『外資系で活躍するビジネスリーダー』

2011/12/26 公開

グラクソ・スミスクライン株式会社 取締役中枢神経事業本部長 兼 スペシャリティケア&プリベンション事業本部長 益尾 憲 氏

グラクソ・スミスクライン株式会社

取締役中枢神経事業本部長 兼 スペシャリティケア&プリベンション事業本部長 益尾 憲 氏

1981年、京都大学大学院卒業、第一製薬入社。2002年よりDaiichi Pharmaceuticals UK Ltd。2004年、グラクソ・スミスクライン株式会社入社、取締役中枢神経事業本部長。2011年11月よりスペシャリティケア&プリベンション事業本部長兼務。

どこにビジネスチャンスがあるか、どこに成長のドライバーがあるのかを誰もが探している

Q:これまでのキャリアを教えてください

グラクソ・スミスクライン株式会社 京都大学で動物の生理学や組織学を学び、大学院を出て第一製薬に入りました。20年ほど在籍しましたが、前半の13年は臨床開発です。といっても、当時は開発の仕事も細分化されてはおらず、申請書の作成も含めあらゆることをやりました。開発の最後の4年間は、米国現法が開発を始めるのをサポートするために向こうで働きました。そのときはHIVによるガンや感染症の薬を開発していたので、FDA(米国食品医薬品局)と折衝したりもしましたね。また、その間に、第一製薬とジョンソン&ジョンソンが提携したので、そちらのオフィスにも行っていました。

アメリカには臨床開発のための大学や研究機関が多くあり、いろんな角度から勉強できる機会、環境がありましたので、自分も開発を究めようと考えてある大学に受け入れてもらおうとしたら、日本に戻ってこいと(笑)。それも、開発からビジネスの仕事に移れという辞令が来ました。このときが私の大きな転換点で、薬品の開発という科学の世界から、お金や人を扱うビジネスの世界へと、仕事のフィールドが変わりました。1994年のことです。

日本に戻ってからは国際企画室という部署で8年ほど、海外向けの仕事をしました。海外でのビジネスの立ち上げや子会社の設立など、海外の事業を発展・拡大させるための仕掛けを考え、サポートする仕事です。その後、ロンドンの英国子会社に2年勤め、2004年にグラクソ・スミスクライン(GSK)へ移りました。これも大きな転換点でしたね。それまで私は海外のビジネスしか見ていなかったのに、今度は日本国内の市場を開拓していく仕事になったわけですから。物事の見方が大きく変わりました。

Q:GSKに入られてから気づかれたことはありますか

グローバル、リージョンに関係なく、経営に携わっている人たちが、ありとあらゆるビジネスチャンスを常に狙っているんですね。もちろん、すべてのチャンスをつかめるわけではないですし、うまくいかないことのほうが多いのですが、これは素晴らしいことだと思います。どこにビジネスチャンスがあるか、どこに成長のドライバーがあるのかを誰もが探している。グローバルから誰かが来るときは、すべて調べたうえで来ますし、スタッフの準備もすさまじいですよ。そういうところに仕事に対する姿勢や、思い入れの深さが表れているなと思いました。

本当に人のため、社会のために役立つ仕事をしているんだという気概を持ってほしい

Q:戦略面や組織面でいま取り組んでおられることは何ですか。

グラクソ・スミスクライン株式会社 昨年から事業本部制をとり、医家向けにはジェネラルケア、呼吸器、中枢神経、スペシャリティケア&プリベンションの4事業部に再編し、それぞれの領域でトップを目指しています。そのために製品を増やしていくわけですが、そこで問題になるのがMRの対応力です。先生方はスペシャリストですから、それに対応できる専門性がMRには求められます。1人のMRが扱う製品数が少ないうちは、それなりの時間を割いて勉強すれば、医師が必要とする専門情報を伝えることができました。しかし数が増えてくるとそれも難しくなる。1人のMRが扱える製品の数、少なくとも専門的な話を先生方とできる数というのは、どうしても限られているわけです。

一方で、先生方が薬や治療の情報を得るチャネルには、学会、インターネット、MRなどがありますが、先生方の情報チャネルが急速に多様化することによって、MRから得る情報は相対的に少なくなってきています。また、医薬品営業を取り巻く環境にしても、製薬企業と医療機関の関係の透明性ガイドラインが定められ、接遇のあり方も見直されるなど、大きく変わってきています。したがってディテールも含め、営業活動を再設計・再構築しなくてはなりません。そこのところを突き詰めて考えていくと、最新の科学技術に裏打ちされた先進的な情報を先生方にしっかり伝えることが、結局は一番重要なんだろうと思います。そこでMRのレベルアップと並行して、ITシステムを利用した情報提供の仕組みも作っています。1対1が基本ではありますが、それと1対2、1対多のツールを組み合わせ、コミュニケーションの質を高めています。

Q:GSKの強み、そして、そこで活躍する人材とは?

強みは、やはり、豊富な製品ラインナップです。製薬企業は製品がなければ商売になりませんし、製品が人を育てるという部分があります。苦労して製品を開発したり、市場投入したり、競合品との差異化を図ったりするなかで人が育つ。その意味で、製品が多いことは人が育つチャンスが多いということです。そして、自分たちが扱う製品を好きになれて、それに対して熱い思いを持てる人が活躍していますね。薬というのは、幅広くある治療法の中の、薬物療法の中の、あるカテゴリーの中の、1つの答えでしかないんです。薬ひとつでその患者さんを治療できるとは、とても言えない。ですから、自分たちの製品の良いところ、悪いところをしっかり理解したうえで、熱意を持って先生方に勧めなければその価値が理解されないでしょう。  それから、会社そのものに対しても熱い思いを持ってほしい。この会社に来てよかった、ここにいたらきっと自分は成長できる、と思える器を我々は作りたいと思っていますから、ここに身を置いた以上は自分も進化するように努力してほしいですね。更に、その努力や活動の先にはいつも、患者さんを見ていてほしい。我々が最後に目指すところは、患者さんの病気が治ること、症状や日常生活の不具合が改善されることです。だからこそ、自分が勧める薬剤が貢献すると信じられなくてはいけない。ビジネスですから他社製品との競争はありますが、それに勝つことが目標ではありません。本当に人のため、社会のために役立つ仕事をしているんだという気概を持ってほしいですね。

Q:最後に、自分を伸ばすための働き方のアドバイスをお願いします

GSKのいいところは、外から入ってくる人たちが、初日からまったく違和感なく溶け込める会社だということです。それだけ包容力のある組織なんですが、視点を変えれば、自分から個性や存在感をアピールしたり、プロ意識を出したりしていかなければ、組織に埋もれてしまうということでもある。その意味では厳しいですよ。

会社のほうも、MRだけでなくリテール営業に関してもOJT、Off-JTを強化し、グローバルなトレーニング・プログラムを導入するなどして充実化を図っていますが、やはり本人の意欲、モチベーションが何よりも大事です。選考にあたって、年齢によって差をつけることはありませんが、年齢ゆえに自分を変えられないというのは困ります。

GSKはいま、業界のスタンダードをどんどん作りつつあります。ですから入社するとすぐに、製薬会社の新しいスタイルを知ると同時に、トレーニングを通じて新しい研究領域、新しい治療法について学び、吸収していくことになります。それは、若い人たちにとっては非常に大きな刺激になるでしょうし、本人の努力次第で成長につなげられる。これまでMRとしてある程度の経験を積んできた人も、自分の殻を破りさえすれば同じことが言えます。飛躍の大きなチャンスになると思いますよ。

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