INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
モルソン・クアーズ・ジャパン株式会社 矢野 健一

成長する企業のビジネス戦略 Vol.35

モルソン・クアーズ・ジャパン株式会社

代表取締役社長

矢野 健一

横浜市立大学を卒業後、アンダーセン・コンサルティング(現:アクセンチュア)に入社し、さまざまなコンサルティング案件に関わった後、P&Gジャパンに移り、ファブリーズ、プリングルズ、パンパースなどのブランドマネジャーを担当。その後、リーバイ・ストラウス・ジャパンを経て、2010年にモルソン・クアーズ・ジャパンへ入社し、2012年から現職。

公開日:2017年6月23日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

25歳で45歳までに社長になると決心した

現職に就くまでの職歴を簡単に教えてください。

biz_35_02大学時代は体育会系の野球部に入り、野球三昧の日々を過ごし、野球から多くのことを学びました。たとえば、チームの雰囲気が自分の気持ちにいかに影響するか、自分の気持ちがどれだけ自分のパフォーマンスに影響するかを知りました。チームの誰かがエラーをすると、そのエラーが連鎖して、守備に自信があった自分までがエラーするようになるのです。こうした経験を踏まえて、今も自分が弱気になっているときの意思決定には注意するようにしています。一方で、メンバーが適材適所に配置され、皆が一丸となったときのチーム力の素晴らしさも知りました。そうした面でも、野球チームと会社のチームは似ています。

野球ばかりしていたため、就職活動にかける時間もあまりなく、たまたま出会いのあったアンダーセン・コンサルティング(現:アクセンチュア)に入社しました。アンダーセン・コンサルティングでは、さまざまなコンサルティング案件を経験するなかで、大きく3つのことを学びました。1つ目は「ロジカルシンキング」です。あるとき上司から、次のように考える癖をつけなさいと言われました。1. ある問いやテーマに結論を出す。2. その結論を否定するロジックを作る。3. それでも結論が正しいと思ったら、今度は第三者視点で否定のロジックを作る。4. それでも結論が正しいと思ったら、クライアントに提案してもよい。今、講演会の質疑応答などで相手から問いを投げられたときに、私がすぐさま答えることができるのは、このときに深く考える習慣を身につけたからです。2つ目は「コンセプチュアライゼ―ション」で、いかに簡潔に概念化するか、いかに適切にビジュアライズするか、そして経営などの複雑な事象をいかに1枚の紙にわかりやすくまとめるかを徹底的に鍛えられました。3つ目は「クライアントファースト」で、自分の視点とお客様の視点の両方を常に持ち、意見を戦わせることができるようになりました。このクライアントファーストは、実は次に携わるマーケティングの基本でもあります。ここでお客様視点を持てたからこそ、私はスムーズにマーケティング職に入っていくことができたのです。

biz_35_03もう1つ、アンダーセン時代に大きな岐路がありました。それは25歳のときに、自分は45歳までに社長になると決心したことです。実は父が自営業を営んでおり、以前から漠然と、いずれは経営者になりたいと思っていました。その想いが、コンサルティングで多くの管理職の方々と出会うなかで刺激され、経営者への想いが強くなっていったのです。45歳というのは、質の高い人的ネットワークを作るためにある程度の年数が必要だと考えた一方で、60歳までに会社を大きくするために15年は必要だろうというところから割り出した年齢です。

そして、45歳で社長になるために、私が次に学ぶべきなのは「マーケティング」だと考えました。あるときマーケティングの方法論に触れて、これこそが経営を端的に整理して、見通しを良くできる仕組みだと感じたからです。それで思い切ってP&Gに飛び込んだのです。

P&Gではどのようなことを経験したのですか?

