INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
BASFジャパン株式会社 中山 多美恵

人事×経営 〜人事戦略を語る Vol.29

BASFジャパン株式会社

執行役員 人事本部長

中山 多美恵

1998年に日本オラクル入社。その後、デロイトコンサルティング(現・デロイトトーマツ コンサルティング)を経て、2004年HRリーダーシップ・プログラム生としてGEに入社。GEの金融、ヘルスケア事業等でHRマネージャーを経験。2010年よりヴェオリア・ジャパンで人事・コミュニケーション部門のトップを務め、2017年より現職。
カリフォルニア大学バークレー校卒業、コロンビア大学国際公共政策大学院修士号

公開日:2018年6月25日
(インタビュー実施時の御所属・役職名にて
記載させて頂いております)

BASFジャパン、
人事部門の目的はビジネスの成長

「集団の力の可能性」に興味を持っている

BASFジャパンに入社するまでの職歴と経緯を教えてください。

hr29_02大学はアメリカ西海岸の大学だったのですが、卒業後すぐ日本に帰国する予定はしていませんでした。たまたま日本オラクル採用担当者の方にキャンパスで声をかけられたのがきっかけで、日本に帰国して社会人生活を始めました。入社後6か月間は新入社員研修でITやビジネスの基礎を学び、その後ビジネス・ソリューション部という部署に配属となりました。社会人として最初の仕事は、ファイナンシャルシステムを売る営業コンサルタントでした。

その後、デロイトコンサルティング(現・デロイトトーマツ コンサルティング)に移り、M&A後のPMI(Post Merger Integration:統合後プロセス)やチェンジ・マネージメント、リーダーシップ育成などのプロジェクトを担当し、そこで初めて人や組織に興味をもちました。大型M&Aプロジェクトに関わるチャンスも多く、エキサイティングな日々でしたが、エンロン事件(米国の総合エネルギー会社エンロンが起こした不正会計事件)を契機にコンサルティング業界での事業再編が進んだタイミングで、もう一度学びの場に戻ることを決め、アメリカの大学院に進学しました。

ビジネススクールに行くか迷いましたが、コンサルタント時代にチェンジ・マネージメントやリーダーシップ開発のプロジェクトに携わり、コミュニケーションの分野に興味をもったのと、大学時代に専攻した国際関係論をまた学びたいと思い、両方学べるコロンビア大学公共政策大学院に進学することにしました。この時も卒業後日本に戻るか悩みましたが、GEの人事リーダーシップ・プログラムに入ることに決め、日本に帰国しました。

GEでの最初の2年間はリーダーシップ研修生として、ダイバーシティ推進、組織開発、そしてマーケティング・コミュニケーションといった分野で経験を積みました。リーダーシップ・プログラム終了後、GE キャピタルのコンシューマー・ファイナンス事業のアジア・パシフィック・リージョン本社で、M&A担当人事マネージャーの仕事に就きました。国際関係論やアジア・パシフィック研究を学んできたこともあって、これは興味の尽きない仕事でした。法制度のみならず、意思決定の仕方や商習慣も国によってまったく異なり、修士研究とビジネス、HRとビジネスのつながりを体験できた大きな学びの日々でした。

その後、次のアサインメントで医療機器事業部門のGEヘルスケアに移りました。金融からヘルスケアという全く異なるビジネスであったのと、ほとんどが国内とのコミュニケーションで完結するというビジネス環境は初めてで、私がこれまで見てこなかった世界がそこにありました。

初めて組合のある組織に人事として入り、工場で働く社員が何を求めているのか、彼らはどこにモチベーションの源泉があるのかといったことを知るのはとても新鮮で、試行錯誤しながら働きやすい環境づくりに邁進しました。それ以来、私は一貫して、「集団の力の可能性」に非常に関心を持つようになりました。私はチームで動くことが好きです。

その後、初めて欧州系の会社に転職をし、人事と広報部門のリーダーシップポジションにつきます。ヴェオリア・ジャパンという総合水道事業の会社で、ここでは大学院で学んだ公共政策の知識が非常に生かされました。そして、入社2年後に日本法人の取締役になり、より経営に近い立場でリーダーシップを発揮できる機会をいただきました。

人事部門の最終的な目的もビジネスの成長

なぜBASFジャパンを選んだのですか?

