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【第20回】マテル・インターナショナル トップインタビュー

【第20回】マテル・インターナショナル トップインタビュー

世界中の子供達に愛されているBarbie(人形)、 Fisher-Price(知育玩具)、Hot Wheels(ミニカー)、UNO(カードゲーム)などを扱う、マテル・インターナショナル株式会社。その日本の社長として活躍されている、ジェネラル マネージャー 大塚氏に、同社の経営戦略と求める人材について伺った。

【2007/12/6 公開】

マテル・インターナショナルの社長に就任なさるまでのキャリアを教えてください。

 大学を卒業して3年間、アメリカ、メキシコに留学しました。帰国後、ある商社に就職し、シンガポールに3年間駐在し、その後トミーに入社。トミーでは1年間の国内研修のあと、トミーUKに配属されてイギリスに8年間駐在し、スペイン、ギリシャ、北欧、東欧などにトミーの商品を広める仕事をしていました。その後、トミーのアメリカ支社を再構築する仕事に携わり、10年間駐在しました。一からの立ち上げと同じで苦労しましたが、その経験が今のビジネスにも役立っていると思います。
 その後、日本に帰国する際、アメリカで知り合ったおもちゃ業界の方からマテルの日本支社長を探していると聞いたことがきっかけで、現在の職に就くことになりました。

ヨーロッパでの仕事から得たものは何でしょうか、具体的に教えてください。

 トミーUKでは、おもちゃビジネスでの成功に不可欠な3つの要素を、徹底的に叩き込まれました。1つめはクオリティ、品質が優れていなければならない。2つめはプレイバリュー。子どもが驚いたり、楽しんだりできる仕掛けがされていることです。そして3つめは、バリュー・フォー・マネー、すなわち値ごろ感。今でもこれを念頭に置きながら仕事をしています。
 さらにヨーロッパでは、国によっておもちゃに対する考え方がまったく違うことも学びました。たとえばドイツでは、子どもの成長に役立つものを親が選んで与えるので、レゴや木工玩具といった伝統的知育玩具が人気です。ところがイタリアでは、子どもが好きなおもちゃを与えればよい、という考え方なので、キャラクター玩具に人気が集まる。そんなふうに市場の違いを知ることで、異なったマーケティング・ビジネスを学ぶことができました。

アメリカでの支社再構築ではどんなことを学ばれましたか?

 前任の社長は、日本のおもちゃはそのままではアメリカ市場では売れないと、トミーの商品ではなく他社のアメリカ製品を中心に売っていました。しかし私には、「良いおもちゃであればどこでも売れる」という信念があったので、日本の商品開発部門と一緒にアメリカ向け商品の開発と工夫に様々なアプローチをしました。時間はかかりましたが徐々に浸透していき、これが支社の再構築につながりました。
 また、このときはセールスから、マーケティング、ファイナンス、オペレーションまで、とにかくすべてを自分で手がけました。バイヤーと交渉したり、プロモーション会社をまわったり、ときにはパッケージ・デザインの製作現場へも顔を出す。オペレーションの部分では中国まで行って生産工程を確認することもしましたし、多品種のため過剰になりがちな在庫管理についても実地で学びました。各現場レベルで、どんな仕事をしていて、どんな悩みがあるのかということを、すべて自分の目と耳で知ることができたのです。苦労もたくさんありましたが、ここで経営の基礎を身につけられたと思っています。

それだけの成功を収めながら、なぜマテルに移られたのでしょうか?

 日本のおもちゃ市場はバンダイ、タカラ/トミーといったトップメーカーがシェアを占めていて、欧米企業がそこに食い込むのは難しいといわれています。私はこれまで、日本のメーカーの立場で欧米の市場を経験してきましたから、今度は逆の立場で、日本の市場開拓に挑戦してみたい、そこで自分の可能性を試してみたいと思ったのです。
 マテルは44カ国に支社を置く世界No. 1のおもちゃ会社ですが、主力商品であるバービーが、日本をはじめとするアジア市場でなかなか受け入れられなかったため、ずっと苦戦してきました。しかし、フィッシャー・プライスという知育玩具の会社や、TYCOというラジコンメーカー、ミニカーを販売するHot Wheelsなどを買収したことによって、商品の幅が大きく広がりました。日本やアジアの市場に十分訴求可能なカテゴリーができてきたのです。これを使って日本市場、アジア市場に食い込みたいと考えています。
 アジアには、中国やインドという巨大市場があり、富裕層も拡大しています。それだけにマーケットのポテンシャルも大きい。日本を加えたこの3国をアジア・パシフィックの核と位置づけ、マテルの商品を広めていくというのが本社のプランです。その実現に、自分も貢献できればと思っています。

