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ビジネスをドライブするマーケティング
『Brand Marketing Workshop 第2回』セミナーレポート

ビジネスをドライブするMarketing Brand Marketing Workshop

デジタル化、グローバリゼーション、日本市場の縮小といった外的要因の中、いかに消費者ニーズを掴み、Brand力を増大させ、業績向上に貢献するのか? Brand Marketingについて学ぶ全3回シリーズの本企画、ビジネスをドライブするMarketing:Brand Marketing Workshopの第2回目を、2018年8月1日、Blue Bottle Coffee Japan (合) 中目黒カフェにて 開催いたしました。今回は、参加者全員の方に、クラフトビール醸造所の協力で開発されたコールドブリュー(水出しコーヒー)、手作りジンジャークッキーを味わっていただきながら、心地よい空間の中での開催となりました。

Experienceから
ブランドをつくる

“サードウェーブコーヒー”の最高峰「ブルーボトルコーヒー」
第2回は、Blue Bottle Coffee Japan合同会社 取締役/最高責任者 矢野 健一氏を講師としてお迎えし、セミナー「ブランドのつくり方と罠」、Workshop「Experienceからブランドをつくる」を実施いたしました。ブランド体験について、自らが体験しながら学ぶことが出来る貴重な機会となりました。

Seminarブランドのつくり方と罠

Blue Bottle Coffee Japan合同会社 矢野 健一氏

Blue Bottle Coffee Japan合同会社

取締役/最高責任者

矢野 健一

ブランド体験は「広告」とは違う

今日は、ブルーボトルコーヒーなどのケースを通じて、「ブランド体験」とは何か、その本質はどこにあるか、ブランド体験をどう作ればよいか、その際に陥りやすい罠などについて、お伝えします。

はじめに強調したいのは、「ブランド体験は広告とは違う」ということです。広告では、文字・画像・動画などを使って、CMや製品パッケージなどを制作したり、販売チャネルを考えたり、店頭POPをつくったり、サンプルを配布したりします。最近は、誰かに推薦してもらうことで口コミを増やすバズ・マーケティングも一般的になりました。これらはいわば、2Dのコミュニケーションデザインです。
それに対して、ブランド体験とは、3Dの「実体験デザイン」をして、体験を通してお客様にブランドを好きになってもらう手法です。ただ実は、3Dにも広告的な手法があります。少しややこしいので、実例を使って説明します。

2016年、アサヒビールさんは、氷点下で提供される「アサヒスーパードライ エクストラコールド」のブランディングの一環として、銀座などに「アサヒスーパードライ エクストラコールドBAR」を出店しました。これは、ターゲットやロケーションを考え抜いた素晴らしいブランド体験で、飲み会などの前にちょっと一杯だけ飲む場として、各地で行列になっていました。
対して、広告的な3D手法の場合、たとえば、冷たいビールという商品便益を伝えることを第一に考え、部屋全体が冷たい「アイスバー」を創るといった発想になりがちです。ブランド体験は、こうした広告的な場づくりとは違うのです。ブランド体験では、商品便益を伝えるのではなく、お客様の「共感」を生むことを第一に重視します。その点、エクストラコールドBARは、暑い時期には最初の一杯に冷たいビールが飲みたい、というユーザーの気持ちを掴み、強い共感を得ていました。ブランド体験の成功事例の一つといえるでしょう。

ブランド体験とはブランドと社員の想いを伝えること

ブランド体験で最も大事にしなくてはならないのは、商品便益ではなく、「ブランドの想い」です。では、ブランドの想いとは何か。つまるところ、それは「社員の想い」です。たとえば、ブルーボトルコーヒーなら、創業者ジェームス・フリーマンの想いをスタッフ全員が共有し、全員の想いにしています。その延長線上に、ブランド体験があるのです。ブランド体験を作るということは、ブランドの想い・社員の想いを現実的な形にして、お客様に伝えていくことにほかなりません。

ですから、ブランド体験の場をつくる際には、「差別化・消費者志向・過剰な演出」などは考えすぎないほうがよいでしょう。なぜなら、差別化や消費者志向を気にすると、どうしても小さな商品便益にこだわり、それを過剰に演出していくようになるからです。その方向に進んでも、ブランドの想い・社員の想いは伝わりません。そうではなくて、社員一人ひとりの想いから、自然な形でブランドの個性を抽出していくことが重要なのです。そのためには、社員一人ひとりが自分の想いを理解し、それをきちんと形に落とし込まなくてはなりません。
「一杯のおいしいコーヒーをお客様に提供するために存在している」。ブルーボトルコーヒーの「想い」はシンプルです。この想いのもとに、スタッフが集まってきています。そして、全社員が「デリシャスネス」「ホスピタリティ」「サステナビリティ」という3つのバリューを体現しています。

