INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
株式会社ケリング ジャパン 三浦 央稔

人事×経営 〜人事戦略を語る Vol.38

株式会社ケリング ジャパン

人事ディレクター

三浦 央稔

1996年立教大学卒業。東京スタイル(現:TSIホールディングス)、製薬メーカーを経て、2006年にリシュモン ジャパン入社。モンブラン担当のHRマネージャー、ヴァン クリーフ&アーペル担当のHRマネージャーを経験後、2012年人事本部次長。2016年ケリング ジャパンに入社し現職。

公開日:2019年10月3日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

「思い立ったが吉日」のスピード感に共感

ケリング ジャパンに入社するまでのご経歴を教えて下さい。

hr39_02大学を卒業して、最初に入ったのが東京スタイル(現:TSIホールディングス)という老舗の日系アパレル会社でした。少し百貨店営業を経験した後、間もなく人事に異動となります。当時の営業部長に推薦頂いたことがきっかけですが、結果的にそれから20年以上、一貫して人事の仕事をしています。私は、特に若い頃は自身のキャリアに関する考えが整理できていたわけではありません。その分「ときに周囲のアドバイスを素直に聴き、目の前の仕事に向き合うことで、可能性が広がることがある」ということを、身を持って感じています。人事部では、人事企画担当として、新任ながら制度の立案や運用、労務対応等中核的な仕事を経営に近いところで経験でき、これらを通じ会社における人事の役割を、自分なりに理解し始めました。また、同社では入社前に雪山でモーレツ研修に参加したり、新入社員は全寮制だったりと、規律性が重んじられる風土で、今の感覚では馴染まない事もあると思いますが、会社人としてのベースはここで鍛えて頂いたと思います。

東京スタイルで7年ほど人事を経験した後、日系製薬メーカーに移りました。採用・研修・給与など、前社では経験していない分野に携わり、人事の主だったファンクションを一回りすることができました。働きはじめて10年目。この頃、私は人事が一生の仕事になるイメージを持つようになりました。これら担当業務に加え、同社がM&Aを行ったアメリカ企業の人事にも携ったことが転機となります。私は、中学・高校をシカゴで過ごしましたが、出張や仕事での英語使用はこの時が初めてでした。アメリカの企業文化や人事プラクティスを垣間見たことはとても新鮮でした。一方で、当時多くの日本企業においてアメリカ発の成果主義や職務等級モデルの導入が進み、人事がグローバルな文脈で語られることが増えていました。その中で自身としてもよりグローバルな環境で人事に携わってみたいという想いが強くなり、リシュモン ジャパンへの転職を決断しました。2006年のことです。

リシュモンで最初に就いたのは、ドイツのライフスタイルブランド、モンブランのHRマネージャー(HRBP)です。入社するまでHRBPというポジション自体を知らなかったのですが、現場に思いを馳せながら、ビジネスの優先事項を人事施策に落とし込んでいくその役割にとても充実感を感じていました。ミーティングの場で出したアイデアが評価されれば「思い立ったが吉日」ですぐに実行に移されていく。これまでの環境と大きく変わり、当初は自身に与えられている裁量の大きさに戸惑うほどでしたが、そのスピード感やビジネスに直接関わっている感覚に、ワクワクしました。この点がリテールで人事職を担う醍醐味ではないでしょうか。

モンブランに続き、フランスのハイジュエリーメゾン、ヴァン クリーフ&アーペルを担当。その頃ビジネスは拡大時期にあり、マーケットにおけるポジショニングが変わっていくことを、日々実感することができました。社内のモーメンタムもとても良かったです。新たなビジネスダイメンションに合わせた、採用人材のプロフィールの見直しやインセンティブ・ストラクチャーの変更を実行しました。最前線で活躍するトップセールス、大型店舗のマネージャー等、多様なタレントの処遇方法やリテンションも大きなテーマで、多面的な取り組みをしました。

最後の数年は他のブランドのHRBPをマネージする立場にもなり、同時に、HRオペレーションチームの立ち上げや、新卒のグループ採用のリード等、グループ全体に関わる仕事にも携わることができました。

リシュモンにおける経験はとても実りあるものになったと、感謝しています。多くの優れたビジネスリーダーのものとで仕事をし、彼らの高い期待値に応えようとすることで私自身のスタンダードにも変化が現れ、自信につながりました。マルチカルチュアルで、個々が尊重される文化も好きでした。10年という節目を迎えそろそろ次のチャレンジに進みたいと思っていたとき、ケリング ジャパンでの機会に出会い、2016年に入社しました。面接プロセスの中で、今後の人事領域の変革や予定されているプロジェクトを聞き、挑戦したいと思ったのが最大の理由です。

