INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
日本アビオメッド株式会社 西村 栄三

成長する企業のビジネス戦略 vol.62

日本アビオメッド株式会社

代表取締役社長

西村 栄三

大学卒業後、外資系ホテルでセールス&マーケティングとして多様な業界の外資系企業を担当。1985年ゲッツブラザーズ(現アボットメディカルジャパン)に入社。セールス、マーケティングマネージャー、カテーテルインターベンション事業部長を歴任。1999年ジョンソン・エンド・ジョンソンに入社。コーディス・カーディオロジー&バイオセンスウェブスター事業部事業部長、メディカルカンパニーヴァイスプレジデントなどを歴任。日本バイオセンサーズ代表取締役社長を経て、2016年日本アビオメッド株式会社に入社して現職。

公開日:2021年9月2日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

Impellaの製品力や将来性、マイク・ミノーグCEOの熱意に惹かれて入社を決心

これまでのご経歴を教えてください。

biz061_02大学卒業後、外資系ホテルにオープニングスタッフとして入社し、外資系企業の法人担当としてセールス&マーケティングを担当しました。その際、世の中には多くの魅力的な会社があることを知り、キャリアチェンジするなら20代のうちだと感じ医療機器業界に転身しました。循環器分野のメディカルデバイス領域で30年以上にわたる私のキャリアはここがスタートとなりました。

まず初めて転職したゲッツブラザーズ(現アボットメディカルジャパン)は、心疾患治療ソリューションに強い医療機器商社で、当時はペースメーカー、機械式人工弁、そしてPTCA用の医療機器などに力を入れていました。PCI(経皮的冠動脈インターベンションは当時PTCA経皮的冠動脈形成術と呼ばれていました)は、狭くなった心臓の冠動脈を血管の内側から拡げる治療法です。私はセールスを担当した後、マーケティングマネージャーとなって、世界から日本にPCI関連の新製品導入を担当しました。PCIは循環器内科の先生が手術するという点で画期的な手法で、当時海外では次々に新デバイスが出ていました。私が日本に新しいテクノロジーを紹介することによって救える命がある、ということにやりがいを感じましたね。

その後、カテーテルインターベンション事業部長となり、PTCA協議会(日米の医療機器団体)の委員長も務めるようになりました。入社14年経ったところで、自分がやってきたことが大きな会社で通用するかを試したい、という気持ちが大きくなり、1999年、私はジョンソン・エンド・ジョンソンに入社しました。

新しい場所での新たなご経験についても教えてください。

ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、コーディス・カーディオロジーとバイオセンスウェブスター事業部の2領域を担当しました。バイオセンスウェブスターは不整脈の診断及び治療をサポートする「CARTO® システム」などを扱う新しい部門で、初代事業部長としての仕事でした。他方、PCI製品などを扱うコーディス・カーディオロジーは対照的で、入社数年は厳しい立場に置かれました。しかし、「Do the right thing(正しいことをする)」の信念を貫いて改善を進めた結果、2004年に薬剤溶出ステント「サイファー」という新製品を上市することができ、状況が一変しました。

サイファーステントはその当時極めて画期的な製品で、虚血性心疾患を治療する全ての医師が待ち望んでいたテクノロジーでした。ただこの製品には3か月の使用有効期間や供給量など様々な制約があり、私たちは必要とする患者さんに間違いなく届けることを最優先して、全国への安定供給に徹しました。この方針がうまくいき、競合製品が出てからも日本ではシェアを維持することができ、日本においてメディカルデバイス単独製品として最大の販売額(年間600億円)を達成することができました。

またこのとき、私たちは日本の医師の皆さんと協力して臨床研究を行い、世界にアピールする取り組みに力を入れました。日本の先生方は世界と比較しても極めて手技が素晴らしく仕事ぶりが丁寧です。そのことをアピールしたいという気持ちが強くありました。

ビジネスでも人生においても明暗はつきものですが、サイファーステントで7年間ビジネスがうまくいったコーディス・カーディオロジーでしたが、本社の新製品の開発やM&Aがうまくいかず、2011年にグローバルでステントビジネスをクローズすることになりしました。部下たちの進路が決まりビジネスの整理がついたタイミングで、私もジョンソン・エンド・ジョンソンを離れ、2012年にシンガポールに拠点のある日本バイオセンサーズで代表取締役社長を務めました。

その後、2016年に日本アビオメッドに入社して、いまに至ります。

なぜ日本アビオメッドに入社したのですか?

