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『外資系で活躍するプロフェッショナル』インタビューVol.1

『外資系で活躍するプロフェッショナル』インタビュー Vol.1ボッシュ株式会社 シャシーシステムコントロール事業部 モジュレーションシステム技術部 部長 波野 淳氏 周りの興味を引き出し、やる気にさせるのがプロフェッショナル

波野 淳氏
ボッシュ株式会社 シャシーシステムコントロール事業部 モジュレーションシステム技術部 部長
中央大学 理工学部 精密機械工学科卒。
81年日産自動車株式会社入社。以来、多くのシャシ系電制システムの開発に従事し、開発畑を広く経験。
その後、旧株式会社ユニシアジェックス(現日立製作所オートモーティブ事業部)を経て、2005年ボッシュに入社。
2007年より現職のモジュレーションシステム技術部 部長に就任

周りの興味を引き出し、やる気にさせるのがプロフェッショナル

Q.波野さんが考える「プロフェッショナル」とは、どのような人ですか。
 プロフェッショナルだと思うのは、一緒に仕事をしている相手に理解される人、あるいは理解されるような動きをする人です
 技術者と一緒に仕事をする場合、技術的な興味を引き出せるかどうかに仕事の成否がかかってきます。技術者は興味を持ったものに関しては、どんなに忙しくても、条件が厳しくても、「やってみよう」、「努力してみよう」という気になる。逆に、興味を持てないもの、内容や目的に納得がいかないようなものであれば、仕事をしようとは思いません。
 ですから、自分が面白いと思うことをやると同時に、周りにも面白いと思ってもらえることをやる人。それがプロフェッショナルだと考えています。
Q.では、技術者としてのプロフェッショナルの条件はどんなものでしょうか。
 スペシャリストとジェネラリストの2パターンがあると思います。ある技術に関してはどんなことでも知っている、どんな要望にも応えられる、という人はスペシャリストとしてプロフェッショナルな人です。しかし、スペシャリストだけではプロジェクトは動かない。人を動かすことのできるジェネラリストが必要です。先ほど言ったように、相手を自分のほうに引っ張りこみ、この人のために仕事がしたいと思わせた上で必ず結果を出す人が、ジェネラリストとしてのプロフェッショナルですね。
 これはよく先輩に言われたことですが、技術者は魅力的でなくてはならない。出資者にどれだけ魅力的だと思ってもらえるか、どれだけ自分を魅力的に見せられるかが勝負なのです。技術者としてプロフェッショナルであるためには、魅力的であることも条件だと思います。
Q.現在、技術者として大切にしておられることは何ですか?
 基本的にはポジティブでいることが全てだと考えています。ネガティブだとアイデアも出てきませんし、そこで立ち止まっていてはロスが大きくなります。
 私自身、失敗して自己嫌悪に陥ることは沢山あります。しかし、判断が遅れて無駄が出るなどの失敗に直面したときに、どれだけポジティブでいられるかが非常に大事だと思います。ポジティブでいれば、失敗しても気持ちを入れ換えて問題をリカバーするための打ち手を考えることができ、スピーディに対応していけますから。
Q.これまでのキャリアについて教えてください。
 もともとハードに興味があり、ハードウェアの開発に関わる仕事ができるという理由で日産自動車に就職しました。最初の9年間は、車両研究所でシャシー関連の先行システムの開発に携わりました。大学では機械の塑性加工を専攻していたのですが、日産に入ってからはメカトロニクス系のシステム開発に関わりました。当時はなかなか実用化までには至らなかったのですが、システムの勉強は十分にさせてもらいました。システムの構成の仕方、生産プロセスなど、個々のハードウェアにとらわれずに全体的にシステムを把握し、考えるクセが身につき、いまの自分のキャリアの中で、技術的にいちばん役立つものを学んだと思います。
 その後、研究企画の仕事を2年ほどやり、設計部門に異動しました。ここには5年いて、設計実務を身につけるとともに、プロジェクトをやりとげるために必要なノウハウを学びました。研究所での仕事はほとんどの場合、1〜2年の期間をかけて最初から最後まで自分一人で行うので、マイペースで進められます。しかし、プロジェクトにはスケジュールと期限があり、チームのメンバーだけでなく社内関連部署やサプライヤーなど、多くの人たちと関わりながら仕事を進めなくてはならない。最初のうちは、仕事の進め方や調整の仕方で苦労しました。プロセスさえしっかり決めれば自動的に動くだろうと思ったら、とんでもない。人の調整がいちばん大変なのですね。そのコツを掴むのに3年ぐらいはかかりました。
 そして日産での最後の2年は原価低減関連の仕事をして、売上げと原価の関係、コストのとらえ方など、管理会計に関することも学びました。
Q.プロフェッショナルの視点からそれぞれのお仕事を振り返ったとき、大切なものとして何を学ばれたと思われますか?
 研究所時代はやはりクリエイティビティですね。先輩たちとよく「研究は爆発だ!」って言い合っていました(笑)。新しいものを創るんだ、画期的なシステムを開発するんだという気持ち、目標意識を強く持つことの大切さを学んだと思います。また、技術的に非常に優れた上司・先輩にかこまれ、データの技術的な視点での読み方、考え方を教えてもらいました。
 設計では、ぶれないことの重要さを学びました。たとえば、ある方針を決めて進めていても、それを止めると決めたら絶対に後戻りすることが無いようすべての可能性を確認するのです。設計のときにいろいろな方向に目移りしていては一貫したコンセプトの設計になりませんし、後戻りは非常に効率が悪いですから。
 また、どんなビジネスにも共通して必要なノウハウなので、プロジェクトのマネジメントと進捗管理のスキルを身につけられたことは大きかったですね。

