INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
PwCコンサルティング合同会社 松永エリック・匡史

成長する企業のビジネス戦略 vol.30

PwCコンサルティング合同会社

デジタル&ディスラプティブテクノロジー

パートナー

松永エリック・匡史

メディア戦略コンサルタントでありながら、バークリー音楽大学出身のプロミュージシャンという異色の経歴を持つアーティストとしても活躍。
コンサルタントとして、アンダーセン・コンサルティング、(株)野村総合研究所、日本IBM(株)、デロイト トーマツ コンサルティング(株)メディアセクターアジア統括パートナーを経て、現在はPwCコンサルティング合同会社 デジタル&ディスラプティブテクノロジー パートナー。
人間の欲求と官能を引き出すデザインに基づき未来をリードする独自の超右脳系理論はメディア関係者をも唸らせ、異彩を放ち続けている。GQでは連載も担当し、主な著書に『クラウドコンピューティングの幻想』(技術評論社)、『イノベーション手法50 -デフレ時代を勝ち抜く経営術-』(日経BPムック)、『これから情報・通信市場で何が起こるのか-IT市場ナビゲーター-』(東洋経済新聞社)。その他メディア系専門誌、Webメディアに執筆実績多数。

公開日:2017年4月21日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

ミュージシャンとコンサルタントは同じ

ミュージシャンを辞めた経緯から教えてください。

biz27_02私は中学3年生でプロミュージシャンになりました。自分で言うのも何ですが上手でしたので、面白いギタリストがいると噂になって、スカウトされたのです。プロとしてスタジオミュージシャンもテレビの仕事もいろいろとやりました。そして、音楽を極めようとバークリー音楽大学に進学したのです。バークリーで、パット・メセニーなどのレジェンドたちと一緒に食事をし、話し、セッションしたことは、今でも大きな財産になっています。

しかし、そこでプロミュージシャンの道を進むのを辞めました。音楽が「ビジネス」となってしまったからなのです。どのようなプレイをすれば評価されるかばかりを考え、音楽を上手か下手かで見るようになり、どんどん音楽が嫌いになっていきました。対するレジェンドたちは、ハードな練習をこなしながらも、私と違って実に楽しそうに演奏をしていました。彼らには敵わない、と思いましたね。そこで、「プロを辞めれば、再び音楽を愛せるようになる」と思い、プロミュージシャンの道を諦めたのです。だからこそ今は、心で感じるものを大切にしながら純粋に音楽を楽しんでいます。

プロミュージシャンを辞めた後、日本に帰国して、自分のイメージに合っていると感じて青山学院大学に入学しました。実は、幼稚園生くらいの頃から、自分が他人にとってどう見えるかを常に重視して生きてきました。たとえば、音楽なら「こういうプレイができる自分は周囲からカッコよく見えるだろう」というところから入って、そのためにはどのような練習をしたらよいかを考え、一つひとつ学んできたのです。青山学院大学に入ったのも、自分に似合っていると思ったからです。その当時は、学校の先生を目指していて、東京都の教員採用試験にも合格したのですが、結局先生にはならず、日系大手メーカーに入社してSEになりました。

どのようにしてコンサルタントになったのでしょうか。

大学を卒業して、最初に銀行システムのシステムエンジニアになりました。COBOLやFORTLAN、PL/Iなどを使い、ネットワークまでを含む巨大システムを担当したのですが、コンピュータの経験はまったくありませんでしたから、最初は苦労しました。しかし、プログラム言語の因果関係が見えたら急に楽しくなってきて、UNIX機を買って自作でプログラムをつくり始めたりしました。ネットワークに可能性を感じたのです。本体のコンピュータがそこになくても、遠くでデータを処理することができるのがスゴイと思った。それで、数年後にAT&Tに転職しました。

私は、AT&Tが日本でコンサルティングチームを立ち上げたときのメンバーで、「ネットワークは戦略である」という思想を叩き込まれました。やりがいのある仕事でした。しかし、何年か経験すると、ネットワークだけではコンサルティングに限界があることが見えてきたのです。それで次はアンダーセン・コンサルティング(現:アクセンチュア)に移り、さまざまな業界・企業のコンサルティングに関わって、システマティックにものごとを考え、語る力を鍛えました。そうしたら、今度はもっと未来を語りたくなった。そこで、コンサルティングチームを持つとともにシンクタンクでもある野村総合研究所(NRI)に行って、長いスパンで世界を見ていくスキル、たとえば10年後、100年後に金融はこうなるといった見方を身につけました。当時、NRIに業界No.1の素晴らしいコンサルティングチームがあったことも決め手になりました。

