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外資系スペシャルインタビュー

日本ロレアル株式会社

―スペシャルコラム― クラフト・ジャパン株式会社 東 智徳氏

〈東 智徳氏 略歴〉
ミネソタ州立大学マンケート校卒。エンジニアを経験後、オレゴン大学に留学し1989年にMBAを取得。帰国後リサーチ会社にてコンサルタントとして活躍。1995年に日本コカ・コーラへ入社、シニアブランドマネージャーとして爽健美茶を担当。2000年、E&Jガロ社に入社し、チーフマーケティング・オフィサーとしてアジアパシフィック全体を統括。2006年、クラフト・ジャパン代表取締役社長に就任。

【2007/2/22 公開】

クラフト・ジャパンの事業内容を教えてください。

 事業は大きく3つあります。1つはチーズ事業で、ライセンスで森永乳業に生産・販売を委託しているものと、「クラフト・フィラデルフィア・クリームチーズ」、「クラフト・パルメザンチーズ」など、輸入チーズの販売があります。他2つの事業は「スナッキング」としてくくれるもので、1つはチョコレートやナッツ類の輸入販売です。チョコレートはベルギーの「コートドール」、ドイツの「ミルカ」、スイスの「トブラローネ」を主に扱っており、ナッツ類はアメリカの「プランターズ」を扱っています。これらの製品を当社が直輸入し、明治製菓、ヤマザキナビスコに販売委託しています。スナッキングのもう1つはライセンス事業で、「オレオ」。「リッツ」といったナビスコブランドの製品を、ヤマザキナビスコに製造・販売してもらっています。

クラフトのビジネスの特徴としては、どういうことが挙げられますか?

 クラフトは北米ナンバー1、世界でもナンバー2の食品会社で、人を大切にする事と、独自のマーケティング戦略に力を入れています。マーケティングではコンシューマー・ファースト(顧客第一)を徹底して、北米企業でトップクラスの高い評価を受けています。
そのマーケティング手法は、コミュニケーションツールからブランド戦略の立て方に至るまで、体系立てられており、それを学ぶためのトレーニングもグローバルなものや、eラーニングが組み合わされていて、世界中のクラフトで最新かつ独自のマーケティング手法を共有し活用する仕組みができています。

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クラフト・ジャパンの特徴、グローバルとの違いは何でしょうか?

 クラフトブランド、ナビスコブランドなどパートナー企業と一緒にやっているビジネスがあるので、事業規模はかなり広範囲となりますが、クラフト・ジャパンの組織自体は少数精鋭です。その小さな組織で大きなビジネスをまわしているところに、当社の特徴と面白さがあると思います。
 日本は世界で2番目に大きな市場で、クラフトとしても重要視していますが、これから人口が減少していく市場であるなかで当社がいかに効率的に成長していくかは、大きなチャレンジです。そこで成功するには不断の革新が必要であり、社員全員が毎年、前年とは違うやり方を模索し、新しいことに挑戦しなくてはなりません。
 これまでは日本市場を熟知している強力なパートナーを得て、リスクも比較的小さい中で成功してきましたが、更なる成長の為には既存のビジネスモデル、プラスアルファの変革が必要になってきます。これまでのパートナー企業との協力体制を保ちながら、クラフト・ジャパンとして出来る事すべき事を実行することで、一緒に事業の革新を起こしていきたいと考えています。

それは、パートナー企業との関係を変えるということですか?

 パートナー企業とWin-Winの関係を築くことが基本であり大前提として考えた上で、当社の役割分担を強化し、クラフトとしてしなくてはならないことをやっていくということです。たとえばグローバル企業としてクラフトが持っている技術やマーケティング手法をパートナー企業と共有したり、互いに学びあい、高めあっていけるような関係を築き、新しいビジネスの仕組みを作っていければ、市場の縮小にも対応していけるはずです。そういう、お互いにメリットを拡大できる、新しいパートナーシップを築きたいですね。

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クラフト・ジャパンの将来像をどのようにお考えですか?

