INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
フィリップ モリス ジャパン合同会社 井上 哲

成長する企業のビジネス戦略 Vol.26

フィリップ モリス ジャパン合同会社

職務執行役副社長 兼 ディレクター コーポレート アフェアーズ

井上 哲

高校卒業後、アメリカに渡り、California Lutheran Universityで学ぶ。卒業して帰国し、東京大学に学士編入学。卒業後、1989年松下電器産業(現:パナソニック)に入社。日本本社とアメリカ松下電器で12年半を過ごした後、アーサー・アンダーセン、アップル、S&Iを経て、2007年にフィリップ モリス ジャパン入社。2009年から現職。

公開日:2016年12月5日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

アメリカでまったくの別人になった

フィリップ モリス ジャパン入社までの経緯を教えてください。

biz26_02私の人生を大きく変えたのは大学でのアメリカ留学でした。中学まで奈良県吉野の山奥で育ち、15歳から家を出て、高校は県内に進学しましたが、高校時代に大病をするなどして、勉学で遅れをとり大学受験というフィールドで周りにおいていかれてしまいました。大学進学に悩んでいたとき、ある方からアメリカ留学を勧められたのです。「日本では、問題児は下にしかはみ出ることができないが、アメリカなら上にはみ出ることもできる。もしキミが上にはみ出たいなら、アメリカで試すしかない」と言われました。その一言で、アメリカ行きを決断。英語はまったくできませんでしたが、家族の猛反対を押し切って海を渡りました。卒業するまで帰らないと決めて。

そしてアメリカで私はまったくの別人になりました。日本にいたときは何事にも悲観的なペシミストだったのですが、5年半のアメリカ滞在で、変わることができました。ひたすら勉強に励み、GPAでもそれなりの成績を残すことができましたし、アメリカ現地で文化の異なる知人たちと交流し、アメリカ文化へ深く入り込むことで、日本人としてアイデンティティも感じることができました。そのようなさまざまな経験から、自分は下にはみ出ていたわけではないと証明できたと感じるようになり、完全なるオプティミストに変わったのです。帰国後、日本の大学に行こうと思い、東京大学に学士編入学し、卒業後は松下電器産業(現:パナソニック)に入社しました。就職活動では外資系企業も考えたのですが、まずは日本企業を経験したい気持ちが強かったのです。

松下電器には12年半ほど在籍しました。5年は守口本社、それからはアメリカ松下電器で働きましたが、入社して本当に良かったと思っています。素晴らしい会社でした。特に松下幸之助さんの考え方、松下イズムから学ぶことが本当に多くありました。たとえば、幸之助さんの「企業は社会の公器である」という言葉を、私はいまだに頻繁に引用させていただいています。社会に何らかの価値を提供するのが企業の存在意義である。フィリップ モリス ジャパンでは、特にそのことを強く意識する必要があるのです。

アーサー・アンダーセンに転職したのは、簡単に言えば、「日本で生まれ育った人が本当に国際的に通用するのか?」を確かめたかったからです。それまで法務と経営企画の経験を積んでいた私は、リスクマネジメントコンサルタントとして入社しました。その後、アップルでは当時の社長に自ら提言して、政府系サービスの立ち上げを2年間ほど実行するなど、ロビー活動を通じて人的ネットワークを構築し、存在感を高めていきました。その後、S&Iを経て、フィリップ モリス ジャパンに入社しました。

なぜフィリップ モリス ジャパンに入社したのですか?

きっかけはヘッドハンティングです。最初にお会いした方と意気投合したことで、その気になりました。その後、10人ほどの社員と面接したのですが、特に韓国人マネジャーから「日本を背負わずにグローバルで活躍しようとする日本人ビジネスパーソンは、なぜ少ないのでしょうか?」と問われたことが印象に残っています。私はまさにそうなりたいと思っていたのです。その言葉が入社の決め手の一つだったかもしれません。フィリップ モリスなら、そうなれるのだと感じたのです。

入社して、その印象が間違っていなかったことがわかりました。まさにマルチナショナルな会社で、特に価値観の多様性が大きいのです。マールボロをはじめ、アメリカのイメージが強い会社だと思いますが、実際はまったくそうではありません。フィリップ モリス インターナショナルの本社はスイス・ローザンヌにあり、世界各国の社員が本当にグローバルな環境で働いています。各国・各人の価値観を認め合いながら、仕事を進めているのです。後ほど詳しく説明しますが、IQOSをはじめ、日本がグローバルをリードしているケースもあります。

全世界の成人喫煙者をIQOS

フィリップ モリス ジャパンの経営戦略を教えて下さい。

biz26_03「健康に害のあるたばこなど、製造・販売するのを止めたほうがよいのではないですか? 御社がたばこビジネスから撤退したほうが、社会のためではないですか?」などと言われることがよくあります。そう言われる気持ちはわかるのですが、しかし、私たちが撤退したら、本当に社会は良くなるのでしょうか。私たちは、決してそうではないと考えています。