やりたいことをやれば結果はついてくる。やりたい想いが強いほど、いい結果が出てくる。

Q.その後、転職するまでの経緯をお聞かせください。
 自動車メーカーは調整ごとが多く、システムも含めてハードの設計など、仕様で決められているため自分が手を出せない部分が多かったのです。自分としてはそこが一番やりたいことでしたから、自動車メーカーで働くことの限界を感じ始めた頃に、再び異動の話が出て、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)を作っている子会社へ出向しました。子会社ではちょうど新しいABSに取り組もうとしており、企画の立ち上げから始めて、ハード、ソフト、ロジックの設計開発、テストから製品化にいたるまで、一通り経験することができました。この経験を通して、システム開発を自分のキャリアとしてやっていこう、それも開発の体制がしっかりしている、規模の大きい企業で究めようと決心し、ボッシュに移ることにしたのです。
Q.ボッシュに移られて変わったこと、現在の仕事内容をお聞かせください。
 私の場合、新しい仕事や変化を求めて転職したわけではなく、今の仕事をもっと究めたい、自分の力を試し、伸ばしたいと思っていましたから、仕事の内容についてはさほど変わりはありません。しかし、自分のやりたいことができる環境になったと思います。開発の体制、規模が違うので、結果として出てくることも変わってくる。前の会社ではやれることが限られていて、「ここまでしかできない」ということにストレスがあったのですが、それがなくなり、非常に仕事がやりやすくなりました。
 現在は、「セーフティ」といって、信頼性に関連した自己診断や故障診断のソフトウエアやロジック開発のマネジメントを行っています。この開発は、故障したときシステムがどう動くかというようなシステム的な視点が要求されるためソフトがどうしても複雑になり、想像していた以上に難しい仕事ですね。また、マネジメントでは、日本のメーカーと違って個人のタスクがしっかり決まっているので、そこに収まりきらないような問題が出てくると調整が大変になります。ただハードルが高いだけ、やりがいは大きいですね。
Q.今後についてはどのようにお考えですか?
 これから何をするかは自分の中でも大きな課題ですが、個別のビジネスをどうするかということではなく、全体を見てビジョンをどう持つか、それをどうみんなに伝え、共有していくかということが、部下を引っ張っていく上でも必要になると思います。
 今の職場も変わらなければならない部分はありますし、事業自体も変えていかなければならない。それをどう納得してみんなで変えていくか。今できることに安住してマネジャーの仕事をしていては、部下にとっていい環境を提供できないので、変化を怖がらずに、ビジョンを持って新しいことに挑戦していきたいです。
Q.今後、ボッシュでプロフェッショナルとして活躍したいと考えている方にアドバイスをお願いします。
 ハード、ソフトを問わず具体的なものの設計をやりたいなら、ボッシュはいいところだと思いますね。ベースはドイツから来る部分もありますが、自動車メーカーでやるより、はるかに具体的な話ができ、自分たちで決めたことを形にできます。
 もちろん結果を出すことを求められるのですが、最初からあまり結果にこだわらなくても、自分がやりたいことをやっていれば結果はついてきます。想いがあれば結果はついてくるし、やりたい想いが強いほど、いい結果が出てくるのです。
 自分が正しいと思っていることは、そんなにずれていないはずです。経験が足りない部分については上司をはじめ周りがフォローしてくれますから、結果を恐れずに挑戦して欲しいですね。
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