INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
日本マクドナルド株式会社 長 敦子

人事×経営 〜人事戦略を語る Vol.22

日本マクドナルド株式会社

執行役員 人事本部長

長 敦子

1995年に南カリフォルニア大学院を修了し、KPMG Los Angeles、KPMGグローバルソリューションに入社。2000年タワーズ・ペリン(現:ウイリス・タワーズワトソン)入社。日本で外資系企業・日系企業の人事コンサルティングに着手。2003年ボーダフォン(現:ソフトバンク)に入社して人事企画を行う。2007年から西友で人財部 シニアダイレクター、人事本部 上席部長を務めた後、2013年4月にマクドナルド入社。2015年7月より現職。

公開日:2017年12月18日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

その場その場でどうベストを尽くすのか

マクドナルドに入社するまでの経緯を教えてください。

hr22_02アメリカの大学院でコーポレートコミュニケーションを研究し、その後KPMG Los Angelesに入社。日系クライアント部門で、ビジネスプロセスリエンジニアリング、業務パッケージ、CRMなど、さまざまなプロジェクトを担当しました。タフな6年間でしたが、カルフォルニアで町全体がシムシティのようにでき上がっていく頃で、ビジネスがダイナミックに成長していくことを体感し、その中でキャリアの基盤を築けたことは大きかったと思います。また、誰に対しても態度を大きく変えることなくコミュニケーションを率直に取るという私なりのスタイルを確立できたのはないかと思います。

そして、2013年4月マクドナルドに入社するまで、人事領域のコンサルテーションを専門としているタワーズ・ペリン(現:ウイリス・タワーズワトソン)の日本法人、ボーダフォン(現:ソフトバンク)、西友で経験してきました。コンサルティングファーム後の2社は、日本で大規模オペレーション(現場)があり、外資系企業でありながら日系企業らしさがあり、地域に根付いた事業をしている企業という共通点がありますが、それぞれの企業の文化、タイミングなどまったく異なる中で、少しずつキャリアを積み重ねてきました。また、現場に入り込み、現場が必要としている人事サポートに着手する経験、比較的規模もあり、複雑な組織の中で、さまざまなステークホルダーとコミュニケ―ションをとりながら組織で物事を進める経験をさせていただいてきました。

実は、現場のオペレーションが素晴らしい会社として、以前からマクドナルドには高い関心を持っていました。マクドナルドなら、これまで以上に現場に影響力のある人事ができるのではないかと思い、入社を決めました。これまでの経験を通し、どんなに慎重に選んでも、何が起こるかはわかりませんし、やってみないとわからない。継続してやってみて乗り越えることで、おかれた場所でどうベストを尽くすのかが一番大事だと思っています。

マクドナルドを愛するオーナー・従業員が多い

マクドナルドはどのような会社ですか?

hr22_03まず現在のマクドナルドの状況からお伝えすると、一時期の業績不振から脱出し、業績だけでなくお客様の信頼を取り戻すといった回復を遂げています。低迷後、私たちはまずお客様の声に耳を傾けるということを実施してきました。そして、今一度、店舗運営の基本に立ち戻ることに注力してきましたが、それに代表されることが、「QSC&V」の徹底です。QSC&Vとは、おいしさや温かさ・冷たさなど商品の質を維持・管理する「Quality(品質)」、ホスピタリティやスピードを大切にする「Service(サービス)」、店舗の清潔さと安心安全を保つ「Cleanliness(清潔さ)」が最高の形で結びついたとき、さまざまな「Value(価値)」が生まれるという創業以来の考え方です。これを改めて現場で徹底し、全店で意識改革に努めことで、お客様に満足いただけるように回復してきました。

そして今後は、顧客体験をより向上させる様々な取り組みにより注力していきます。お客様により喜んでいただくための試みです。たとえば、公式アプリのポイントカードサービス、店内のデジタルメニューボード、UberEATSの活用など、お客様ともっとつながるために、私たちはいまデジタルを使ったサービスを次々に立ち上げています。UberEATSを活用し始め、自社のマックデリバリーの売上も相乗的に伸びるなど、多くの施策で良い効果が出ています。

「QSC&Vの徹底」とは、具体的にどのようなことをするのでしょうか?

