リージョン間で協調しグローバル全体で成長する
不況に打ち勝つ為、今後どのような事業展開・戦略をお考えですか。
テュフズードの主要サービスである検査・認証といった従来の成長エンジンを大切にしつつ、新しいサービスとして環境・エネルギーの領域に対するコンサルティングサービス拡充に力を入れています。このサービスは日本では3年前に開始したばかりなのですが、グローバルでは既に3本柱の1つとして売上の30% を占めており、そこで培ったノウハウを基にこれから大きく成長できる分野であると考えています。リージョン間の協働はもちろん、必要に応じて M&Aなども検討し市場拡大を目指しています。
また、リージョン間の情報共有とリソースの最適配置を実現するため、昨年10月にグローバル全体で組織改編を行いました。縦軸に産業別のディビジョンを、横軸にビジネス・オペレーションを担うリージョンを組み合わせたマトリクス組織にすることで、リージョン間での協調がスムーズに行えるようになり、グローバル全体での更なる成長を目指しています。
また、日本においては非常に変化の激しい昨今のビジネス環境に対応する為、マーケティングとセールス活動を更に強化しています。これまではお客様のほうからお問い合わせやご依頼を受けることが主でしたが、不況に加え競合が増加している現状でそれに安住しているわけにはいきません。お客様のニーズをしっかり掴み、我々が貢献できるサービスを積極的に提案するビジネススタイルに変えるため、部門ごとにセールス・ファンクションを設け、専任者を置く体制づくりを進めているところです。
御社の事業内容と強みについて教えてください。
わが社はドイツに本拠を置く第三者認証機関です。認証(Certification)、技術検査(Test)、コンサルテーション(Consultation)、トレーニング(Training)サービスを提供しており、まとめてCTCTと言っています。つまり、顧客企業の製品が自国や輸出先国の規格に適合しているかを検査、審査して、認証を行う。加えて、その過程でコンサルテーションや社員トレーニングなども提供しています。ですから、製品の企画・設計段階から生産して市場に出し、最終的にリサイクルされるまでの一連の過程において企業をサポートしているわけです。また、顧客は電気・電子産業から、自動車、医療機器、ヘルスケア、環境・エネルギーなど多岐に亘り、幅広い産業分野でほぼ全業種をカバーしているので、各業界への理解も深くワンストップ・ソリューションを提供できる。それが競合にはない強みとなっています。また、140年の歴史に裏打ちされた非常に強いブランド力が、当社の「TÛV」マークがヨーロッパで「信頼の印」と見られている所以でしょうか。
不況を乗り切るためにはどのような人材が必要だとお考えですか。
顧客企業に出向いて検査・認証を行うには、物事をきちんと判断して決定を下せる判断力が必要不可欠です。それがあってこそ、経験に基づく技術や知識を仕事に活かせるかと思います。加えて、顧客のニーズをつかむコミュニケーション力、変化に対応し新しいビジネスをつくっていく提案力がある人材が今後更に必要だと考えています。
サービスを提供する当社にとって、社員は二重の意味で大切な財産ですので、弊社でも人材育成は非常に重要だと考えております。ポテンシャルがあるマネジャー候補やハイパフォーマーには、「CHAMP(Corporate High Achiever’s Management Program)」という、リージョンレベルで選抜された人材が集まる幹部育成プログラムを実施しています。将来、リージョンレベルでプロジェクトを行うときなどに、そこで学んだ人たちがリーダーを務めていくことになります。
一つの分野にとどまらず仕事の幅を広げたい、知識を深めて専門性を高めたいなど、向上心を強く持っている人や自分自身をモチベートできる人には、当社で思い切り自分を伸ばしていただきたいですね。
メディカル・ヘルス・サービス部 主任審査員 川戸隆弘氏
1995年、岡山大学大学院・薬学研究科を卒業し、P&G・ファー・イースト・インクに入社。研究開発本部にて、新規開発製品の微生物分析手順開発や外部における滅菌バリデーションの監査を経験。2001年アボット・ジャパン株式会社に転職し、 ISO13485やFDAの品質システムの構築・維持・改善に携わる。その後、日本イーライリリー株式会社を経て、2006年8月テュフズードジャパン株式会社に入社。現在、ノーティファイドボディ&QMSシステム主任審査員。
変化の中で成長できる人材が活躍する
現在の仕事内容を教えてください。
医療機器や体外診断用医薬品の製造/販売をされている組織を顧客とする部署で主任審査員として認証審査等に携わっています。例えば、医療機器メーカーが国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO13485認証を希望する場合、この規格に沿って品質マネジメントシステムが構築されているかを書類や実地にて審査します。ちなみに、ISO13485はヨーロッパ、カナダなどでも医療機器の法規制上の要求事項として採用されており、これら法規制への対応状況等も審査で確認します。
また、日本国内の薬事法に関わる部分では、クラス?に分類される医療機器や体外診断用医薬品で認証基準を有するものに関しては、申請された製品の製造販売認証申請書の評価をさせて頂いています。
我々の品質マネジメントシステムや製品に対する認証は、該当する医療機器/体外診断用医薬品を市場に流通させる為の法的要求事項となり得る場合があります。よって当然、エンドユーザーや患者さんに対する大きな責任が伴う為、審査ではそのことを常に念頭に置く必要があります。また、こうした審査では、自分の知識を生かしつつ、顧客とうまくコミュニケーションをとって仕事を進めなければなりません。我々は審査のプロですが、医療機器や体外診断用薬品の分野に対しては顧客がエキスパートなので、前準備としての勉強ももちろんですが、適確に質問を重ね相手の考えをしっかり聞き出していくことが必要です。
そして我々が審査等で用いる医療機器に関する規格は数多く存在し、それぞれ数年ごとに内容が変更され、また新しい規格も続々と出てきます。自分で勉強したり、社内のトレーニングなどで情報をアップデートすることも重要な仕事です。責任は重大ですが学ぶ楽しさがあり、非常にやりがいのある仕事だと思います。
状況が変化している中、仕事をする上でどのようなことが必要だとお考えですか?
