INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
GEジャパン株式会社 宇佐見 英司

人事×経営 〜人事戦略を語る Vol.20

GEジャパン株式会社

人事部 APAC Senior HR Manager

宇佐見 英司

1996年、上智大学外国語学部英語学科卒業。富士通株式会社で国際人事業務全般を担当した後、1998年カリフォルニア州シリコンバレーへ出向。富士通が買収したアムダール社で、報酬制度を中心とした人事業務を担当。2000年、米公認会計士資格(CPA)取得。2001年、米報酬制度認定士(CCP)取得。2002年に一度東京に戻るが、2003年10月より再び渡米し、やはり富士通が買収した、米ITコンサルティング会社DMR社を母体とする富士通コンサルティング社にて人事報酬制度、人事戦略業務全般に従事。その後、2010年、GEグループに入社、GEヘルスケア・ジャパン株式会社の人事制度改革などに関わった後、現職。

公開日:2017年5月29日

もっと大きなチャレンジを求めて

GEに入社するまでの職歴を教えてください。

hr_020_02高校時代から異文化コミュニケーションに興味があり、上智大学に入りました。大学では、英語を使って海外と関わる仕事をしたいという想いがさらに強まり、就職活動もキーワードは「海外」でした。当時は、日本企業がいわゆる職種別採用を始めた頃で、富士通もその1社でした。それで、「海外営業」という職種で富士通に入社を決めました。

ところが、入社初日に配属されたのは「国際人事」だったのです。正直、訳がわからず、「なんで?」と思うばかりでしたが、まずは一人前に稼げるようになってから、改めて考えようと気持ちを切り替えました。あとで担当の方に聞いたところ、「君は“海外”と関われたらよいのだと感じたのだ。少なくとも海外とかかわるという希望は叶えたよ」と言われました。確かに、最優先は「海外」で、その点は間違っていませんでしたが、一方で人事をしたいとはまったく思っていませんでした。ですから、正直なところ、最初の2年はこのまま人事を続けてよいのかどうかがわからないまま働いていました。迷いの気持ちを抱きながら、国際人事として、海外駐在員の方々の人事サポートをしたり、海外を含めたグループ全体のリーダー育成プランを考えたりしていました。

その私が人事の楽しさを知ったのは、入社3年目で出向になった米・アムダール社での経験でした。アムダール社を知る方は少ないかもしれませんが、当時は世界的に有名なメインフレームメーカーで、富士通が100%買収し、グループ会社となっていたのです。私はアムダールに4年所属して、アメリカ・シリコンバレーで「競争原理に基づく人事」を実行し、学びました。当時はいわゆるITバブルの最中で、シリコンバレーが全体的に盛り上がるなか、アムダール社は経営的に難しい状況に置かれていたこともあり、何もせずにいたら、どんどん人材流出が進んでしまいます。そうした状況の中で、どのようにしたらトップタレントに残ってもらえるのか。私たちはCEOや経営陣と一緒になって、いくつものアイデアを出していきました。当時のアメリカでは、人材の流出問題がすでに経営のトッププライオリティになっており、経営陣が人事に深くコミットしてくれたのです。彼らとともにプロジェクトを進められたのは、私にとって大きな経験となり、特に、人事を経営視点で考える姿勢を学びました。

トップタレントを引き止めるためには、処遇面の工夫だけでは限界がありました。そこで私たちは、ポテンシャルの高い人材によりチャレンジングなポジションを任せていきました。トップタレントには、給与だけではなく、自分が何をすべきなのか、何をしたいのかを重視するタイプの方が多い。彼らが求めるポジション、あるいはそれ以上のポジションを与えることで、優秀層のリテンションを図っていったのです。

hr_020_03その後、私は「シェアードサービス」を進めるプロジェクトに携わりました。アメリカに多数の富士通企業があったのですが、まったく連携がなかったのです。そこで、アムダールを中心にして、北米富士通グループの人事業務などの統一化を図っていきました。同時に、人材の異動・交流の活性化やシステムベンダーの統一なども進めていきました。「総論賛成、各論反対」に陥ったりと大変ではありましたが、広い視野を持ちながら、経営の方々とともにプロジェクトを完遂できたことには大きな意味がありました。このアムダールでの4年が、今も私の人事のベースとなっています。