hr29_03ヴェオリア・ジャパンでは毎日充実した日々を送っていましたが、出産を機にポジションを後継者にバトンタッチし、1年間ほど休みを取りました。育児も落ち着いたタイミングで仕事に復帰したくなり、2017年からBASFジャパンで現職に就いています。BASFジャパンに入社を決めたのはドイツ人の前社長に「私たちはあなたのようなワーキングマザーを必要としています」と言われたことが大きいです。また、日本法人をカルチャーチェンジする上で、私のようにインターナショナルな視点で人事やビジネスを考えられる人材が欲しいということでした。人事のプロフェッショナルとしてだけでなく、ワーキングマザーとして何か組織に貢献できたらと思い、入社を決断しました。

BASFジャパンはどのような会社でしょうか?

hr29_06ドイツ・ルートヴィッヒスハーフェンにあるドイツ本社
写真提供:BASFジャパン
BASFは、ドイツ・ルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く、世界をリードする化学会社です。1865年に創立し、現在は80カ国以上にグループ会社および約11万5,000人の従業員を擁しています。製品ポートフォリオは化学品、高性能製品、機能性材料、農業関連製品、石油・ガスと幅広く、「交通」「建設」「消費財」「健康・栄養」「エレクトロニクス」「農業」「エネルギー・資源」をはじめとするほぼすべての分野で採用されています。また、企業目的「We create chemistry for a sustainable future (私たちは持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくります)」のもと、経済的な成功、環境保護、そして社会的責任を同時に実現しています。その日本法人であるBASFジャパンは1949年に設立され、来年70周年を迎えます。社風としては、ドイツの会社らしくルールやポリシー、ガイドラインなどがしっかりしていて規律性が高いというのと、チームワークを重要視するという特徴があります。その点は日本企業に似ているのではないでしょうか。

人事としてどのようなことに取り組んでいるのでしょうか?

BASFジャパンは、2018年の2月に社長が交代しました。新社長の石田は新卒でBASFに入社し、ドイツ本社をはじめ海外での経験が豊かなリーダーです。中国やインドといった新興市場が大きく成長する中、日本法人がどうやって付加価値を出し成長しつづけるか、また、社員をどう鼓舞していくかを真剣に考えています。新社長が打ち出した日本のビジョンは、社員一人一人が「主体性」と「変換力」をもって日本のお客様の成功に貢献しようというものです。そこには、BASFの製品ソリューションをいかに日本流にアレンジして、日本のお客様にフィットしたソリューションや体制をつくるかにフォーカスしようとする意図があります。BASFの最大の強みは、質の高い化学製品を幅広く扱い、フェアブントと呼ばれる統合生産によって効率よくモノづくりを行っていることです。その強みを最大限に活かしつつ、日本法人ならではの付加価値を提供し、さらに成長していきたいと考えています。また、日本の製造業はいまやグローバルビジネスが当たり前ですから、BASFジャパンが窓口となり、BASFがもつグローバルネットワークを活かして、日本のお客様の海外展開の支援にも力を入れていきます。

現在人事は、BASFジャパンが掲げる新ビジョンを実現するために、人や組織という側面で何をすべきかをマネージメントチームと一緒に議論して実行に移しています。先ず最重要課題として取り組んでいるのは、「育成」と「採用」です。たとえば、各業界の専門家として、業界ごとのソリューションを生み出せるインダストリーエキスパート人材をどう育成するか、各ポジションの後継者を継続的に生み出すためのリーダーシップ・パイプラインをどう構築するかといったことに取り組んでいます。また、日本人社員を海外法人にアサインしたり、逆に海外の人材を日本法人にアサインしたりして、日本法人と海外法人をつなぐ人材を数多く育てることにもチャレンジしています。さらに、優れた人材を増やすための採用も強化しています。もう一つビジネスの成長に重要だと考えるのが社員のエンゲージメントです。優秀な人材を採用し育成するだけでは成長に限界があります。社員一人一人のエンゲージメントを高め、集団の力を最大限発揮することがビジネスの成長には不可欠だと思っています。

人事には他の部署での経験が必要だと思いますか?