hr22_04わかりやすい例を挙げると、私たちはハンバーガー大学(社内の人材教育施設)で、「ゴールデンモーメントをいくつも生み出そう」と、クルー全員に必ず伝えます。ゴールデンモーメントとは、お客様が想定外の嬉しいサービスを受けて少し嬉しくなる瞬間のこと。雨の日の帰り際、商品や荷物や傘で手がふさがっているお客様のためにドアを支えたり、ソフトクリームを落としてしまったお子様にすかさず新たなソフトクリームを無料で提供したりすることで、些細なことでもお客様のニーズに沿ったサービスで少しでも喜んでいただき、ゴールデンモーメントを作ろうと教えているのです。私たちは、こうした行為の積み重ねがサービスの質を高めると考えています。

また、ファーストフードという業態ですので当然スピードは非常に重要なQSCの一つとなっていますが、フランチャイズオーナーや各地域のコンサルタント、店長は、日々いかに早くお客様に商品をお渡しできるかということにチャレンジしています。マクドナルドは実は郊外に多くの店舗を持ち、そういった店舗ではドライブスルーのお客様が60%を上回るということも少なくないのですが、オーダータイムやキャッシングタイムなどを細かく検証し、クルーが少しでも速く対応できるオペレーション方法やレイアウトに改善しようとしています。袋の持ち手を少し短くしたり、ハンバーガーの作り方を少しだけ改良したりして、1秒でも短くしようと日々努力を重ねています。こうして改善を重ね、クルーのスキルを高めることで、より多くの台数に対応できることを目指していきます。

マクドナルドのドライブスルーでは、お客様が商品受け渡しブースに到着したと同時に、お客様に商品をお渡しする「ハンギング・バック・アウト」が美しいとされています。そういった状況を求めて、今日も全国の店舗で改善の取り組みを行っています。

人事は、そうしたビジネスの現場にどのような影響を及ぼしているのでしょうか?

hr22_05日々のQSC&Vを高める上でも、中長期的にサステナブルな店舗を作る上でも、人事が現場に対してできることは大きいと思っています。なぜなら、店舗では、クルーの採用と育成が常にビジネスに直結した大きな課題だからです。マクドナルド店舗の70%はフライチャイズ店で、店舗オーナーがその地域でアルバイトを採用し、愛情を持って彼らを育てています。多くの場合、アルバイトの主力は現時点では学生ですが、今後はより多様な人材にマクドナルドを働く場として選んでいただけるように力を入れていきます。

特に主婦・シニア採用により一層力を入れるため、2017年の春と秋には、マクドナルド全店舗で主婦やシニアなどを対象にした「クルー体験会」を実施しました。このクルー体験会の満足度は98%。マクドナルドの高いホスピタリティで、参加者の皆さんに楽しんでいただきたいと実践した結果が、この数字だと考えています。余談ですが、実は私の母もある店舗でクルー体験をしました。そうしたら、その店舗のマネージャーの方が、母のために手書きの名刺を作ってくれたのです。母にも、思わぬゴールデンモーメントがもたらされました。

学生アルバイトはどうしても入学・卒業で入れ替わりますから、店長・オーナーは採用と育成・トレーニングを毎年かなりのエネルギーを注いで行わなくてはなりません。ハンバーガーを作るスピードや正確性、あるいは一人ひとりのホスピタリティなどが、店舗のQSC&Vと売上に直結するビジネスですから、どのオーナー・店長も採用と育成に大変な力を注いでいます。人の成長なしには、ビジネスの成長がありえない会社なのです。これが当社のビジネスは「ピープルビジネス」であると考えている所以です。