これは決して簡単なことではありません。たとえば、デリシャスネスを体現するには、コーヒーがカップに入るまでの全工程に詳しくなくてはなりません。どの産地のどの豆は、どういう味なのか? その味を最大限に引き出すのは浅煎りか、深煎りか? どのように挽くのがベストか? どうブレンドすべきか? お湯の温度はどのくらいがよいか? ミルクは入れたほうがおいしいか? そうしたことに精通しなくてはならないのです。そのため、私たちは新しい豆を仕入れるたびに、全社員がどういった特徴の豆かをシェアし、誰でもいつでもお客様に説明できる体制を取っています。

バリスタが気持ちよく働けるお店になっている

では、ブルーボトルコーヒーのブランド体験を具体的に説明していきましょう。

私たちは、「一杯のおいしいコーヒーをお客様に提供するために存在している」という想いをベースに、一杯のコーヒーを楽しんでもらうために必要なもの、つまり「ホスピタリティ・空間デザイン・商品・発明・ストーリー」をすべて揃えています。逆に言えば、それ以外のものは一切をカフェから省いています。
第一号店は、都心ではなく、清澄白河につくりました。なぜなら、アメリカの本社があるカリフォルニア州オークランドの環境に似ているからです。ジェームス・フリーマンが、空が高く、穏やかで、温もりのあるこの土地なら、きっと皆さんにおいしいコーヒーを飲んでもらえると思ったのです。その他の店舗も、それぞれ特徴のある「引き算の空間デザイン」をしています。三軒茶屋カフェはもともとの古い建物を活かしたデザインになっていますし、京都カフェは京町家を、その間取りを活かしながら改装しています。

また、店舗デザインでブルーボトルらしいのは、バリスタを大事にしていることです。バリスタが快適に働ける環境を用意することが、おいしいコーヒーをサーブする上で極めて重要だと考えているからです。たとえば、青山カフェは、実はバリスタのいるバーカウンターから、外の木々が最も美しく見える設計になっています。バリスタが気持ちよく働けるお店なのです。
それから、私たちは、どんなに行列ができていても、一人ひとりのお客様に時間をかけてコーヒーを説明し、お客様に合った一杯を提案することを大事にしています。コーヒーを深く理解して飲んでいただくことが、おいしさにつながると信じているからです。

そのほか、周辺の地域との関わりを大事にしていて、近くの小学生たちにロースターを体験していただいたり、近所のファーマーズマーケットに参加したりもしています。さらに、フードがすべて自分たちの手作りというのも、ブルーボトルらしい点だと思います。一方、私たちは生産者を大切にすることも忘れていません。生産者の利益とサステナビリティを考えて、普通は捨ててしまうコーヒーチェリー(実の部分)を「カスカラフィズ」というドリンクにして提供しています。

WorkshopExperienceからブランドをつくる

Workshopで取り組んでいただきたいテーマについて、矢野氏から説明をいただきました。 「このたび、ブルーボトルコーヒーでは、缶コーヒー「ブルーボトルコーヒー コールドブリュー」を発売しました。容量は236mlで、価格は600円。現在はブルーボトルコーヒーのカフェのみで販売しています。この商品を、どのような体験ポイントに配置し、どのような体験を乗せていくのがよいでしょうか? 缶コーヒーをつくった想いも含めて、皆さんにゼロベースで考えていただけたらと思います。」 参加者は、チームになり、プランを考えました。その後、各チームで考えたことを共有発表。発表後は、矢野氏、エリアリーダー岩波氏から、プランに対するFeedbackとアドバイスを、とても丁寧に分かりやすくいただきました。

そして最後に、矢野氏より、マーケティング4.0「自己実現を目指すマーケティング」になってきているとのお話、本日のまとめをいただきました。まとめ3点:「3Dマーケターになる」「まずは自分の感性を磨く」「企業の理念や価値観を軸に社員一丸となりブランド体験をつくる」

Exchange meeting交流会(名刺交換・Q&A)

セミナー、ワークショップ後、短い時間ではございますが名刺交換、講師矢野氏に直接質問できる時間を設けさせていただきました。他社・他業界で活躍される参加者の方々との交流の場としてもご活用いただき、ご歓談いただきました。

参加者の皆様からいただいた
コメント(一部)

  • 異業種のブランディングの話を聞くのが新鮮であり、活用できる考え方でもあり、大変興味深かった。何より楽しかったです。
  • もっと深くセッションする時間が欲しい!と思えるほど、楽しかったです。
  • 議論とワークショップの時間や内容のバランスがよかったです。ブランド立上げのヒストリーやビジネス戦略等をよりリッチにお聞きしたかったです。
  • 矢野社長のお話が大変分かりやすく、たくさんの事例からイメージがしやすかったです。
  • 差別化よりも、自分の想いが大切という言葉に感銘を受けた。
  • ワークショップそのものがすごく勉強になりました。マーケティングの基礎知識が不足していると改めて実感できたので、この機会に再度勉強していきたいと思います。
  • ブランド体験、3Dマーケターのお話が大変参考になりました。実務で活用できるように努力したいと思います。
  • ブランド体験の考え方の基本と実例が分かりやすかった。異業界のマーケターと議論できる場は刺激的。

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