セレクティヴ事業部 事業部長 田村亜弥 氏
学習院大学 文学部 フランス文学科卒
卒業後5年半フランスのアパレルブランドのビジネスに携わった後、株式会社ロレコス(現日本ロレアル株)入社。
研究所でリサーチを担当した後、コンシューマープロダクツ事業本部にてマーケティングに従事。
フランス本社に異動しアジア全域を担当、その間にサロンを顧客とするプロフェッショナルプロダクツ事業部に異動し06年帰国。
08年よりケラスターゼ/ アレクサンドル ドゥ パリの2ブランドを持つセレクティヴ事業部のGMに就任。
| Q.ロレアルに入られるまでのキャリアを教えてください。 |
ロレアルに正社員として入社するに至ったのは、何かの巡りあわせと言えます。 大学で仏文を学んだ後、フランスのアパレル企業を顧客に持つ小さなコンサルティング会社に務め、仕事を楽しんでいたのですが、将来的な展望が見えにくかったので、ビジネススクールに進もうと考えました。働きながら勉強しないといけないので十分に自分の時間が取れる職という基準で探したところ、ロレアルの研究所でリサーチアシスタントの仕事があり転職を決めました。最初はテンポラリースタッフでした。 アシスタントではありましたが、いろいろまわってくる仕事を嫌がらずに楽しんで前向きにやっていたところ、いつの間にか分析やフランス語のレポートを任されるようになり、半年が過ぎた頃に上司に呼ばれ、正社員としてロレアルに就職することになりました。 |
| Q.そこからはどのような仕事をしてこられましたか? |
今振り返ってみると、自分のキャリアにはロレアルの懐の深さというか醍醐味が投影されていると感じますね。正社員になりマーケティングリサーチのリサーチャーとして3年ほど仕事をして、自分も「もっとやりたい」と欲が出てき、一般消費財のマーケティングもやりたいと思い始めました。そしてそれをキャリア面談の中で「リサーチャーの仕事だけでは満足できない」と伝えたら、マーケティングに移してくれたのです。その頃はまだ組織が小さく人も少なかったので、大らかだったんでしょうね(笑)。それでも、入社3年目の社員の希望を聞いてくれるロレアルって、すごい会社だなと思いました。
また与えられたチャンスも興味深いものでした。ちょうどヘアカラーを日本のロレアルブランドで立ち上げるから担当してみないかと。全く新しいカテゴリーで教える人間はいない。さらに自分はヘアカラーについて何もわからない。マーケティングの仕事もはじめて。まず川崎にあった研究所に通ってヘアカラーについて自分でいちから勉強しました。マーケティングについてはマネージャーにくっついて行って学んで、新ブランドをなんとか立ち上げました。
その後は、仕事に応じて道が開けてきたという感じです。立ち上げた製品を2年半ほど担当した後同じカテゴリーでプロダクトマネージャーになりました。そこで、日本初のファションカラーのヘアカラーブランドを立ち上げました。その後はカラーから、ヘアケアの分野に移り、複数ブランドを担当するグループプロダクトマネージャーをやりました。 |
| Q.そこで学ばれたのはどういうことだと思いますか? |
| 将来により大きな仕事をするためのベース作りが自分のキャリアの初期の時点で出来たのだと思います。例えば、最初にリサーチを携わったことで、物事を数字で理詰めに考えたり、科学的に分析したりする力を身につけられた。そのうえで感性が求められるマーケティングをやれたことが良かったと思います。そして職種を超えて異動することで人脈ができた。ロレアルの美しさの1つはキャリアの中でであった人脈が後々にも利いてくる点ですね。異動をしても昔の上司が私のことを覚えていてくれて、問題を抱えて困ったときに電話をすると、アドバイスをくれたり、問題解決に役立ちそうな人を、国をこえて紹介してくれたりする。事業部長になった今でもそういう側面に助けられています。 |
| Q.OJT以外の研修やトレーニングはお受けになりましたか? |
| カテゴリーマネージャーになるときに6週間のリーダーシップ研修を受けました。これはロレアルがフランスのビジネススクールと一緒に開発しているマネジメントプログラムの1つです。シンガポールと仏のフォンテンブローで3週間ずつ、世界中から集まったマーケティング・マネージャーたちと共に学びました。ビジネスのあらゆる問題を系統立てて学びます。OJTで自分で身につけたものをもう一度整理し理解しなおすことができ非常に有意義でした。そして、そこで出会った優秀なメンバー達と、とてもいいグローバルネットワークができています。 |
| Q.その後フランス本社で勤務されていますね、きっかけは何だったのですか? |
そのチャンスを得たきっかけも、自分のやりたい事を上司に伝えることで、思わぬ方向に道が開いた良い例です。
ちょうど10年が経ったところで上司にその後のキャリアを相談する中で、具体的ではなかったのですが、もっとチャレンジングなことをしたいと言ったんです。そうしたら、じゃあフランス本社に来てみるかという思わぬキャリアを提示されたのです。その頃には結婚して子どももいましたが、2年間という期限付きだったので、やってみようと思いチャレンジしました。4歳の子どもと、ベビーシッター代わりに両親を連れて渡仏したんですよ(笑)。本社では、日本を含めてアジア10カ国のブランドを見ていました。さらにアジアの代表であるかのようにいろんな質問を回りの同僚から受ける。その機会を持てたことで、経営的な視野が広がりましたね。 |
| Q.ロレアルは人を育てる企業だと思われますか? |
