INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
日本テキサス・インスツルメンツ合同会社 鶴見 順子

グローバル企業人事が語る PHILOSOPHY Vol.03

日本テキサス・インスツルメンツ合同会社

1930年アメリカ・テキサス州で石油探査会社からスタートし、70年以上にわたって半導体で世界をリードし続けてきたトップランナー。1950年に世界初のシリコン型トランジスタを製品化し、1954年にI.D.E.A.社と共同でトランジスタラジオを開発。1958年には集積回路を、1967年に携帯型IC電卓を発明し、1973年にマイクロコントローラの特許を取得した。現在は、アナログ半導体のグローバル最大手企業として世界に15 の製造拠点を置き、100,000 社を上回る企業向けに、約 80,000 種類の製品、毎年数百億個のチップを製造している。日本テキサス・インスツルメンツ合同会社(日本TI)は1968年に設立。日本国内にも半導体製品を製造する2つの工場がある。

鶴見 順子人事本部 本部長

大学卒業後、製造業で経理を経験。2003年GEに入社して、経理から人事へ異動。以降、ノキア シーメンス ネットワークス(現:ノキアソリューションズ&ネットワークス)、ジェンパクト、ウォルマート・ジャパン/西友(現:西友)などで人事マネジメント職を歴任。2021年より現職。



公開日:2022年10月11日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

philosophy03_02今の時代には最前線でサポートするHRの専門家が欠かせない

鶴見さんのご経歴、人事の変化をどう見ているか、教えてください。

私の最初のキャリアはファイナンスでしたが、2003年にGEに転職し、メンターであった人事の方に憧れてHRに移りました。それ以来、人事一筋です。人事は「正解が一つではない」ところが気に入っています。最初の業務はC&B(報酬・福利厚生)でしたが、給与の裏側に人事ストーリーが流れていることを知ることもでき、今振り返ると、最初にC&B、人事の基礎をしっかりと経験できてよかったです。

その後、COE(センターオブエクセレンス*)とHRビジネスパートナー(HRBP)と両方の経験を積んでいきました。中でも私にとって大きかったのは、2017年から4年間在籍したウォルマート・ジャパン/西友(現:西友)での経験です。私は西友のHRBP第一号として入社し、約600名の社員を担当しながら、タレントマネジメント(人材開発、人材育成)チームをゼロから立ち上げ、人材育成プログラムもチームで手作りし、COE体制を変革していきました。(*COE:報酬、制度、採用、能力開発等の各分野の人事の実務専門家を集めた組織)

私が入社するまで専任のHRBPがおらず人事体制も異なっていたため、ビジネスリーダーの皆さんにHRBPやCOEの存在価値を理解してもらうまでは大変でした。細かなサポートやアドバイスを積み重ねて少しずつ信頼を得ていき、人事戦略を一緒に考えるパートナーとなっていきました。最終的には、ビジネスリーダーが人事に相談できる文化を醸成し、ビジネス戦略と人事戦略の橋渡し役ができる人事体制が出来上がったのでは、と感じています。

このように最前線でHRBPがビジネスをサポートし、COEが専門分野のサポートをしっかり行う体制が求められている背景には、今の時代が先行き不透明で将来予測が困難な時代、「VUCA時代(Volatility変動性・Uncertainty不確実性・Complexity複雑性・Ambiguity曖昧性)」であるからでしょう。「VUCA」時代には、社員一人ひとりに求められるレベルが非常に高くなり、アジャイルに自ら考えて行動しないと、ビジネスがうまくいきません。だからこそ、現場の最前線でサポートするHRBPと共に、COEファンクションがより専門的なサポート、アドバイスをビジネスに行う体制が有効であると思います。テキサス・インスツルメンツでは、それをグローバルなマトリックス体制で実施し、グローバルスタンダードを適用しながら、各国のベストプラクティスや意見を取り入れることで、よいシナジーを生む結果につながっています。

なぜ日本テキサス・インスツルメンツ(TI)に転職したのですか?

