INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
日本ヒルズ・コルゲート株式会社 瀬口 盛正

成長する企業のビジネス戦略 Vol.40

日本ヒルズ・コルゲート株式会社

代表取締役社長

瀬口 盛正

1990年、米・ニューヨーク大学教養学部卒。博報堂を退社後の2001年、スイスIMDで経営学修士(MBA)を取得。マキシアム・ジャパン社長、マキシアム・メキシコ社長、クラブメッド社長、サザビーズジャパン社長を経て、2017年10月から現職。

インタビュー見出し

働く幸せを強く感じられる会社に、真の多国籍企業文化をつくりあげる

・日本人であることに助けられてきた・働く幸せをより強く感じられる会社だと思った・アサーティブな文化を根づかせたい

公開日:2018年4月13日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

働く幸せを強く感じられる会社に、
真の多国籍企業文化をつくりあげる

日本人であることに助けられてきた

日本ヒルズ・コルゲートに入社するまでの経緯を教えてください。

biz40_02私は15歳の頃から、バックパッカーとして世界中を旅していました。犬養道子さんや五木寛之さんの本に魅せられ、彼らのような旅に憧れを持ったことがきっかけです。ユーレイルパスでヨーロッパを回り、ユースホステルに泊まったり、駅前に野宿したりと、非常にいい経験を沢山しました。高校卒業後はアメリカへ飛び、ニューヨーク大学に。旅の間もニューヨークでも、半ば無意識に、自分が日本人、アジア人であることを忘れないようにしながら、自分とは意見の違う相手を尊重するようにしていました。後ほど詳しく述べますが、多国籍企業で働くようになってから、この姿勢が実に役に立っています。

日本に帰国し博報堂で働いた後、2001年にスイスIMDで経営学修士(MBA)を取得しましたが、これが大きな転機となりました。MBA修了後は、研修として1年間、世界的タバコメーカー・JTインターナショナルの本社でコマーシャル寄りの経営とマーケティングを実地体験できたのです。このとき経営の体験をしたのは本当に偶然で、当時の私は、リーダーシップを取る準備がまったくできていませんでした。この1年で、組織を作ったり、自分を深く知ったりすることに時間を費やすのが経営者なのだ、ということを肌で学ぶことができました。また、MBAコースの同期は皆さん本当に優秀な方ばかりで、特に社会のために働こうという使命感の強さ、世の中を変えようとする志の高さに圧倒されました。彼らの姿を見ながら、自分の視野の狭さに情けなくなったのを覚えています。

biz40_03その後、世界有数の酒類メーカーの日本法人、マキシアム・ジャパンの社長となりました。日本市場の社長と言っても多国籍企業ですから、本社から見れば単なるディレクターです。謙虚さを忘れないようにしながら、世界中の株主に対して、いつまでに何をどうするかを日々説明しました。欧米の方々は全体的に時間軸が短く、クォーターごとに結果を求める傾向がありますが、それでは日本ではうまくいきません。「日本で成功を収めたいなら、時間軸の観念を変えてください」と何度も話して、理解していただく日々でした。

次に、マキシアム・メキシコの社長となりました。当時のメキシコは非常に治安が悪く、常に身の危険を感じながらの生活でしたが、メキシコは親日国で、ゆっくりと時間をかけて信頼関係を築いていく点も日本と似ているため、社員たちは早くから私を仲間として受け入れてくれました。昼休みが14-16時と長いのですが、そのときによく社員たちを家に招き、カジュアルな場でオープンに話しながら距離を縮めていきました。また、歴史的・文化的背景からか、比較的受動的な社員が多く、安心安全な環境を作って、主体的に発言するよう促すことにも注力しました。全体的に、メキシコは親日家な方も多く、日本人であることにとても助けられたと思います。

