INTERVIEW
企業インタビュー

 企業インタビュー
プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社 長神 真梨子

ビジネスを変革する デジタル戦略 Vol.4

プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社

ブランドマネージャー(ジョイ担当)

長神 真梨子

プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社(以下「P&G」)入社後、アシスタントブランドマネージャーとしてパンパースの日本市場を担当。3年目にシンガポールに赴任となり、パンパースのグローバル部門へ移り、ロシア、インド、中国、日本、ブラジルなどの市場でのマーケティング戦略の策定および、パッケージやTVCMの作成などを担当。5年目に日本に帰任してファブリーズを担当。産休育休をはさみ、現在は食器用洗剤ジョイのブランドマネージャー。日々変わるビジネスのダイナミックを分析、理解したうえで、ファイナンス、営業企画、生産管理など他部署のメンバーを巻き込みマーケティングプランを策定、実行するという役割を担う。

公開日:2017年3月21日

3年目でグローバル本部立ち上げメンバーに

P&Gに入社した理由を教えてください。

lcms04_02私は、高校生の頃から国際協力に興味があって、大学時代に英語のほかにフランス語、スペイン語を学び、さまざまな国際協力のレクチャーを受け、内閣府海外派遣事業やグラミン銀行系組織へのインターンも体験しました。そのなかでわかってきたのは、NPO・NGOの活動は寄付がベースになっているため、途中でプロジェクトが止まったり、なくなったりしてしまうことがよくあるということです。また、数年経つとシステムがうまく回らなくなって、失敗してしまうプロジェクトが多いことも知りました。

一方で、私がインターンに参加したバングラデシュ・グラミン銀行系組織はかなりの成功を収めていました。その理由は、援助される方々が自らお金を稼げる仕組みがあったからです。単に援助されるだけだと「ありがとう」で終わってしまうのですが、ビジネスチャンスがあると、自分で稼ごう、自分の力で生活を変えていこうとするモチベーションが高まるのです。結局、継続的に、かつスピーディーに変革を進めていくには、ビジネスの仕組みを活用するのがよさそうだとわかってきました。それならまずビジネススキルを身につけようと考え、就職活動を始めました。
就職活動では、コンサルティングファームや銀行など、さまざまな会社を回りましたが、そのなかでP&Gを選んだのは、簡単に言えば、フラットな組織ですぐに勝負できそうだと感じたからです。実際、表裏の少ない会社で、入社後のギャップはほとんどありませんでした。唯一あったのは、想像以上に仕事を任されたことです。もちろん、若手にどんどん権限が与えられるとは聞いていたのですが、まさかここまでとは思いませんでした。

入社後、どのようなことを任されたのですか?

入社1~2カ月後には、ある商品のマーケティングプランの立案を任され、一から企画を立てました。その時点では、マーケティングのことがほとんどわかっていなかったのですが、それでよいからとにかくチャレンジしなさいというのです。しばらくは全体像が見えないまま、期待に応えようと走り続けました。任されたことに関しては、1年目から「リーダー」として扱われ、5年目の方も10年目の方も、リーダーの私の意見に真摯に耳を傾けてくれました。むしろ意見を言わなかったり、やりたいことを明確にしなかったりすると怒られました。P&Gは、本当に若手に権限を与える会社なんだな、と実感しました。

3年目に、シンガポールに赴任しました。入社時からインターナショナルアサインメントを希望していたのですが、このタイミングで、パンパースのパンツ型商品のグローバル本部立ち上げメンバーに選ばれたのです。この時、同じくP&G社員の夫と2人で一緒にシンガポールに異動させてもらいました。こうした配慮には本当に感謝しています。

グローバル本部のミッションは、どうしたらパンツ型紙おむつのグローバル市場で勝てるのかを見極め、世界各地でどの商品をどのように売り込むかという戦略を立てることでした。最初の半年は、情報収集に忙殺されました。各国のパンツ型紙おむつの市場状況といったベーシックな情報すら手元になかったので、一から集めていったのです。この時期はなかなか自身の価値を発揮できずに悩み、さまざまな方に相談したのを覚えています。