個人的には、人事部門の責任者は、どこかのタイミングで人事以外の部署に入り、ビジネスを直接経験するか、HRビジネスパートナーのように、HRとビジネスの関係が実感できる立場に立ったほうがよいと思います。なぜなら、人事部門の最終的な目的もまた、ビジネスの成長であるはずだからです。ビジネスを成長させるには、一つひとつの意思決定がビジネスや会社にどういった影響を与えるかを見なければなりません。そのためには、ある程度のビジネス経験が必要ではないかと思うのです。また、職務経験は不要かもしれませんが、財務やテクノロジーに関する知識は人事戦略を考える上で重要ですから、必ず勉強した方がよいと思います。GEの人事リーダーシップ・プログラムでも、必ず一度は人事以外のアサインメントをすることが求められていました。私自身、過去の営業やコンサルタントとしてのビジネス経験が今でも大いに役立っています。また、人事に限らずですが、問題解決能力やコミュニケーションといったスキルはキャリア形成していくうえで重要だと思います。

海外勤務や子育て、多様なキャリアパスを描く環境のある会社

どのような方を求めていますか?

hr29_05写真提供:BASFジャパンBASFジャパンは「ダイバーシティ」を重んじる会社ですし、それをサポートする環境もあります。日本法人には仕事と子育てを両立しながら働く女性社員が大勢います。私もその一人です。また、昔からワークライフバランスを重視するドイツが本社のBASFです。BASFジャパンにおいても、定時に帰る社員はたくさんいますし、有給取得率も高いのが特徴です。今後更に柔軟な働き方を推進していくことで、より魅力的な職場環境を作っていきたいです。

もう一つ特徴的なのは、人材育成に関する考え方です。外資系日本法人の社員だと、ローカル社員ということで海外で働く機会はあまりないと思いますが、BASFは本社以外の社員も海外で活躍できる環境を提供しています。特にリーダーシップポジションには海外経験が求められますから、リーダーシップ候補にノミネートされている社員は数年の海外アサインメントを経験することが多いです。今後は、短期海外アサインメントも含め、グローバル人材育成を益々積極的に行っていきたいと考えています。

最後に、子育て中のワーキングマザーにメッセージをお願いできたらと思います。

日本において女性が仕事と子育てを両立するのは社会インフラの問題と文化的な要因で困難だというのが一般的ですが、会社のサポートやワーキングマザー自身の工夫で両立は十分に可能だと思います。

フランス企業で働いていた際に、当時上司だったフランス人の上司に「フランスでは多くの要職に就く女性が仕事と育児を両立しているのに、何故日本ではワーキングマザーが少ないの?ある大企業のCEOは5人の子供のお母さんだよ」と言われました。はっとさせられました。日本ではキャリアか家庭の選択を迫られる一方で、自分より更に責任ある立場の女性が5人の子育てを経験している。ものすごく勇気づけられ、肩の力がふっと抜けました。それから数年後に自分もワーキングマザーになり実感しているのは、職場環境や周りのサポート次第で日本においても仕事と子育ての両立は十分可能だということ。BASFジャパンにも効率的に仕事をしながら結果を出している優秀なワーキングマザーがたくさんいます。女性の中には管理職になると仕事が大変で両立が厳しくなるからと昇進を懸念する人がいます。それはむしろ逆で、管理職は裁量で仕事ができ、時間ではなくアウトプットが重要ですから、両立はしやすいのです。きっとできるというポジティブな思考と発想の転換で、日本でも社会で活躍するワーキングマザーがもっと増えたらよいと思います。

BASFグループ

BASFは、ドイツ ルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く、世界をリードする化学会社です。 “We create chemistry for a sustainable future” (持続可能な将来のために化学でいい関係をつくる)を企業目的に掲げ、経済的な成功、環境保護、そして社会的責任を同時に実現しています。
1865年に創立し、BASFは現在、80カ国以上にグループ会社および約11万5,000人の従業員を擁しています。また、BASFの製品ポートフォリオは化学品、高性能製品、機能性材料、農業関連製品、石油・ガスと幅広く、「交通」「建設」「消費財」「健康・栄養」「エレクトロニクス」「農業」「エネルギー・資源」を始めとするほぼ全ての分野で採用されています。私たちはこうした化学の幅広い知見とグローバルネットワークを活かし、世界中のビジネスパートナーの皆様に持続可能なソリューション提供しています。
BASFは日本との関わりも長く、1888年に初めて日本市場に接触して以降、日本のお客様のパートナーとして活動しています。日本では、化学品、高性能製品、機能性材料、農業関連製品の4分野で事業を展開しており、国内に24の生産拠点、尼崎市、横浜市、茅ケ崎市、山武市等に研究開発拠点を設け、国内外で活躍される日本のお客様をサポートしています。

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