INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
DHLサプライチェーン株式会社 ギャビン・マードック

成長する企業のビジネス戦略 Vol.28

DHLサプライチェーン株式会社

代表取締役社長
CEO 日本・韓国クラスター

ギャビン・マードック

マードック氏は、1996年に北アイルランドでDHLサプライチェーン株式会社の前身であるエクセルロジスティクスにディベロップメント マネージャーとして入社し、以来21年にわたり、英国、アイルランド、トルコ、日本を含め、世界各地で数多くのオペレーションを経験してきました。トルコでは事業の立ち上げに大きく貢献し、欧州とアジアにおいて、コンシューマー、リテール、ライフサイエンス&ヘルスケアの各セクターおよびトランスポート、ソリューションデザイン部門において部門長を歴任しました。直近5年間は、DHLサプライチェーンの全額出資子会社であるトレードチームの社長として、飲料業界向けに英国全土へ配送サービスを提供可能な飲料専門のネットワーク構築に取り組んできました。2015年1月にDHLサプライチェーンの日本法人の代表取締役社長に就任し、2016年6月1日より日本に加えて韓国における事業の全責任も担い、アジア太平洋地域取締役会メンバーに加わりました。DHL入社以前には、英国においてメーカーおよびサードパーティーロジスティクス(3PL)の小売物流部門に従事していました。マードック氏は、クランフィールド大学で物流修士号を、アルスター大学で輸送技術学士号を取得し、国際物流および輸送研究所であるCILT(The Chartered Institute of Logistics and Transport)のチャーター会員です。また、欧州ビジネス協会 在日欧州(連合)商工会議所において物流・貨物輸送委員会の委員長を務めています。

公開日:2017年4月3日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

最も遠い国でのチャレンジ

現職に就くまでのご経験を教えてください。

biz31_02私は北アイルランドのベルファストで生まれ育ちました。船や飛行機が始終行きかう街で、父は輸送関連のビジネスをしていました。それで自然とロジスティクスに興味を持つようになり、大学・大学院で物流や輸送技術を学んだのです。

大学院を出た後は、アイスランド・フローズン・フードという会社で、車両の運行管理をするトランスポートマネジャーの職に就きました。150名のドライバー、250台のトレーラーを管理する仕事で、このときに現場に触れたことが今でも良い経験となっています。それから、DHLの前身・エクセルロジスティクス(以下「エクセル」)に転職しました。実は大学時代、エクセルで1年間のインターンを経験しており、このときの縁があって、エクセルの方から入社しないかと声をかけていただいたのです。エクセルは当時、イギリス物流のマーケットリーダーでしたから、新しいチャレンジ、新しい経験ができると張り切って入社しました。

入社後はしばらく北アイルランドで経験を積んだ後、2001年にトルコに移り、新しいジョイントベンチャーの立ち上げを行いました。私にとってはまさしくビッグチャレンジで、短期間でトルコの輸送ビジネス事情について学び、トルコ市場に合ったソリューション作りを行い、それを適切に売り込んでいく必要がありました。所得レベルや安全基準などがイギリスとまったく違うため、最初は戸惑うことも多かったのですが、営業プロセスそのものは世界共通ですから、これまでの経験を活かしながらビジネスを軌道に乗せていくことができました。

その後はイギリスに戻り、さまざまな倉庫業務・輸送業務に携わりました。ロンドン・ヒースロー空港の店舗商品を一括で扱う倉庫と配送の管理も担当しました。また、外販できるレベルの強力な輸送管理システムの開発プロジェクトのマネジメントも行いました。

日本法人への赴任は突然の打診から始まりました。自分が日本で働くことになるとは思っていませんでしたから、とても驚きました。しかし、以前から日本に興味がありましたので、ぜひチャレンジしたいと答え、2004年11月、日本にやってきたのです。

赴任当初、日本での仕事や生活はいかがでしたか?