それから、国際的なバカンス会社・クラブメッドに移りました。ここは日本人やアジア人社員がかなり多かったため、西洋的な尺度だけでは物事が前に進まないことがよくありました。そうしたときにも、日本人であることが役に立ちました。なぜなら、私たち日本人は、準備に時間をかけて根回しした上で合意に導くのが得意だからです。私は日本の社長として皆にコンセンサスを取り、アジア人の総意をまとめて、本社によく伝えていました。その後、世界最古の英国系オークション会社サザビーズジャパン社長を経て、2017年10月から日本ヒルズ・コルゲートの社長を務めています。

働く幸せをより強く感じられる会社だと思った

なぜ日本ヒルズ・コルゲートを選んだのですか?

biz40_04大きく3つの理由があります。1つ目は、日本市場への「投資」が多いことです。いまは日本経済の伸びが低いこともあって、多国籍企業には日本市場をあまり重視していない会社が多く見られます。その点、ヒルズは、日本市場の売上がアメリカに次いで2番目に大きいのです。そのため、本社の日本市場への期待の高さは尋常ではありません。彼らは、日本への投資をいつも真剣に考えています。その上、本社の財務基盤が安定しており、継続的な投資が見込めます。本社からの投資が多く安定しているほど、私たちはチャレンジすることができます。よりチャレンジできる環境を求めて、私は日本ヒルズ・コルゲートにやってきたのです。

2つ目は、日本ヒルズ・コルゲートが「BtoB・BtoC・EC」のすべてのチェーンを持っていることです。マーケティングや物流の部隊も抱えていますし、つい最近、獣医師に直接訪問する営業チームも発足しました。これらのチェーンが揃っているために、私たちは点ではなく、線でチャレンジを進め、結果を出すことができるのです。工場だけは日本にありませんが、日本市場の位置づけを考えれば、国外工場が私たちの要望に応えてくれる可能性は高く、その点でも何ら問題はありません。

3つ目は、自分にとって「深い幸せを感じられる会社」だということです。私自身も愛犬家で、愛犬には以前からヒルズのフードを与えてきました。そうしたこともあって、ヒルズなら、利益のことだけを考えるのではなく、私自身が働く幸せをより強く感じながら、社会に恩返しできるのではと考えたのです。たとえば、アメリカでは年間800以上の保護犬・保護猫のシェルターにフード(総額275百万ドル以上)を提供しており、ペットの里親探しのサポートも700万頭に及んでいます。その際、ヒルズのフードで病気や怪我を治す犬・猫も少なくありません。日本でも同様に、2015年11月より、京都動物愛護センターで保護された犬・猫の救済を目的とした「シェルター(動物愛護)プログラム」に取り組んでいます。今後、こうした動きも増やしていきたいと考えています。

なぜヒルズは日本市場でそれほどの成功を収めているのですか?

biz40_05それも3つの理由があります。まず、日本人のペットとの関係性の深さが西洋人と同じか、もしかしたら西洋人以上に深いからです。特に、猫をまるで人間と同じように扱う方が多い。その分、ペットフードの品質を重視する傾向が強く、そうした方々がヒルズのフードにたどり着くのです。

次に、日本ヒルズ・コルゲートの歴史の古さが挙げられます。日本ヒルズ・コルゲートが設立されたのは、1977年です。それ以来、日本の獣医師の皆さんに長年受け入れられ、推奨されてきたことが、ヒルズの高いシェアを下支えしています。

最後に、フードそのものが大きな差別化ポイントになっています。特に鍵となるのが、独自に研究を進める「遺伝子栄養学」です。たとえば、ある遺伝子を持っている犬・猫は、一定の年齢を超えると、特定の病気になりやすいことがわかっています。私たちは、そうした病気の出現率を低くする商品を各種揃えているのです。この遺伝子栄養学を研究するため、ヒルズはアメリカ・カンザスに「ヒルズ・グローバル・ペットニュートリションセンター」を持っています。東京ドーム17個分にも渡る広大な敷地のなかで、150人を超える獣医師、栄養学者、科学者、技術者が日々研究、開発に取り組んでおり、敷地内には450頭の犬と450匹の猫が、商品開発のパートナーとして最高の暮らしを謳歌しています。私はこれまで、何名もの日本の獣医師の方をセンターにお連れしましたが、どの方も「こんな施設は見たことがない」「日本が獣医療で何十年も遅れている理由がよくわかった」といった感想をおっしゃいます。

社長就任後、どのような挑戦を始めていますか?