私はウォルマートカルチャーが好きで、できることなら次も考え方が合う会社に勤めたい、という気持ちがありました。業界よりも何よりも、カルチャーフィットを最優先したのです。その結果として出会ったのが、アナログ半導体の世界最大手企業TIでした。

入社前に10名ほどの方と面接しました。特に気になっていたのが、直接対峙することになる日本TIのビジネスリーダーの考え方でした。そうしたら、面接したビジネスリーダーがまさに自らバリューを実践している人たちで、自社カルチャーに対する意識が大変高かったのです。彼らとなら一緒に良い仕事ができる。そう感じたことが、最終的に入社を後押ししました。

 

philosophy03_03日本独自の「Winning Culture(ウィニングカルチャー)」で攻めに転じる

TIのPHILOSOPHYを教えてください。

TIの中核にあるのは、半導体によって電子、電化製品をより手ごろに入手できるようにし、より良い社会を作り上げるという熱意です。この熱意を継続的に現実にするために、以下の3つの目標を掲げています。「会社を所有するオーナーと同等の立場で行動する」「絶えず変化を続ける世界に適応し、成功する」「社員であることを誇りに思える会社に、地域の隣人として望ましい会社であることを目指す」です。

さらに、5つのバリュー(組織内で大切にする価値観)があります。「Trustworthy(信頼される)」「Inclusive(受容的)」「Innovative(革新的)」「Competitive(競争力)」「Results-oriented(結果重視)」の5つです。私たちはこのバリューを極めて重視しています。

まず何よりも「Trustworthy」を重視します。社員同士の信頼関係が組織の土台であり、ステークホルダーやパートナーとの信頼関係がビジネスの土台だからです。また、組織がフラットで透明性が高く、全員の意見が尊重される点は「Inclusive」です。TIには好奇心旺盛なエンジニアが多数在籍しており、彼らが「Innovative」な力を発揮しています。人事やファイナンスも、新たな価値を生み出すためには好奇心が必要です。それから、私たちは一貫してパフォーマンス重視の「Results-oriented」であり、日本法人の設立当初から年功序列はありませんでした。

「Competitive」は、今私たちが最も注力するバリューです。特に市場での競争力を高めるために、営業部が中心となって2021年に日本独自の指針「Winning culture」をつくり上げました。Winning cultureはバリューを補完する、より具体的な取り組みでマインドセットや振る舞いなどの共通課題を掲げ、現状を認識し、原因を突き止め、具体的な改善方法を考え実行します。目指すのは、お客さまと対等なビジネスパートナーになること、開発チームをはじめ社内の結束力を強化すること、現状に甘んじないように一人ひとりがカンファタブル・ゾーンから抜け出すことです。

「Winning Culture」をつくるに至った背景を教えてください。

TIはアナログ半導体の世界最大手企業ですが、実は日本市場の開拓は道半ばで、まだまだいくつものオポチュニティがあります。たとえば、TIは他国では車載用アナログ半導体を強力に推進しており、世界全体の売上の半分以上が車載用になっているくらいなのですが、日本ではまだまだ自動車市場の開拓の余地があります。ご存知の通り、日本の自動車業界市場は極めて大きくやりがいがあります。さらにTIは現在、グローバルで大規模開発投資を行っており、2023年には大量の半導体を流通させることが可能になります。そのタイミングを目指して、日本市場での攻勢を強めたい、という思いがあります。

日本市場を攻略するためには、営業部のマインドセットと行動を変えることが欠かせない、と私たちは考えました。諦めない営業組織、違う視点で考えられる営業組織を作ることで、攻めに転じたい。そのために用意したのが「Winning culture」です。実際、「Winning culture」によって、売上トップを目指す意欲は明らかに高まりました。最終ゴールは、日本市場でこれまで以上に積極的に大きなシェアを取っていくことです。

TIの強み・特徴を教えてください。

私たちの最大の強みは、「グローバルスタンダード」です。TIなら、世界中のどこでも同じ品質の半導体ソリューションを提供できる。これはお客さまにとって大きなメリットです。また私たちは、どのお客さまに対しても、必ずUS開発チームと連携して、より良いソリューションを提供します。全てグローバルで対応するのです。さらに言えば、TI全体の中でも非常に生産能力の高い日本の2工場で製造する製品も世界に向けて販売しています。いずれにしても、私たちのソリューションはいつも世界とつながっています。これが大きな特徴であり強みです。

なお、私たちは2021年からグローバルで「直販営業」を強化しています。直販のほうが私たちの戦略をお客さまにより伝えやすく、お客さまのご要望もより詳細に理解でき、より最適な提案ができるからです。