アビオメッドが開発したテクノロジーの将来性に惹かれたことが1つの理由です。詳しくは後述しますが、弊社製品「Impella(インペラ)」には大きな可能性があります。急性心不全治療は複雑で標準的な優れた治療法がまだ存在しませんが、Impellaは既存治療に比べ一定の効果を上げており、今後さらに心臓を回復させ、患者さんの予後を改善する可能性があります。

もう1つの理由は、マイク・ミノーグ(会長、社長 兼 最高経営責任者)のパッションですね。こちらもこれから詳しく説明しますが、マイク・ミノーグが人々の心臓の回復にかける情熱は本当にすごい。彼の想いにとても共感しました。

急性心不全の患者さんの「心臓の回復と救命」をImpellaで実現する会社

アビオメッドはどのような会社ですか?

biz061_03一言で言えば、アビオメッドは「急性心不全の患者さんの心臓の回復と救命を実現する会社」です。最先端テクノロジー「Impella(インペラ)」、簡単に言えばモーターを内蔵した心臓ポンプカテーテルで、急性心不全の際に心臓の代わりとなって、血液の成分を壊さずに安定して全身に血液を送ります。Impellaを使いながら、患者さんの心筋の回復を待って命を救うことが期待できます。心筋の回復を目的とし、より低侵襲に心機能をサポートできる「世界最小の心臓ポンプ」です。

急性心筋梗塞など救命救急が必要な際にImpellaの早い時期での使用で、患者さんの生存率はかなり高まります。これまで亡くなっていた可能性が高い患者さんたちが、Impellaを使うことで、数日後には退院して帰宅できるケースが少なくありません。私自身、そうした患者さんに実際にお会いしてお話を伺っています。日本での3年間の研究では、Impellaによって治療された心筋梗塞による心原性ショック患者の30日後の生存率は77%でした。一般的に、心原性ショックを発症した患者の生存率は約50%と言われていますから、明らかに高まっています。

日本アビオメッドの役割の1つは、Impellaを日本全国に普及させ救命率を高めることです。Impellaを使いこなすためには、循環器内科医・心臓外科医などがタッグを組む「ハートチーム」が欠かせません。そのため現在は、心臓血管外科専門医認定機構の基幹施設(認定修練施設)で行われています。日本には430ほどの基幹施設があり、2021年7月現在、約170の施設がImpellaを導入しています。私たちの直近の目標は、もっと多くの施設でImpellaの使用が可能となり、日本でImpellaを使用できない地域をなくし、多くの患者さんの救命と心臓の回復を可能にすることです。

私が代表取締役に就任した2016年6月には、まだ日本での製品の承認が下りていませんでした。同年9月に承認され、さらに1年後に保険償還価格が決まって販売を開始しました。それ以降は私の計画通りにビジネスが伸びています。私の入社時には10名ほどの組織でしたが、2021年7月現在は、約100名の社員が活躍しています。

今後の目標について教えてください。

私たちの大きな目標は、Impellaを急性心不全の標準治療にすることです。そのためには、Impellaの臨床成績を上げ、学会や医師の方々のご協力を賜りながらクリニカルエビデンスを示していく必要があります。私たちは日本の医師の臨床試験をサポートしたり、論文発表に協力したりして、日本での臨床研究に力を入れています。前半でも触れましたが、日本の先生方は世界と比較しても極めて手技が素晴らしく、優れた救急治療に欠かせない患者管理も実に丁寧に行います。救急治療が多く、治療時の患者さんの状態が千差万別なこともあって、Impellaの臨床試験はかなり難しいのですが、先生方とともに試行錯誤しながら着実に進めています。

一方で、これまで以上に合併症を少なくするために、医師の皆さんへのトレーニングや情報伝達にもさらに注力したい、と考えています。

全世界の患者さんの治療・回復ストーリーを全社員で共有

ビジネスが伸びている要因はどこにあるのですか?