≪Empowering Imaginationイマジネーションをその先へ≫を実現する

ケリング ジャパンはどのような会社ですか?

hr39_03ケリングは、グッチ、サンローラン、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガ、アレキサンダー・マックイーン、ブリオーニ、ブシュロン、ポメラート、ドド、キーリン、ユリス・ナルダン、ジラール・ペルゴ、ケリング アイウェアといった、数多くのラグジュアリーブランドを保有するコングロマリットで、ファッション業界の世界的リーディング企業の1つです。

現在、ケリングのビジネスは極めて好調で、2018年は前期比26.3%増の136億6520万ユーロの売上高を達成しました。その背景には、これまで主要事業やポートフォリオ、組織体制を大胆に進化させてきた歴史があります。また、近年、主要ブランドを成功に導いているのは、才能あるアーティスティックディレクターを躊躇なく抜擢し、新しいクリエイティビティを創出していることが大きな要因の1つです。私たちの名刺には≪Empowering Imaginationイマジネーションをその先へ≫と記されています。創造力を大いに発揮させ、革新を続けることが一人ひとりのグループ社員に期待されているのです。なお、日本市場は全世界の売上の9%ほどで、重要なポジションを占めています。

ケリングは「サステナビリティ」をいち早くビジネス戦略の中核に据えてきた会社でもあります。たとえば、グッチが2年前に発表したリアルファーの使用中止、自社のサプライチェーン活動が世界の環境に及ぼす負荷を貨幣計算し、可視化した環境損益計算書の作成、業界全体で環境に与える影響を軽減する為の協定を発足する際の主要な役割を果たす等、その多くが業界に対して大きな影響力を発揮していると言えます。

投資を加速させているデジタルトランスフォーメーションも大きな機会ととらえており、ビジネスプロセスの効率化のみならず、お客様にとってもよりパーソナライズされたオムニチャネルの体験に寄与するでしょう。

人事の分野ですと、2017年に「グループ育児支援制度」が発表されました。これはどこの国、どのブランドで働いても、どのような職種であっても、育児のステージを迎えたグループ社員へのサポートに関する一律の基準を定めたものです。もし現行制度やその国の法律がこの水準を下回っていたら、グループ育児支援制度が自動的に適用されます。養子縁組や事実婚のケースまでカヴァーされており、D&I (Diversity & Inclusion)のコンセプトを含んだ、強いコミットメントとなっています。

その中で、私が所属するケリング ジャパンは、コーポレート部門が中心の組織で、それぞれの専門分野をもったメンバーが集い、ビジネスサポートを行っています。人事で言えば、グループのポリシーの導入やグローバル・プロジェクトをリードする機能、能力開発プログラムの企画立案とデリバリーを行う機能、C&B周辺のプラットフォームを提供とHRSS(HRシェアードサービス)としての機能などがあります。HRBPは、主なブランドにはそれぞれに人事部門や担当者が配置されていますが、その他のブランドに対しては、私たちケリング人事がHRBPも含めたフルサービスを提供しています。

私は人事ディレクターとして、これらの機能を統括しています。リシュモン時代はHRBPとして1ブランドに携わる時期が長かったので、ブランドを横断する現在のポジションは新鮮で学びも多く、以前とは違った楽しさがあります。

人事ディレクターとして取り組まれてきたことを教えてください。

hr39_04ケリングはいま、グローバル主導で大きな人事領域のトランスフォーメーションを進めている最中です。2018年は特に変化が大きく、昨年1年間で「HRSS (HRシェアードサービス)の集約化」、「新しい人事管理システム・Workdayの(全世界・全ブランド)同時導入」「社員の新たなコミュケーションツール・Workplaceの立ち上げ」「新評価システム(ノーレーティング制)の導入」を一気に実行しました。

これだけの規模感で新たな制度やツールが導入されると、組織カルチャー、さらには一人ひとりの社員へのインパクトも少なくありません。ここで重要なのは、その本来の目的が正しく理解されることです。例えば、新しい人事管理システムでは、これまで人事が抱えていた情報をマネージャーや社員に公開することで、透明性を高め、かつ、マネージメントやキャリアの面で、主体性を高めてもらうことを目的としています。また、新しい評価システムは、社員とマネージャーの日常的かつ定性的なフィードバックの積み重ねに主眼をおき、かつ目標設定においても機動性を向上させる意図があります。私たちのビジネスサイクルでは、従来的な年次目標の手順に沿って1年前に設定した目標が、1年後に本当に有用であるかどうか分からず、その点を変える必要がありました。新しい評価システムは、「終わった事をスコアリングする」ものから、「能力開発ならびにどのように日々変化するビジネスにアジャストし、効果的に貢献できるか」を導くツールへ生まれ変わっています。

