INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
日本ヒルズ・コルゲート株式会社 安岡 幸徳

人事×経営 〜人事戦略を語る Vol.15

日本ヒルズ・コルゲート株式会社

人事・総務・コミュニケーション担当 副社長

安岡 幸徳

国内大手電機メーカー、外資製薬会社および消費財企業において、25年以上にわたり、一貫して人事・総務に従事し、組織・人材開発、タレントマネジメント、パフォーマンス・マネジメント、採用、労政、リストラ対応など、人事全般の制度企画から実行まで幅広い専門知識と業務経験を持つ。特に合併後の新組織の安定化、業務効率化に向けた施策の実施、チェンジ・マネジメントのリードに豊富な経験を持ち、人事責任者としての実行力には定評がある。2013年7月より現職。

公開日:2016年8月1日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

皆が「働いてよかった」と思える会社を創るのも人事の仕事

これまでのキャリアについて教えてください。

cg_075_02実は、高校・大学と教職を目指していたのですが、教育実習を機に考えを改めて、就職に切り替えました。そのとき、大学から勧められたパナソニックのグループ会社(現:パナソニック ライティングシステムズ)の面接で、教育や人材育成に興味があると話したところ人事部に配属されました。これが人事の道に入ったきっかけです。この会社には、1988年から約11年間務めました。振り返ると、ここで採用、評価、教育、労政、人事制度の企画など、人事業務全般を深く広く経験できたことが、今でも大きな財産になっています。1年目から新卒採用のメイン担当を任されるなど、とにかく若手に業務を任せてくれる組織でした。また工場総務を経験する機会もあり、ずっと現場に近いところで働けたのも良い経験となりました。

その後、外資系製薬会社2社でHRディレクター、HRビジネスパートナーを経験し、外資系化粧品会社で人事・総務・法務本部長と、外資系企業3社を経験しました。この3社で英語を勉強するとともに、組織・人材開発、タレントマネジメント、パフォーマンス・マネジメント、合併後の組織安定化、チェンジ・マネジメントといった新たな経験を通して、人事としての幅を広げノウハウを蓄積していきました。また外国人の上司と一緒に働くことで、ダイバーシティ(人材と働き方の多様性)の理解を深めることもできました。そして、2013年7月に日本ヒルズ・コルゲート株式会社(以下、ヒルズ)へ人事本部長として入社し、2016年から人事・総務・コミュニケーション担当 副社長のポジションに就いて今に至ります。

人事をどのような仕事だと考えていますか?

一言で言えば、ひとりでも多くの社員が、この会社で「働いてよかった」と思える会社にすることが、私が人事として最も実現したいことです。私が転職する際にヒルズを選んだのも、「働いてよかった」と思える会社にできるチャンスが大きいと思ったからです。

そのためには、まずはビジネスを良くしていく必要があります。しっかりと利益が出ている会社、頑張れば報酬や待遇が上がる会社でなくては、働いてよかったとは思えないでしょう。私は、人事はあくまでもビジネスをドライブするためのサポートを行う部門だと考えています。その役目を果たすには、現場が何に困っているかを常に把握する必要があります。人事は、何よりも現場を知らなくてはならないのです。

たとえば、大切な業務の1つに「評価」と「フィードバック」があります。日本には、部下から嫌われたくないと思われているのか、評価が曖昧で、結局のところ「良かったのか悪かったのかよく分からない」、あるいは「まわりくどい表現で、何がポイントなのかよく分からない」と受け取られるフィードバックをしている企業があります。その点、当社はストレートに評価を下し、できていることはきちんと褒め、またネガティブな評価も、改善されることを期待してはっきりと伝えます。私はこうしたストレートな評価がビジネスに欠かせないと感じています。結局、明確な評価と的確なフィードバックこそが、一人ひとりを活かす最上の道なのです。頑張っても評価されないということは、残念ながらその頑張りが空回りしているか、もしくはその組織や仕事そのものが合っていないということ。そのような仕事を我慢して続けることは、誰にとってもプラスではありません。私は、そうした方に、「自分に何が期待されているのか?」に気づいていただくこと、また自分は「本当は何のために働いているのか?何ができるのか?」を定期的に振り返っていただき、ご自身を活かせる仕事を得ていただくよう促すのも人事の仕事だと考えています。そもそもストレートな評価は、マネジャーや人事が社員一人ひとりの貢献やどういった強み弱みを持っているのかを細かく観察していないとできないことです。評価が明確な会社とは、社員のことをよく観察し、どのように育てるかをよく考えている会社なのです。

製品力は十分、課題は組織力

日本ヒルズ・コルゲート株式会社はどのような会社ですか?

