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外資系スペシャルインタビュー

【第12回】外資系CEOスペシャルインタビュー

ロイヤル ドルトン ジャパン株式会社 代表取締役社長 佐伯精三氏
外資系CEOスペシャルインタビュー
ロイヤル ドルトン ジャパン株式会社
代表取締役社長 佐伯精三氏

ロイヤル ドルトン ジャパン株式会社は、イギリス中西部に位置するストーク・オン・トレントに本社を置く"Royal Doulton Plc."の日本法人として設立。 ミントン、ロイヤル ドルトン、ロイヤル アルバート、ロイヤル クラウン ダービー、ロイヤルウースター、ケイスネス グラスの陶磁器、クリスタル・ガラス製品等の輸入販売を手がけている。 今回は、そのロイヤル ドルトンジャパン株式会社、CEO 佐伯精三氏に、外資系企業におけるCEOの役割やビジョン、今後の事業戦略等を語って頂いた。

ロイヤル ドルトン ジャパンについて

Q.会社の概要をお聞かせください。

ロイヤル ドルトン ジャパンは、英国陶磁器産業の中心地として知られるストーク・オン・トレントに本社を置く、"Royal Doulton Plc."の100%出資による日本法人です。
当社製品の日本上陸は約半世紀前にさかのぼります。日本法人としては、11年前から100%子会社の形態になりました。主に百貨店を通して英国の伝統ある陶磁器、クリスタルグラス製品の輸入販売を行っています。

Q.取り扱っているブランドにはどのようなものがありますか?

現在は、「ロイヤルドルトン」を含め6ブランドになります。 社名になっている「ロイヤルドルトン」は1815年、ちょうどヨーロッパ連合がナポレオンを破った年にロンドンで創立され、現在では名実共に世界最大級のファインボーン・チャイナブランドとして知られています。
「ミントン」は1793年、ストーク・オン・トレントで創立され、1960年代にミントン家が途絶えた後、ロイヤルドルトンの傘下に入りました。 1896 年創立の「ロイヤルアルバート」もストーク・オン・トレントを代表するブランドです。また、1750年創立の「ロイヤルクラウンダービー」、1751年創立の「ロイヤルウースター」は、いずれも英国の歴史ある陶磁器ブランドです。さらに、当社では2001年秋からスコットランドのグラスブランドである「ケイスネスグラス」を本格的に日本市場に紹介しています。
これら6ブランド全て、いずれも英国王室御用達として、その伝統・実績のみならず、品質や芸術性において広く世界的に認められたブランドです。

Q.品質の話が出ましたが、現在の陶磁器業界についてお聞かせ下さい。

欧米や日本を中心に陶磁器は、結婚式など特別な機会における贈答品として位置づけられ、ほぼ一貫して市場が伸びてきました。しかし、近年はオーバーキャパ(供給過多)に陥り、業界全体で再編が進むなど、大きな試練の時期を迎えています。
そうした中でもロイヤルドルトンは、優秀なクラフトパーソン(職人)を多数擁しており、品質においても優位性を確保していると思います。 陶磁器は見た目以上に製造が難しい商品です。熟練した技術と芸術性を持ったクラフトパーソンの存在こそが、陶磁器産業における競争力の源泉なのです。
とりわけ本物志向が強い日本では、我々にはもっと大きなチャンスがあると確信しています。

Q.今後の経営戦略や営業戦略について

私の経営ポリシーは、「Offense is the best defense.(攻撃は最大の防御)」ということです。常に前向きに、積極的に、全社一丸となり攻めの姿勢を貫くことが大切だと考えています。
営業については、昨年から流通経路の見直しを行い、直接販売の方向に転換しました。 我々のようなプレステージブランドは、お客様に近いところでビジネスを展開し、お客様が何を求めているかをダイレクトにキャッチすべきだと考えるからです。私自身、どんなに忙しくても小まめに販売現場に足を運ぶようにしており、そこで得られる情報は大きいです。
今年は、「ミントン」が英国王室御用達150周年という記念すべき年ですので、英国大使館と協力したイベント展開やPR活動を行う予定です。 最近、上野にある旧岩崎邸の敷地で古いミントンのタイルが見つかりました。 土の中に埋まっていたので保存状態が良く、旧岩崎邸の一階ベランダに使われているものが当初どのような色合いだったのかが分かり、 ブランドを演出するストーリーに利用できないかと考えています。