質の高い審査を行うこと、そしてセールスマインドを持つことが必要だと考えています。テュフズードは顧客のビジネスパートナーとして、お客様ごとに専任のプロジェクト・マネジャーを置いています。そうすることで言うこと、やることにブレがなく、長期に亘り一貫した審査を行うことができます。また、お客様のニーズを引き出し、それに対するサービスの提案・提供をするなど、お客様のビジネスが改善・成長できるようにサポートしています。こうした我々の強みやサービスの価値を実感していただけるよう、質の高い審査・サービスを提供し、お客様との信頼関係を築くことが重要だと考えています。
これまでのキャリアを教えてください。
岡山大学及び大学院で微生物を使った遺伝子解析の研究をしていたので、それを活かせる研究職に就きたいと考え、P&Gの研究開発部門に入り、化粧品やヘアケア商品に入れる防腐剤の配合の検討や試検法の開発などに携わりました。
4年目くらいから若いうちにもっと仕事の幅を広げておきたい、多様な経験を積んでスキルを身につけたいと考え始め、転職を決意し、体外診断用医薬品・医療機器を扱うアボット・ジャパンに入社しました。ここでは、海外の規制に対応するシステムを強化するプロジェクトチームや、品質システムを構築しメインテナンスしていく部署で仕事をしました。その後、医薬品会社のイーライリリーに移り、神戸の工場で注射剤の無菌充填製造工程やそのクリーンルーム環境の技術サポート業務に携わりました。
しかし、ルーティンワークを続けていくうちに、変化に富んだ環境で新しいものを見たい、知りたい、学びたいという気持ちが強くなってきたのです。もともと私はルーティンワークより日々新しいことをするほうが好きだということもあり、テュフズードのように、あらゆる業種の企業を顧客に持ち、認証等のさまざまなサービスを提供する会社のほうが、働きがいがあるのではないか考え、入社を決めました。
まったく新しい分野への挑戦だったわけですが、不安はありませんでしたか?
経験したことのない業種で不安はありましたね。加えてこれまでとは違うスキルや能力が必要になるわけですし。入社してまずは審査の仕方を勉強して資格を取るのですが、先輩の審査員が顧客のところで審査をする場についていったり、書類で審査するのを見たりして、同じことを自分も本当にできるのだろうかと何度も思いました (笑)。
ただ、当社の場合審査員のほぼ全員が中途採用で、審査員未経験者なので入社後のトレーニングが非常に充実しています。また、社員同士のコミュニケーションも活発なので入社して数カ月たったころには大丈夫だと思えるようになりましたね。
テュフズードで活躍できるのはどういう人材でしょうか。
審査でいちばん重要なのは相手の話を聞くことです。限られた時間の中で大切な情報を聞き出せるかどうかがポイントなんです。まず、自分の知識や経験にとらわれすぎず、オープンマインドで相手の話を聞く。そして自分の知識と該当する規格や法規制等に照らし合わせ、リスクベースで判断していくのです。審査員には質問力を含めたコミュニケーション能力が問われます。優秀な審査員ほど聞き出し上手ですよ。 また、先ほどお話したように、国際規格などは数年かけての改訂などが実施され、それに伴い医療機器や体外診断用医薬品の要求事項も変化するので、常に勉強していくことが必要です。だから好奇心が強く、変化の中で新しいことをいろいろ学びたい、知識を得たい、成長したいと思っている人が活躍できると思います。新しいことを吸収するのに貪欲で積極的な人であれば、自分の知識欲も満たされるわけで一石二鳥ですよ。
ありがとうございました。