30歳でアシスタントブランドマネジャーから始め、ファブリーズ、プリングルズ、パンパースなどのブランドマネジメントを経験しました。入社したての頃は、いろいろとショックを受けました。たとえば、私と同年代の社員はもちろんのこと、入社1、2年目の若手社員も英語やプレゼンテーションが実に上手で、一様にコミュニケーションがわかりやすいのです。これほど能力の高いメンバーの集まりなのかと驚きました。なぜ彼らの能力がそれほど高いかといえば、会話のルールやワンページメモの作り方などを徹底的に教え込まれるからです。私自身も、P&Gで簡潔でわかりやすいコミュニケーションの方法を磨くことができました。

特に印象に残っているのは、最初に配属されたファブリーズのプロジェクトです。そのブランドマネージャーは、すべてをロジカルに突き詰めていくタイプの方でした。部屋の布の中に匂いが残るというインサイトを得て、消臭芳香剤マーケットへの進出を果たして売上を大きく伸ばしたのも、競合からのディフェンスのためにニオイ付き製品を出して市場を押さえたのも、このマネジャーの発案でした。彼の優れた実践を間近で見ることができたことは、今も私の大きな財産です。加えて、より感覚的に攻めていったプリングルズ、ロイヤリティマーケティングのパンパースと、さまざまな方向性のマーケティングを経験できたことが、私の糧になっています。

その後、リーバイ・ストラウス・ジャパンを経て、2010年にモルソン・クアーズ・ジャパンに入社し、2012年から代表取締役社長を務めています。

なぜモルソン・クアーズ・ジャパンを選んだのですか?

biz_35_042010年、私は40歳に近づいていました。45歳に向けて、そろそろ社長を目指したいと思っていました。そんなときに、後継者を探していたモルソン・クアーズ・ジャパンの前社長と出会ったのです。お話ししてみると、物事をシンプリファイするのが得意な方で、社内に強い言葉を発信し、求心力を持っていました。ご自身の中で何をすれば勝てるのかが明確になっていて、「それは面白い? 面白いなら、やりなさい」「それはやらなくていい」と自信を持って言い切れるのです。こうした決断力のある経営者には、部下が信頼してついていきやすい。「この人の下で経営を学びたい!」と思い、入社を決めました。2年ほど副社長兼マーケティング本部長を務めた後、前社長の退任に合わせて、代表取締役になって現在に至ります。

実際、前社長からは、人との接し方、判断軸としてのKPIの持ち方を学びました。特に素晴らしいと思ったのは、グローバルに対するコミュニケーションです。前社長のように、考え方が明確で、強い主張を持っているタイプの方は、海外の皆さんに好かれることが多いのです。私もこうありたいと思いました。

世界のビールの楽しみ方を日本に広めたい

モルソン・クアーズ・ジャパンとはどのような会社ですか?

biz_35_06モルソン・クアーズ・ブリューイング・カンパニーは、北米を中心にして、ジーマ、ブルームーン、クアーズライト、モルソン・カナディアンといったブランドを持つ世界的なビール・酒類企業で、モルソン・クアーズ・ジャパンはその日本法人です。クアーズ自体がファミリーカンパニーである上に、買収してきた企業もファミリーカンパニーばかりで、同じ志を持つ仲間たちがグローバルで一体感を持ち、「ワンチーム」で働いているのが特徴的です。グローバル本社がオープンマインドで、ローカルの意思決定を尊重しながら、対等の立場で相談に乗ってくれるので、私たちはグローバルに対して何事も包み隠さずに話し合いながら進めています。たとえば、売上が達成できないかもしれないといったリスクや問題をグローバル本社になかなか言えない企業が多いと思いますが、私たちはむしろ、そうしたリスクや問題こそ、真っ先に相談するようにしています。

私たちは今、「ワールドビアエンターテイメント」というコンセプトを掲げています。簡単に言えば、世界のビールの楽しみ方を日本に広めるのが、私たちの使命だと考えているのです。日本のビールのほとんどは「ピルスナーラガー」で、苦味もほぼ同じなのですが、ビールには他にもライトラガー、ミディアムラガー、エールなど、実はワイン以上に多くの種類があり、それぞれ苦味や風味、色などに大きな違いがあります。私たちは今、ビールをこうした種類ごとに並べた棚編集を小売店に提案しており、実際にある小売店では、実験的に私たちの棚編集を採用してもらっています。その編集でビールの売上が伸びていることから、今後、同様の編集棚が日本各地に増えていく予定です。

biz_35_05また、世界のビールを積極的に日本に紹介する試みも進めています。わかりやすいのが、2013年に販売を開始した「ブルームーン」です。ブルームーンはアメリカでは広く知られているクラフトビールで、オレンジを差して飲むのが特徴的です。私たちは、このブルームーンをアメリカ以外では初めて日本で販売しました。それを実現するため、時間をかけてグローバル本社を説得したり、バンクーバー工場でブルームーンを製造したりするなど、さまざまなチャレンジを行いました。また、日本で広めるにあたっては、パーティーを開いてインフルエンサーにブルームーンを紹介したり、飲食店の方の協力のもとでポップアップストアを開いたり、逗子海岸映画祭とコラボレーションしたりしてきました。

