INTERVIEW
企業インタビュー

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デュポン株式会社 天羽 稔

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デュポン株式会社

代表取締役社長

天羽 稔

デュポン株式会社 代表取締役社長
1951年、徳島県生まれ。ワシントン州立大学工学部修士課程卒業。79年、デュポンファーイースト日本支社(デュポンジャパンリミテッドを経て現デュポン)入社。94年、エンジニアリングポリマー事業部長。99年、東レ・デュポン取締役。2000年、デュポン取締役。2001年、エンジニアリングポリマー事業部アジア太平洋地域リージョナルマーケティングディレクター。2002年、常務取締役。2004年、専務取締役。2005年、取締役副社長。 2006年9月より現職。

公開日:2009年1月8日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

お客さまが困っているとき、本当に「最善」の提案ができるかどうかが問われる。

アメリカの大学を出られて、デュポンにお入りになったんですね?

id_08_01実は入社してから5年間は、いつもポケットに辞表を入れていました。アメリカの大学院で機械を学んでからデュポンの日本支社に入って、日本に帰ってきたんですが、その選択が正しかったのか、よくわからなくて。当時はまだ100人ほどの小所帯。正直言って、ずっとここにはいないだろうな、と思っていました。技術営業的な仕事に対して、両親からはセールスマンをやるためにわざわざアメリカに行ったのか、なんてことも言われて。もし、イヤだなと思うようになったら、いつでもアメリカの大学に戻って、博士号を取るつもりだったんです。

ところが、だんだんと面白くなっていったたんですよ。いい人に出会えて、常に刺激のある仕事もさせてもらえて。気がついたら、5年、10年と経ってた。僕は新製品を日本でスタートさせて、工場を作り、組織をどんどん大きくしていく、という仕事を経験できたんです。デュポンは、素材そのものを売ることが多かった。でも、僕はそれを部品にして、お客さまに買っていただいた。完成品を売るというのは、デュポンでは珍しかったんですが、僕には違和感はなかった。機械を学んでいたからです。機械の図面が全部、読める。だから、お客さまに図面を見せてもらうと、この素材でこういう部品を作っちゃえばいんじゃないですか、と提案ができる。それこそ当時は、お客さまが若い設計の人なら、絶対に僕のほうがよくわかっているという自負がありました。

ずいぶん成果を挙げられたそうですが、なぜ、それができたのでしょう?

コンサルティング営業というのかな、そういう仕事を常に心がけていました。この場合は他社の製品を使ったほうがいいと思ったときは、他社製品を勧めていました。もちろん、デュポンの製品を買ってほしいとは思います。でも、お客さまだっていずれわかるわけですよ、本当はどっちが良かったか。僕は、お客さまに心からいいものを提案したかったんです。実際、そういう意識を持たないと、ビジネスは長続きしないんです。

ビジネスというのは基本的に、お客さまが困っているときに、いかに最善の提案ができるか、ということ。最善の、ですよ。今も昔も、僕はずっとこれを言い続けているんです。でもね、こういうコンサルティング型の営業も、僕が自分で編み出したわけじゃない。当時の本社の上司が、うまいセットアップをしてくれたんです。アメリカでコンサルティング的な形でビジネスをしている先輩の下に、僕を入れてくれた。お客さまのところにその先輩と一緒に行くわけですから、こういうものが仕事なのか、と僕にはわかる。そして、もっとこうしよう、ああしよう、と僕の中のロールモデルができた。理想の形ができて、それを推し進めていった。だから、成果を出せたんだと思います。

社長になられてからは、どんなことを意識していらっしゃいますか?