biz061_04日本アビオメッドの成長の源泉は、社員一人ひとりの「パッション」と「リーダーシップ」と「チームワーク」に尽きます。社員の前職は看護師など医療関係者も多く、患者さんの命が助からなかった症例を多く目の当たりにしてきました。だからこそ、Impellaを普及させることでより多くの患者さんの命を救えることに、大きな喜びを感じているのです。彼ら・彼女たちのパッションが、アビオメッドのビジネスを支えています。救急症例の比率が高いこともあり、私たちは24時間365日サポートを実施しているのですが、こうしたサービスを提供できるのも、熱意あるプロフェッショナルが大勢いるからです。誰もが勉強熱心で、製品や症例にもっと詳しくなろう、という姿勢を持ち続けています。

彼ら・彼女たちがリーダーシップとチームワークを発揮した結果、私たちは2020年のコロナ禍でも20%以上のビジネス成長を実現しました。日本の社員たちはいま世界のアビオメッドから称賛を受けており、なぜそうしたことが実現できるのかと、世界から問い合わせが来ています。

アビオメッドの優位性は、CEOであるマイク・ミノーグの哲学からも来ています。先ほども少し触れましたが、マイク・ミノーグは本当に真剣に「患者さん第一」の姿勢を取り続けています。アビオメッドでは、全世界の患者さんの心臓回復ストーリーを世界中の従業員が共有し、毎日のようにアップしていますが、このストーリー共有に多くの情熱を傾けています。社員のもとに、世界中の患者さんの命がImpellaによって救われた、という情報が日々届き、これが私たちのパッションの源になっています。

新たな取り組みとして、コロナ禍に入ってから、オンラインで毎朝全社員参加の「モーニングアップデート」を行っています。1年以上にわたって、前日の症例を報告したり、イベント情報を共有したり、アメリカからゲストやImpellaの患者さんを呼んだりして、新たな情報を社員に伝えています。リアルに集まることができない現状では、全社員が集まるオンラインのミーティングは重要な情報源で、毎日開催しているにもかかわらず出席率は95%を超えています。

それから、私たちは社員への投資を重視しています。PC・ITデバイス・社用車などは、以前から最新の優れたツールを用意していました。そのため、コロナ禍でもスムーズにテレワークに対応することができました。業務効率や働きやすさ、プレゼンテーションのしやすさといった仕事環境は、会社がしっかりと用意すべきものだと考えています。

どんな仲間を求めていますか?

biz061_05やはり第一に、Impellaへの「パッション」、Impellaを広めることに意義を感じながら働いていただける方、「Impellaを広めることでより多くの患者さんの命を救いたい」という想いが明確にある方、そんな方を求めています。その上で、私たちは第二に「コミュニケーションスキル」を重視しています。医師の先生方に情報を伝え、Impellaの意義を理解していただき、Impellaで患者さんを治療していただくためには、まず我々一人ひとりが医療従事者の方々に認めていただき、信頼される存在となることが大切です。そうした能力の高い方を求めています。

第三に「プロアクティブ」に行動を起こせる方を必要としています。倫理的・法的・コンプライアンス的・サイバーセキュリティ的に問題がなく、患者さんにとって良いことで、本人が責任を持てることであり、リーダーの意図に合っていることであれば、社員一人ひとりの主体的な考えで行動を起こしてよい、「Just Do it」というのが、私たちのルールです。

マイク・ミノーグは、「アビオメッドはまだティーンエージャーの会社だ」と言っています。日本法人もステージ2には入ったものの、マイクの言う通り、これから良い社風や文化を構築する段階であることは間違いありません。一人でも多くの患者さんの命を救うため、良い組織を構築する一員になっていただける方を、仲間として迎えられたら嬉しいです。ぜひお待ちしています。

日本アビオメッド株式会社

アビオメッド は、マサチューセッツ州ダンバースに1981年に設立され、経皮的補助人工心臓であるインペラ(循環補助用心内留置型ポンプカテーテル)を中心とした医療機器の開発・製造・販売を行うNASDAQ(ABMD)上場企業です。

2013年にアビオメッドの日本法人である日本アビオメッド株式会社が設立され、2016年に Impella 補助循環用ポンプカテーテルおよび制御装置に対する薬事承認を取得、2017年10月の初症例以降、多くの日本人患者さんの心臓の回復と救命に貢献しています。

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