なぜこうした取り組みをしているかといえば、先ほども触れたとおり、日本のビールのほとんどがピルスナーラガーで、ビールに多様性があることを知らない日本人があまりにも多いからです。私たちは、日本のビール文化を変えたいのです。欧米と同じように、好みや料理や体調に合わせてビールの種類を選べる国にしたいのです。私たちの挑戦は、すべてがその目的に向かっています。外国人観光客が数多くやってくる2020年を目指して、私たちは今後3年で、日本のビール文化を確実に変えていきます。

こうした動きの個人的な原点は、ある外国の方に発泡酒や第三のビールを紹介したことにありました。私としては日本の製造技術の高さを伝えたかったのですが、予想に反して、彼は「日本人はこれで満足しているのか?」と言ったのです。私は大きなショックを受けました。そして、私たちはビール企業としてやるべきことがある、世界のビールの楽しみ方を日本の皆さんに知っていただき、日本のビール文化を変えなくてはならないと強く思うようになったのです。

オーナー感覚を持って働ける会社

どのような方を求めていますか?

1つ目に、私たちはオーナー感覚で自ら仕事を創り出し、楽しみながら新たな価値を生み出していける方を求めています。なかでも「喜びと楽しさ」を重視するのが私たちのユニークネスで、コースターを光らせてみたり、ハロウィン向けの商品を企画してみたりと、お酒を楽しむ姿勢を何よりも大切にしています。

2つ目に、「成長」を求める方を求めます。モルソン・クアーズは何よりもチャレンジを奨励する文化で、失敗をそれほど咎めません。場合によっては、職種や部署などの枠を飛び越えてもらってもかまいません。また、プロジェクトのすべてを担当者たちが自らデザインすることができますから、一つの仕事から得られる経験値や知識が格段に変わってきます。たとえば、まずは自分たちで広告案を一から考案し、いくつかの案を試した上でエージェンシーと相談することができます。自ら試していると試していないとでは、エージェンシーとの会話の深さがまったく違うのです。楽しく成長したい方にとって、ここはきっとオポチュニティに溢れた場でしょう。

3つ目に、「グローバル感覚」を身につけたい方を求めています。モルソン・クアーズには、日本にいながらにしてグローバルに触れるチャンスが数多くあります。4つ目に、「小売店・飲食店」に詳しくなりたい方を歓迎しています。仕事を通じて、小売店・飲食店の方々と仲良くなるチャンスが数多くあります。5つ目に、言うまでもないことですが、「ビール」に詳しくなりたい方を求めています。「ビアチャンピオンプログラム」という社内研修制度も用意しており、世界のビール文化にいち早く、深く触れることができます。

最後に読者へメッセージをお願いします。

biz_35_07モルソン・クアーズ・ジャパンには、優れた人材が揃っています。たとえば、CFOはグロービス経営大学院の教員でもありますし、営業ダイレクターは若干36歳ですが、大変バランスの取れたマネジャーです。彼らと仕事をすることで得られることも多いはずです。

それから、私自身は、誰かが「変わること」「成長すること」に何よりもワクワクするタイプです。すでにお伝えしたとおり、私は日本のビール文化を変えていきたいと思っていますが、同時に社員一人ひとりの行動や見方が変わったり、成長したりすることも強く願っています。この会社には、急カーブで成長できる環境があります。その点は私が保証しますし、私が誰よりもあなたの成長を後押ししたいと思っています。ぜひ私たちと一緒に、伸びていきましょう。

 

モルソン・クアーズ・ジャパン株式会社

ジーマ、ブルームーン、クアーズライト、モルソン・カナディアンといったブランドを持つ世界的なビール・酒類企業。モルソン・クアーズ・ブリューイング・カンパニーは北米屈指のビール売上を誇るグローバル企業で、日本でも売上・利益を急速に伸ばしている。

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