NRIで、今の「エリック」は完成しました。その後は、日本IBM、デロイト トーマツ コンサルティング、そして現在のPwCコンサルティングと、その都度、僕を最もチャレンジさせてくれるところに在籍してきたのです。

なぜミュージシャンからコンサルタントだったのでしょうか。

よく聞かれるのですが、僕自身はまったく違和感がありません。ミュージシャンもコンサルタントも、僕にとってはまったく同じなのです。どちらも、革新的な何かを見せることでお客様に喜んでもらう、驚いてもらう仕事ですから。技術の土台がないと、内容が薄っぺらに聞こえてしまう点も似ています。それほど違う仕事だとは思っていません。

コンサルタントとしての私のウリは、「新しいことをするワクワク感」と「地味な現場知識」の両方を提供できることです。ミュージシャンは一見派手ですが、その裏には、ドレミやアルペジオの練習をひたすら繰り返す地道な日々があります。そうした練習を積み重ねないと、本番で高度な演奏をして、お客様に喜んでいただけないことを僕は知っています。コンサルタントも同じで、単にイノベーティブなことを語るだけでは表面的になってしまうのです。それを支えるのは、現場知識です。私はAT&T時代に現場を知ることの重要性を学んで以来、今でも現場の方々とお話しするのが大好きで、ミーティングよりも現場での対話を選ぶタイプです。

たとえば、コールセンターのコスト削減をするとき、「人員削減をすればよい」と簡単に言えるのは、現場の痛みを知らないコンサルタントです。僕は逆に、そこで働く全員が笑顔になればうまくいくと考えます。この場合なら、コールセンターの売上アップを目指して改革を進めるのです。売上が上がればコストの問題は解消されますから、会社はそれでよいわけですし、売上アップに向けてメンバーの皆さんのモチベーションが上がり、離職率が下がれば、すべてがよいほうに回っていきます。そのようにして「やりがいのある仕事」を創っていくのが、僕の業務改革です。片方で「メディアフューチャー」などと言いながら、もう片方では現場の方々の気持ちをとことん考えるのが、エリックのコンサルティングスタイルなのです。

日本が一番「デジタル」だ

現在はどのような仕事をしているのでしょうか。

biz27_03現在は、音楽業界・映画業界・テレビ業界などの企業に対して、マーケット拡大支援のコンサルティングを行っています。先ほども話したように、私は現場が好きなので、単に市場を数字で語ったりするだけでは満足できません。たとえば、近年市場を席巻しているビデオストリーミングサービスに関しては、それぞれのサービスを徹底的に利用しています。そうして内部を覗かないと気が済まないのです。コンテンツをいくつも見ていくと、制作者の意図や会社の方針がだんだん見えてくる。こうした生の知識が私のコンサルティングの源泉になっています。ですから、僕は毎日、寝る時間の一部をコンテンツ視聴に充てています。朝のお風呂の時間なども、必ず何かの番組を見ています。

なぜ今、PwCコンサルティングを選んで在籍しているのですか。

それは一言で言えば、PwCの考え方が面白かったからです。2つの言葉があるのですが、1つは「BXT」です。これは、ビジネス・エクスペリエンス・テクノロジーの略ですが、とりわけ好きなのはエクスペリエンス、つまり「顧客体験」です。PwCは今、お客様に喜んでもらうことを徹底的に重視しているのです。これが、先ほどからお話ししている私の姿勢とマッチしているから、居心地が良いのです。

もう1つは、「デジタルとは、テクノロジーのことではなく、今の時代に合った変化を与えることだ」という言葉で、PwCはデジタルをこのように定義しているのですが、私はこの定義が気に入っています。コンサルティングにとって最も本質的なのは、テクノロジーの探索ではありません。時代をどう捉え、どう変化するかを探索することです。

今、私は「日本が一番デジタルだ」と思っています。なぜなら、私が現時点で最もデジタルだと考えているのは、日本的な顧客第一主義だからです。たとえば、日本の旅館のおもてなしは、間違いなく世界的な「デジタル」です。お客様に喜んでいただくこと、素晴らしい顧客体験をしていただくことが、現代世界で最も重視されつつあることで、その点で日本は世界の最先端を行っているのです。

