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患者の臓器が末期的な症状となった場合、治療の一つとして臓器移植という方法があります。臓器移植とは提供者の臓器を体内から取り出し、患者に移植して機能させることです。
臓器を提供するドナーが生体の場合が「生体移植」であり、切除しても増殖する肝臓や、体内に二つの臓器が備わっている腎臓などで実施されています。
} 一方、脳死段階のドナーから臓器を摘出する場合を「脳死移植」と呼んでいます。脳は回復不能でも、人工呼吸器によって他の臓器は生きている脳死者から摘出する方法で、血流を保ったまま摘出した臓器を冷やした状態で運んで移植します。心臓移植や肝臓、腎臓などの移植ができるようになりました。
1997年10月、臓器移植法の施行により、臓器が摘出できる条件が示されました。それによると、ドナー本人が臓器提供の意思、および脳死判定に従う意思を事前に書面で示し、家族が拒まないことを前提としています。要するに、脳死と判定された人が臓器提供の意思を表示するドナーカードを持っており、その家族が承諾したときに脳死移植が可能となるのですが、実際はドナーの年齢や臓器の状態、提供を受ける患者との血液型など、移植できるかどうかは限定されています。
ここでは、日本では移植例の多い「生体肝移植」、つまり健康体のドナーからの肝臓移植について述べましょう。
生体肝移植というのは、末期症状となって肝移植以外に治療法がない患者に対し、健康な人(日本では親子・兄弟姉妹・配偶者・祖父母)が肝臓の「一部」を提供することです。末期の慢性肝疾患や肝臓がん、急性肝不全、劇症肝炎、胆道閉鎖症などの患者に対して、最後の治療手段として肝移植を実施するケースが増えてきました。
2003年6月現在、日本では89年から始まった生体肝移植は延べ2300件を超えていますが、臓器移植法の施行によって実施できるようになった脳死肝移植は21例です。海外では法制上の理由もあって脳死肝移植のほうが多く、移植後1年の生存率は75%、5年の生存率は65%というデータが発表されています。

こうした好成績の理由は、拒絶反応を抑える免疫抑制剤が開発されたこと、組織適合性抗原の検査法が進歩した点が大きく影響しているそうです。生体肝移植の成績も良く、移植後半年の生存率は患者の年齢などによって差があるものの75〜90%とされています。
欧米の主要国に比べて日本での生体肝移植が圧倒的に多い理由は、臓器移植法が施行されて間もないこともありますが、脳死判定の基準に問題があると考えている人がいるからでしょう。それに、生体肝移植のメリットは、ドナーが現れるのを待つ必要がないうえ、健康なドナーから移植するので肝臓の状態がとても良好だからです。
ただし、健康体であるドナーは事前に肝臓の血管の位置を調べるために入院する必要があるうえ、実際の移植では自分の肝臓の3分の2を摘出するため、10時間にも及ぶ大手術になりがちです。しかも、術後に胆汁が漏れた場合などは再手術するといったリスクが生じます。
生体肝移植では1つの家族から2人が手術を受けるので、経済的にはもちろん、精神的にも家族の負担が大きくなります。そのため、患者とドナーだけでなく、家族や周囲の人の協力が必要です。移植前から移植について理解してもらい、協力と支援が得られるように準備することが大切なのです。 |
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