一度日本に帰国した後、1年後に私は再びアメリカに渡ります。今度は、富士通コンサルティング社の人事担当となったのです。この会社は、アメリカのITコンサルティング会社・DMR社が母体で、当時はグローバルで7000名規模の大企業でした。私はそこで、通常の人事報酬制度立案や人事戦略業務のほかに、M&AのデューデリジェンスやPMI(買収後の事業・組織統合)も実行しました。

M&Aで最も難しかったのは、買収後の組織カルチャーの統一でした。たとえば、ボーナスの考え方1つとっても、会社によってまったく違うのです。ボーナスはあくまでもアドオンと考えてきた会社、業績が悪くても一定のボーナスを支給してきた会社、そもそもボーナスがなかった会社と、本当にバラバラでした。私たちはM&Aのたびに、買収先のメンバーと徹底的に対話して、このようなカルチャーや制度の違いを互いに一つひとつ理解し合い、どのような統一的なカルチャー・制度を作ればよいかを見通していきました。このプロセスはタフでしたが、学ぶ点が多く、やりがいの大きな仕事でした。

その後、日本に帰国しGEへの転職を決めたのです。

なぜGEに転職を決めたのですか?

hr_020_04当時の私は、積極的に転職を考えていたわけではなく、偶然エージェントから紹介され、GEだけ受けてみたのです。最初は、自分が必要とされるような会社ではないと思っていました。完成された勝ち組企業で、組織変革などは必要なく、仮に私が転職してもチャレンジするようなことはないと思っていたのです。ところが話を聞いてみると、課題は山積みで、変化のスピードが速く、さまざまなことを任せてもらえそうだとわかりました。私に任せたいと言われたのは、GEヘルスケアの人事制度変革でした。グローバルではGEのメインストリームだったヘルスケア事業を、日本でも中核ビジネスに据えたい。しかし、そのためには大きな人事制度変革が必要で、そのプロジェクトをリードして欲しいと求められました。

「GEに行けば、もっと大きなチャレンジができる」ということが、転職を決意する最終的な決め手になりました。

「ピープル・リーダー」が重要だ

GEの人事施策の現状を教えてください。

GEが今、何を考えているかと言えば、変化のスピードが速く、未知のライバルが突然現れるようなボラティリティが高い現代のビジネス環境のなかで、100年後、150年後にもGEが素晴らしい会社であり続けるために、何をしたらよいかということです。

具体的には、ビジネス面では金融ビジネスを手放し、ガスタービン・ジェットエンジン・医療機器などのインダストリアル領域をより強化する形でポートフォリオを大胆に変えてきました。また、デジタルを強化し、「世界最大のデジタル・インダストリアル・カンパニーへの変革」を進めてきました。インダストリアル・アセットとテクノロジーの両方を高いレベルで備えているのは、世界でGEだけという自負心を持ち、「我々以外に誰がやるのか」という想いで、デジタル・インダストリアル・トランスフォーメーション(産業のデジタル化)へのフォーカスを進めています。

hr_020_05そうしたビジネスの状況に合わせて、人事部も柔軟に方針を変えながら行動しています。わかりやすいところでいえば、私たちは継続的にITタレントの採用やリテンションに注力しています。ただし、GEはあくまでも物理的なインダストリアル・アセットに強みがありますから、求めているのはアセットとテクノロジーの両方に興味・関心・知識があるハイブリット人材です。いくら優秀なITエンジニアでも、ガスタービンなどについて学ぶ姿勢がなくては、GEではうまくいきません。

また、近年のGEはカルチャーやマインドセットを大きく変えてきました。たとえば、“シリコンバレーのスタートアップ企業流”のやり方を重工業型のGEに導入するため、新たな経営ツール「Fast Works」を用意しました。また、GE社員が目指すべき方向を示した「GE Beliefs」を2014年に改定。さらに、2016年までに「Performance Development(パフォーマンス開発)」を全部門に展開し、これまでは“1年を振り返って評価を決める”ものであった人材管理プロセスを、通年で対話をもち、頻繁にフィードバックを繰り返し、“これからをどう形作るかを話し合い、行動と成長を促進する”プロセスへと変更しています。私たちが「ノーレーティング」に取り組んでいることをご存知の方は多いと思いますが、ノーレーティングとPerformance Developmentは両輪と言ってよいでしょう。さらに、最近は「People Leader」を新たなキーワードに掲げています。