 

philosophy03_04いろいろな人の意見を取り入れながら物事が決まる社風

組織の特徴を教えてください。

誰もがしっかりと自分の意見を持ち、主張する文化があります。たとえマネジメントの意見であっても、皆の理解を得るためには納得のいく説明が必要です。トップダウンではなく、マトリックスでいろいろな人の意見を取り入れながら物事が決まる社風なのです。部門間などのアラインメント(調整)も丁寧に行います。バリューで言えば、「Trustworthy」や「Inclusive」が組織の特徴につながっています。

教育や人材育成に莫大な投資を行っている会社でもあり、英語トレーニング、リーダーシップトレーニング、技術研修などをはじめ、若手からミドルまで全社員に向けた質の高い研修プログラムを用意しています。また、リーダー育成プログラムも若手の育成を加速化させるリーダーシッププログラムから、D&Iの観点から練られているプログラム等々多くあります。特徴的であるのは、どれもグローバル共通な運営が行われており、リーダーシッププログラムなどはグローバルのシニアリーダーへのエクスポージャーの機会がしっかりと設けられている点です。もちろん、ローカルにおける細かなサポートも同時に実施しています。また、皆さんに最大限のパフォーマンスを発揮いただきたいため、新しい人事制度を積極的に取り入れる会社でもあり、たとえばコア無しスーパーフレックスタイム制、在宅勤務制度、雇用継続制度などをいち早く導入してきました。

採用にも特徴があります。外資系企業としては珍しく、新卒採用が80%、中途採用が20%で、中途採用は本当に必要なときに行います。新卒の新人たちに手厚いトレーニングを提供して、真のTIerに育て上げていく方針なのです。コロナ禍以前は、営業部の新人は必ず3カ月、アメリカ等へ研修に行っていました。対して、HRやファイナンスなどの部署は、新人の2年ほどのうちに2~3度の部門内ローテションを行い育成します。HRなら、HRビジネスパートナー・報酬や制度、オペレーション、採用部門を2年間で経験するような感じです。

TIの新人たちは総じて優秀です。人事部の例を挙げると、今入社1~2年目の社員は全員が勉強熱心で、分からないことは周囲に積極的に聞く姿勢があります。自分の仕事以外にも果敢にチャレンジしており、最近は彼らの目線から考えた面白いアイデアを提案してくるようになりました。正直なところ、私はこんな環境でのびのびチャレンジできるTIの新人たちが羨ましい。私も新卒でTIに入りたかったと感じています。

なお、コロナ禍ではリモートワークを推奨していましたが、現在は「back to office」を推進しており、出社比率は50~60%ほどになっています。もちろん、オンラインで働く効率性や良さもありますが、それ以上に、対面で話し合うことを重視したい、と考えています。

どんな方を求めていますか?

中途入社で新たに入ってくる皆さんには、次の4点を求めます。1点目は「変化を楽しみ、変化をいとわないこと」です。私たちは今アナログ半導体の世界No.1ですが、だからといって、このままでいつまでも勝てるとは全く思っていません。私たちは変わり続けます。その変化をリードするような仲間に来ていただけたら嬉しいです。

2点目は「コラボレーションできること」です。他者・他社とのコラボレーションの機会がどんどん増えています。それに向き合っていける方を求めます。3点目は「好奇心」です。エンジニアはもちろん、エンジニア以外でも好奇心旺盛な方を求めています。 

4点目は「エシックス(倫理)意識」です。私たちが言うエシックスとは、「Trustworthy」「Inclusive」「Innovative」「Competitive」「Results-oriented」の5つのバリューを実践することです。つまり、バリューに共感し、バリューを積極的に実践していただける方を求めています。

加えて能力的なことを言えば、TI社員の英語力レベルは極めて高く、ネイティブに近い英語を使いこなす社員が大勢います。エンジニアなら、英語文献をすらすら読みこなす人が比較的多いです。ですから、中途入社の方にも相応の英語力が求められます。ただし英語力に関しては、入社後に学ぶ意欲があれば、現時点で不足していても大丈夫です。TIでは、英語プログラムをはじめ学ぶ機会が非常に充実しています。

Photo by ikuko
Text by 米川青馬
Edit by ISSコンサルティング

日本テキサス・インスツルメンツ合同会社

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