正直に言って、最初は「世界で最も遠い国」だと思っていました。日本語はまったく読めなかったですし、仕事もいろいろな面でやり方が違いますから。ただ、実際に働いてみると、カスタマーサービスのレベルの高さには驚きました。特に、従業員が細かいところにかける時間と労力は、今でも普通ではないと感じています。

私の最初のミッションは、ひとつは輸送管理システムの方針を決めること、もうひとつは大手スーパーマーケットとの契約立ち上げでした。その後、コンシューマー&リテール部門のヘッドに就くとともに、ソリューションデザインにも関わりました。その後、イギリスに戻り、DHLサプライチェーンの全額出資子会社であるトレードチームという会社の社長を5年ほど務めてから、今度は社長として日本に再び戻ってくることになったのです。再度日本に赴任することになったときは、2004年の初赴任の時以上に驚きました。

自分たちのことを厳しく評価しがち

DHLサプライチェーン株式会社はどのような会社ですか?

biz31_03DHLサプライチェーン株式会社(以下DHLSC)はコントラクトロジスティクス業界で世界No.1の会社ですから、多国籍企業のお客様を数多く抱えています。大陸別に大型契約をしているお客様が多いのです。しかし、DHLSCとしては、多国籍企業に加えて、日系企業のお客様への認知度向上を図り、日本の物流業界でトップ10入りできるようビジネスを拡大していきたいと考えています。場合によっては、M&Aにも積極的に取り組みます。

DHLSCの強みはいくつかありますが、1つ目に「最適なソリューション提案力」が挙げられます。DHLSCにはグローバルレベルのベストプラクティスがありますが、それをそのまま日本のお客様に適用するようなことはしていません。グローバルの知見を活かしながら、日本のお客様にとって最適なソリューションを提供するというのが私たちの方針です。

2つ目の強みは「継続的改善」です。もちろん最初に適切なソリューションを提供することは大切ですが、それと同じくらい、常にオペレーションを見直していくことが重要なのです。サプライチェーンを変革し続けるスキルと姿勢こそ、DHLSCが提供できる大きな付加価値です。

3つ目は「人」そのものです。3PLは人のビジネスで、従業員が何よりの差別化要因となるからです。私はDHLSCのサービスレベルの高さ、チームワークの良さに自信を持っており、皆がこのまま実力を発揮していけば、ビジネス拡大は十分に可能だと捉えています。

ただ一方で、日本人は自分たちのことを厳しく評価しがちです。DHLSCは世界中で従業員意識調査を行っているのですが、日本のスコアは毎年低めに出てきます。私自身は、サービスレベルもチームワークも、日本は世界標準よりも絶対的に高いと確信しているのですが、私が思うような数値は出てきません。そのため、私はいつも現状を客観的に、ロジカルに眺めようと呼びかけています。そうすれば、確実にスコアが上がるはずだからです。また、私たち経営層がより一層情報共有を進め、自社の素晴らしさを皆にもっと知ってもらうことも重要だと考えています。私としては、従業員意識調査のスコアを適正なレベルに上げることで、皆に自信と誇りとモチベーションを高めてもらいたいのです。それは、ビジネスにも必ずプラスになるはずです。

ビジネス上の課題はどのような点にありますか?

これは何も日本に限った話ではありませんが、近年の大きな課題として、人口減少と高齢化があります。現実問題として、人材確保が年々難しくなってきています。また、個人的には、国による生産性の違いはそこまで大きくなく、多くても20%ほどしか変わらないと感じていますが、日本の場合は物流プロセスが複雑で、お客様の高い要望に応える必要もあるため、どうしても生産性が高まっていない面があります。これらの課題を解決するためには、将来「オートメーション化」が欠かせません。自動化テクノロジーのスキルを高め、それをベースに新たなソリューションを開発して、人材不足や生産性向上を補う必要があると考えています。

このオートメーション化に力を入れるため、DHLSCは2016年にイノベーション委員会を発足しました。現在、彼らが中心となって、さまざまなトライアルを行っています。追従型ロボットの利活用、スマートグラスを使ったビジョンピッキングなど、オペレーションの生産性を高める最先端技術を試しているのです。また、他のアジア地域でも自律型フォークリフトの試験導入などを進めていますから、今後は彼らとも連携を取りながら、数年後の実用化を目指していく予定です。一方では、既存技術でさらなる効率化を図れる部分がありますから、そちらにも注力していきます。