たとえば、幸いなことに日本では広まっていませんが、世界では今、「違法たばこ」が大きな問題となっています。世界的にたばこ価格が上がったために、安い密輸品や模造品が横行しているのです。仮に、私たちがビジネスを止めたとしても、結局はこうした違法たばこが広まるだけでしょう。それは果たして良い社会なのでしょうか。

現在、たばこは世界的に合法的な嗜好品であり、各国の貴重な税収財源となっています。そうである限りは、弊社のような企業が、各国のルールに基づいて、しっかりと責任をもって事業を進めていく必要があるのです。質の良い製品、正しい製品を提供すること、健康への害をしっかりと伝えていくこと、未成年者にアクセスさせないように働きかけることは、責任あるたばこ会社がなくては実現できません。私たちの存在意義は、そこにあるのです。

ご存じのように、日本だけでなく世界的に、たばこに対する規制は年々厳しくなっています。私たちのビジネスは、こうした規制からさまざまな制約を受けざるを得ません。たとえば、日本では現在、たばこ広告は基本的にメディア使用を禁じられており、たばこ販売店の店頭や自動販売機などでしか認められていません。たばこを吸う人が減っているにもかかわらず、広告を打てないのです。それは、消費量や売上が下がる前提のビジネスだということを意味します。資本主義の世界では大変珍しいことでしょう。また、日本のたばこ製品は小売価格が国の認可制となっており、簡単に値上げすることができません。しかし、消費量が落ちる以上は、価格を上げるほかに事業継続はありえません。粘り強く国に働きかけていく必要があります。

さらに、たばこ製品は成人喫煙者がなかなかブランドを乗り換えないという特徴があり、マーケットシェアを拡大していく難しさがありますが、実は私たちはこの状況を新しいビジネスを創っていく大きな機会と捉えています。こうした環境のなかで、会社として社運をかけて推進しているのが、IQOSをはじめとする、「リスクを低減する可能性のある製品」の研究開発です。

では、IQOS について詳しく聞かせてください。

biz26_04フィリップ モリスでは、燃やさず加熱する技術を使用するIQOSを含む、リスクを低減する可能性のある幅広い製品を提供するため、20年以上研究開発を行ってきました。研究開発の投資額も、2008年以降で30億ドルを超えています。その結果、有害物質が発生する根本的な原因は「たばこ葉を燃やすこと」だとわかってきたのです。燃やす代わりに、より低い温度で一定にたばこ葉を温めることで、有害物質を大幅に減少させられることが明らかになりました。その成果を受けて開発したのが、革新的なヒートコントロール™テクノロジーを使用した「加熱式たばこ」IQOSです。火を使わず、灰を出さず、副流煙(先端から立ち上る煙)も出さず、さらににおいを抑えつつ、たばこの味わい豊かな蒸気(たばこベイパー)を楽しむことができる製品です。

現時点では、IQOSが使用者および周囲の方々についてリスクが低減していると断言することはできませんが、リスク低減製品の世界第一号を目指して、臨床試験を含む広範囲で厳格な科学的研究を継続しており、今日までに至る研究成果は大変心強いものとなっています。この研究からわかってきたデータや事実は、積極的に対外的に公表してきています。

IQOSは販売直後から急速に広まり、現在は品薄でご迷惑をおかけしているほどの人気商品となっています。その秘訣は、発生する有害性成分の大幅な低減はもちろんのこと、他にもさまざまなメリットを用意できたことにあります。なかでも、副流煙が出ず、通常のたばこよりもにおいもはるかに少ないため、周囲の方々に不快な思いをさせにくいことが、日本人ユーザーの皆さんに受け入れられた大きな要因ではないかと考えています。さらに、自分の衣服や髪にもニオイがつきにくく、周りの壁や自分の歯が茶色くなりにくいこともわかっています。また、火を使わないため、ライターが要らない、やけどや火災の危険性が少ないといったメリットもあります。こうした製品の特長に満足していただいた結果、急速に広まっていったのです。

biz26_02フィリップ モリスでは、「たばこハーム・リダクション」という考えのもと、将来的には、紙巻たばこの喫煙に比べて「リスクを低減する可能性のある製品」を全世界10億人以上の成人喫煙者の皆様に提供し、喫煙による社会全体への悪影響を減らしたいと考えています。紙巻たばこの喫煙を続けるすべての成人喫煙者の方々に、IQOSをはじめとする「リスクを低減する可能性のある製品」に紙巻たばことの併用ではなく、完全に切替えて頂きたいと考えています。将来的には全世界10億人以上の成人喫煙者全員に、IQOSあるいは将来市場に投入されるその他の「リスクを低減する可能性のある製品」を使っていただくことをビジネスの目標に据えています。

