GEが2002年から実施しているリーダー育成プログラムECLP(Experienced Commercial Leadership Program) には、世界各国から選りすぐりの人材が集まってくる。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス卒業後、三菱商事、ギャガ・コミュニケーションズを経てECLPの第一期生としてプログラムに参加、現在GEヘルスケアで活躍している島田和大氏に、ECLPの内容とGEの魅力について伺った。
最初に勤めていた三菱商事では、発電プラントの事業に携わってメキシコに駐在していました。でも、3年ほどして「自分は三菱商事という大会社の看板があるから仕事ができているのではないか」と思うようになりました。看板なしに、自分の力を試してみたい。そう思ってベンチャー企業であるギャガ・コミュニケーションズに転職しました。ここでは海外の映画の版権獲得交渉を担当。非常にやりがいを感じていましたが、しばらくして、一人のビジネスマンとしてもっとステップアップしていきたいと考えるようになったのです。国際レベルで、組織をリードできる人材になりたい。世界を舞台にダイナミックな仕事をしたいというのが、小さい頃からの夢でしたから。そのためにMBAを取得することも考えていました。このとき、GEのECLP(当時CLP)の制度がスタートすることを知りました。
ECLPというのは、ひと言で言うと、セールスマーケティングにおけるリーダーを育成するためのプログラムです。ある程度ビジネスの経験を積んだ20代後半から30代前半くらい、つまり即戦力となる人たちに、GEの文化やビジネスのやり方を学んでもらい、さらなるレベルアップを狙うというもの。自分の力を高められるダイナミックな仕事がしたいと考えていた私にとっては、ピッタリのプログラムだと思いました。世界でナンバーワンのGEで、トップクラスのビジネスマンと知り合い切磋琢磨できる環境に、非常に魅力を感じたのです。
ECLPでは、書類選考の後、人事担当者や各会社の支社長、マネージャークラスとの面接を5、6回受けました。専門的な難しい質問はあまりなかったと記憶しています。本人がどれだけの経験を積んでいるか、どのような考えを持っているかを問うケースがほとんどでした。
印象に残っているのは、ビジネスの場でグレーゾーンとなったときの対応を聞かれたことです。GEはコンプライアンスをとても重視していますから、そうした部分の基本的なスタンスを知りたかったのでしょう。
一期生として採用されたのは、世界各国から130名ほど。アメリカで研修を行った後、半年ごとに4つの部門で実地研修を行いました。配属される部門については、自分の希望を考慮してもらうことができます。
私の場合は、最初に医療機器を扱うGE横河メディカルに配属されました。ここでは営業マンの業務内容を検証して、効率化のためのプログラムを構築しました。その次は航空機エンジンの事業部門。輸送機の入札書類の作成や、JTA(日本トランスオーシャン航空)へアップグレードプログラムのキャンペーンなどを担当しました。3つ目は、ヘルスケアファイナンシャルサービスで新規事業のプランニングです。リスク分析やROIの検討を行いました。最後はGEヘルスケアで大口顧客向けの戦略マーケティングを担当していました。
もちろん、それぞれの部署で仕事をしていくには専門知識が必要ですから、それなりの勉強はしました。ただ、それよりもコミュニケーションやチームワークといったビジネスマンとして土台となる部分のほうが大事だったように思います。とくにGEには、シックスシグマというサービスや製品の改善に用いられる独自の手法があります。DMAIC(define=定義、measure=測定、analyze=分析、improve=改善、control=管理)というフェーズで行われるのですが、これを各部門の実際の現場で実践することができたのは、今も大いに役立っています。
苦労といえば、研修の部署が変わるごとに自分の存在を知ってもらう努力をしなければいけなかったことでしょうか。一期生でプログラムの内容も知られていませんでしたから、別の部署に資料を借りに行くにしても、まずECLPとは何かということから説明して、自己紹介しなければならなかったんです(笑)。半年後、ようやく慣れたと思ったら次の部署に移りますから、また一から始めなければなりません。もっとも、それも一つのチャレンジですから、こうした経験も自分の成長につながったと思います。
今はGEヘルスケアで、医療機器のメンテナンスサービスのアジア地域を統括する部門にいます。広い視野でマーケットを見ていく仕事ですから、将来的にも役立つと考えて志望しました。10年後には、一つのビジネス組織を引っ張っていくリーダーになりたいと思っています。
いずれにしても、GEはいろいろなことにチャレンジできる会社です。私自身は、ECLPというプログラムを受けたことに間違いはなかったと確信しています。もちろん社内の注目度も高く、2年間というECLPの投資に対して本人がいつまでにそれを会社に対してリターンしていくのかというプレッシャーはあります。
これからビジネスマンとしてどうしていきたいのか。自分を客観視しながら、その絶対値を高めていきたいと思っている人にはECLPは最適な人材育成プログラムだと思います。