特に現場の余暇時間を増やしたい

社風を教えてください。

DHLSCには「リスペクト&リザルト(尊敬と結果)」の基本理念があります。皆が互いを尊重し合いながら、常に結果を追求する姿勢が根づいているのです。私としては、この基本理念より一層浸透させるために、何事も明確に、率直に、オープンに伝えることを大事にしています。「何が現在達成できていて、何ができていないのか」「何をしたら達成できるのか」「何を求められているのか」をメンバーにわかりやすくメッセージすることで、一人ひとりにしっかりと意識してもらうことを目指しています。そして、お客様とビジョンを深く理解し、お客様とより良い関係を築き、建設的に議論できるチームを作ろうと心がけているのです。ちなみに、今年のビジョンは「グロース(成長)」です。DHLSCを日本において拡大するために、大きな案件をいくつか獲得したいと考えています。

今後の目標について教えてください。

biz31_04いくつかありますが、最も重視していることの1つは「ワークライフバランス」です。ワークライフバランスに関して言えば、ヨーロッパと日本では、そもそも文化や考え方が大きく違います。ヨーロッパ人は基本的に平均1日9時間以上働くつもりがありませんし、週48時間以上は働けないようになっています。その辺りが、日本とは根本的に異なるのです。

とはいえ、私としては従業員の余暇時間をできるだけ増やしていきたいと考えています。特に、現場は業務特性上テレワークができないため、勤務時間を減らすのが難しいのですが、少なくとも週1日は必ず定時に帰れる体制を組めるよう組織改革を進めています。また本社では、2017年2月からプレミアムフライデーを導入し、毎月末の金曜日は3時以降の業務を原則禁止し、6時には本社オフィスを消灯しています。

どのような人材を求めていますか?

DHLSCはさまざまな人材を必要としていますが、最も重要なのは、各事業所のサイトマネージャーやオペレーションマネ-ジャーです。最も付加価値をもたらすのは現場であり、その現場でメンバーのモチベーションを高め、強いチームを作り、お客様対応・日常業務の管理・トラブル対応などを担うマネージャーこそがビジネスの中心なのです。ですから、私たちとしては、マネージャーや将来のマネージャー候補を数多く採用したいと考えています。

DHLSCでの仕事は、日々バラエティに富んでいます。同じ日は一つとしてありません。継続的なチャレンジを求める方にとっては、素晴らしい仕事だと思います。また、お客様に大きく貢献できる仕事ですから、自分の実力を発揮し、証明したい方にも向いていると感じます。物流に関心のある方には、DHLSCで働くことは良い選択肢になるに違いありません。

DHL

DHL - 世界のロジスティクス企業

DHLはロジスティクス業界のグローバルにおけるリーディングブランドです。グループの各部門が提供するサービスは、他社の追随を許さない広範囲なポートフォリオを構成しており、国内および国際小包配達から、Eコマースの受注・商品配送、国際エクスプレス、陸上、航空・海上輸送、産業サプライチェーンマネジメントにまで及びます。世界220以上の国・地域で35万人の従業員が、人々やビジネスをしっかりと確実に繋ぎ、グローバル貿易のフローを支えています。テクノロジー、ライフサイエンス・ヘルスケア、エネルギー、自動車、そして小売などの産業、成長市場向けの特別なソリューション、これまでの社会的責任へのコミットメント実績および発展市場における強固な事業基盤から、「世界のロジスティクス企業」と明白に位置付けられています。

 DHLは、ドイツポストDHLグループ傘下のブランドで、グループ全体の2016年の売上は570億ユーロ超に達します。

DHLサプライチェーン株式会社

最も遠い国でのチャレンジ 現職に就くまでのご経験を教えてください。 私は北アイルランドのベルファストで生まれ育ちました。船や飛行機が始終行きかう街で、父は輸送関連のビジネスをしていました。それで自然とロジスティクスに興味...

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