 新しいパートナーシップの下でもっと市場に近づく、消費者に近づいた会社にしようと考えています。そして、そこで学んだことを世界のクラフトに発信していきたいと思います。日本は大きな市場であると同時に、マーケティング的にはきわめて難しい市場でもあると思います。そこで我々が新しいことを試したり、イノベーションを起こしたりした結果を情報発信することで、クラフト全体のマーケティングに貢献していきたいと思います。これまでは日本市場のことだけを考え、日本での結果を追求していればよかったのですが、これからは世界のクラフトにとって何ができるかを考えなくてはなりません。日本で生まれたアイデア、ノウハウ、技術などを、グローバルに共有できるようにしたいと思っています。
 組織としては、社員がつねに新しいことにトライして殻を打ち破るような、チャレンジングな気風を持った組織にしていきたいですね。社員一人ひとりが自分の目標を持ち、その実現に向かって前進していることを実感できる会社にしたいと思います。ですから組織は小さくても、クラフトというグローバルな企業の一員であることを社員には自覚してほしいし、実際に本人の意欲と能力さえあれば世界に飛び出していける、世界を視野に入れたキャリアアップを考えられる会社にしたいと考えています。

東さんは日本コカ・コーラやワインのガロ社でマーケティングを経験してこられましたが、マーケティングのKFS (Key Factor for Success)はどこにあるとお考えですか。

 第1にはブランドに対する情熱です。それは何ものにも代えがたいと思います。第2はサイエンス(技術力)の部分とアート(創造力)の部分を融合させられる力ですね。マーケティングにはサイエンスとアートの両方が必要で、物事を分析する際にも、それをどういう視点で見るかによって結果は大きく違ってきます。分析自体はサイエンスでも、視点の置き方に創造性が必要になります。同じくマーケティング戦略を立てるときにも、論理的な構成力と創造力が必要です。そしてそこに、マーケティングのダイナミズムがあると思います。
私はもともとコンピュータ・サイエンスのエンジニアだったんですが、コカ・コーラで初めてブランド・マーケティングに携わり、成功したときには“社会現象“さえ引き起こす事も可能である、マーケティングの魅力にはまってしまいました(笑)。それにマーケティングはいろいろな人を巻き込みながら進めていきますから、その面白さ、成功したときの喜びを体験したら、なかなか離れられませんね。

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クラフト・ジャパンが求めるマーケターとは、また御社で働く魅力は何でしょうか?

 マーケターに必要な素養は大きく3つあると思います。第1は、消費者に対する深い知識です。それも上辺の模範解答的な知識ではなく、創造的な分析力で理解した消費者の知識です。そのためには、物事を新しい観点から見る力、それをストーリーにする力が求められます。第2は、そのストーリーを生かして戦略をつくる力です。ブランド戦略、製品戦略、コミュニケーション戦略などさまざまな戦略レベルで、クリエイティビティ(創造力)を生かして貢献することが求められます。
 そして第3が、プロジェクトをマネジメントしてやり遂げる力です。どこの会社もそうだと思いますが、マーケターは開発、生産、営業といった部署にいる人々に対し、自分と同じ目標に向かい、それを達成するように動機づけ、説得し、動かしていかなければなりません。それにはリーダーシップとプロジェクト・マネジメント力、そして人間的魅力=人がついてくる力が大事です。そしてこの3つの力を貫き成功へ導くものが、ブランドへの情熱だと思います。
 クラフトで働く魅力としては、クラフト・グローバルのトレーニングを活用してマーケティングの基礎から最先端の技法までが学べますし、常に進化しているクラフトのマーケティングを吸収し、トレーニングを通じて諸外国のマーケターたちと切磋琢磨でき、マーケターとして大きく成長できる環境があると思います。

応募者へのメッセージをお願いします。

 クラフト・ジャパンの場合、海外の生産拠点に日本の消費者の特性を的確に伝え、嗜好の細かな部分を理解させることが重要となります。また、販売営業はパートナー会社になりますので、彼らがこちらの戦略を理解し納得して動くよう、誠実かつ論理的に説明することも大事となります。クラフト・ジャパンのマーケターは、営業機能が社内にある会社よりも、コミュニケーションという部分で、注力が必要と思います。また、限られた予算の中で有効なマーケティング活動をしなければなりません。人をまとめる事に遣り甲斐を感じられる人、そしてクラフト・ジャパンの変革を一緒にやり遂げようとする強い意志を持ち、チャレンジを楽しめる人に来ていただきたいし、そういう人であればグローバルなビジネスでも物怖じせず、自分を出して活躍できると思います。

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