いろんな仲間の力を引き出していただけたら

マクドナルドの社風を教えてください。

一言で言えば、マクドナルドは「民主的な会社」です。ビジネスでは、小さなお子様から高齢の方まで、どのようなお客様にも楽しんでいただけるサービスを提供しています。さらに、それだけでなく、組織には多様な従業員を受け入れています。健全な競争力が働くよう、新人入社・中途入社や経験・スキルの適切なミックスを作るようにしています。

hr22_06たとえば先日、私がハンバーガー大学の研修を見学していたとき、チームで動くのがあまり得意でない参加者の方がいました。しかし、インストラクターは、彼にアドバイスや注意をしませんでした。あとで、私が「なぜですか?」と聞いたら、インストラクターは「それが彼の個性だから、そのままでいいのです」と答えました。これは、今のマクドナルドを象徴するエピソードだと思います。2017年の私たちのスローガンは「POWER of ONE~飛躍~」ですし、私たちはいつも、創業者レイ・クロックの言葉「None of Us is As Good As All of Us(私たちのうち誰も、私たち全員に優る者はいない)」を大事にしています。私たちは、クルー一人ひとりの個性を大切にして、その長所を活かしながら、全体として強いチームを作ろうとしているのです。

その一環として、女性活躍推進にも力を入れています。現在、店長もマネージャーも女性比率は25%ほど。今後さらに高めていきたいと考えています。マクドナルドでは、年齢、学歴、性別、国籍、などの差別のない採用や育成を行い、さまざまな能力を持つ人材が活躍できる体制をつくることに努めています。その中でも、女性社員が活躍できる場を拡大し、組織の活性化を推進することは、企業が成長する上で重要な施策と考えています。そのために、「女性の活躍を世界に誇れる企業になる」というビジョンのもと、JWLN (Japan Woman’s Leadership Network) というプロジェクトチーム発足しています。プロジェクトチームでは、人事本部と連携し、女性リーダーの育成を促進し、女性リーダー職比率50%を目指して社員の意識改革や様々な課題に対し、PDCAサイクルでアクションに取り組んでいます。この活動はアジアや欧米、南米など世界中のマクドナルドでも実施されており、2011年に米国マクドナルドコーポレーションは「カタリスト・アワード」※5を受賞しています。

※5:カタリスト1962年に設立された女性と企業の活用機会の拡大を目指す有数の非営利組織。米国・カナダ・欧州にオフィスを構え、400社以上の企業が会員となっています。カタリストは年に一度、女性の昇進を推進する模範的な組織のイニシアチブを「カタリスト・アワード」で表彰しており、その評価は世界的にも信頼性の高いものとされています。

本社に入社する方は、どのような方が活躍できますか?

hr22_07いろんな仲間を巻き込みながら、一人ひとりの力を引き出せることが、不可欠であると思います。本社のメンバーが、マクドナルドを愛しながら、良い方向に変革を起こそうとすれば、ポジティブに関わってくれるオーナーや店長が必ずいますから、彼らをサポートし、変革を進めていっていただけたらと思います。また、マクドナルドのブランドが強いからこそ、さまざまなチャレンジが可能ですし、その反響が良くも悪くも大きな会社です。周囲のメンバーの長所をよく見て、その長所を伸ばしながら、大きなインパクトを出していっていただけたら幸いです。

フランチャイズオーナーの皆さんは、一国一城の主で、一人ひとりが、志と持論を持っています。彼らとビジネス改善について話しあうたびに、人事面で彼らをサポートするのは、なんとやりがいが大きく、面白い仕事なのだと感じます。こういったブランドに対する想いに応えるために、マクドナルドをもっと良くしていきたい、変えていきたいと思える方に来ていただけたら嬉しいです。一緒にマクドナルドで多くのゴールデンモーメントを作りましょう。

日本マクドナルド株式会社

日本マクドナルドは、全国に2909店舗を持ち、フランチャイズ企業の社員・アルバイトを合わせるとおよそ14万人が働くハンバーガー・レストラン・チェーンです(※店舗数・従業員数は2016年12月31日現在)。マクドナルドは、来店される全てのお客様に、いつでも最高のお食事体験を提供することを目指しており、クイックサービスレストランとしての最高の店舗体験の提供により、お客様にとって「お気に入りの食事の場とスタイルであり続けること」をミッションとしています。QSC&V(Quality品質,Serviceサービス,Cleanliness清潔さ,Value価値)をレストラン・ビジネスの理念として、そのミッションを達成します。また、フード(商品・品質管理)&ソーシング(原材料調達)、ピープル(従業員)、コミュニティ(社会貢献)、プラネット(環境)の5つのカテゴリーにおいて、ステークホルダーや社会の声を聞き、誠実で最適な行動を取ることに努めています。

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