その結果、パンパースのパンツ型紙おむつのアイデンティティを明確にしたほうがよいということが見えてきました。そこで、ロシア、インド、中国、日本、ブラジルなどのキーマーケットを選び、それぞれ1週間くらいずつ滞在して、お母さんが紙おむつを使う現場を見て回ったり、パンツ型紙おむつの使い方を説明するワークショップを行ったりして、お母さんたちの深層心理や言葉にできないイメージを探っていくプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトを進めることで、ようやくさまざまな物事が動いていったのです。

lcms04_03実は、パンツ型紙おむつとテープ型紙おむつの関係は、国によってまったく違います。たとえば、日本では子どもが大きくなるにしたがってて9ヶ月くらいからテープ型からパンツ型に移行していくのですが、アメリカでは2、3歳までパンツ型を使わない家庭が多いですし、逆にインドは生まれた直後からパンツ型を使うのが一般的です。インドの調査では、あるお母さんから、パンツ型は直観的に使える「iPhone」で、テープ型は多機能だけれど使うのにスキルが必要な「BlackBerry」だという例えが出されました。つまり、インドの方々にとってテープ型は少々面倒に感じているものなのです。一方、アメリカや日本にはもともとテープ型があって、その後でパンツ型が出てきた歴史的経緯があるため、テープ型を使う文化が比較的浸透しているのです。

もちろん、他の国はまた事情が違います。私は調査プロジェクトの途中で日本に帰ってきたのですが、現在ではグローバルチームがアフリカなどでもプロジェクトを行っていると聞いています。また、その結果に従って、実際に各国の販売戦略を立て、パンツ型紙おむつの販売を始めたり、強化したりしていると聞いています。

シンガポールの2年間で何を得ましたか?

相手のアクションを引き出すには、何事もクリアに主張しなければならないことを学びました。なぜなら、国によって仕事のモチベーションの源泉がまったく違うからです。日本人は何事にもコミットする民族で、「言ったからにはやらなくては」と思うタイプが多いですが、欧米人は仕事が終わらなくても、時期が来ればバケーションに出かけます。一方、中国系の方々は人前でフィードバックされることを嫌がる傾向があります。それぞれ文化が違い、考え方や習慣が違うのです。ですから、さまざまな国の人が集まる環境では、はっきりと主張しなければ伝わらないのです。この学びは、帰国後も大切にしています。なぜなら、日本でもP&Gはダイバーシティに富んだ環境だからです。実際に今、私の上司はインド人ですし、部下は中国人です。きちんと伝えなければ、伝わらないことがたくさんあります。

意図的にデジタルメディアを少なくしている

帰国後はどのような仕事にわりましたか?

lcms04_04帰国した後、ファブリーズのチームに所属し、産休・育休をはさみ、復職した後は、食器用洗剤・ジョイのブランドマネジメントに携わっています。

今振り返ると、この産休・育休の経験が私を少なからず変えました。1つ目に、1年近く専業主婦のような生活をしたことで、商品を消費者視点から眺められるようになりました。たとえば、私は今、仕事として食器用洗剤のことをいつも考えていますが、普通の主婦は食器用洗剤のことなど普段はほとんど考えません。そうした主婦の感覚を横に置いたままマーケティング戦略を立てても、決してうまくいかないのです。産休・育休を経て、そのことが実感としてよくわかるようになりました。

2つ目に、ストレス耐性が上がるとともに、部下の成長を見守るのが楽しくなりました。子育ての大変なところは、思うようにならない点です。子どもは決して私の予想通りに行動しないのです。子育てをしていたら、仕事でプロジェクトが思い通りに進んでいかないときにも、何とかなると思えるようになりました。明らかにストレスが溜まりにくくなったのです。同時に、部下の育成を、子育てと同じように重視するようになりました。部下の成長のためには、自分はどの場面で介入して、どの場面では部下に任せるのが一番良いのかを見極め、関わり方を柔軟に変えるようになったのです。また、考え方や性格は一人ひとり違いますから、メンバーに合わせて接し方を細かく変えるようにしています。何事も楽しく取り組むチームを目指して、ピープルマネジメントに力を入れています。

マーケティングのデジタル活用をどのように捉えていますか?