フィリップ モリス グループ全体でみると、実は、IQOSの販売は日本が世界的に大きく先行しており、さまざまな意味で私たちが「開拓者」となっています。そこで私たちとしては、IQOSをさらに広めるとともに、従来の紙巻たばこと同じ括りではなく、IQOSが紙巻たばことは大きく性質が異なる製品であるという点についてIQOS独自のルールづくりを推進し、世界をリードしていきたいと考えています。その第一歩として、フィリップ モリス ジャパンでは、同席している人の許可を取ることを条件に会議室でIQOSを使用することができます(もちろん通常のたばこは禁止です)。今後は、飲食店や宿泊施設など人々がさまざまな選択肢の中から自由に選んで利用できる場所について、IQOSだけが使えるゾーンを増やすといった働きかけを進めていきます。こうした取り組みが、いずれ世界を変えることになるかもしれないのです。

社会変革したい方を求めている

フィリップ モリスで働く上でのメリットを教えてください。

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端的にまとめると、「本当にグローバルで働けること」「人材開発にリソースをかけていること」「イノベーションを起こそうとしていること」の3点だと思います。

冒頭で説明した通り、フィリップ モリス インターナショナルは完全にグローバルな企業体です。さまざまな意味で世界との垣根が低く、フィリップ モリス ジャパンには多様な国籍やバックグラウンドの社員が在籍していますし、日本人社員が海外で働くことも特段難しいことではありません。ダイバーシティ&インクルージョンの行きつくところは「価値観の多様性」ですが、まさに多様な価値観のもとで意思決定を行っています。仕事の進め方や考え方が一つではないという前提で、すべての物事が進んでいるのです。本当にグローバルな環境で働きたいと思う方には、ぜひお勧めしたいと思います。私としても、日本人のメンバーには日本以外の地域でもっともっと活躍してほしいと願っています。世界を経験することで、より多様な価値観を理解することができるようになるからです。

また、先に説明しましたが、私たちは制約が多く難しいビジネス環境に置かれています。ビジネスを大きくしていくのは難しく、一方で少しでも配慮を欠いた仕事をすると、すぐさま厳しい批判にさらされかねません。だからこそ、「優秀な人材が必要だ」と私たちは考えています。数多くの制約があるなかで成果を出したり、クリエイティブな仕事をしたり、イノベーションを起こしたりするには、一人ひとりが優秀である必要があるのです。

そのため、フィリップ モリスはトレーニングやキャリアディベロップメントに大変なリソースをかけています。たとえば、一人のキャリアディベロップメントプランを決めるのに、フィリップ モリス ジャパンのマネジメント層で年複数回ディスカッションを行い、それと同じくリージョンヘッドクウォーター、ファンクション毎など、何層ものディカッションが行われています。社員一人ひとりがどのように成長するかが、会社の命運を握っているかもしれないと本気で考えているからです。そうした緊張感のある職場、成長スピードの速い環境で働きたい方をぜひお迎えしたいと思います。

そして、私たちが最終的に目指すのは「社会変革」です。害の少ない画期的なたばこ製品を生み出し、世界に広めていくことで、世界を変えたいのです。IQOSもそのためのツールの一つに過ぎません。他にもさまざまなイノベーションを起こしていく必要があります。IQOSのようなイノベーションを起こすために最も求められるのは、従来の仕事のやり方そのものを変えていくようなチャレンジです。世界をリードするインパクトあるアクションを起こそうと挑戦できる方、挑戦したい方を求めています。

どのような方を仲間に迎えたいですか?

すでに語った通り、「グローバルな環境で働きたい方」「緊張感のある職場、成長スピードの速い環境で働きたい方」「イノベーションを起こすようなチャレンジをしたい方」を求めていますが、もう一つ大切なのは、「戦略的思考」です。インパクトのあるアクションを取るためには、何よりもパッションが大切です。パッションはどうしても感情的なものと思われがちですが、必ずしもそうではありません。理知的なアプローチからパッションを起こしていくことも可能です。つまり、自分の役割の背景を戦略的に理解していけば、自然と「この仕事を頑張ろう」「やりきろう」「チャレンジしよう」といったパッションが湧いてくるものなのです。その上で重要なのが、何事も戦略的に捉えることです。

私としては、「グローバル」「成長スピード」「イノベーション」、そして「戦略的思考」の4つをキーワードとして掲げたいと思います。これらのキーワードが気になる方、ぜひお待ちしています。

フィリップ モリス ジャパン合同会社

フィリップ モリス ジャパンはフィリップ モリス インターナショナルの日本における子会社です。日本で販売されるフィリップ モリス社製品のマーケティング・販売促進活動を行っています。1985年に日本で事業を開始して以来、着実に成長を遂げ、今日、日本のたばこ市場で約25.3%のシェア(2015年現在)を有する第2位のたばこ会社となっています。フィリップ モリス インターナショナルは世界の紙たばこ上位15ブランドのうち、全世界で売り上げNo.1を誇るマールボロを含む6つのブランドを有しており、世界の約180ヶ国以上で製品を販売しております。

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