同時に必要な取り組みは、社員一人ひとりがこれら変化を受け入れるための支援をすることです。変化には拒否や抵抗はつきものですが、彼らの心証、これまでの実績への理解を示しながら、確実に変革へ向けて前進しています。ケリングには4つのリーダーシップモデルとして「Inspiration(影響を与える)」[Vigilance(慎重さ)]「Audacity(大胆さ)」「Tenacity(粘り強さ)」があります。変化をリードする際には、「Tenacity」が一番求められている要素ではないかと感じる毎日です。

グループ内モビリティによる継続的・発展的なキャリア形成

これからどのようなことに力を入れるご予定ですか?

hr39_05昨年に実施したいくつかの人事関連ツールの導入は、社員へのインターフェイスという点では大きくグレードアップしました。ただ、これらを社員が自分のものとして実感に、使いこなし、その価値を感じるには、継続的な働きかけとプロセス強化が喫緊の課題です。ここをクリアすることで、究極的には、社員があらゆる場面や状況において満足度の高い経験・体験ができるようにしていきたい。お客様が入店し接客を受け、商品を購入し、またその後のアフターケアを受けるまでのあらゆる場面において特別の経験を提供する我々のビジネスと同様にと、考えています。

キャリア形成の点でいえば、当グループの社員は、それぞれの所属ブランドの一員であることへの自覚と高い誇りを感じており、ブランドの中で経験を積み、組織の中で成長することが1つのモデルとなっています。ただその過程の中で、時にはブランド外にも新たなチャレンジを求めることも自然な流れです。その際に第一の選択肢としてグループ内のポジションを検討しやすいよう、施策を進めています。退職をせずにグループ内の様々のポジションを経験し、継続的かつ発展的なキャリアを築けることは、グループ社員だからできる大きなアドバンテージです。もちろんグループ(会社)にとっても優秀な人材をリテインし、さらなる投資が可能となります。

ケリングでは公募制が導入されており、原則、グループ内のオープンポジションは全社員へ公開され、一定の要件を満たせばだれでも応募可能です。日本のみならず全世界のポジションの閲覧、応募ができます。私個人として、海外のポジションへ挑戦する日本人社員が今後多く出てくることを願っています。インターナルモビリティ促進においては、仕組みの整備や制度の認知に加え、ブランドの社員であると同時に、グループの一員と実感できるようなエンゲイジメントの取り組みも重要になると考えております。

どんな方を求めていますか?

やはり、変化を肯定的にとらえ、楽しめる方。私たちにとって変化はすでに日常の一部と考えます。例えば、プロジェクトも複数のものが併行して走っているので、1つを完了させた後、「一息ついて、次」というわけにいきません。

とかく日本人は良くも悪くも、きちんとプランして全て固めた状態から動きだす傾向にありますが、「走りながら考える」「問題に直面すればそれを受け入れ、すぐに軌道修正する」というアジリティやバランス感を持ち合わせている方が当社にマッチするのではないかと思います。

ケリングというダイナミックかつ広いフィールドで、オーナーシップを発揮できる土壌もあります。ときに大きなチャレンジに直面することがあるかもしれません。ただし、それは成長のチャンスでもあると思います。グループの一員に加わって頂き、成長をモチベーションに感じながら充実した毎日を過ごしてもらいたいと思います。

株式会社ケリング ジャパン

グローバル・ラグジュアリー・グループであるケリングは、ファッション、レザーグッズ、ジュエリー、ウォッチ製品を扱う、選び抜かれたラグジュアリーブランドを擁しています。
グッチ、サンローラン、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガ、アレキサンダー・マックイーン、ブリオーニ、ブシュロン、ポメラート、ドド、キーリン、ユリス・ナルダン、ジラール・ペルゴ、ケリング アイウェア。
シグネチャーである、≪Empowering Imaginationイマジネーションをその先へ≫のとおり、ケリングは想像力を伸ばし、明日のラグジュアリーを創造することで、ブランドがその可能性を最もサステナブルな方法で実現するよう後押ししています。2018年には136億ユーロ以上の売上高を達成し、グループ社員の数は年度末時点で35,000人に上ります。

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