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まず申し上げたいのは、ヒルズは、最先端の小動物臨床栄養学を基にペットがより健康で長生きできるように、優れた製品を多数開発・提供している会社だということです。特別療法食の「プリスクリプション・ダイエット」、健康維持食である「サイエンス・ダイエット」、ペットのスペシャリストにより特別に開発された「サイエンス・ダイエット〈プロ〉」は世界中の獣医師から高い評価を得ています。私が特に強調したいのは、ヒルズはペットフードの開発と提供を通じて、人とペットの深い絆を、より豊かに、より永らえることに貢献しているということです。ペットがペットオーナーに与える癒しの効果は、特に現代社会では大変重要とされています。家族である愛犬・愛猫の健康を保つことで長寿を実現し、ペットオーナーの幸せに貢献するヒルズの製品群には、明確な存在意義があるのです。

しかし、その高い製品力の割には、ヒルズの製品は近年日本での売上が伸び悩んでいます。理由ははっきりしています。製品力が強過ぎる故に、お客様、獣医師、社員の声を真摯に聞かず、お客様のニーズを満たす努力を怠ってきたのです。再び会社全体の組織力と人材の質を向上させ、お客様のニーズに合ったマーケティング戦略や営業戦略をベースに、ヒルズの優れた製品群をひとりでも多くのペットオーナーの手に届くようにすることが、私に託された使命でした。

どのような組織・戦略の改革を進めてきたのでしょうか?

組織体制に関していえば、2014年からの2年間で組織機能や人員体制を見直し、昇格や異動を積極的に行い、組織の流動化・活性化を図りました。その結果、3年前から在籍している社員の40%以上が、現在は新しいポジションに就いています。

マーケティングと営業の組織及び戦略は基本から見直しました。たとえば、愛犬・愛猫が病気になり、動物病院から「プリスクリプション・ダイエット」を勧められ、療法食として使うことではじめてヒルズ製品の質の高さを知る方は少なくありません。そうした方の多くが、ペットの病気が治った後、フードを「サイエンス・ダイエット」や「サイエンス・ダイエット〈プロ〉」に変更されます。これは、私たちがファンを増やす典型的な必勝パターンの1つです。しかし、こうした必勝パターンを増やすために欠かせない動物病院、卸、小売店といったお客様へのアプローチの質と量が、いつしか疎かになっていました。それでは、いつまで経っても業績が上がるはずがありません。このように現場の状況を細かく調べ、徹底してムダを省き、営業効率を最大化するために各チャネル・各ブランドで今何をすべきなのかを一つひとつ見直し、地道に戦略を変えてきました。そしてそれは現在も継続中です。

今はどういったことに力を入れているのでしょうか?

組織体制と優秀な人材は整ってきました。そこで現在は、大きく2つのことに力を入れています。1つは「スキル強化」です。マーケティング、営業ともに基本戦略はこの2年でだいぶ改善できましたので、今後は社員のスキルアップに注力し、戦略の遂行力を高めていきます。マーケティングであれば、プロジェクト・マネジメント、ロジカルシンキング、テクニカルライティングの強化を図っていますし、営業面では、分析スキル、営業現場でのトークの強化、クロージングといったセールススキルの向上に力を入れています。

もう1つは風土改革です。さまざまな施策を打つことで、トランスペアレンシー(透明性)を高め、情報のオープン化を進めるとともに、社内コミュニケーションの活性化を図り、全員で会社を創っていく風土、全員参加の風土を根づかせたいと考えています。具体的には、(1)4半期ごとに全社員を対象とした「タウンホールミーティング」を開き、社長やファンクションリーダーが売上、利益といった数字や会社の現況を直接社員に細かく伝えています。その一方で、経営陣のメッセージを皆で一緒に具体的にしていく「ワークショップ」や「オフサイトミーティング」を開催するなど、社員のさまざまな意見を吸い上げる場も用意しています。 (2)全社員が参加して、新しい行動規範を作り、新しい企業文化や風土を醸成する取り組みも始めています。 (3)2015年より社員全員が投票で決定するユニークな社員表彰制度を導入しました。「リーダーシップ賞」「Management with Respect賞」などいくつか種類があり、社員ひとり一人の投票で受賞者を選びます。受賞した社員の喜びも大きいようです。(4)ワークライフバランスの一環として、2016年から週1回の在宅勤務制度を導入しました。特に育児中の社員には、男女を問わず好評です。

改革の成果はいかがですか?