ノーレーティングについてもう少し詳しく教えてください。

hr_020_06まず勘違いしていただきたくないのは、ノーレーティングといっても、評価を止めたわけではないということです。そうではなく、私たちは「ラベリングするのを止めた」のです。当然、営業なら営業成績がありますし、ほかの職種でもカスタマーインパクトや業績貢献、組織貢献は何かしらわかります。それに対する評価は今も行っています。ただ、その際に、マネジャーがメンバーを点数づけするのを止めたのです。これがノーレーティングの眼目です。

ノーレーティングを実施した背景には複数の要因があるのですが、最も大きいのは、評価はあくまでも「人材育成」のためにあるもので、その育成のために最も重要なのは、フィードバックと振り返りの対話だということです。その観点から考えると、メンバーへの点数づけは、特にフィードバックや対話を増やすものではありません。それどころか、点数づけは失敗を怖がらせて、メンバーのチャレンジを阻んでいる部分がありました。GEの創業者であるトーマス・エジソンは、「失敗ではない。うまくいかない1万通りの方法を発見したのだ」という有名な言葉を残しています。彼は数え切れないほどの失敗をしましたが、それを失敗とは考えなかったのです。私たちもエジソン同様に、失敗の原因を振り返り、学びを得さえすれば、それはもう失敗ではないと考えています。それを前提とすれば、むしろたくさん失敗してもらったほうがよいのです。ところが社内での点数づけは、フィードバックや対話を増やすわけではなく、失敗とチャレンジを減らしてしまう。それなら必要ないのではないかと考え、ノーレーティングを始めたのです。

ピープル・リーダーについても詳しく教えてください。

これからのGEのメンバーには、自分がやりたいこと、貢献できること、目指すことを明確にした上で、上司・部下・同僚に影響を与え、彼らを巻き込み、自分のプロジェクトに深くコミットする能力がより求められます。つまり、「ステークホルダー・マネジメント」と「インフルエンス・マネジメント」が問われるのです。また、マネジャーには、従来型のコマンド&コントロールモデルのマネジメントではなく、メンバー全員が自由にアイデアを出し合える環境を用意し、そのなかで最も良いアイデアをピックアップして、実行していくチームを形成するマネジメントをしてもらいたいと考えています。価値観・考え方・働き方が多様化する現代では、こうした新しいスタイルのマネジメントが欠かせないのです。私たちは、これらのマネジメントに熟達した人材を「ピープル・リーダー」と呼んでいます。優れたピープル・リーダーを増やすことが、GEがこれからも素晴らしい会社であり続けるための鍵だと考えています。

ノーレーティングもピープル・リーダーも、変革はまだまだ道半ばです。誰もが普段から当たり前のようにそこここでダイアログするカルチャーを創るために、私たちはチャレンジしている最中なのです。将来的には、一人の社員をさまざまなピープル・リーダーが複合的にサポートし、マネジメントしていく体制を取りたいと考えています。

学びとチャレンジをいつまでも楽しめる方

どのような方を求めていますか?

hr_020_072つの姿勢を持った方を求めています。1つは「学び続ける姿勢」です。新しいことをできるだけ速くキャッチアップすること。自分のこれまでの経験のなかで、これからも通用する普遍的な学びは何かを的確に判断し、それを応用すること。今後はこうした姿勢やスキルが問われるのです。たとえば、GEのマネジャーは未知のビジネス領域のマネジメントを任されることがよくあります。そのとき大事なのは、その領域の知識やノウハウは謙虚になって部下に学びながら、これまでの経験を活かして的確に意思決定していくことです。私たちは、こうした対応ができる方を求めています。

もう1つは、「チャレンジを楽しめる姿勢」です。GEに入社したら、きっとさまざまなことが起こると思いますが、それらを楽しめなければ、GEでは成果を出せないでしょう。また、ときには厳しいフィードバックがあるかもしれませんが、それを単なるダメ出しだと思わず、自らを変えていく糧にしていける積極性やオープンネスも重要です。

この2つの姿勢をお持ちの方なら、きっとGEで活躍できるはずです。

GE

GEは「デジタル・インダストリアル・カンパニー」です。ネットワーク化され、レスポンスと予知能力に優れた、ソフトウェア融合型の産業機器とソリューションによって各産業の新たな時代を切り拓きます。GEは全組織で知識と経験を共有する取り組み「GE Store」を通じて、テクノロジーのみならずマーケットや仕組み、インテリジェンスを地域や事業部門を超えて活用することで、さらなるイノベーションを推進します。優れた技術、サービス、人材とグローバルな事業規模を携え、産業の未来を拓くリーダーとして、よりよい成果をお届けします。

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