日本の社長として、どのような役割を果たしていきたいとお考えですか。

 マテル・インターナショナルでの仕事は、大きく3つあると思っています。1つめは、中長期の戦略をきちんと構築し、それを社員一人ひとりにしっかり理解してもらい、みんなで同じ方向を目指すこと。それがいちばん大きな仕事ですね。具体的には、フィッシャー・プライスを中心とした知育玩具のアイテムで日本市場を開拓する。フィッシャー・プライスのシェアは欧米では30%近いのですが、日本ではまだ7%程度。これを3年後には2倍に引き上げ、さらに5年後には20%までもっていきたいと考えています。
2つめは、社員一人ひとりが自分の能力を100%フルに発揮できる環境づくりを行うこと。そのために、彼らに自分の役割、責任を理解してもらい、能力のある人にはインセンティブを与える。そういった職場の整備をする義務があると思っています。
 3つめは、本社からのサポートを最大限に引き出すことです。マテルはグローバル企業ですが、日本での業務は、本社のバックアップがあってはじめて成功するものです。本社の持つマーケティング力、ファイナンス力、オペレーション力を最大限に引き出す。それが大きければ大きいほど、日本での成功率も高くなるはずです。

少子化が叫ばれるなか、おもちゃ市場の将来性についてはどのようにお考えですか。

 たしかに子どもの数は減っていますが、夫婦ともに仕事をしているので一家の収入は増えていますし、経済的に余裕がある団塊世代が祖父母になっているので、おもちゃの購買力は逆に大きくなっている。その市場に訴求する商品として、私は知育玩具に大きな将来性を感じています。
 わが社は昨年の売上げが前年度比170%でしたが、これには知育玩具が大きく貢献しています。たしかに、子どもたちはキャラクター玩具が大好きではじめは飛びつきますが、そのうち飽きてくる。その点、知育玩具は長く子どもの興味を引き続けるんです。
 とくにフィッシャー・プライスの商品は、子どもの目線を非常に大事にしています。開発初期段階では、30人ほどの子どもをプレイラボという空間で遊ばせて、どんなおもちゃに興味を持ったり驚いたりするのか、逆に飽きてしまうのか、つぶさに観察しています。そこから得られたアイデアを商品開発に反映させることで、オトナ目線でつくるのではない、「子どもたちがつくったおもちゃ」ができあがるのです。それが本来のおもちゃづくりだと思いますし、そうすることでおもちゃビジネス成功の3条件も満たせています。
 もちろんマテルの看板商品であるバービーにも力を入れていきます。最近では20歳以上の女性が、コレクターズ・アイテムとしてバービーに注目しはじめています。彼女たち、大人の女性、をターゲットにして、新しいコレクター市場を開拓していきたいと思っています。

攻勢をかけていくマテル・インターナショナルに必要な人材とは?

 何でも見たい、知りたいという、好奇心が旺盛な人です。仕事が終わってまっすぐ家に帰る人より、街に出て買い物をしたり、ジムに行ったり、人に会ったりする人。また、スポーツでも、何かのコレクションでもいいですから、自分の好きな分野があって、そのエキスパートになっている人。ファッションのことだったら何でも知っている、クルマのことなら何でも答えられるという人が、わが社にはたくさんいますし、実際、そういう人が仕事でも元気に活躍しています。
 さらにいえば、おもちゃにこだわりを持てる人。商品開発は基本的には本社で行いますが、商品をローカライズする能力は必要です。日本向けにこう変えてほしい、こうすれば日本市場で売れるという提案や議論をきちんと行えなくては、仕事になりませんから。
 もちろん、おもちゃが好きなことが第一条件ですよ(笑)。面接するとすぐわかるんです。本当に好きな人は、おもちゃを見たときの目の輝きが違いますからね。
有難うございました。
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