コンサルタントの醍醐味と難しさを教えてください。

お客様に変革をもたらすのは決して簡単なことではありません。お客様が変われない原因のほとんどは、「過去の成功体験を捨てられない」ことです。しかし、その成功体験を否定して、いきなり全面的に変えようとしても、絶対にうまくいきません。それでは、お客様の経営層にも現場にも拒否されてしまいます。そこで私たちは、手を替え品を替え、何とかしてお客様に変わっていただくための工夫をしています。たとえば、ゴールがはっきりしたら、その間にいくつもの中間点を設け、緩やかな変革のプロセスを用意して、少しずつ推進していくことがあります。また、他社のさまざまな変革ショーケースを見せて、変わるのは良いことだ、楽しいことだとわかっていただくこともあります。変革に大反対する社内の方々と幾日も話し合い、理解していただくことも重要です。最初は変化に抵抗していた方々が徐々に変わっていくのを見るのは、コンサルティングの醍醐味の一つで、そのプロセスを経て、今は親友となった方が何人もいます。

あとは、お客様に自社の歴史、業界の歴史への理解を深めていただくのも大切なことです。歴史を知ると、重みがわかるからです。たとえば、ITネットワークはもともと軍事目的で開発されたものです。悲しい過去があるからこそ、僕たちはハッピーなことに使わなくてはならないと思います。同様に会社の過去、業界の過去を知れば、昔は自社がイノベーターだったことや、今またイノベーターになるためにしなくてはならないことが見えてくるのです。

もちろん甘い仕事ではありません。うまくいかないこともよくあります。それでもお客様の変革に向かい続けるのが、コンサルタントの使命です。

考えるクセがある人は向いている

どのような人がコンサルタントに向いていますか。

コンサルタントだから大切だという能力は意外と少ないと思います。人の意見に真摯に耳を傾けられることや、相手の喜ぶことにこだわれることは大切ですが、これらの能力も、多くの会社や業界で必要とされるものでしょう。

どこでも共通する能力のなかで、特に大切だと思うのは、「先入観を持たないこと」です。人が成長するためには、たくさんの「憧れの人物」や「ロールモデル」が必要です。ところが、先入観を持つとロールモデルを持てなくなる。たとえば、私は今、コンサルタントの傍らで大学講師も行っているのですが、大学の現場では「実践を知らない経営学者はダメだ」とよく言われます。しかし、私は決してそう思いません。実践を知らない経営学者の皆さんは、自分とは見方がまったく違って面白い。話すのは上手ではないかもしれませんが、その代わり、とても敵わないような能力や学識をお持ちで、彼らから学ぶことがたくさんあります。リスペクトの姿勢を持てば、相手の素晴らしさや面白さがいくつも見えてくる。先入観を持たない人は、成長の可能性をいくらでも見出すことができると思います。

とはいえ、コンサルタントに求められる能力はいくつかあります。1つ目に、コンサルタントの特徴として、多種多様なことを短期間で学び、頭に入れて分析する必要があります。学習の効率化を図りながら、モチベーションを維持するのは簡単ではありませんから、若干の才能が必要でしょう。たとえば、私はエンターテイメント業界とメディア業界を専門にしてきましたが、日本IBMでは証券業界を担当しました。こうしたことがよく起こるのがコンサルティング業界です。短期間で学ぶことを楽しめるかどうかが問われます。

それから、考えるクセが大事だと思います。ある場でコンサルタントの仲間たちと話したとき、全員が、小さいときから考えるクセがあったという話になったことがありました。頭の使い方をふだんから習慣化している人は、コンサルタントに向いていると思います。

最後にメッセージをお願いします。

biz27_04大学時代に先生を目指していたことをお話ししましたが、私は今も教育が好きです。キャリアの最後は先生になろうと思っていますし、いつか理想的な中学校をつくれたらと考えています。教師の大事な役割は、学生に選択肢を与えること、学生の夢をサポートすることだと思っています。「実現できない夢はない」と思うのです。なぜなら、人は実現できるものしかワクワクできないようになっているから。ワクワクする時点で、その夢は実現可能なのです。そうやって夢にワクワクしながら向かっていく学生たちをモチベートするのが、先生の使命だと思います。

もちろん、社会に出れば、夢を目指す途上でやりたくない仕事が回ってくることもあるでしょう。でも、そのとき、その仕事に自分でプラスの色をつけていけば、やりたい仕事に変えられるはずです。キャリアパスとは、そうした仕事、そうした道のりの集合体ではないでしょうか。そのうちさまざまな未来が開け、夢を叶えることができるかもしれません。

私の夢は、いつか先生になって、夢に向かって進む学生を一人でも多く増やすことです。そして今は、相手にワクワクしてもらうこと、楽しんだり驚いたりしてもらうことが好きで、この仕事をしています。この志を同じにできる方と一緒に働けたらと思っています。

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