- また仕事にがんばろうと思ったり、これからの夢にむかってがんばろうと思った。
- 新宅さんのおっしゃっていたとおり、外資系という表現はなんとも昭和的表現だと日々感じていた。本のタイトルもわかり易いながら、今ひとつ魅かれなかったが、内容が興味深く楽しく読めた。本日のセミナーも要点が絞られており、ためになる話を聞くことができた。
- もっとパネルディスカッション(パネラー同志の対話)が聞けるとよかったと思う。
- 採用担当者の生の声が色々と聞けてよかった。
- 外資系という枠に関係なく、世の中で求められる人材は共通であることを再確認できた。
- 大切なポイントは業界問わず絞られるとわかった。ビジネスマンとしてこれから進むにはかなり適性を問われる時代になってくると思うので(誰にもできないという意味で)今後の仕事に対する考え方の参考になった。