変革の種が、徐々に芽を出し始めています。たとえば、ロールモデルとなりそうな社員が何人か現れてきました。一例を挙げると、若手社員が積極的に社内ジョブ・ポスティング(社内公募制度)に応募し、異動先で猛勉強しながら活躍しています。具体的に、将来目標とするポジションを公言し、もっとうまくいく方法がある、自分が主体的に組織を、会社を変えるという強い想いを持って行動を起こしています。実に頼もしい限りです。こうしたメンバーを増やし、ニーズに対応して自ら行動を起こせる個人の集団を創っていきたいというのが私の想いです。

チャレンジする機会が多くある会社

最近、新たにチャレンジを始めたことはありますか?

cg_075_04コーチング・カルチャーの醸成に力を入れています。私を含めて、5人の社内コーチを新たに養成し、まずはマネジャーのコーチングスキルの強化を図り、「部下育成がマネジャー業務の第一」と考えるマネジャーを増やしていきます。なぜなら、マネジャーのコーチングの優劣が、メンバーのモチベーションに大きく影響するからです。メンバーは上司が自分をどう見ているか、どう育てていこうとしているかをよく見ています。ですから、マネジャーのコーチングスキルを高めることは、組織活性の上で大変重要なのです。また今後は、将来が有望な若手社員を中心に、会社全体でコーチング・カルチャーを醸成していく計画です。コーチングを受ける側の心構えも、きちんとケアしておく必要があります。また、さまざまなメンバーと話してわかってきたのですが、自分が働く目的を明確にできていない社員が意外と多い。自分は「何のために働いているか?」、会社や組織を越えて、自分が働く意味や価値観をしっかり持っていなければ、仕事や人生の満足度、幸福度は高まりません。社員の仕事観、人生観を深めていく上でも、コーチングの強化は有益だと考えています。

それから、私は2016年4月から、新たにコミュニケーション担当になりましたが、そこでもチャレンジを始めています。具体的には、飼い主がいなくなった、もしくは飼い主がいないペットを保護し、里親探しを積極的に行われている、いわゆる動物シェルターへの支援活動として、弊社ペットフードの無償提供を始めました。「人とペットの深い絆を、より豊かに、より永らえることに貢献する」という私たちの使命に沿い、幸せなわんちゃん、ねこちゃんを少しでも増やす活動です。こうした取り組みの面でも、まだやれることがいろいろとあります。

どのような方を求めていますか?

先ほどもお話しした通り、ヒルズの製品群は大変優れていますし、グローバルでの売上げ規模は非常に大きく、グローバルの組織もしっかりしています。一方で、日本法人は発展途上です。更に成長できる可能性が高く、チャレンジする余地がたくさんあります。コルゲートという巨大な後ろ盾をベースに、思いきって挑戦していける環境が整っています。しかも、社長との距離が非常に近く、直接アイデアを提案できる機会も数多くあります。提案の内容が合理的で筋が通っていれば、任せてもらえる可能性が高く、そこで成果を出せば、報酬や待遇としてきちんと返ってきます。ビジネスに貢献できる方にとって、豊富なチャンスがある会社だと思います。私としては、「ヒルズで働くことを通じて何を成したいのか?」「自分が何のために働くのか?」といった根本的な問いに答えることができ、会社の成長に貢献しつつ、自身の更なる成長を目指す方に、ぜひ一歩を踏み出していただきたい。お待ちしています。

インタビュー:ブランドからみえるマーケティング戦略 Vol.15 「プリスクリプション・ダイエット」
インタビュー:『成長する企業のビジネス戦略』 Vol.21 日本ヒルズ・コルゲート株式会社

日本ヒルズ・コルゲート株式会社

日本ヒルズ・コルゲート株式会社はペットが長く健康な一生を全うできるよう、最新の小動物臨床栄養学を基にペットフードの研究開発を続けている世界のリーディングカンパニーです。人とペットのハピネスを目指し、互いが共生できるより良い環境や社会を実現するために、ヒルズはたゆまぬ企業努力を続けています。犬用、猫用ともに、「サイエンス・ダイエット」「サイエンス・ダイエット〈プロ〉」「プリスクリプション・ダイエット」の3ブランドを展開。人とペットの深い絆を、より豊かに、より永らえることに貢献することを目指し、世界中のペットオーナー、獣医師、動物病院スタッフ、その他ペットの栄養管理の専門家に対し、最善かつ最先端の小動物臨床栄養学、製品および専門知識を提供しています。

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