第1回Health×Beauty
新ブランドの新規事業プランの創造
ビューティービジネスのグローバルリーダー、日本ロレアル株式会社 アクティブ コスメティックス事業部 事業部長 楠田倫子氏を講師としてお迎えし、セミナー「ロレアルのBrand Marketing事業戦略」、Workshop「敏感肌スキンケアブランドの日本導入プランの策定」を実施いたしました。楠田氏の他にも、日本ロレアル株式会社にてMarketing Director、Managerとしてご活躍の複数名の方々にご参加いただき、とても贅沢な会となりました。皆様にはWorkshop Facilitatorとしてご活躍いただき、Brand Marketingについて体験しながら学ぶことが出来る貴重な機会となりました。

SeminarロレアルのBrand Marketing事業戦略

日本ロレアル株式会社
アクティブ コスメティックス事業部
事業部長
楠田 倫子氏
ロレアルは「感性=右脳」も「サイエンス=左脳」も大切にする
日本ロレアルの楠田と申します。私が新卒で富士銀行(現みずほ銀行)に入ったのは、雇用機会均等法が施行されて2年目のことで、女性総合職として入りました。3年弱働いた後、憧れていた海外留学をしようと思い立ち、コロンビア大学ビジネススクールへ。帰国して、ワーナー・ランバート(現ファイザー)に入社し、女性用カミソリなどのマーケティングを5年ほど担当した後、より自分に身近な商材を扱いたいと思って、1999年にロレアルに入社しました。美容室流通のプロフェッショナル用製品の部門に合計10年ほど在籍し、マーケティングや製品開発に関わった後、シュウ ウエムラの美容室用化粧品を扱う部門の事業部長、百貨店流通のリテールビジネスを行うリュクス事業本部 本部長を経て、2015年からアクティブ コスメティックス事業部の事業部長をしています。このビジネスに関しては、後ほど詳しく説明します。
次に、ロレアルという会社を簡単に説明したいと思います。ロレアルは世界No.1のビューティープレイヤーであり、世界の化粧品業界のリーダーです。グローバルに90000人近くの社員がおり、258億ユーロ(約3兆円・2016年度連結)の売上を上げていて、業界ではかなり利益率の高い会社です。「美」という普遍的な人類の想いに向き合うビューティー専業の会社ですが、一方で美の多面性を重視し、各国の消費者理解や文化理解にエネルギーを割く点にも特徴があります。美を「感性=右脳」で捉えるのはもちろんのこと、化学者が創設した会社らしく「サイエンス=左脳」で美を理解しようとする意志も強く、研究開発に多大な投資を行っていることでも知られています。その成果の1つとして、毎年、世界で500前後の特許を申請し続けています。また、デジタルでも業界の先陣を切っており、すでにECの売上が約20億ユーロ(約2600億円)に達しています。さらに、産業廃棄物の削減や女性活躍推進にも力を入れており、サステナビリティのイニシアチブも取っています。
医師のバックアップを得られないなかで新ブランドをどう売り出すか
耳にしたことのある方も多いと思いますが、現代は「VUCA(不安定さ・不確実性・複雑性・曖昧性)」の時代です。ビューティー業界も例外ではなく、テクノロジーの進化、地球環境の変化、消費者の好みや流行などに応じて、大きな変容を迫られています。ただ、裏返してみれば、これは大きなビジネスチャンスでもあります。そのチャンスの1つが、私が携わるアクティブ コスメティックス事業です。アクティブ コスメティックス事業とは、いわゆる「ヘルス×ビューティー」の領域で、具体的に言えば、乾燥肌やニキビ、湿疹などに対応する「ヘルシア・スキンケア」、より医療に近い「メディカル・エンドースメント」、天然成分にこだわる「オーガニック・スキンケア」などを扱うビジネスです。成長著しいビジネス領域で、これは本当に珍しいことなのですが、アジアでもヨーロッパでもアメリカでも一様に伸びているのが大きな特徴です。
なぜこれほど伸びているのかといえば、世界中で都市人口と中産階級人口が増え、健康やサステナビリティにより関心のある層が厚くなってきているからです。また、日本が典型的ですが、高齢化が進んだことで、「ヘルス×ビューティー」に注目する人が増えていることも大きな理由に挙げられます。おそらく今後も、ヘルス×ビューティーに向かう波は小さくならないでしょう。私たちにとっては、ここに大きなビジネスチャンスがあると考えています。
私たちがいま日本で展開しているのは、「ラ ロッシュ ポゼ」の1ブランドだけです。セレン(セラニウム)を豊富に含む、世界的に知られたフランス ラ ロッシュ ポゼ村の湧水を配合した製品群で、世界25,000以上の皮膚科医が採用する敏感肌のためのスキンケアブランドです。おかげさまで、ラ ロッシュ ポゼは日本でも好評を得ているのですが、価格帯が少々高めなので、より求めやすいブランドをもう1つ新たに導入したいと考えています。
ただ、新しいスキンケアブランドの導入には、実は1点、大きな問題があります。日本の場合、薬事法によって、化粧品は医療従事者の推奨を受けてはならないと決まっているのです。また、広告で化粧品の薬効を謳ったり、薬効に関するデータを掲載したりしてもいけません。さらに、化粧品は医師が保険診療で販売することができません。アメリカでは、新ブランドは全国湿疹協会と医師の強い推奨のもとで成功を収めているのですが、日本では、同じようにはできません。そうした大きな制約があるなかで、どのチャネルで、どのようなコミュニケーションで売り出していくのがよいのか? つづいてのワークショップでは、そのマーケティング戦略を考えていただけたらと思います。