私が担当するジョイに関して言えば、意図的にデジタルメディアの使用を少なくしています。なぜなら、先ほども少しお伝えしたように、日常生活のなかで食器用洗剤のことを積極的に考えたり、知りたいと思ったりする方が少ないからです。ユーザーが主体的に情報を得ようとする意欲が低いのですから、検索やクリックを通じてジョイを身近に感じていただくよりも、テレビCMや店頭広告を強化したほうが効果的だと考えているのです。

一方では、デジタルメディアを使った実験をいくつも進めています。これまでには、料理レシピサイトとコラボレーションして、夏の弁当箱の除菌を勧める広告キャンペーンを打ったり、ビッグデータを使って、食洗機が必ず設置されているタワーマンションの多い地域を絞り込み、そこで食洗器専用のジェルダブの宣伝に注力したりしてきました。こうしたチャレンジの成果も加味しながら、常にデジタルバランスの最適化に努めています。

入社2カ月でリーダーになる会社

P&Gの魅力を教えてください。

lcms04_05序盤に私の体験談としてお話しした通り、P&Gは「入社2カ月でリーダーになれる会社」です。特にマーケターとして成長したい方には楽しい職場だと思います。丁寧に教えてくれることはあまりないかもしれませんが、小さな失敗をしたときには周囲がサポートしてくれますし、大きな失敗をしないようにフォローしてくれますから、心配せずにチャレンジしていけばよいのです。場数を踏んで、失敗しながら学び、成長していける環境がここにはあります。

それから、さまざまな意味で分け隔てのない会社です。たとえば、私は産休・育休から戻ったタイミングでマネージャーに昇格したのですが、他社の話などを聞く限り、これは珍しいことのようです。女性だから、お母さんだからと言われることがないのです。もちろん任された分は結果を出さなければならない厳しい環境ではありますが、女性や子育てがバリアになることはありません。また、在宅やフレックスで柔軟に働ける環境が整っていますから、その点も心配はいりません。

「ファミリーファースト」の文化が根づいた会社だと感じることも多くあります。帰国直後のタイミングで妊娠がわかったとき、周囲に迷惑をかけると自分では思っていたのですが、チームメンバーは皆祝福してくれました。また、子どもの学校に行くことや子どもの急病対応などを、誰もが最優先してよい社風があります。そうした意味でも、居心地が良い会社です。

今後の目標について教えてください。

消費者を理解し、新しいコミュニケーションを考えるというマーケティングの取り組みに終わりはありません。消費者の皆さんの考えることは、時代とともに変わり続けており、いつでも発見があります。たとえば、最近は家事を賢くこなしたいという傾向が強まっていると感じます。そうした時代に合った商品やコミュニケーションが必ずある。それを発見し、新たなアイデアを生み出すのが私たちの務めです。休日、スーパーマーケットなどでジョイを買っているお客様を見たら、「やった!」と思います。その喜びを得るために、明日のコミュニケーションを考え続けていきたいと思います。

プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社

日本でもアリエール、ジョイ、パンパース、ウィスパー、SK-IIなど多くの世界的ブランドを有するP&G。それらのブランドは、世界で最も厳しいと言われる日本の消費者に高く評価され、同時に世界ブランドを支える品質を押し上げる原動力にもなっています。また、現在日本でも広く知られているインターンシップ採用や職種別採用などを、アメリカでもいち早く取り入れた企業も、P&Gです。「お金とビル、ブランドを取り上げられても、社員さえいれば、10年ですべてを元通りに再建できる」というのは、1948年当時、P&G米国本社の会長であったリチャード・R・デュプリーの有名な言葉です。 この言葉の通りに、P&Gは古くから「人材こそが会社の最も重要な資産である」という理念のもと、日本においても採用活動をしています。 そのP&Gが経験者採用を開始し、重要な資産である人材を募集しています。

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