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【第7回】バイオジェン・アイデック・ジャパン株式会社 トップインタビュー

バイオジェン・アイデック・ジャパン株式会社 トップインタビュー 〜バイオジェン・アイデック・ジャパンの経営戦略と求める人材〜

【プロフィール】
バイオジェン・アイデック・ジャパン株式会社 代表取締役社長
1965年東京大学理学部化学科卒業。1970年東京大学大学院修了、同時に理学博士号を取得、同年から翌年にかけてカリフォルニア大学(サンフランシスコ)でポストドクトラルフェロー、その後、東京大学の理学部生物化学科の宮沢研究室で助手を務めた。1974年三井物産技術部入社。新事業開発、特に先端技術をベースとした事業開発に注力した。東京、ロンドン、デュッセルドルフなどに勤務し、80年代にはバイオ技術関連の新商材開発に注力、その中でバイオジェン社を日本に紹介し、多くの研究開発契約締結に貢献した。2000年9月、三井物産(理事)を退職、同年10月に現職であるバイオジェン・アイデック・ジャパン社長に就任。

Q.これまでのご自身のキャリアについてお話いただけますか?

 実は私は、研究者として31歳まで大学に在籍していました。東京大学大学院(有機反応論専攻)で理学博士号を取得した後、カリフォルニア大学で博士研究員となり、帰国後も、東大の理学部生物化学科で助手を務めていました。しかし、30歳を過ぎて、これからも大学に残って研究を突き詰めていくのかという岐路に立たされた時、家が商家だったこともあって、研究をビジネスに活かしたいという希望を持ちました。就職先として、通産省、企業、研究機関、シンクタンクなどを検討する中で、できるなら新しい分野を、と考えていたところ、先輩から「商社は扱う分野が多岐にわたっており、他の研究機関とは異なるユニークな視点で取り組める」と聞き、三井物産に入社しました。三井物産では技術部に配属され、先端技術をベースとした新事業開発に携わり、先ずは公害対策技術などに取り組みました。その後、80年代にはバイオ技術関連の新商材開発に注力し、日本に紹介した企業のひとつがバイオジェン社でした。90年代にはEU市場統合に関連して日本の企業の欧州展開の企画・推進、IT関連技術の事業企画、ベンチャーキャピタル事業の拡大やMBOファンド創設等事業開発も行いました。また、地球環境室長を兼務し、三井物産全体のISO14000取得や経団連のCO2排出権取引タスクフォース座長の活動を通して環境問題に広く取り組みました。その後、バイオジェン社より日本法人を立ち上げたいので、社長としてやってくれないかと誘われ、2000年9月、三井物産を退職し、同年10月に現職のバイオジェン・アイデック・ジャパンの社長に就任しました。

Q.バイオジェン・アイデック社の日本法人の立ち上げから、現在までについてお聞かせください。

 立ち上げてからの1年間はレンタルオフィスで自分と秘書の二人で事業の準備を進めてきました。2002年1月に四人体制となってから現在のオフィスに移り、現在は四十数名の社員を抱えております。これまで決して順調というわけではなく、2005年3月には大型新薬の臨床開発プロジェクトの頓挫で会社解散の危機に陥ったこともありましたが、2006年4月に、ライセンスバックを受けた多発性硬化症治療薬の「アボネックス」が新薬の承認プロセスで最も重要な専門協議を通過し、ようやくビジネスを軌道に乗せる目途をつけました。当社のように新規に製薬会社を立ち上げる場合、開発した新薬のライセンスを保有し、販売は他社に委託するのが普通です。しかし、薬事法の改正で、国内に製品の生産施設を保有することなく自社販売が可能となったこと、製品がスぺシャリティープロダクトで自社販売に意義があったこと、本社の自社販売に対する強い方針があったこと等から、我々は自社でMR(医薬情報担当者)を採用し、販売体制を構築しました。これは当社の大きな特徴ですね。

Q.バイオジェン・アイデックについてお聞かせください。

 バイオジェン・アイデックの前身の米国Biogen社は1978年に設立され、分子生物学と遺伝子組換え技術を応用したバイオ医薬品開発のパイオニア企業のひとつで、神経、免疫分野を得意としております。2003年11月にがん分野に強いバイオ企業の米国IDEC Pharmaceuticals社と合併したことで、バイオ医薬品のラインアップが充実しました。特に、多発性硬化症の分野では開発体制、製品ラインアップ共に世界でトップ企業のひとつになりました。現在では21ヵ国における営業拠点と70社以上の提携企業を有し、売上高も約3,000億円に達し、世界的なバイオテクノロジー企業に成長しています。しかし、決してベンチャーの気風を失うことなく、イノベーションを核に米国企業としては意外なほどチームワークを大切にしており、日本にもその気風が引き継がれています。

Q.バイオジェン・アイデックの経営戦略についてお話いただけますか?