Workshop敏感肌スキンケアブランドの日本導入プランの策定
「ロレアルの成長を支えている要因の一つに、巧みなブランドポートフォリオマネジメントがあげられます。昨年新たにロレアルグループ傘下となった敏感肌スキンケアブランドの日本導入プランを考えて頂きます。Health x Beautyのクロスオーバーは世界的に台頭の著しいビューティートレンドです。日本における今後の展望を創造してみましょう。」という楠田氏からのワークショップ説明の後、参加者は、チームになり、プラン策定を考えました。
Group Workshop後は、各チームで考えたことを共有発表しました。発表後は、楠田氏、Workshop Facilitatorを勤めていただいたMarketing Director/Managerの皆様から、プランに対するFeedbackとアドバイスを、とても丁寧に分かりやすくいただきました。




Exchange meeting交流会
セミナー、ワークショップ後、短い時間ではございますが交流会を開催いたしました。ゲストの方々との意見交換はもちろん、他社・他業界で活躍される参加者の方々との交流の場としてもご活用いただき、ご歓談いただきました。軽食・飲み物も少しご用意させていただきました。笑顔あふれる空間となりました。

《 参加者の皆様からいただいた
コメント(一部)》
- ●戦略を全く違う企業の方々と考えるというのはとても刺激的でした。様々な意見を聞けてよかった。
- ●ケースステディが楽しく、もっとPlanを練っていく時間が欲しくなるほどでした。
- ●実践型で楽しかったです。意見を出し合うことの大事さを改めて感じました。
- ●ワークショップ、アドバイスつきが、とても勉強(実践)になりよかったです。
- ●実際に社員の方から、考えた案に対して意見を頂けたのが良かったです。
- ●Feedbackをがっつりしていただけて大変満足です。
- ●消費財のマーケティングの考え方に興味があり来ました。一端がかいまみれて、楽しかったです。
- ●国・場所等異なることで、様々なことを考慮し”美”を追求する、ロレアルの日本での事業戦略が聞けて面白かった。
《 その他のセミナーレポート 》
- ●『デジタルヘルスケアの経営戦略』セミナーレポート
- ●『デジタル変革がもたらす未来のライフスタイル』セミナーレポート
- ●『GAISHIKEI LEADERS』ワークショップレポート
- ●デジタル変革期におけるリーディングカンパニーの経営戦略セミナーレポート
- ●『外資系トップの思考力』出版記念セミナーレポート
- ●『ビジネスをドライブするFinance』
- ●『第2回 ブランドからみえるマーケティング戦略』
- ●『外資系トップの経営塾 マーケティングケーススタディ』
- ●『ブランドからみえるマーケティング戦略』
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- ●『外資系トップの仕事力』出版記念セミナー』