僕が幸運だと思うのは、とにかくいろんなことを教えてくれた、たくさんの人に出会えたことです。会社に入って、いろんなビジネスを体験したけれど、一人でできたわけではない。バックアップしてくれた、たくさんの人がいてくれたからできたんです。それまでにも人生の瞬間、瞬間で、いろんな形で、僕はいい人に出会えている。だから、結果的に今があるんだと思うんです。

今、気をつけているのは、社員と目線を同じにすることですね。少人数のチームを組んでもらって、よく飲みにも行きます。社員は社長に何をしてもらいたいかを、ちゃんと知っておきたいから。カリスマ的な完璧な経営者になるのも、ひとつの方法かもしれない。でも、脇をあける、っていうのかな。そういうほうが、僕は好きですね。だから直接、社員から聞きたいんですよ。

仕事って、ジグゾーパズルのようなものだと僕は思っています。いろんなピースがあって、ようやく絵が出来上がる。そして社長というのも、全体の絵の中での一個のピースです。だから、同じ目線でいないと隣のピースは見つからないでしょ。何より大事なことは、すばやく正確に、パズルを完成させることなんだから。

ノーからではなく、イエスから始まる人は大きなポテンシャルを秘めている。

若い読者にキャリアづくりのアドバイスをいただけますでしょうか。

id_08_02大事なことは、自分が置かれた立場の中で自分なりにベストを尽くすということです。僕はそれだけを心がけてきました。次のチャレンジのステージに進んでも同じです。自分に何ができるかを考える。相手が外国人になっても変わらない。

それは言葉を変えれば、実は今やっている仕事をどのくらい楽しめるか、ということだと思うんです。“Have fun!”。僕はよく会議の後に言います。それで、もし楽しくなかった場合には、自分で“Why? ”を投げかけてみる。そして理由がわかったときには、自分で選択をする。

注意しなければならないのは、“Have fun! ”と自分に言い聞かせる前から “Why? ”と考えてしまうことなんです。自分がそれまでに思い描いたものより、どうもこの仕事はかなりしんどいんじゃないか、などと考えてしまう。でも、そういうのはしんどさとは実は違ったりするんです。そもそも仕事は大変なものですからね。大変なものを乗り越えたところに、大きな醍醐味があるわけじゃないですか。だから、まずは“Have fun! ”なんですよ。それでもダメだったときに、“Why? ”をやる。

ここで意外に大事なのが、上司とのコミュニケーションなんです。上司としっかりコミュニケーションができていれば、「ああ、上司はちゃんとわかってくれているんだ」という気持ちになれる。そうなるだけで、ずいぶん頑張れるものなんです。

いろんな人と接する時にも、“Have fun! ”の姿勢を持つことです。

仕事ができる部下と、そうでない部下を分けるのも、その人の気持ちなんでしょうか?

そうですね。志というか、夢というか、こうしたい、こんなふうにやりたい、こんなやり方をしてみたい、という気持ちがしっかりあることはとても大事です。そして、それを外に出していくことです。

これは社内に向けてもそうだし、社外に向けてもそう。お客さまに次の希望を持っていただけるような意識を常に持っている人は、いい仕事をしますよね。原点は自分にあるんです。仕事は会社がやるんじゃなくて、自分がやるんだ、という気持ちですね。それを相手に伝えていく。将来、このお客さまとどういう関係になりたいか、こちらのビジネスの取り組み方を知ってもらう。そういうことを真摯に進めると、お客さまも理解してくださる。やっぱり最後は、人対人なんです。思いがあれば、それはちゃんと伝わるんです。

逆に、こういうことを言う人がいますね。「こんなことできるわけがない」と。そうじゃなくて、「まずはやってみよう」と考えるべきなんです。「できるのはここまでかもしれないけれど」でもいいんです。ノーからじゃなくて、イエスから始まる。そういう人は大きなポテンシャルを秘めていると思うし、そういう人が集まる文化を持っている企業は、とても強いと思います。

いずれはトップを目指したい、という読者にメッセージをお願いします。

僕が考えていたのは、目の前にある仕事にベストを尽くすことだけでした。一生懸命やれば、結果は何らかの形で出てきますから。それだけですね。

社長になってうれしいと思ったことがあります。それは、生え抜きの日本人が社長になったという実績を残せたことです。これがあれば、僕の後任はここからスタートできる。新しい形を作れたんです。

ときどき外資系というと、本社は海外だからやれることは限られる、なんて言う人がいますね。でもね、そんなことはないんです。一番大事なことは、自分たちがどうしたいか、なんです。日本のデュポンだって、自分たちで作るんです。すでに形があるんじゃない。これまでも自分たちで作ってきたし、これからも自分たちで作っていくんです。

ありがとうございました。

(書籍では、天羽氏に関するさらに詳しい内容を掲載しています)

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