本当にそう思いますね。特に私自身はこの会社で機会を与えられ育ててもらったと思います。会社に入った頃は、今のように正式な教育研修プログラムが豊富に揃っていたわけではなかったですが、日々の仕事の中で上司や専門家の人達の姿勢やコメントから多くのエッセンスをもらいました。
また与えられたチャンスを一つ一つ実現し、結果を出すことで次が開けていく。社内できちんと見てくれているという気がしますね。そして「これをやりたい」と言えば、挑戦させてもらえる可能性が高い。それはお仕着せのキャリアではなく、個人の希望と強みを加味して丁寧に考えられていると思います。ですから海外で仕事をすることも含めて、自分の可能性を試してみたいという人にとっては、とても働きがいのある会社ですね。 |
人事本部 人材・キャリア開発グループ 採用・人材教育マネージャー 宮田 香 氏
京都大学経済学部卒業 外資系消費財メーカーで約7年半の採用・教育の経験を経てラグジュアリプロダクツ事業本部 シュウウエムラ国際教育部に入社。4年半の経験ののち、07年3月より人事本部に配属。
| Q.ロレアルの概要を教えてください。 |
ロレアルはパリに本社を置く、世界NO1の化粧品会社です。そして23期連続二桁増益を達成してきたという意味でも優れた会社です。その強さの秘訣としては、(1)優れたテクノロジーと研究開発への継続的な投資、(2)世界展開される国際的ブランドの育成、(3)多様性をもった優秀な人材の採用および育成があげられます。(1)に関しては創業者がフランスの化学者であったこともありイノベーションを大切にする姿勢が伝統的にあります。(2)に関しては、日本のお客さまにも愛されている多くのブランドが世界展開されています。また流通チャネルにあわせて事業部を分け、事業部がもつ1つ1つのブランドに関してご愛用頂くお客様の嗜好・ライフスタイル・ブランドの生まれた国にあわせて決め細やかにブランド独自の世界観を打ち出しているのが特徴です。世界展開する中で、自社では生み出せない強みを持ったブランドをM&Aをすることもありますが、基本方針としては「オーガニック・グロース」、つまり既存のブランドをじっくり時間をかけて育て、会社を成長させていく事を大切にしています。そして最後に最も大切な点として、多様性をもった優秀な人材の採用・育成を大変重視しています。いわゆる外資系のイメージをお持ちの方には意外に聞こえるかもしれませんが、当社は“長期雇用”を前提として、ブランド同様、ビューティービジネスを創りだす人材をじっくり自社内で育てていくことを大切にしています。
日本ロレアルは、世界のロレアルグループの中で戦略的拠点と位置づけられています。というのも、日本の消費者は最も目が肥えていて、製品・サービスの品質に対して厳しい上に、日本の競合他社さんのイノベーションの質およびスピードは目を見張る高度なものだからです。日本市場で培われたノウハウや品質水準を日本から世界に発信していくことが期待されています。 |
| Q.人を育てることを重視している理由を教えて下さい。 |
|
ロレアルは世界130カ国・地域でビジネスを展開し、6万人以上もの社員がいる大きな企業ですが、この変革の時代のスピードにあわせて変化していける柔軟性を持っており、かつビジネスの仕方・組織のあり方に関して常に変化し続けていきたいと思っています。大きな組織を変化に導くのは大変な仕事です。だからこそ、経営陣としてロレアルをリードしていく人材には経営のプロとしての力量を求めると同時に、ロレアルという文化・組織の隅々までを知り尽くすことを求めます。そのような人材は外部マーケットで見つけ出し、安易に連れてくるということができません。自社で責任を持って育てるということが不可欠だと考えています。採用の段階では新卒・中途を問わず、能力的なことはもちろんですが、その方がロレアルの価値観を共有して頂き長期にご活躍頂けるかと言う点も重視しています。 |
| Q.採用の段階で重視されている点は? |
| 一見対立しているように思われる2つの項目をバランスよく持ってらっしゃるかという点を見ているのがロレアルらしいと言えます。例えば、社内で「ポエット&ペザント」という言い方をします。「詩人たれ、農夫たれ」ということですが、美を提供する会社として夢を描き、世の中にないようなキラリと光る製品を提案する。これは詩人としての能力です。とはいえ、ただ詠うだけではまさに絵に画いた餅ですから、それを現実の餅にするために農夫のごとく、現場で泥と汗にまみれ皆を巻き込みながら、地道な努力し続ける能力もとても大切です。そのバランスがとれた人が、実際に活躍しています。言い換えれば、アントレプレナーとしての情熱を持ち、夢の実現に向けて努力を続けられる人、そういう方はロレアルには素晴らしい活躍のステージが有るといえます。 |
| Q.育成の段階で重視されている点は? |
| 将来のロレアルを担うリーダー人材の育成に力を入れています。新入社員を当社では「ペピニエ(苗木)」と呼んでいますが、ロレアルという肥沃な土壌に植えられた苗木が、十分な水と日光を受けて立派な木に育つように、人を育てていこうというのが基本的な考え方です。職種別のキャリアステップに応じた、グローバル共通な研修制度も大変充実していますが、それと同時に、日々の上司・経営陣による指導というのが欠かせません。フランス本国のCEOが訪日するような特別な機会でも入社3年目以内の社員にプレゼンテーションの機会が与えられ、じっくり対話およびフィードバックされるチャンスが得られるのは、この会社が人材育成に力をかけているのを示す良い例ではないでしょうか。 |