先ほども少し触れましたが、最近、獣医師に直接訪問する営業チームが発足しました。実は30年ほどずっと間接販売を行っていたので、獣医師の皆さんには「ようやくあなたたちの顔を見ることができた」とよく言われます。私はいま、できるだけ頻繁に、この営業チームと一緒に獣医師の先生方を訪問するようにしています。いまの私にとって、現場の先生や営業から学ぶことが何よりも重要だと考えているからです。獣医師の先生たちには、必ずフィードバックをいただくようにしています。先生方は、営業には遠慮しがちですが、私が直接尋ねてフィードバックを求めると、本音で話してくださいます。たとえばこれまで、「どれだけ足を運んでくれるかが商品選定の決め手になるから、もっと会いに来てほしい」「商品説明が少しわかりにくいから、もっと情緒的なメッセージがほしい」といった貴重な声を聞くことができました。私は今後も、獣医師の皆さんと話す場を大事にしていきたいと考えています。

アサーティブな文化を根づかせたい

これからどのようなチャレンジをしたいと考えていますか?

biz40_06第一に、消費者との絆を強化したいと考えています。というのは、ヒルズの商品説明は獣医師の皆さんを主なターゲットに置いているため、専門的で難しく、消費者の皆さんには届きにくいのです。少し前にお話したとおり、獣医師の先生のなかにも、商品説明がわかりにくいとおっしゃる方がいるくらいなのです。そこでいま、私たちは専門用語をできるだけ使わず、ヒルズの商品の良さをいかに多くの方々に伝えるかを模索しています。それも「おいしい」や「かわいい」ではなく、もう一段深いレベルで、消費者の皆さんの心に語りかけるような、消費者と同じ目線でコミュニケーションを交わしていきたいと思っています。

第二に、社内変革を進めたいと考えています。日本ヒルズ・コルゲートは、これまで私が社長を務めてきた多国籍企業に比べると、若干日本的な要素が強く、遠慮、気遣い、先読みしすぎが多いように感じています。たとえば、社長の私にフィードバックする社員が少ないのです。対して海外の多国籍企業では、社員が経営陣にフィードバックするのもごく当たり前のことです。相手をリスペクトした上で自分の意見を述べる「アサーティブネス(Assertiveness)」が、グローバル社会へのパスポートなのです。私は、日本ヒルズ・コルゲートに真の意味での多国籍企業文化を根づかせ、よりフラットな組織を作りあげたいと思っています。

どのような方を求めていますか?

語学力も大切ですが、それ以上に「想い」「マインドセット」が重要だと考えています。具体的に言えば、価値観が多様な環境で成長したいという想いを持った方や、自らフレキシブルに考え行動して、チェンジエージェントとなってビジネスを動かしたいという想いを持った方を求めているのです。そうした方にとって、日本ヒルズ・コルゲートは恵まれた環境でしょう。ヒルズに入れば、日本市場への投資の多さを活かして、さまざまなことに挑戦するチャンスを得ることができると思います。またいずれは、アメリカ本社で働いたり、アジアを飛び回るポジションに就いたりすることも可能です。ぜひ私たちと一緒に、日本ヒルズ・コルゲートの新たな文化を楽しく作っていきませんか。

日本ヒルズ・コルゲート株式会社

ヒルズはペットが長く健康な一生を全うできるよう、最新の動物臨床栄養学を基にペットフードの研究開発を続けている世界のリーディングカンパニーです。人とペットのハピネスを目指し、互いが共生できるより良い環境や社会を実現するために、たゆまぬ企業努力を続けています。

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