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外資系企業におけるCEOという仕事とは

Q.CEO/Presidentの役割について

仕事は多岐に亘りますが、コミュニケーションがすべての根本にあると思います。
例えば英国本社は、必ずしも日本市場を全面理解しているとはいえません。紅茶を日常的に楽しんでいる英国と日本では、食器に対する考え方も違います。 日本では高級食器は憧れの的であり、ブランドに対する信頼感も強いものがあります。そうした土壌の違いをどう理解させるかが、コミュニケーション力にかかってくるわけです。
また、社内のコミュニケーションも大切です。 外資は新旧の社員が混在しがちですから、その間のスムーズなコミュニケーションを気にしています。 以前、CDA(Career Development Adviser)の研修を受けたときにも痛感したのですが、コミュニケーションにおいて、まず相手の話をよく聞き、本質を引き出すことが大切ですよね。 受け入れてもらう態勢が相手にない限り、自分の話は聞いてもらえません。まず、相手の話をよく聞き理解に努めることで、デシジョンメイキングを一緒にしているんだという方向に持っていく。 そんなコミュニケーションを心がけています。
また、常にビジョンを語りかけていくことも重要です。 社員の日々のモチベーションを上げるためにも、会社は今どこにあって、どういう方向に向かおうとしているのか、商品なども含めてビジョンを語るのです。 一貫性があり分かりやすいビジョンを提示することで、社員それぞれの思いをひとつにしていけるのではないかと考えています。

Q.苦労話などありましたら、お聞かせください。

実際にはいろいろありますが、こんな経験は今しかできないと思えば、苦労ではなくなってきます。 たとえば、経営トップとして数値目標に対する責任がありますが、売り上げばかり重視すれば質が落ちます。 売り上げというより利益をきちんと出すことが大切であり、そのためには基本をしっかりすることが大事だと、ビジネスの正論・正しい姿勢を意識しながらやっています。
また、外資は短期的に結果を求め、過去の経緯をあまり考慮してくれないといった面がありますが、そんなことを言っても始まりません。 問題は誰のせいでもなく自分にある、とトップが自覚する事が重要だと思い、常にポジティブなアプローチを心がけています。

Q.これまでのビジネス人生で、今役立っていることは何ですか?

仕事を誠実にする姿勢、でしょうか。誠実に仕事を続けることで人脈が広がりますし、私の場合、小売業に長く携わってきましたから、市場に対する勘、市場を見る目も養われたと思います。 扱う商品は変わっても、そうした積み重ねが自分自身のキャリアの貴重な財産として生きています。

Q.CEO/Presidentに求められる資質とは?

正解はないと思います。可能性の高さからいえば、強いリーダーシップを持っていることが鍵でしょう。 それは、みんなが理解できる明確な言葉で方向性を定めることができるかどうかということです。 また、それに向かって進む強靭な精神力・一貫性と粘り強い実践力が不可欠ですし、さらに、時代環境や周囲のサポートなどある種の運も必要なのではないでしょうか。 それらを養うには、人との出会いを大切にし、生き方や考え方を謙虚な気持ちで聞くことだと思います。 20代は新しいことがいろいろ見えてくる時期ですから、いろいろな人の話を真摯にとらえ、吸収することです。 30代もまだまだ柔軟性がある年齢ですから、スキルやノウハウだけで自分を固めず、大胆にチャレンジしてみるといいでしょう。

Q.最後に、週末の過ごし方やリフレッシュ法について、お聞かせください。

学生時代からテニスを続け、日本プロテニス協会にも所属しています。週末には40代以上の初心者6人(今はもう初心者ではなくなりましたが、)ほどを指導しています。 息抜きとともに、自分が教えることでその方たちが上達する姿を見るのは嬉しいことですし、コーチングとティーチングの違いを考えたり、基本の大切さやメンタリティの重要性を再確認したりしています。

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