 現在、本社が打ち出している「2015年ビジョン」では、バイオ企業として高い成長を続けるため、人材育成、強みである神経、免疫、がん分野へのより一層の注力、さらには新規分野として救急医療分野の開拓を掲げています。救急医療分野の開拓は、例えば現在は血液に依存している血液製剤を、バイオ技術で作り出すことで感染症の防止への貢献に繋がります。もうひとつ、経営戦略としてさらなるグローバル展開があります。これまでは欧米中心でしたが、今後は中国、インドなど膨大な潜在需要が見込める市場のニーズに応える開発を進めていきます。
 これらのビジョンを達成するためには、優れたプロダクトが不可欠です。しかし、進歩が急速なバイオサイエンス分野においては、自社開発だけでは限界があります。そこで、ジョイントベンチャー、ライセンス、M&Aなど、さまざまな協業の可能性も検討しています。その意味からも、優れた技術を的確に評価できる人材を豊富に抱えていることは当社の大きな強みですね。バイオサイエンスにおける高い技術力を基盤に、良い人材と良いカルチャーを大切にしながらも、優れたものなら新しい文化も積極的に取り入れる柔軟性を持って、さらなる発展を目指します。

Q.他の製薬会社と比較したバイオジェン・アイデックの強みは何とお考えですか?

 当社の製品は、汎用医薬品が対象ではなく、自社の技術力を最も活かせる特殊分野に注力しています。大手の場合、主力製品以外の分野やニッチ分野だと、せっかくの優れた技術や製品も企業内ではマイナーとみなされてそれに携わる人たちが肩身の狭い思いをしがちですが、当社なら、「患者さんのためになることをしている」と自信を持ってスペシャリティープロダクトを扱える環境にあります。実際、社員も自分達が企業を作り上げていくのだという強い自負を持っています。
 また、バイオサイエンスを医薬開発に活用している企業は他にもありますが、バイオジェン・アイデックの大きな特徴は、病気の原因を分子レベルで解明し、新薬開発に活かしている点です。例えば抗体医薬においては、分子レベルまで解明することで、ピンポイントで身体の必要な部分に作用させることができ、副作用を大きく削減できるようになりました。こうした高い技術を活かして開発した新薬は、特にがんや自己免疫疾患のような重大な疾患の治療に大きなメリットがあることから、企業としても重要な戦略になっています。

Q.バイオジェン・アイデック・ジャパンで希望する人物像はどのようなものですか?

 端的に言ってしまうと、専門性、即戦力、チームワークの経験ですね。英語が企業としての標準語ですから、海外折衝が自由にできる語学力とコミュニケーション力も不可欠です。また、当社ではチームワークを非常に重要視していることから人柄も大切ですね。加えて、プロジェクト全体を見渡すことができる視野が必要です。当社は組織が小さい分だけ、仕事の担当分野も広く、裁量や権限が与えられます。それだけに、そうした仕事の広さ、責任を自ら楽しめるような人を求めています。職種を細分化すると、企業が何を志向し、どんな仕事をしているか等、全体が見えなくなりがちですが、当社では皆がビジネスのプロセス、企業が向うべき方向を認識し、それぞれの役割をしっかりと共有しています。当社はこれから大きくなろうとしているわけですから、その将来の姿をイメージできるような人に来ていただきたいですね。

Q.最後に、応募者へのメッセージをお願いします。

 応募をお考えの方には、「専門性を持ちながらもマネジメントに関心を持っており、自分の仕事の成果をしっかりと確認したいと考えている人にとって、大きなチャンスがある会社です」と、言いたいですね。
 もうひとつ、意欲という点で、不確定な状況に怯まず、新しい仕事に挑戦できる人を求めています。仕事でも人生でも不確定な要素というのは非常に多いものです。私自身もそうでしたが、困難に当たっても、怖がって躊躇しているだけではだめで、その時、その時でプライオリティの高いものから必死になって一つ一つこなして行くことしかないのです。大切なのは、核となる考えを持つことで、そうして取り組んでいると不思議と協力してくださる人が現われて、思っている方向に物事が進んでいくものです。積極性を失わずに取り組めばチャンスが生まれる。チャンスが生まれれば、次第に良い方向に回転し始める。しかも、それが人のためになればなおさらですね。

ありがとうございました。

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